216 / 1,117
王都編
冒険者ギルド
しおりを挟む
「え~っと、冒険者ギルドは…あ、ここか。」
通りをズンズンと進んでいたノアは、一際大きい建物の前で立ち止まる。
構造はオードゥスのギルドと殆ど同じで2階建てではあるが、横にデカい。
中に入ると、カウンターが3つ設置されており、ノアと同年代とおぼしき冒険者達は一番右のカウンターにたむろしている。
どうやら各カウンターは手前から上級・中級・新人と言う風に分かれている様だ。
そして各カウンター横にはクエストボードが設置されており、冒険者のランクに見合った依頼が貼り出されている。
職員は各カウンターに2名ずつ、その奥で書類等の業務を各3名体制で行っていた。
ノアは右奥のカウンターの方へと向かう。
そこには3人パーティが2組と6人パーティが1組いた。
1人で訪れたノアに各々視線を送りつつも直ぐに新人用のクエストボードを確認していた。
ノアがカウンター前に立つと職員の女性が対応してくれた。
「いらっしゃいませ、本日はどういった御用件でしょうか。」
「オードゥスで冒険者カード作ったんですけど、それの更新に。
あと、金細工・彫金加工ギルドの依頼を受けに来ました。」
ノアが冒険者カードを取り出しつつ先程の依頼書も提出する。
「申し訳ありません、この依頼は中級冒険者かレベル5の冒険者が対象となりますが…」
「取り敢えず更新してみて下さい。
恐らく大丈夫なハズなので。」
そう言われた職員は、渋々と言った感じでカウンターにある水晶に冒険者カードを通す。
すると間も無く職員の顔色が変わり、1度水晶からカードを外して、レベル表記を確認。
再度カードを通して再更新を行っている。
すると周りにいた冒険者も何事かとノアの方を注視している。
カウンター内の職員達は水晶にカードを通しては頭を捻り、うんうん唸っていた。
リーンリーン…
1人の職員がカウンターに置いてあった鈴を鳴らす、すると2階から椅子を引く様な音が聞こえる。どうやら上司を呼んだ様だ。
(そう言えばオードゥスでもこんな流れだったなぁ…)
等と思い出に浸っていると、ガチャリと音が鳴り2階の部屋からパタパタと足音が聞こえる。
どんな人物かな?
と考えていたが姿を見た途端思考が停止した。
「何じゃ!わらわは書類整理で忙しいのじゃぞ!
冒険者カードの更新位で呼ぶでないわ!」
『ぷんすこ』と言う擬音が似合いそうな、10才位で頭の両側に角が生えた女の子が腕を振って階段を下りてきた。
突然の事に固まっていたが、ノアだけでなく周囲の冒険者も2階から下りてきた人物を見て固まっていた。
その女の子はカウンター横の仕切りを潜ってカウンター内へと入る。
その際、女の子の腰辺りを見ると、自身の身長位はあろうかという位の長い尻尾を生やしていた。
尻尾の感じからして数日前に戦ったシエストラバードを彷彿とした為、竜人では?と仮定した。
「すみませんギルド長…ちょっと見て貰いたい物が…」
「「「「ギルド長!?」」」」
ノアも流石に驚いたが、周囲の冒険者達とは違い叫びたくなる衝動を心の中に止める事に成功した。
「ん?わらわはこの冒険者ギルドのギルド長じゃが何か文句あるかの?」
「のじゃロリだ!」
「すげぇ!俺初めて見た本物ののじゃロリ!」
「可愛い~!」
「うっさいわ!見た目で判断するでないわ!
わらわはこれでも340歳の竜人じゃ!」
「のじゃババアだ!」
「のじゃバ…それってただのババアじゃね?」
「どっちにしろ可愛い~!」
「ババア言うんじゃ無いわ!ピチピチの340歳じゃ!」
(ピチピチの340歳…?どう反応すれば良いのかな…)
喚き散らすギルド長を抱き抱え、何とか落ち着かせた職員達のお陰で漸く話が進んだのは、それから数分後の事だった。
「ギルド長、こちらです。」
「うむ。」
職員の女性に抱っこされ、ギルド長が水晶を覗き込む。
「このカードの持ち主は…お主かや?
ちょっち、近う寄れ。」
のじゃロリギルド長に呼ばれてカウンター前に立つ。
「わっちの眼ぇを良く見といてくりゃれ?」
「はい。」
ノアの目を凝視する、のじゃロリギルド長。
瞳を確認すると爬虫類の様な眼をしているので竜人と見て間違い無いだろう。
「ふっ、ははは…」
「ど、どうされました?ギルド長…?」
暫くノアの目を凝視していたのじゃロリギルド長が突然笑い出した為、困惑する一同。
「あ~あ。ふふ、悪い悪い。
安心せい、わらわの竜眼で見たんじゃ、この坊やは『本物』じゃ。
偽装、誇張、何もありゃせんわ。」
「ほ、本当ですか!?」
職員達が驚きの表情をするが、のじゃロリギルド長は気にせずノアに話を続ける。
「ああ。
じゃが主よ、わらわの竜眼を持ってしても正体の分からん『奴』を連れとるの?
何じゃソイツは?」
「教えたくない、と言ったらどうしますか?」
「ふ、安心せい、無理には聞かんよ。
そうか、最近御上が騒がしかったが、お主がその張本人であったか。」
のじゃロリギルド長が色々と喋りそうだったので、他の冒険者達には背を向ける形でカウンターに手を付け、職員達の方に向き直る。
『どこまで見たかは知らんが、余計な事は周りに人がいない時に頼むよ。』
目が赤黒く染まり、表に『俺』を出したノアがお願いする。
「ふふ、【鬼神】の二つ名に恥じない威圧感じゃな。
了解したのでその状態を解除してはくれんかのぅ?職員が皆強張ってしもうとるんじゃ。」
『ああ、すまないな。』
直ぐ様赤黒いオーラを霧散させた所、のじゃロリギルド長がノアの肩をバシバシ叩く。
「いやぁ、時間掛かってしもうて申し訳無かったのぅ。
カードの更新は一先ず終わりじゃ、それと何か依頼を受けに来たんじゃろう?見せてみぃ。」
ノアから依頼書を受け取った、のじゃロリギルド長はサラッと一読した後
「うん、お主なら大丈夫じゃな。受理!」
『ペッタンコ』とカウンターにあった受理印を依頼書に押す。
「えらく簡単ですね。」
「ふふん、わらわの竜眼は対象の強さもある程度分かるからのぅ。
お主、新人冒険者ながら上級冒険者クラスは余裕であるから問題無しじゃ。」
「ありがとうございました。
それでは依頼主の所に行って来ますね。」
ノアが冒険者を出ようとすると、再びのじゃロリギルド長に呼ばれる。
「あ、そうじゃお主、もちょっと待つが良い。
もう一度近う寄るのじゃ。」
ノアが近付くと、<聞き耳>持ちで無いと聞こえない程の声量で話し始める。
<お主が受けた依頼じゃがな、恐らく他のギルドの依頼と被る部分が多いでの、もしかしたら合同での依頼を持ち掛けられるかも知れん。
そうなった場合、各ギルドからわらわの所に話をつけに来いと伝えておくれ。>
「はい、分かりました。」
<あとな、一応お主は『新人冒険者』じゃ。
この手の依頼を受ける際は相応のカウンターに向かわなければならんが、お主に限り全ての依頼をここで受けれる様、皆に話をつけておこう。>
「変に目を付けられたくなかったので助かります。」
「うむ、話は以上じゃ、依頼人の所に行って来るが良いぞ。」
「色々と便宜を図ってくれてありがとうございます。
そう言えば名前を聞いていなかったので教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
「ああ、スマンスマン、わらわは冒険者ギルド長のジャロルじゃ。」
「のじゃロリって名前だったんですね?」
「区切りを間違うでないわ!
ギルド長の"ジャロル"!ジャーロールじゃ!」
通りをズンズンと進んでいたノアは、一際大きい建物の前で立ち止まる。
構造はオードゥスのギルドと殆ど同じで2階建てではあるが、横にデカい。
中に入ると、カウンターが3つ設置されており、ノアと同年代とおぼしき冒険者達は一番右のカウンターにたむろしている。
どうやら各カウンターは手前から上級・中級・新人と言う風に分かれている様だ。
そして各カウンター横にはクエストボードが設置されており、冒険者のランクに見合った依頼が貼り出されている。
職員は各カウンターに2名ずつ、その奥で書類等の業務を各3名体制で行っていた。
ノアは右奥のカウンターの方へと向かう。
そこには3人パーティが2組と6人パーティが1組いた。
1人で訪れたノアに各々視線を送りつつも直ぐに新人用のクエストボードを確認していた。
ノアがカウンター前に立つと職員の女性が対応してくれた。
「いらっしゃいませ、本日はどういった御用件でしょうか。」
「オードゥスで冒険者カード作ったんですけど、それの更新に。
あと、金細工・彫金加工ギルドの依頼を受けに来ました。」
ノアが冒険者カードを取り出しつつ先程の依頼書も提出する。
「申し訳ありません、この依頼は中級冒険者かレベル5の冒険者が対象となりますが…」
「取り敢えず更新してみて下さい。
恐らく大丈夫なハズなので。」
そう言われた職員は、渋々と言った感じでカウンターにある水晶に冒険者カードを通す。
すると間も無く職員の顔色が変わり、1度水晶からカードを外して、レベル表記を確認。
再度カードを通して再更新を行っている。
すると周りにいた冒険者も何事かとノアの方を注視している。
カウンター内の職員達は水晶にカードを通しては頭を捻り、うんうん唸っていた。
リーンリーン…
1人の職員がカウンターに置いてあった鈴を鳴らす、すると2階から椅子を引く様な音が聞こえる。どうやら上司を呼んだ様だ。
(そう言えばオードゥスでもこんな流れだったなぁ…)
等と思い出に浸っていると、ガチャリと音が鳴り2階の部屋からパタパタと足音が聞こえる。
どんな人物かな?
と考えていたが姿を見た途端思考が停止した。
「何じゃ!わらわは書類整理で忙しいのじゃぞ!
冒険者カードの更新位で呼ぶでないわ!」
『ぷんすこ』と言う擬音が似合いそうな、10才位で頭の両側に角が生えた女の子が腕を振って階段を下りてきた。
突然の事に固まっていたが、ノアだけでなく周囲の冒険者も2階から下りてきた人物を見て固まっていた。
その女の子はカウンター横の仕切りを潜ってカウンター内へと入る。
その際、女の子の腰辺りを見ると、自身の身長位はあろうかという位の長い尻尾を生やしていた。
尻尾の感じからして数日前に戦ったシエストラバードを彷彿とした為、竜人では?と仮定した。
「すみませんギルド長…ちょっと見て貰いたい物が…」
「「「「ギルド長!?」」」」
ノアも流石に驚いたが、周囲の冒険者達とは違い叫びたくなる衝動を心の中に止める事に成功した。
「ん?わらわはこの冒険者ギルドのギルド長じゃが何か文句あるかの?」
「のじゃロリだ!」
「すげぇ!俺初めて見た本物ののじゃロリ!」
「可愛い~!」
「うっさいわ!見た目で判断するでないわ!
わらわはこれでも340歳の竜人じゃ!」
「のじゃババアだ!」
「のじゃバ…それってただのババアじゃね?」
「どっちにしろ可愛い~!」
「ババア言うんじゃ無いわ!ピチピチの340歳じゃ!」
(ピチピチの340歳…?どう反応すれば良いのかな…)
喚き散らすギルド長を抱き抱え、何とか落ち着かせた職員達のお陰で漸く話が進んだのは、それから数分後の事だった。
「ギルド長、こちらです。」
「うむ。」
職員の女性に抱っこされ、ギルド長が水晶を覗き込む。
「このカードの持ち主は…お主かや?
ちょっち、近う寄れ。」
のじゃロリギルド長に呼ばれてカウンター前に立つ。
「わっちの眼ぇを良く見といてくりゃれ?」
「はい。」
ノアの目を凝視する、のじゃロリギルド長。
瞳を確認すると爬虫類の様な眼をしているので竜人と見て間違い無いだろう。
「ふっ、ははは…」
「ど、どうされました?ギルド長…?」
暫くノアの目を凝視していたのじゃロリギルド長が突然笑い出した為、困惑する一同。
「あ~あ。ふふ、悪い悪い。
安心せい、わらわの竜眼で見たんじゃ、この坊やは『本物』じゃ。
偽装、誇張、何もありゃせんわ。」
「ほ、本当ですか!?」
職員達が驚きの表情をするが、のじゃロリギルド長は気にせずノアに話を続ける。
「ああ。
じゃが主よ、わらわの竜眼を持ってしても正体の分からん『奴』を連れとるの?
何じゃソイツは?」
「教えたくない、と言ったらどうしますか?」
「ふ、安心せい、無理には聞かんよ。
そうか、最近御上が騒がしかったが、お主がその張本人であったか。」
のじゃロリギルド長が色々と喋りそうだったので、他の冒険者達には背を向ける形でカウンターに手を付け、職員達の方に向き直る。
『どこまで見たかは知らんが、余計な事は周りに人がいない時に頼むよ。』
目が赤黒く染まり、表に『俺』を出したノアがお願いする。
「ふふ、【鬼神】の二つ名に恥じない威圧感じゃな。
了解したのでその状態を解除してはくれんかのぅ?職員が皆強張ってしもうとるんじゃ。」
『ああ、すまないな。』
直ぐ様赤黒いオーラを霧散させた所、のじゃロリギルド長がノアの肩をバシバシ叩く。
「いやぁ、時間掛かってしもうて申し訳無かったのぅ。
カードの更新は一先ず終わりじゃ、それと何か依頼を受けに来たんじゃろう?見せてみぃ。」
ノアから依頼書を受け取った、のじゃロリギルド長はサラッと一読した後
「うん、お主なら大丈夫じゃな。受理!」
『ペッタンコ』とカウンターにあった受理印を依頼書に押す。
「えらく簡単ですね。」
「ふふん、わらわの竜眼は対象の強さもある程度分かるからのぅ。
お主、新人冒険者ながら上級冒険者クラスは余裕であるから問題無しじゃ。」
「ありがとうございました。
それでは依頼主の所に行って来ますね。」
ノアが冒険者を出ようとすると、再びのじゃロリギルド長に呼ばれる。
「あ、そうじゃお主、もちょっと待つが良い。
もう一度近う寄るのじゃ。」
ノアが近付くと、<聞き耳>持ちで無いと聞こえない程の声量で話し始める。
<お主が受けた依頼じゃがな、恐らく他のギルドの依頼と被る部分が多いでの、もしかしたら合同での依頼を持ち掛けられるかも知れん。
そうなった場合、各ギルドからわらわの所に話をつけに来いと伝えておくれ。>
「はい、分かりました。」
<あとな、一応お主は『新人冒険者』じゃ。
この手の依頼を受ける際は相応のカウンターに向かわなければならんが、お主に限り全ての依頼をここで受けれる様、皆に話をつけておこう。>
「変に目を付けられたくなかったので助かります。」
「うむ、話は以上じゃ、依頼人の所に行って来るが良いぞ。」
「色々と便宜を図ってくれてありがとうございます。
そう言えば名前を聞いていなかったので教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
「ああ、スマンスマン、わらわは冒険者ギルド長のジャロルじゃ。」
「のじゃロリって名前だったんですね?」
「区切りを間違うでないわ!
ギルド長の"ジャロル"!ジャーロールじゃ!」
130
あなたにおすすめの小説
ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった
海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。
ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。
そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。
主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。
ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。
それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。
ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?
さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。
僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。
そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに……
パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。
全身ケガだらけでもう助からないだろう……
諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!?
頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。
気づけば全魔法がレベル100!?
そろそろ反撃開始してもいいですか?
内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!
ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~
楠富 つかさ
ファンタジー
ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。
そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。
「やばい……これ、動けない……」
怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。
「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」
異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる