ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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王都編

ジャロルのじゃロリ

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結局、ジャロルのじゃロリ問答を3回程繰り返して漸く名前を覚える事になった。


冒険者ギルドを出たノアは来た道を戻り、先程の金細工・彫金加工ギルドへと戻る。

カランコロンカラン

ギルドの扉を開け、中に入ると各用途で使われる装飾品の類いや調度品が所狭しと配置され、どこぞの美術館かと思う程の目を見張る物があった。


「いらっしゃいませ~、あ、さっきの少年か。
はは、やはり依頼の方は無理だったろう?」


数々の調度品の奥から先程の若い男性が顔を覗かせて声を掛けてきた。
彼の周りには2、3人の男女がいる。恐らく彼の仲間だろう。

ノアを見るや否や、多少の期待を込めた視線を送ってきたものの直ぐに落ち着きを取り戻して応対にあたりだした。


「あ、依頼の方受理されましたよ~。」

「え!?嘘マジで!」

「ええ、ギルド長自ら受理印を押して貰いましたし。」


依頼書を男性へと渡す。
依頼書を受け取った男性は食い入る様にして確認する。


「た、確かにギルドの受理印だ…」
「じゃあ鉱山に行けるのね!」
「早速準備に取り掛かるぞ!」


男性の元へ仲間が集まり依頼の受理を喜んでいると、背後でギルドの扉が勢い良く開かれた。

ガランゴロッ!

「なぁ!クリス!鉱山同行者が現れたってのは本当か!?」

「ちょ、おい!クック、いきなり騒がしく入ってくるな!
依頼受けて貰った人が驚くだろ!」

(<気配感知>で近付いてるの分かってたけどね。)


突然入ってきた人の方を向くと恐らく【料理人】だろう、調理服を着た男性が立っていた。


「す、すまない、こっちも鉱山で取れる食材が枯渇してきたのでつい…
それで、そこの方が依頼を受けてくれた…え?
もしかして新人冒険者じゃないか?」

「ああ、そうだよクック。
だが、ギルドからの受理印が押されてるから正式に依頼は受理されている。
もしかしなくても合同での依頼をお願いしに来たんじゃないか?」

「ああ、そうだ。」


クックと呼ばれた男性はノアの方を向き頭を下げる。


「すまないがウチの…【料理人】ギルドの依頼も一緒に受けて貰えないだろうか。」

「こちらの…【金細工・彫金加工】ギルドの護衛対象人数と【料理人】ギルドの方の参加希望人数を教えて頂いても良いですか?」

「長いので【彫金】でも【加工】ギルドでも良いよ。
ウチからは僕も含めて5人、荷物持ちの者を合わせて6人でお願いしたい。」

「【料理人】ギルドも私含め5人、荷物持ち合わせて6人でお願いしたい。」

「なるほど、ちなみに目的地の鉱山はダンジョンだとお聞きしましたが出てくるモンスターの特徴を聞いても良いですか?」

「鉱山に出てくるモンスターという事で大体察しは付くだろうが、とにかく体表が硬く、物理防御力が高い。」

「なので、基本的には魔法で対処するのが定石の様だ。
ただ、そうすると素材としても傷んでしまうから困り者ではあるのだがな…」

「分かりました。ちなみに出立は明後日か、明日の夜とかでも良いですか?」

「私達は構わないが、何か用事があるのか?」

「はい、何時に終わるか分からないので少しあやふやではありますが、時間が分かり次第お伝えします。」

「ああ、そうしてくれると助かる。」


そうして話が一段落ついた所でノアは服装を正して軽くお辞儀する。


「今回依頼を受けましたノアと言います。
よろしくお願いします。」

「僕は【彫金】ギルドのクリスだ。御丁寧にどうも。」

「私は【料理人】ギルドのクックと言う。
こっちにいるクリスの弟だ。よろしくな。」

「よろしくお願いします。ではクックさん、合同での依頼は冒険者ギルドのギルド長にお伝え下さい。」

「ああ、了解した。」


話が終わったノアはギルドを出て街へと繰り出していった。





「なぁ、皆、あの子どう思う?」

「あの子新人だよな?なのに妙に落ち着いてると言うか、達観していると言うか…」

「え?新人なの!?何で依頼受けれたの?」

「分からんが、本人曰くレベルは5何だと。」

「ちょっと待ってよ、知り合いに冒険者いるけどレベルを1つ上げるのでも難しいって聞くわよ?」

「まぁ気にしてても仕方無いさ。
さぁ、取り敢えず準備の方を進めて、後はあの子の連絡待ちだな。」

「そうだな。」

「りょーかい。」








「すみませーん、門番の方ですか?」

「おや、こんな時間にどうしたんだい?」

「この門の外が鉱山への道に続いてると聞いたのですが。」

「ああ、そうだね。
え?もしかして今から鉱山に?」

「いえいえ、明日以降に護衛依頼を受けたので、分かる範囲で情報収集していた所です。」

「それは良い心がけだ。」

「それと、聞きたい事が幾つかありまして。」

「ほう?何だい?分かる範囲で教えるよ。」


あの後ノアは、街行く人に鉱山の場所を聞き、最短で向かえる場所を聞き出していた。

結果、王都から西に約1日行った所に鉱山はあるらしく、アルバラスト同様東西南北の4ヶ所に門がある為、現在王都の西門に来ていた。  

西門に着くと、門の所には兵士が立っており、番をしていたので情報収集を兼ねて以下の事を聞く事にした。          


・周辺に出没するモンスターの種類 
・昼と夜の差
・野盗の有無
・冒険者間のルール 


「ここら辺で主に見掛けるのは『角ウサギ』『ウルフ』『ホーミングボア』『毛むくじゃら羊』位だな。
…と言うか君、王都に来たのだから道中で遭遇しているハズだが…」

「まぁまぁ、ちなみにモンスターの特徴を教えて頂いても良いですか?」


門番は首をかしげながらもノアの質問に答えてくれた。


「『角ウサギ』はそのまんま角が生えたウサギ、『ウルフ』は知ってるだろうが『ホーミングボア』は足腰が強くてね、突進を仕掛けて来たからと行って早い段階で回避すると、方向転換して襲い掛かって来る。
誘導性能が高く、新人殺し何て言われてるよ。
『毛むくじゃら羊』は襲ってくる事は無い、寧ろ人懐っこく、自分から冒険者に近付いてくるモンスターだ。
理由は『冒険者に毛刈りをして貰う為』だ。」

「毛刈り…ですか。」


「この『毛むくじゃら羊』は非常に新陳代謝が良く、毛の生える早さがとんでもない。
あまりの毛量に、肉食の『ウルフ』ですら襲わない位だ。
毛を刈ってくれたらその毛は『洋裁』ギルドに持って行くと買い取ってくれるぞ。
ただ、刈る場合根元から刈り取るのは極力止めて欲しい、『ウルフ』の良い的になってしまうからね。」

「分かりました。」

「あと昼と夜の差だが、 夜はやはり『ウルフ』や『ホーミングボア』の様な狂暴なモンスターと遭遇しやすいから新人冒険者はなるべく夜は出歩かない方が良い。
野盗にも出会し易いからね。」

「野盗はやはりここでも出るんですね?」

「ああ、最近南の方にある街『アルバラスト』で大規模な野盗の捕縛が行われたんだが、恐れた奴や、逃げ延びた奴がこっちに流れて来たんだ。
遭遇したら極力殺さないで欲しいが、自分の身の安全を第一にな。」

(なるほどな…そんな弊害も出ていたとは…)

「その上、中級・上級冒険者達はフリアダビアに殆ど行っちゃったから、俺達兵士や隊員達の出動が増えて大変だよ…
まぁ君に愚痴言ってもしょうがないがね。」

(すいません、流れて来た原因は僕にもありそうです…)

「えーっと、冒険者間のルールなんだが、それは他の所と何ら変わり無い。
基本的に横槍を入れない事、相手の獲物を奪わない事。
ただ、危うい場面を見掛けたら助けに入るかどうかは任せるがね。
取り敢えずこんな所だが良いかな?」

「はい、ありがとうございました。」


その後もノアは門番に質問や雑談を続けるのだった。
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