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王都編
角ウサギとの遭遇から1時間
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角ウサギとの遭遇から1時間程経つが、これと言ってモンスターの反応は見えない。
どうやら先行している冒険者がいる様で、草むらの所々が綺麗に切り開かれ、微量の血の痕が見える。
血の大きさと広がり方からして小型のモンスターの物で間違い無いだろう。
常時<気配感知>を発動しているので安心と言えば安心ではあるが、警戒を怠る事はしない。
とは言いつつも先程からノアは草むらを眺めていた。
「ね、ねぇ、さっきから草むら眺めているけど、何かいるの?」
名をレイルと言う女性【料理人】が声を掛ける。
周りも何か居るのかと心配そうにしているが
「ああいえ、料理に使えそうな野草が生えていたので見ていただけですよ。」
「え?野草?」
「ええ、例えば…コレとか。」
そう言ってノアは足元に生えていた植物の葉を千切る。
「この葉なんですが、真ん中に黄色い筋が走ってますよね?
これは『レモニア』と言って…先端を少し齧ってみて下さい。」
「これを?」
「はい。」
ノアに促されるままに葉の先端を少し千切って口に放り込むレイル。
「ん!?酸っぱ~い!
けど、苦みが無くて純粋に酸っぱいだけって感じね。」
「では、次に根元付近を齧ってみて下さい。」
ブチッ 「あむ。」
「酸っ、苦っ!?」
「どうです?苦みの方が強いでしょ?
根元付近は料理と言うよりか、薬に使う方が多いですね。」
「いやぁでも、これは料理にも使えるわね。後で採っとこうかしら。」
「ならば、採取する場合に注意して欲しいのですが、日陰に生えている物は苦味しかないので注意を。
料理に使う場合はデザート等の加熱しない物に使用すると良いです。
加熱すると苦味が増すので。」
「「「「「へぇ~。」」」」」
いつの間にか【料理人】のギルドメンバー全員がノアの周りに集まって話を聞いていた。
「で、これから説明するのは食材にはなりませんが…
僕が指差してる方向を見て下さい、猪が居るでしょ?」
そう言ってノアが指差す方向を見ると、木の陰で分かり辛いが確かに全長2メル程の猪がフゴフゴ唸っていた。
「うわっ!本当にいる!」
「ご、護衛お願いします。」
「あれ?こっち見てないか?」
等と話していると、猪が足元を踏み鳴らし、突進の体勢に入る。
「ちょっ、ノアく、あれ、マズくない!?」
「まぁまぁ、落ち着いて。
レイルさん、足元にある、葉が3つに分かれてる植物がありますよね?
千切って、グシャグシャっと丸めて猪に投げてみて下さい。」
と言うや否や、レイルは素早い動きで葉を採取し、放り投げた。
ブチッ!ワシャワシャッ!「てぇいっ!」
レイルが丸めた葉を投げた瞬間、猪も突進を開始、葉は猪から少し逸れた場所に落ちる。
「ああ…当たらなかった…」
「まぁまぁ。」
と、ノアが宥め様とすると
フゴォオッ!?フゴォオオオッ!
と悲鳴を上げて方向転換して森の中へと駆けて行った。
「さっきの植物は『ハナマガリ』普通の人間が嗅いでも鼻がもげそうな匂いを発します。
携帯出来る様に加工すれば、大抵の動物は嫌がって襲って来ないハズですよ。」
「「「「ほ~。」」」」
「あの…感心してる所申し訳無いんだけど、この臭いどうにかならない?」
葉を千切って丸めた張本人のレイルは臭くなった手を広げて訴えてきており、そこはかとなく周りの仲間もレイルを避けている様に思う。
「流石にこのままは可哀想なので…」
ブチッ
「今度はこの白く小さな花が咲いてる植物を手に取って、手に刷り込む様に揉んで下さい。」
「何かノア君、私を実験台か何かにしてない?」
「効果を知って貰った方が説明するより早いですから。」
レイルは渋々といった様子で植物を手に揉み込んでいく。すると
「お?臭いが…」
「あ、本当だ!」
「あれ?花が…」
レイルが植物を手に揉み込んでいくと徐々に臭いが薄れ、霧散していった。
それとは逆に、白く小さな花や葉、茎は赤みを帯びていった。
「臭いはどうですか?」
「しない、洗ったみたい…
いえ、洗ってもここまで臭いは落ちないと思うわ。それ位強烈だったもの。」
「この植物は『クサミトリクサ』。
まんまですが、臭みや臭いを取る効果のある植物です。
臭い成分を吸収すると、全体的に赤みがかるので…」
そこで言葉を区切ったノアは、背中から弓を取りつつ矢を番え<集中><渾身>を発動して即座に発射。
バシュンッ! プギィィイッ!
「猪みたいに臭いにクセがある物何かとは特に相性が良いですよ。
あれ、今晩の食事に使いましょう。」
そう言って今しがた仕留めた猪を取りに向かった。
「すげぇな、あの少年。」
「最初新人冒険者って聞いた時はどうなるかと思ったが…」
「料理の幅広げたいからあの子に講師として来て欲しいわ…」
「何だろう、今から夕飯が楽しみなんだが…」
「俺も。」
「私も。」
まだ昼の2時を過ぎた辺りなのだが、既に晩飯の事を考え始める一行なのであった。
その後、猪を担いできたノアは、【料理人】の荷物持ちの人に私、後で解体をお願いした。
再び道を歩いていると森に差し掛かった。
「あー、ノア君ちょっと良いかな?」
「どうしました?」
「いつもこの森は迂回しているので、そちらを通っても良いだろうか?」
「あれ?ここを真っ直ぐ行った方が早いですよね?」
「いや、この森には『ホーミングボア』って言う厄介なモンスターが出るんだ。
俺が前見たのは、さっきノア君が倒した猪の倍位大きかったよ。」
「あぁ、新人冒険者殺しとかって言われてるんでしたよね。
まぁ大丈夫でしょう。」
ガサササッ…
「あぁ…ちょっと…」
気にする素振りを見せず森の中へと突き進むノアに駆け足で付いていく一同。
森の中は昼間だというのに、日の入りかという程薄暗く、各所からモンスターの鳴き声が聞こえる。
明らかに道の時とは打って変わってモンスターの気配がグンと増えた。
「あー、確かにモンスターがそこら中にいますねぇ。 」
「だろう?だからいつもこの森は迂回しているのさ。」
「ひ、引き返すなら今の内だよ?」
「まぁこのまま何もしないと皆さん不安でしょうから、一応手は打っておきますね。」
そう言ってノアは<殺気放出>を発動。
あまり強烈な殺気を放っても仕方無いので『ホーミングボア』に因んで、以前オードゥスの下層で戦った『暴走猪』並みに設定。
ズオォォオッ!
「うおっ!?」
「きゃっ!?」
「ひっ!!」
「なっ!?」
「落ち着いて下さい。
取り敢えず周囲に殺気を飛ばしました。
そこら辺の動物、モンスターなら近寄って来ないハズです。」
実際ノアが殺気を放った瞬間、周囲にいたモンスター達は一斉に距離を取る。
「うん、<気配感知>の範囲内からもモンスターの姿は消えました、これなら当分は大丈夫でしょう。
さ、先を急ぎましょうか。」
結果、森の中では一切モンスターと遭遇する事無く、全行程の3割程短縮する事となった。
どうやら先行している冒険者がいる様で、草むらの所々が綺麗に切り開かれ、微量の血の痕が見える。
血の大きさと広がり方からして小型のモンスターの物で間違い無いだろう。
常時<気配感知>を発動しているので安心と言えば安心ではあるが、警戒を怠る事はしない。
とは言いつつも先程からノアは草むらを眺めていた。
「ね、ねぇ、さっきから草むら眺めているけど、何かいるの?」
名をレイルと言う女性【料理人】が声を掛ける。
周りも何か居るのかと心配そうにしているが
「ああいえ、料理に使えそうな野草が生えていたので見ていただけですよ。」
「え?野草?」
「ええ、例えば…コレとか。」
そう言ってノアは足元に生えていた植物の葉を千切る。
「この葉なんですが、真ん中に黄色い筋が走ってますよね?
これは『レモニア』と言って…先端を少し齧ってみて下さい。」
「これを?」
「はい。」
ノアに促されるままに葉の先端を少し千切って口に放り込むレイル。
「ん!?酸っぱ~い!
けど、苦みが無くて純粋に酸っぱいだけって感じね。」
「では、次に根元付近を齧ってみて下さい。」
ブチッ 「あむ。」
「酸っ、苦っ!?」
「どうです?苦みの方が強いでしょ?
根元付近は料理と言うよりか、薬に使う方が多いですね。」
「いやぁでも、これは料理にも使えるわね。後で採っとこうかしら。」
「ならば、採取する場合に注意して欲しいのですが、日陰に生えている物は苦味しかないので注意を。
料理に使う場合はデザート等の加熱しない物に使用すると良いです。
加熱すると苦味が増すので。」
「「「「「へぇ~。」」」」」
いつの間にか【料理人】のギルドメンバー全員がノアの周りに集まって話を聞いていた。
「で、これから説明するのは食材にはなりませんが…
僕が指差してる方向を見て下さい、猪が居るでしょ?」
そう言ってノアが指差す方向を見ると、木の陰で分かり辛いが確かに全長2メル程の猪がフゴフゴ唸っていた。
「うわっ!本当にいる!」
「ご、護衛お願いします。」
「あれ?こっち見てないか?」
等と話していると、猪が足元を踏み鳴らし、突進の体勢に入る。
「ちょっ、ノアく、あれ、マズくない!?」
「まぁまぁ、落ち着いて。
レイルさん、足元にある、葉が3つに分かれてる植物がありますよね?
千切って、グシャグシャっと丸めて猪に投げてみて下さい。」
と言うや否や、レイルは素早い動きで葉を採取し、放り投げた。
ブチッ!ワシャワシャッ!「てぇいっ!」
レイルが丸めた葉を投げた瞬間、猪も突進を開始、葉は猪から少し逸れた場所に落ちる。
「ああ…当たらなかった…」
「まぁまぁ。」
と、ノアが宥め様とすると
フゴォオッ!?フゴォオオオッ!
と悲鳴を上げて方向転換して森の中へと駆けて行った。
「さっきの植物は『ハナマガリ』普通の人間が嗅いでも鼻がもげそうな匂いを発します。
携帯出来る様に加工すれば、大抵の動物は嫌がって襲って来ないハズですよ。」
「「「「ほ~。」」」」
「あの…感心してる所申し訳無いんだけど、この臭いどうにかならない?」
葉を千切って丸めた張本人のレイルは臭くなった手を広げて訴えてきており、そこはかとなく周りの仲間もレイルを避けている様に思う。
「流石にこのままは可哀想なので…」
ブチッ
「今度はこの白く小さな花が咲いてる植物を手に取って、手に刷り込む様に揉んで下さい。」
「何かノア君、私を実験台か何かにしてない?」
「効果を知って貰った方が説明するより早いですから。」
レイルは渋々といった様子で植物を手に揉み込んでいく。すると
「お?臭いが…」
「あ、本当だ!」
「あれ?花が…」
レイルが植物を手に揉み込んでいくと徐々に臭いが薄れ、霧散していった。
それとは逆に、白く小さな花や葉、茎は赤みを帯びていった。
「臭いはどうですか?」
「しない、洗ったみたい…
いえ、洗ってもここまで臭いは落ちないと思うわ。それ位強烈だったもの。」
「この植物は『クサミトリクサ』。
まんまですが、臭みや臭いを取る効果のある植物です。
臭い成分を吸収すると、全体的に赤みがかるので…」
そこで言葉を区切ったノアは、背中から弓を取りつつ矢を番え<集中><渾身>を発動して即座に発射。
バシュンッ! プギィィイッ!
「猪みたいに臭いにクセがある物何かとは特に相性が良いですよ。
あれ、今晩の食事に使いましょう。」
そう言って今しがた仕留めた猪を取りに向かった。
「すげぇな、あの少年。」
「最初新人冒険者って聞いた時はどうなるかと思ったが…」
「料理の幅広げたいからあの子に講師として来て欲しいわ…」
「何だろう、今から夕飯が楽しみなんだが…」
「俺も。」
「私も。」
まだ昼の2時を過ぎた辺りなのだが、既に晩飯の事を考え始める一行なのであった。
その後、猪を担いできたノアは、【料理人】の荷物持ちの人に私、後で解体をお願いした。
再び道を歩いていると森に差し掛かった。
「あー、ノア君ちょっと良いかな?」
「どうしました?」
「いつもこの森は迂回しているので、そちらを通っても良いだろうか?」
「あれ?ここを真っ直ぐ行った方が早いですよね?」
「いや、この森には『ホーミングボア』って言う厄介なモンスターが出るんだ。
俺が前見たのは、さっきノア君が倒した猪の倍位大きかったよ。」
「あぁ、新人冒険者殺しとかって言われてるんでしたよね。
まぁ大丈夫でしょう。」
ガサササッ…
「あぁ…ちょっと…」
気にする素振りを見せず森の中へと突き進むノアに駆け足で付いていく一同。
森の中は昼間だというのに、日の入りかという程薄暗く、各所からモンスターの鳴き声が聞こえる。
明らかに道の時とは打って変わってモンスターの気配がグンと増えた。
「あー、確かにモンスターがそこら中にいますねぇ。 」
「だろう?だからいつもこの森は迂回しているのさ。」
「ひ、引き返すなら今の内だよ?」
「まぁこのまま何もしないと皆さん不安でしょうから、一応手は打っておきますね。」
そう言ってノアは<殺気放出>を発動。
あまり強烈な殺気を放っても仕方無いので『ホーミングボア』に因んで、以前オードゥスの下層で戦った『暴走猪』並みに設定。
ズオォォオッ!
「うおっ!?」
「きゃっ!?」
「ひっ!!」
「なっ!?」
「落ち着いて下さい。
取り敢えず周囲に殺気を飛ばしました。
そこら辺の動物、モンスターなら近寄って来ないハズです。」
実際ノアが殺気を放った瞬間、周囲にいたモンスター達は一斉に距離を取る。
「うん、<気配感知>の範囲内からもモンスターの姿は消えました、これなら当分は大丈夫でしょう。
さ、先を急ぎましょうか。」
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