ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
252 / 1,117
王都編

彼氏!?お前がか!?

しおりを挟む
「彼氏!?お前がか!?」

「な、何よ…私だって今年で18よ?彼氏位いたって良いじゃない。」

「あ、相手は…それなりに稼ぎはあるのか?
お前を養っていけるだけの稼ぎ(特に食費)はあるのか?」

「ち、ちょっと、話が飛躍し過ぎだよ!
ただ付き合ってるだけだって…」

「そ、そうか…それなら…」

「いや、2人のイチャイチャっぷりは良く見せ付けられていますが、常に秒読み待った無しって状態ですぜぇ、兄者。(ポーラ)」

「「な、何だってぇっ!?」」

「ポーラ、火に油を注ぐな。」ペシッ 

「あでっ。」


クックがの仕事が一段落し、早上がりとなった為、厨房の奥で細やかながら祝賀会の様な物が行われた。
久し振りの再会を喜びつつも話題の中心となったのは勿論クロラに彼氏が出来た事だ。

この世界では一応15歳から結婚は可能なので、本来であればクロラに彼氏が出来た事は喜ばしい事なのだが、5人兄妹で唯一の女性という事もあり、上の兄としては少し過保護気味な所があった。


「あ、相手は…相手は何をやってる方だ?」

「し、新人冒険者です…2つ下の…」

「な!?それはこの子達と同じ位歳じゃないか!?」

「クロラはただでさえ人の4倍食べるのに、相手を破産させるつもりか?」

「失礼ね!今は3倍に抑えてるわよ。」

(((え?あれで!?)))

クロラの食欲を間近で見ている3人としては、それでも抑えてたのか、と驚き戦いていた。


「それに食費位今でもちゃーんと稼いで「そう言う問題じゃない!」

「冒険者ってのは厳しい世界なのはクロラが一番よく知っているだろう?
2人の気持ちもそうだが、相手にそれなりの武力が備わっているかが大事だ。」

「あのー…その点については問題無いかと…(ロゼ)」

「「え?」」

「相手の男の子、私達が束になって掛かっても勝てない位強いんです。
明日の御前試合の時にも来るので、見て貰ったら直ぐに分かります。」

(ほぅ、御前試合の時に会場に来るのか…
よぉーし、どんな奴か見定めてやろう。(クリス))

(ウチの可愛い妹に手を出しよって(出してない)、しょーも無い奴ならぶっ飛ばしてやろう。(クック))

愛するクロラの彼氏が御前試合に来る事を知ったクリス、クック両名は、どんな野郎が来るのかと見定める決意を固めた。


「いやー、君達済まないね、王都に来て早々内輪揉め何か見せてしまって。」

「この日の為に料理を作りまくってたんだ、遠慮はいらない、どんどん食べてくれ!」

「うおっしゃー!食うぞーっ!」
「それでは遠慮無く頂きます。」
「クロラも食べましょ。」
「うん。(ああ…お兄ちゃん達、ノア君の事見定める気満々だ…)」


明日の御前試合に、別の意味でハラハラしつつも結局この日は夜遅くまで他のギルドメンバーも巻き込んで、飲めや歌えやの大騒ぎとなってしまった。


日付もそろそろ変わる頃になり、漸く解放されたクロラは、ノアに今日はもう会えそうに無い事を伝えるべく連絡を開始。


「"ノア君ごめんなさい、【料理人】ギルドにいるのですが、お兄ちゃん達かなり盛り上がっちゃって今日は会えそうにありません。
明日御前試合は必ず見に行くので、その後にでも会いましょ。"っと。」


連絡を入れて少しすると返事が返って来た。


"折角の家族水入らずなのだから気にしなくて大丈夫。
でも【料理人】ギルドにいるなら近くに居おわぁああああっ"


最後に謎の奇声が入っており心配になったが、直ぐにまた返事が届く。


"ごめん、こっちも予定が入ったので僕も会えなくなりました。
明日の御前試合頑張るね。"


「良かった大丈夫そう。ふふ、頑張ってねー。」


安心したのか、返事は返さずにこやかに笑って連絡を終える。

何故なら


「見ましたかい兄者、あの笑顔を。
ありゃ、例の男ですぜ?(ポーラ)」

「クロラ、男か!?今のは例の男なのか!?」

「はいはい、中戻って続き続き!ね?」


この後、話題を無理矢理変えようとするも、悉く悪ノリしたロゼとポーラによる介入があり、ジェイルの健闘虚しく、深夜3時頃まで兄達の追及は続く事になった。








「お、クロラさんから連絡だ。何々…
"ノア君ごめんなさい、【料理人】ギルドにいるのですが、お兄ちゃん達かなり盛り上がっちゃって今日は会えそうにありません。
明日御前試合は必ず見に行くので、その後にでも会いましょ。"」

「ふふ、レター。
"折角の家族水入らずなのだから気にしなくて大丈夫。
でも【料理人】ギルドにいるなら近くに『ガシッ』『ガシッ』居おわぁああああっ"」


突如返事を返していたノアに向かって2人の人物が接近、瞬く間にノアの両脇を抱えて引き摺って行ってしまった。


「ちょ、ちょっとデオさん、ガーラさんどうしたんですか急に!?」

「ちと早いが、装備が完成したんでお前さんを探してたんだ。」

「ギルドの連中は魔力が空っぽになっちまって使い物にならないからな。
と言う訳でさっさと行くぞ?」

「ち、ちょっと待って下さい、直ぐ済ませますんで…レ、レター。
"ごめん、こっちも予定が入ったので僕も会えなくなりました。
明日の御前試合頑張るね。"っと、それじゃあギルドに向かいましょうか!」

「何だ、連れと会う約束してたのか。」

「それなら当初の予定通り明日の朝にすっか?」

「いえ、もう連絡しちゃいましたし、御前試合の後にでも会えますので大丈夫です。」

「そうか…なら行くぞ。」


デオとガーラ、ノアは完成したと言う防具を確認しに【防具】ギルドへ駆けて行った。







カランコロンカラン

「失礼しまー…うわぁ…」


ギルド内に入り、工房の辺りを覗くと、魔力が枯渇したギルドメンバーが壁や床に横たわり、死屍累々といった光景が広がっていた。


「…ヴァンディットさん、マナポーションありますか?」






「ぷはーっ!」

「…た、助かった…」

「防具製作でここまで追い詰められた事は無かった…」

「大袈裟だなぁ…しかしお陰でスキルやら何やらがバカスカレベル上がったろ?」

「た、確かに…スキルレベルが15以上も上がってるし魔力の上限も上がってる。
それにスキルが2つも新しいのが増えてるわ…」


皆一様に、自身のステータスを確認し、あまりの変容っぷりを見て驚きに固まっていた。
ギルドマスターに至っては防具製作で使用した『大海獣の柔肌』の端材を見て表情が凍り付いていた。


「お!もしやギルマス、その素材の名前が見える様になったのか?」

「…あ、ああ…こりゃ、確かにコイツはおいそれと口に出したらいけない、とんでも無い素材だ!」


他のギルドメンバーも確認してみるが、『大海○の○肌』等まだ隠れてる部分があるという事で何の素材かは未だ不明のままらしい。





「…それで…あそこの防具立てに飾ってあるのが件の防具ですか?」

「あぁ!使われた素材も凄まじいが、性能も凄まじい物になったぜ!」

「はっはっは!いやぁ、久々にこんな楽しい製作依頼を請け負ったもんだ!
さぁ、早速装着してみな、俺達の自信作『ギガンテ・ドゥマ』だ!」
しおりを挟む
感想 1,253

あなたにおすすめの小説

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

処理中です...