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王都編
観客の避難を最優先
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「ジャロル、緊急措置の連続発動で試合場の魔力が枯渇している。
稼働に足る魔力が充填されるまでの間結界を張るんだ!
ヤン殿は完了までの間護衛に回れ!
ライリ殿、隊員を総動員して観客の避難を最優先にするのだ!」
「了解じゃ!」
「あいさー、他のメンバーも召集しとくよ。」
「畏まりました!皆行くよ!」
王から指示が飛び、一斉に動き出す一同。
「この観客席にいる冒険者の中で足に自信がある者は居るだろうか?」
王からの呼び掛けに、広い観客席の各所で次々に手が上がる。
その中にはクロラとロゼも入っていた。
「よし!顔は覚えたので君達に頼みがある!
今日は会場の中も外も人が多く、避難もままならん!
外は6区画先まで人で埋め尽くされているので交通整理をお願いしたい!
勿論依頼として報酬も出そう。
あと…ガルダ!ロア!イル!君らは特に足に自信があったハズだが、君らは街の外縁でコモンの私兵捕縛に向かっている隊員達に声を掛け、手が空いた者は避難誘導に尽力する様に伝えてくれ!
残りの冒険者で<縦横無尽>を持っている者は観客席の端から避難を敢行しても良い。
兎に角君達冒険者含め、観客の避難を最優先で行動してくれ!」
「「「「「「「「おう!」」」」」」」」
王の指示を受け、観客席に居た冒険者らが次々に行動に移す。
中級~上級冒険者が観客席にいた子供や老人等を抱え試合場から次々と離脱、近くの建物に避難させる。
「おい!誰か王城の窓を開放しておいてくれ!
王城を避難先にして構わん!緊急時だからな!」
ブゥウンッ!
王が周囲に指示を飛ばしてる間に試合場に結界が張られる。
「取り敢えずこの規模の結界じゃ!妾とて5分が限度じゃぞ?」
「シアロ、試合場の魔力が充填されるまでどれ位掛かる?」
「は!最低でも9分は掛かるかと…」
「うぬ…
この中に<魔法使い>や魔力に余裕のある者は居るか?居たらジャロルに魔力を与えてくれ!」
再びの王の呼び掛けに何名かの冒険者が動く。
この中にはポーラも含まれていた。
「取り敢えず現状でやれる事はやったつもりだが…避難が完了するまでの我慢だ…頼むぞ、ノア君…」
ズチャリ…
先程からコモンの体に繰り返し行われていた破壊と再構築が落ち着き、ゆったりとした動きで立ち上がる。
現在のコモンの姿は、人の形を保ってはいるものの、太腿、ふくらはぎが異様に発達し、途轍も無い筋量を搭載している物と思われる。
(あの時はよく見えなかったが…一体何を取り込んだんだ…?
放ってる殺気がとんでも無いぞ…)
ズドンッ!「!?」
変異したコモンが、地面を破砕する程の速度で駆け出し、ノアに殴り掛かって来る。
ブォンッ!パシッ!メキッ!ズダン!ズシュッ!
殴り掛かって来た拳を掴み、外側に捻りつつ肘をへし折り、地面に叩き付け、太腿から抜いたカランビットナイフを後頭部に突き刺して捻りを加える。
普通の人間であれば致命傷であるが、折った腕がにゅるりとノアの腕を這い、首に手が迫る。
ガッ!ザッ!ゾッ!ザッ!
手首を掴み、後頭部からナイフを抜くと、腕を2ヶ所、手首を1ヶ所斬り、筋を断った後後ろに引き下がる。
(奴の肌に触れたが耐性系に反応は無いし、取り込まれる事も無い、か…)
メキッ、ゴキッ、ズチュル…
(再生持ちか…面倒くさいな…
観客の避難状況はまだ2割って所か、焦っても仕方無い…)
変異したコモンはゴキゴキと音を鳴らし、切り裂いた部位は逆再生の様に傷口が塞がっていく。
「ふぅ、む…関節があると組伏せられた時に面倒だな…」
「何だ、話せるのか。
とっくに人外に成り下がったと思ったのに。」
「人外とは失礼な。
これは人類を新たな段階へ導く力だ。」
「新たな段階、ねぇ。随分と大きく出たもんだ。」
「そして私の打ち立てた新事業でもある。」
「あ、ダメだ、一気にショボくなった。」
「貴様には分かるまい、私の崇高なる行いを。」
「崇高なる行い?生物兵器を作る事が?」
「生物兵器等と言う低俗な物では無いわ!
これは私が造り出した最高傑作『造魔核』だ!」
『造魔核』…通常魔王やそれに付随した四天王等、規格外の魔力を持つ者で無いと製造不可能と言われる造魔を構成する核。
それを人為的に、比較的安価に製造しやがった悪魔の発明。
使われた素体にもよるが、安価な製造を目的とした為制御する事が難しい。
「生物兵器じゃん。」
「何とでも言うが良い!今からこの造魔核の恐ろしさを身をもって…」
「は、よく喋るねぇ、王様も言ってたが、自分が有利に立つとベラベラ喋るってのは本当みたいだな。」
「黙れ!この糞ガキが!お前さえいなけりゃ全て上手く「いかないよ。たかだか15のガキにすらバレたんだ、気付かないのは今のアンタみたいなモンスター位じゃないか?」
ノアの煽りに激昂したコモンは、先程よりも素早い動きでノアに襲い掛かる。
「黙れ貴様ぁっ!」
ザゾンッ!ズドバッ!ズシャァッ!
「ぐああっ!?」
ノアは腰に差す荒鬼神の柄を持ち<抜刀術>を発動、高速で抜いた剣の2撃で変異したコモンの両手両足を切り落とし、地に伏せる。
ズドンッ!「おがっ!?」
倒れ伏したコモンの背中に深々と荒鬼神を突き刺し、剣に魔力を流す。
シュボァッ!「がああっ!?」
コモンの体から炎が噴き出し、身を焼かれていく。
(『やっと本来の使い方された気がする。』)
(そういえばそうだね。)
ズギュル!グヂュルッ!「ん?」
コモンの体は直ぐに灰塵と化したが、切り落とした両手両足が結合し高速再生、即座にコモンの姿に戻った。
(命の危機に瀕すると行われる高速再生…まるでヒュドラだな…
だが不幸中の幸いなのは、恐らく"戦闘能力は本人に準拠"しているのだろう。戦闘面がてんでド素人だ。)
(『ああ、発達した筋量に自身が着いていけてねぇし、高速再生でゴリ押ししてるだけみたいだ。こりゃ早期決着も可能だな。』)
ズルン「ふぅ、今のは危なかった…だが次こ「もういい、大体分かった。」
ジュバッ!「おあっ!?」
コモンの懐に潜り込んだノアが魔力を流した赤熱化状態の荒鬼神を振るい、体を焼かれながら断ち斬られる。
「ぐっ、再生を…なっ!?出来ないだと!?」
焼かれながら斬られている為、切断部が灰と化し、再生が機能していないのだ。
ブォンッ!「うぉあっ!」
コモンが腕を振り、ノアに攻撃をするも、難なく回避され、両腕を肩から焼き斬られる。
ジュバッ!ザジュゥウッ!
結界を張られた試合場内は、瞬く間に火の海と化す。
その中で赤熱化した荒鬼神を振るって一方的に斬り刻んで行くノアの姿は畏怖すら覚える。
既に会場から逃げ、王城や背の高い建造物から状況を見ている者達は、息を飲んでこの光景を見詰めていた。
(何故だ!何故攻撃が1発も入らん!?
体も再生しない!このままでは…
私はここで終わる様な存在では無い!
こんなガキ1人に一方的に蹂躙される様な…
私はあの男に取って変わって王になる存在だ!
力が!力が欲しい!絶対的な力がっ!)
ズゴンッ!!「!?」
突如燃え盛るコモンの体から竜の手の様な物が生え、斬り進むノアを殴りつける。
ズザザザァッ!「な、何だ!?」
コモン自身も何が起こったのか分からず、一先ず燃え盛る表皮を引き剥がして脱ぎ去ると、腹から生えた手が自身の体の中へと戻っていった。
「は、ははは、あっはっはっは!
応えた、応えてくれたのだ『造魔核』が!
主人である私の想いに応え、その真価を発揮し始めたのだ!」
高笑いして余裕の表情を見せるコモンだが、何が飛び出すか分からなかったので迂闊に近寄れずにいるノア。
そんな事を気にせずコモンは続ける。
「さぁ『造魔核』よ!我に、我にもっと力を!
他を圧倒する程の力を!その為なら代償は何だって支払おう!」
そういい放った直後、異変が発生した。
稼働に足る魔力が充填されるまでの間結界を張るんだ!
ヤン殿は完了までの間護衛に回れ!
ライリ殿、隊員を総動員して観客の避難を最優先にするのだ!」
「了解じゃ!」
「あいさー、他のメンバーも召集しとくよ。」
「畏まりました!皆行くよ!」
王から指示が飛び、一斉に動き出す一同。
「この観客席にいる冒険者の中で足に自信がある者は居るだろうか?」
王からの呼び掛けに、広い観客席の各所で次々に手が上がる。
その中にはクロラとロゼも入っていた。
「よし!顔は覚えたので君達に頼みがある!
今日は会場の中も外も人が多く、避難もままならん!
外は6区画先まで人で埋め尽くされているので交通整理をお願いしたい!
勿論依頼として報酬も出そう。
あと…ガルダ!ロア!イル!君らは特に足に自信があったハズだが、君らは街の外縁でコモンの私兵捕縛に向かっている隊員達に声を掛け、手が空いた者は避難誘導に尽力する様に伝えてくれ!
残りの冒険者で<縦横無尽>を持っている者は観客席の端から避難を敢行しても良い。
兎に角君達冒険者含め、観客の避難を最優先で行動してくれ!」
「「「「「「「「おう!」」」」」」」」
王の指示を受け、観客席に居た冒険者らが次々に行動に移す。
中級~上級冒険者が観客席にいた子供や老人等を抱え試合場から次々と離脱、近くの建物に避難させる。
「おい!誰か王城の窓を開放しておいてくれ!
王城を避難先にして構わん!緊急時だからな!」
ブゥウンッ!
王が周囲に指示を飛ばしてる間に試合場に結界が張られる。
「取り敢えずこの規模の結界じゃ!妾とて5分が限度じゃぞ?」
「シアロ、試合場の魔力が充填されるまでどれ位掛かる?」
「は!最低でも9分は掛かるかと…」
「うぬ…
この中に<魔法使い>や魔力に余裕のある者は居るか?居たらジャロルに魔力を与えてくれ!」
再びの王の呼び掛けに何名かの冒険者が動く。
この中にはポーラも含まれていた。
「取り敢えず現状でやれる事はやったつもりだが…避難が完了するまでの我慢だ…頼むぞ、ノア君…」
ズチャリ…
先程からコモンの体に繰り返し行われていた破壊と再構築が落ち着き、ゆったりとした動きで立ち上がる。
現在のコモンの姿は、人の形を保ってはいるものの、太腿、ふくらはぎが異様に発達し、途轍も無い筋量を搭載している物と思われる。
(あの時はよく見えなかったが…一体何を取り込んだんだ…?
放ってる殺気がとんでも無いぞ…)
ズドンッ!「!?」
変異したコモンが、地面を破砕する程の速度で駆け出し、ノアに殴り掛かって来る。
ブォンッ!パシッ!メキッ!ズダン!ズシュッ!
殴り掛かって来た拳を掴み、外側に捻りつつ肘をへし折り、地面に叩き付け、太腿から抜いたカランビットナイフを後頭部に突き刺して捻りを加える。
普通の人間であれば致命傷であるが、折った腕がにゅるりとノアの腕を這い、首に手が迫る。
ガッ!ザッ!ゾッ!ザッ!
手首を掴み、後頭部からナイフを抜くと、腕を2ヶ所、手首を1ヶ所斬り、筋を断った後後ろに引き下がる。
(奴の肌に触れたが耐性系に反応は無いし、取り込まれる事も無い、か…)
メキッ、ゴキッ、ズチュル…
(再生持ちか…面倒くさいな…
観客の避難状況はまだ2割って所か、焦っても仕方無い…)
変異したコモンはゴキゴキと音を鳴らし、切り裂いた部位は逆再生の様に傷口が塞がっていく。
「ふぅ、む…関節があると組伏せられた時に面倒だな…」
「何だ、話せるのか。
とっくに人外に成り下がったと思ったのに。」
「人外とは失礼な。
これは人類を新たな段階へ導く力だ。」
「新たな段階、ねぇ。随分と大きく出たもんだ。」
「そして私の打ち立てた新事業でもある。」
「あ、ダメだ、一気にショボくなった。」
「貴様には分かるまい、私の崇高なる行いを。」
「崇高なる行い?生物兵器を作る事が?」
「生物兵器等と言う低俗な物では無いわ!
これは私が造り出した最高傑作『造魔核』だ!」
『造魔核』…通常魔王やそれに付随した四天王等、規格外の魔力を持つ者で無いと製造不可能と言われる造魔を構成する核。
それを人為的に、比較的安価に製造しやがった悪魔の発明。
使われた素体にもよるが、安価な製造を目的とした為制御する事が難しい。
「生物兵器じゃん。」
「何とでも言うが良い!今からこの造魔核の恐ろしさを身をもって…」
「は、よく喋るねぇ、王様も言ってたが、自分が有利に立つとベラベラ喋るってのは本当みたいだな。」
「黙れ!この糞ガキが!お前さえいなけりゃ全て上手く「いかないよ。たかだか15のガキにすらバレたんだ、気付かないのは今のアンタみたいなモンスター位じゃないか?」
ノアの煽りに激昂したコモンは、先程よりも素早い動きでノアに襲い掛かる。
「黙れ貴様ぁっ!」
ザゾンッ!ズドバッ!ズシャァッ!
「ぐああっ!?」
ノアは腰に差す荒鬼神の柄を持ち<抜刀術>を発動、高速で抜いた剣の2撃で変異したコモンの両手両足を切り落とし、地に伏せる。
ズドンッ!「おがっ!?」
倒れ伏したコモンの背中に深々と荒鬼神を突き刺し、剣に魔力を流す。
シュボァッ!「がああっ!?」
コモンの体から炎が噴き出し、身を焼かれていく。
(『やっと本来の使い方された気がする。』)
(そういえばそうだね。)
ズギュル!グヂュルッ!「ん?」
コモンの体は直ぐに灰塵と化したが、切り落とした両手両足が結合し高速再生、即座にコモンの姿に戻った。
(命の危機に瀕すると行われる高速再生…まるでヒュドラだな…
だが不幸中の幸いなのは、恐らく"戦闘能力は本人に準拠"しているのだろう。戦闘面がてんでド素人だ。)
(『ああ、発達した筋量に自身が着いていけてねぇし、高速再生でゴリ押ししてるだけみたいだ。こりゃ早期決着も可能だな。』)
ズルン「ふぅ、今のは危なかった…だが次こ「もういい、大体分かった。」
ジュバッ!「おあっ!?」
コモンの懐に潜り込んだノアが魔力を流した赤熱化状態の荒鬼神を振るい、体を焼かれながら断ち斬られる。
「ぐっ、再生を…なっ!?出来ないだと!?」
焼かれながら斬られている為、切断部が灰と化し、再生が機能していないのだ。
ブォンッ!「うぉあっ!」
コモンが腕を振り、ノアに攻撃をするも、難なく回避され、両腕を肩から焼き斬られる。
ジュバッ!ザジュゥウッ!
結界を張られた試合場内は、瞬く間に火の海と化す。
その中で赤熱化した荒鬼神を振るって一方的に斬り刻んで行くノアの姿は畏怖すら覚える。
既に会場から逃げ、王城や背の高い建造物から状況を見ている者達は、息を飲んでこの光景を見詰めていた。
(何故だ!何故攻撃が1発も入らん!?
体も再生しない!このままでは…
私はここで終わる様な存在では無い!
こんなガキ1人に一方的に蹂躙される様な…
私はあの男に取って変わって王になる存在だ!
力が!力が欲しい!絶対的な力がっ!)
ズゴンッ!!「!?」
突如燃え盛るコモンの体から竜の手の様な物が生え、斬り進むノアを殴りつける。
ズザザザァッ!「な、何だ!?」
コモン自身も何が起こったのか分からず、一先ず燃え盛る表皮を引き剥がして脱ぎ去ると、腹から生えた手が自身の体の中へと戻っていった。
「は、ははは、あっはっはっは!
応えた、応えてくれたのだ『造魔核』が!
主人である私の想いに応え、その真価を発揮し始めたのだ!」
高笑いして余裕の表情を見せるコモンだが、何が飛び出すか分からなかったので迂闊に近寄れずにいるノア。
そんな事を気にせずコモンは続ける。
「さぁ『造魔核』よ!我に、我にもっと力を!
他を圧倒する程の力を!その為なら代償は何だって支払おう!」
そういい放った直後、異変が発生した。
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