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王都編
酔い潰れた冒険者達
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日付が変わり、酔い潰れた冒険者達が床に転がる中、従業員のお姉さん達が手慣れた手付きで冒険者らに毛布を掛けていく。
ノアも手伝おうとしたが、ジャロルから聞きたい事があると言われ、お姉さん達に任せる事にした。
「それで、聞きたい事とは何でしょうか、飲み比べ大会覇者のジャロルさん?」
「うむ、腕相撲大会覇者の少年よ、そなたに聞きたいのじゃが『青紫色の着物を着た女性』に心当たりは無いかや?
妾もそうじゃが、大食い大会覇者のヤンと2位、3位のリンとフェイも探しとるんじゃ。」
試合場でノアが放った『エルプシオン・ヴォルカニカ』は、ジャロルや『槍サーの姫君』含めた冒険者達に加え【魔術】ギルドを総動員したにも関わらず、防ぎきる事が厳しかった。
その時ノアの知り合いだと言う『青紫色の着物を着た女性』が水属性最強結界『海牢』を発動し、熱波に衝撃波、爆音までも防ぎきったと言う。
そして全てが終った後、その女性は忽然と姿を消していたと言う。
「『青紫色の着物を着た女性』ですか?」
「うむ、お主とは知り合いと申しておったぞ?
是非とも感謝の意を示したいでの、取り次ぐ事は出来ないだろうか、とな。」
「私達としてはその女性に色々と教えを請いたい所なんだ。
『水牢』の最上位互換『海牢』をいとも容易く発動していた。
長年探し求めてはいたが手掛かり1つ見付からなかったのだ、頼む、是非とも紹介して欲しい。」
普段の軽い感じを捨て去り『槍サーの姫君』メンバー全員がノアに頭を下げる。
だがノアは未だにその『青紫色の着物を着た女性』が誰だか見当が付いていない様だ。
「うーん…誰だろう…他に僕の事について何か言ってませんでしたか?」
「何ぞ『大役を任せてる』…とか何とか…」
「大や…あ。あー…」
「うぬ?」
「「「およ?誰か分かったの?」」」
ジャロルの一言で漸くその女性の正体を察したノアだが、どう返答しようか悩む人物である。
恐らくその『青紫色の着物を着た女性』というのは海洋種代表のリヴァイアの事で、どういう訳かここでノアが戦ってる事を察知し、手助けに来たのだろう。
「うーん、大体目星は付きましたが…
多分直ぐに会うのは難しいでしょうね…」
「な、何か問題があるのかい?」
「うーん…詳しくは言えませんが、現段階ではあまり大っぴらに出来ないんですよね。
あの人と接点を持ったのも最近ですし、今日のゴタゴタがある程度片付いたら話を進めようかなー、ってね。」
「ぬ?どういう事じゃ?」
「え?どういう事?」
「…申し訳ありませんがこれ以上は。
今日は色々と助けられましたが、この話は信用の於ける人でないと話せません。」
真面目な表情になったノアがそう答える。
が、ノアの為に尽力してくれたのは事実な為、少し申し訳無さそうにしている。
すると
「ノア君、その4人は信用に値する人物だ。
僕が保証するよ。」
声のした方を見ると、酒場の入口からジョーが入って来た。
「うわぁ…死屍累々じゃないか…
一段落ついたから飲みに来たんだが…こりゃ無理そうだね…
ノア君、今日はお疲れ様。
悪かったね、戦いが終結した後に直ぐにでも向かおうと思ったんだけど立て込んじゃっててね。」
「あ、いえいえ、そんなお気遣い無く…
それよりも今の話は…?」
「そのまんまだよ。普段の言動はアレだけど口が固いし信用が置ける。」
「アレとはなんじゃい、アレとは!」
「なーにーアレって、もー酷くなーい、ジョーちゃーん。」
「それだよ、それ。」
アレ呼ばわりされたジャロルは、「ぷんすこ」という擬音が似合いそうに怒りだし、ヤンはいつもの調子で非難する。
「じゃあ、あの話しちゃっても大丈夫そうですかね?」
「大丈夫。
それに『槍サーの姫君』達はこの話、絶対他言しないと思うよ。
まぁ、何にしてもこの場で話すのも何だから、場所を移そうか。」
「場所ですか…何処が良いでしょうかね…」
「取り敢えず僕の店に行こうか、この手の話するなら持ってこいだ。」
そう言ってジョーは皆を連れ立って酒場を出る。
外は深夜という事もあり、昼間の様に通りに貴族で溢れ返っているという事も無く、静寂に包まれていた。
「何じゃ、ジョーも少年の話に噛んどったんか。」
「僕もまだ話しか聞いて無いけどね。
御前試合とかのゴタゴタが片付いてから僕から王や側近に声を掛けようかな、って思ってたんだ。」
「あー…じゃあ私達が急かしたかんじになっちゃったんだね…」
「まぁこの際気にしないで下さい。
信用出来る人であれば知ってて貰った方が動きやすいですからね。」
などと話ながら大通りから1本脇に入った道を歩いていると、ジョーが建物の前で足を止める。
「はい、着いたよ、ここが僕の商会『ジョー・アルマゼナ』だよ。」
大商会と言う割に2階建てのこじんまりとした建物で、小さく立て看板に『ジョー・アルマゼナ』と書かれている。
変にゴテゴテとしていない分、入り易い感じの店構えなのがとても有り難い。
「ただいま~、今帰ったよ~。」
と、ジョーが家に上がり込む様な振る舞いで商会の中へと向かう。
「「あ、お帰りなさいませ、ジョー様。」」
すると店内から女性の可愛らしい声が聞こえて来た。
商会の前で突っ立っているのもアレなので、ジョーの後ろを着いて行く様に店内に入ると、ノアは違和感に襲われる。
商会の入口を境に、<聞き耳>を発動しているにも関わらず、範囲が急激に狭まり、聞こえたとしてもくぐもっていて外で何を話しているかが分からなくなってしまい、<気配感知>も範囲が狭まり、自身を中心に半径10メル程しか探れなくなってしまった。
「商会と言う場所柄、変に探りを入れる者も少なからずいるのでね。
申し訳無いが、感知系のスキルを弱体化させる処置を施させて貰っているのは目を瞑ってくれると助かる。」
「僕は構いません。」
ノアの後ろに着いている『槍サーの姫君』やジャロルも同意する様に首肯する。
と、店員だろうか、先程ジョーに挨拶をしていた女性2人がパタパタと歩き、ノア達の方へやって来る。
「「お客様でしょうか?本日はどう言ったご用件…でぇっ!?」」
聞き覚えのある声と共にやって来たのは、フリッフリの白黒メイド服を来た双子の姉妹だった。
声だけを聞いてルーシー姉妹かな?と思ったノアだが、特徴的な黒髪ではなく金髪だった為首を傾げる。
なので顔を見ようと思ったが、慌てた声と共に物凄い早さで顔を背かれた為、確認が取れなかった。
じーっ…
「「ど、どうされましたか?ノ、ノア様…?」」
「あれぇ…僕名前言いましたっけ?」
「「はっ!?…さ、先程ジョー様からお伝え頂きまして…」」
「ふぅぅう~ん…」
明らかに疑いのジト目で2人を見るノアだが
「こらこらノア君、女性をそんな凝視するものじゃないぞ?」
「おっと、これは失礼しました。
お2人が知り合いの方に凄く似ていたので、思わず見とれてしまいました。
すいません、本題に移りましょうか。」
そう言ってノアはジョー達の方へと振り返り、話を始める。
その後ろに立つ金髪メイドの2人は「見とれて」の部分に体をフルルと震わせ、頬に両手を添えてニンマリとご満悦のご様子であった。
ノアも手伝おうとしたが、ジャロルから聞きたい事があると言われ、お姉さん達に任せる事にした。
「それで、聞きたい事とは何でしょうか、飲み比べ大会覇者のジャロルさん?」
「うむ、腕相撲大会覇者の少年よ、そなたに聞きたいのじゃが『青紫色の着物を着た女性』に心当たりは無いかや?
妾もそうじゃが、大食い大会覇者のヤンと2位、3位のリンとフェイも探しとるんじゃ。」
試合場でノアが放った『エルプシオン・ヴォルカニカ』は、ジャロルや『槍サーの姫君』含めた冒険者達に加え【魔術】ギルドを総動員したにも関わらず、防ぎきる事が厳しかった。
その時ノアの知り合いだと言う『青紫色の着物を着た女性』が水属性最強結界『海牢』を発動し、熱波に衝撃波、爆音までも防ぎきったと言う。
そして全てが終った後、その女性は忽然と姿を消していたと言う。
「『青紫色の着物を着た女性』ですか?」
「うむ、お主とは知り合いと申しておったぞ?
是非とも感謝の意を示したいでの、取り次ぐ事は出来ないだろうか、とな。」
「私達としてはその女性に色々と教えを請いたい所なんだ。
『水牢』の最上位互換『海牢』をいとも容易く発動していた。
長年探し求めてはいたが手掛かり1つ見付からなかったのだ、頼む、是非とも紹介して欲しい。」
普段の軽い感じを捨て去り『槍サーの姫君』メンバー全員がノアに頭を下げる。
だがノアは未だにその『青紫色の着物を着た女性』が誰だか見当が付いていない様だ。
「うーん…誰だろう…他に僕の事について何か言ってませんでしたか?」
「何ぞ『大役を任せてる』…とか何とか…」
「大や…あ。あー…」
「うぬ?」
「「「およ?誰か分かったの?」」」
ジャロルの一言で漸くその女性の正体を察したノアだが、どう返答しようか悩む人物である。
恐らくその『青紫色の着物を着た女性』というのは海洋種代表のリヴァイアの事で、どういう訳かここでノアが戦ってる事を察知し、手助けに来たのだろう。
「うーん、大体目星は付きましたが…
多分直ぐに会うのは難しいでしょうね…」
「な、何か問題があるのかい?」
「うーん…詳しくは言えませんが、現段階ではあまり大っぴらに出来ないんですよね。
あの人と接点を持ったのも最近ですし、今日のゴタゴタがある程度片付いたら話を進めようかなー、ってね。」
「ぬ?どういう事じゃ?」
「え?どういう事?」
「…申し訳ありませんがこれ以上は。
今日は色々と助けられましたが、この話は信用の於ける人でないと話せません。」
真面目な表情になったノアがそう答える。
が、ノアの為に尽力してくれたのは事実な為、少し申し訳無さそうにしている。
すると
「ノア君、その4人は信用に値する人物だ。
僕が保証するよ。」
声のした方を見ると、酒場の入口からジョーが入って来た。
「うわぁ…死屍累々じゃないか…
一段落ついたから飲みに来たんだが…こりゃ無理そうだね…
ノア君、今日はお疲れ様。
悪かったね、戦いが終結した後に直ぐにでも向かおうと思ったんだけど立て込んじゃっててね。」
「あ、いえいえ、そんなお気遣い無く…
それよりも今の話は…?」
「そのまんまだよ。普段の言動はアレだけど口が固いし信用が置ける。」
「アレとはなんじゃい、アレとは!」
「なーにーアレって、もー酷くなーい、ジョーちゃーん。」
「それだよ、それ。」
アレ呼ばわりされたジャロルは、「ぷんすこ」という擬音が似合いそうに怒りだし、ヤンはいつもの調子で非難する。
「じゃあ、あの話しちゃっても大丈夫そうですかね?」
「大丈夫。
それに『槍サーの姫君』達はこの話、絶対他言しないと思うよ。
まぁ、何にしてもこの場で話すのも何だから、場所を移そうか。」
「場所ですか…何処が良いでしょうかね…」
「取り敢えず僕の店に行こうか、この手の話するなら持ってこいだ。」
そう言ってジョーは皆を連れ立って酒場を出る。
外は深夜という事もあり、昼間の様に通りに貴族で溢れ返っているという事も無く、静寂に包まれていた。
「何じゃ、ジョーも少年の話に噛んどったんか。」
「僕もまだ話しか聞いて無いけどね。
御前試合とかのゴタゴタが片付いてから僕から王や側近に声を掛けようかな、って思ってたんだ。」
「あー…じゃあ私達が急かしたかんじになっちゃったんだね…」
「まぁこの際気にしないで下さい。
信用出来る人であれば知ってて貰った方が動きやすいですからね。」
などと話ながら大通りから1本脇に入った道を歩いていると、ジョーが建物の前で足を止める。
「はい、着いたよ、ここが僕の商会『ジョー・アルマゼナ』だよ。」
大商会と言う割に2階建てのこじんまりとした建物で、小さく立て看板に『ジョー・アルマゼナ』と書かれている。
変にゴテゴテとしていない分、入り易い感じの店構えなのがとても有り難い。
「ただいま~、今帰ったよ~。」
と、ジョーが家に上がり込む様な振る舞いで商会の中へと向かう。
「「あ、お帰りなさいませ、ジョー様。」」
すると店内から女性の可愛らしい声が聞こえて来た。
商会の前で突っ立っているのもアレなので、ジョーの後ろを着いて行く様に店内に入ると、ノアは違和感に襲われる。
商会の入口を境に、<聞き耳>を発動しているにも関わらず、範囲が急激に狭まり、聞こえたとしてもくぐもっていて外で何を話しているかが分からなくなってしまい、<気配感知>も範囲が狭まり、自身を中心に半径10メル程しか探れなくなってしまった。
「商会と言う場所柄、変に探りを入れる者も少なからずいるのでね。
申し訳無いが、感知系のスキルを弱体化させる処置を施させて貰っているのは目を瞑ってくれると助かる。」
「僕は構いません。」
ノアの後ろに着いている『槍サーの姫君』やジャロルも同意する様に首肯する。
と、店員だろうか、先程ジョーに挨拶をしていた女性2人がパタパタと歩き、ノア達の方へやって来る。
「「お客様でしょうか?本日はどう言ったご用件…でぇっ!?」」
聞き覚えのある声と共にやって来たのは、フリッフリの白黒メイド服を来た双子の姉妹だった。
声だけを聞いてルーシー姉妹かな?と思ったノアだが、特徴的な黒髪ではなく金髪だった為首を傾げる。
なので顔を見ようと思ったが、慌てた声と共に物凄い早さで顔を背かれた為、確認が取れなかった。
じーっ…
「「ど、どうされましたか?ノ、ノア様…?」」
「あれぇ…僕名前言いましたっけ?」
「「はっ!?…さ、先程ジョー様からお伝え頂きまして…」」
「ふぅぅう~ん…」
明らかに疑いのジト目で2人を見るノアだが
「こらこらノア君、女性をそんな凝視するものじゃないぞ?」
「おっと、これは失礼しました。
お2人が知り合いの方に凄く似ていたので、思わず見とれてしまいました。
すいません、本題に移りましょうか。」
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