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王都編
ポカッ!「何」ポカッ!「やっとんじゃ!」
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ポカッ!「何」ポカッ!「やっとんじゃ!」
ノアが獣人姉妹の対処に困っていると、アルキラー達の元から老齢の男性がズカズカと歩いて来ると、獣人姉妹の頭を小突く。
「「痛いよ、爺ちゃん!突然何すんのさぁ!」」
「何してんのはお主らの方じゃ!
報告の途中で抜け出したかと思ったら飯をねだるとは…
そこの坊主が困っとろうが!」
「「だってさ爺ちゃん!先週打ち上げやって金使い過ぎちゃったでしょ?
でも仔牛の煮込みが死ぬ程喰いたかったんだよ!
もう3日もまともな飯食ってねぇ!
やってられっか!」」
「だからと言ってお主らより大分年下の新人冒険者の坊主に物乞いみたく飯をねだるなと言っとんのじゃ!
つーか、お主らなら3日所か3週間飲まず食わずでも大丈夫じゃろうが!さぁ戻った戻った!」
老齢の男性が獣人姉妹の首根っこを掴んで連れ帰ろうとしていると
「あの…作り過ぎちゃいましたし、そちらの2人もお腹空かせてるみたいですからどうぞ…
別にお代とかは取りませんので…」
「「ほら、爺ちゃん良いってさ!」」
「しかしだな…「良いじゃないですか、ノア君の厚意に甘えましょう。」
老齢の男性の背後にアルキラーが立っていた。
更にその後ろには4人の男女も一緒である。
「という訳でどうぞ。」
「「わーい!ありがとー!!」」
ノアから渡されたハンバーグサンドを受け取る2人。
話の流れによると2人はノアより大分年上の様だが、ここだけ切り取って見る分にはヴァモス、ベレーザと同年代に思われる。
『ガプッ!』
2人仲良くかぶり付く。1口食べた後2人は、無言で夢中になって食べ出した。
スッ…
ノアが無言で2個目を取り出すと、2人は1個目を完食しないまま受け取り、また無言で食べ進めていた。
「ああ…少年によって身も心(特に胃袋)を堕とされた女性がまた増「ポーラちゃん…その言い方何か誤解生みそうだから止めとこう…」
ノアから少し離れた場所からやり取りを見ていたポーラがそんな事を呟く。
「堕とされ第1号のクロラが何を言う。
既に4個目に差し掛かってるのによく言うわ。」
「返す言葉もありまふぇん…」モグモグ
相変わらず食欲の強いクロラは、4個目に差し掛かってるにも関わらず、食べるペースが全く衰える気配が無い。
「だってノアふんの作るご飯って全部おいひいし、力が漲ってふるっていうふぁ…」モグモグ
「分かったから食べながら惚気ないの。」
「「あれ?お嬢ちゃんも<大好物>持ちなの?」」モグモグ
惚気食いをしているクロラの所に、ノアから3個目のハンバーグサンドを持った獣人姉妹が話し掛けて来た。
「あ、はいそうなんです。いつの間にか取得してたのでどういう条件かは分かりませんが…」
「効果が発現するのって、あの子が作った料理の時だけ?」
「はいそうです。
私にはお兄ちゃんがいるんですけど、お兄ちゃんが作った料理だと効果が出た事は無いです。」
「ふ~ん…カナ姉、これってもしかして…」
「うん、凄く良いパターンっぽいね。」
クロラから話を聞いた獣人姉妹は、お互いに確認を取った事で、どうやら取得条件が判明した様だ。
「「ちょっとこっち来て貰えるかな?」」
何故かノアに聞こえない様、クロラの手を引いて離れた場所に誘導する獣人姉妹。
2人はキョロキョロと周りを見渡して聞かれていない事を確認すると、クロラにしか聞こえない声量で話を始めた。
「話す前に1つ聞いて良いかしら?」
「はい、何でしょうか?」
「あの子はあなたの彼氏かしら?」
「ふぇっ!?そ、そうですけど…」
「「ほほぅ、そりゃあ都合が良いわね。」」
「ど、どういう事ですか…?」
「単刀直入言うわね、<大好物>の取得条件って色々とパターンはあるけど、大部分は決まってて、『その料理や食材の虜』になる事よ。
私達の場合肉やモツがそれに該当するんだけど、あなたの場合は『彼の手料理』がそれに該当するわ。」
「え!?ノアく「「シッ!声が大きい!」」
「だって彼の手料理を食べた時だけ発現したんでしょ?なら間違い無いわ。」
「それともう1つ聞くわね。
あなた『彼の手料理』をどれ位食べたら効果が発現するかな?」
「だ、大体1口目で…」
「「うはーっ、1番良いパターンだ。」」
クロラの証言に獣人姉妹は同時に額をペシッと叩いて天を仰ぐ。
「いい?<大好物>みたいなレアなスキルって、発動させるのにも時間が掛かる場合とそうじゃない場合があるの。」
「私達の場合、腹八分目位まで食べないと発現しないの。
なのにあなたは1口って…羨ましいわ…」
「あ、あはは…」
獣人姉妹から取得条件を聞いたクロラは、ノアと出会ってからの事を思い出し、色々と腑に落ちた顔をする。
「あ…という事はもしノア君に<大好物>を覚えさせてあげたい場合って…」
「あなたが彼に手料理を振る舞ってあげたら良いと思うわ。」
「ど、どどど、どうしよう…私、食べるばかりであまり料理なんて…」
「大丈夫よ、味も大事だけど"料理は愛情"って言うじゃない?
メシマズでも彼が気に入れば発現するかもね。」
「まぁ、手っ取り早い方法が無い訳では無いけどね…」
「え!?そんな方法があるんですか?」
「うん…それでさっきあなたに聞いたのよ?
"あの子はあなたの彼氏かしら?"って。」
「ど、どんな方法ですか…?」
「要は『料理や"食材"の虜』にすれば良いのよ?
"食べる"には食事以外にも別の意味があるでしょ?」
「?………へ?あっ!?」
獣人姉妹からそう言われ、最初は理解が及んでいなかったクロラだが、言葉の意味を理解した途端ドンドンと顔を真っ赤にするクロラであった。
そしてここにも、もう1人顔を真っ赤にしている者が1人。
「いやぁすまないね、ノア君。
あの2人も中々食べる娘だから匂いにやられちゃったみたいで…ノア君?顔赤いけど風邪かい?」
「…いえ、お気になさらず…
気に入って貰えたのなら幸いです。」
「やれやれ、食い物の事になると目の色が変わるからのぅ…
それにしても坊主、中々やるようじゃの。
あのランペイジ・クロコダイルを1人で討伐するとはな…」
老齢の男性が試合場に横たわるランペイジ・クロコダイルを見てそう呟く。
するとその場にもう1人の人物がノアの元にやって来る。
「そりゃそうだ。彼の"中"には相当な御方が居られる様だしな。」
ノアの元にやって来たのは、肌が青白く、赤黒い髪に赤黒いマントを羽織った見た目30代位の男性である。
明らかに『俺』の存在を感知している様であり、肌が青白い事もあったので
ズルリ…
「私と同じ吸血鬼の方ですね。」
ノアの足下の影からヴァンディットが姿を現し会釈をする。
「ほほぅ、こりゃまた偉く別嬪さんじゃのう。」
「あぁ、ここまで美しい吸血鬼も最近は見なくなったもんだ。」
「初めまして、ノア様の従者でありますヴァンディットと申します。
気配やオーラから"真祖級"と思われますが、長く外界と隔絶しておりました故、名を知らぬ事を御許し下さい。」
そう言って深々と頭を下げるヴァンディット。
対面に居る吸血鬼は頭をポリポリと掻き
「"真祖級"であるのは間違い無いが、だからと言ってそんな平身低頭な対応を取らなくて良いよ。私はそういった扱いが苦手なんだ。」
「ふー…それは非常に助かります。
その辺りに厳しい方も中にはいらっしゃいますからね。」
頭を上げたヴァンディットのこめかみに汗が伝わっているのが見える。
それだけ緊張する相手と言えよう。
「それに、今その様な振る舞いをして彼の中の御方に不興を買いたくは無いからね。」
「…いつも騒がしいドラキュリオスがこれ程までに大人しいとは…
坊主、何か内に飼っとるんか?」
「は、はは…」
老齢の男性が興味深そうに聞いてくるがノアは笑ってやり過ごした。
パンッ!
と、突然アルキラーが手を叩く。
辺りに響き渡ったその音に、7人が同時に反応する。
「さぁ報告の続きといこうか。」
そう一言言うと、7人はアルキラーの元へと歩いて行く。
(そう言えば報告の途中で獣人姉妹が来たんだったな。)
アルキラーの邪魔をしてはいけないな、とノアはクロラ達の方へ向かおうとすると
「ノア君、君も是非報告の場に同席して欲しいんだが良いかな?」
「へ?あ、はい。」
突然呼び掛けられた事に驚き思わず返事をしてしまうノアであった。
ノアが獣人姉妹の対処に困っていると、アルキラー達の元から老齢の男性がズカズカと歩いて来ると、獣人姉妹の頭を小突く。
「「痛いよ、爺ちゃん!突然何すんのさぁ!」」
「何してんのはお主らの方じゃ!
報告の途中で抜け出したかと思ったら飯をねだるとは…
そこの坊主が困っとろうが!」
「「だってさ爺ちゃん!先週打ち上げやって金使い過ぎちゃったでしょ?
でも仔牛の煮込みが死ぬ程喰いたかったんだよ!
もう3日もまともな飯食ってねぇ!
やってられっか!」」
「だからと言ってお主らより大分年下の新人冒険者の坊主に物乞いみたく飯をねだるなと言っとんのじゃ!
つーか、お主らなら3日所か3週間飲まず食わずでも大丈夫じゃろうが!さぁ戻った戻った!」
老齢の男性が獣人姉妹の首根っこを掴んで連れ帰ろうとしていると
「あの…作り過ぎちゃいましたし、そちらの2人もお腹空かせてるみたいですからどうぞ…
別にお代とかは取りませんので…」
「「ほら、爺ちゃん良いってさ!」」
「しかしだな…「良いじゃないですか、ノア君の厚意に甘えましょう。」
老齢の男性の背後にアルキラーが立っていた。
更にその後ろには4人の男女も一緒である。
「という訳でどうぞ。」
「「わーい!ありがとー!!」」
ノアから渡されたハンバーグサンドを受け取る2人。
話の流れによると2人はノアより大分年上の様だが、ここだけ切り取って見る分にはヴァモス、ベレーザと同年代に思われる。
『ガプッ!』
2人仲良くかぶり付く。1口食べた後2人は、無言で夢中になって食べ出した。
スッ…
ノアが無言で2個目を取り出すと、2人は1個目を完食しないまま受け取り、また無言で食べ進めていた。
「ああ…少年によって身も心(特に胃袋)を堕とされた女性がまた増「ポーラちゃん…その言い方何か誤解生みそうだから止めとこう…」
ノアから少し離れた場所からやり取りを見ていたポーラがそんな事を呟く。
「堕とされ第1号のクロラが何を言う。
既に4個目に差し掛かってるのによく言うわ。」
「返す言葉もありまふぇん…」モグモグ
相変わらず食欲の強いクロラは、4個目に差し掛かってるにも関わらず、食べるペースが全く衰える気配が無い。
「だってノアふんの作るご飯って全部おいひいし、力が漲ってふるっていうふぁ…」モグモグ
「分かったから食べながら惚気ないの。」
「「あれ?お嬢ちゃんも<大好物>持ちなの?」」モグモグ
惚気食いをしているクロラの所に、ノアから3個目のハンバーグサンドを持った獣人姉妹が話し掛けて来た。
「あ、はいそうなんです。いつの間にか取得してたのでどういう条件かは分かりませんが…」
「効果が発現するのって、あの子が作った料理の時だけ?」
「はいそうです。
私にはお兄ちゃんがいるんですけど、お兄ちゃんが作った料理だと効果が出た事は無いです。」
「ふ~ん…カナ姉、これってもしかして…」
「うん、凄く良いパターンっぽいね。」
クロラから話を聞いた獣人姉妹は、お互いに確認を取った事で、どうやら取得条件が判明した様だ。
「「ちょっとこっち来て貰えるかな?」」
何故かノアに聞こえない様、クロラの手を引いて離れた場所に誘導する獣人姉妹。
2人はキョロキョロと周りを見渡して聞かれていない事を確認すると、クロラにしか聞こえない声量で話を始めた。
「話す前に1つ聞いて良いかしら?」
「はい、何でしょうか?」
「あの子はあなたの彼氏かしら?」
「ふぇっ!?そ、そうですけど…」
「「ほほぅ、そりゃあ都合が良いわね。」」
「ど、どういう事ですか…?」
「単刀直入言うわね、<大好物>の取得条件って色々とパターンはあるけど、大部分は決まってて、『その料理や食材の虜』になる事よ。
私達の場合肉やモツがそれに該当するんだけど、あなたの場合は『彼の手料理』がそれに該当するわ。」
「え!?ノアく「「シッ!声が大きい!」」
「だって彼の手料理を食べた時だけ発現したんでしょ?なら間違い無いわ。」
「それともう1つ聞くわね。
あなた『彼の手料理』をどれ位食べたら効果が発現するかな?」
「だ、大体1口目で…」
「「うはーっ、1番良いパターンだ。」」
クロラの証言に獣人姉妹は同時に額をペシッと叩いて天を仰ぐ。
「いい?<大好物>みたいなレアなスキルって、発動させるのにも時間が掛かる場合とそうじゃない場合があるの。」
「私達の場合、腹八分目位まで食べないと発現しないの。
なのにあなたは1口って…羨ましいわ…」
「あ、あはは…」
獣人姉妹から取得条件を聞いたクロラは、ノアと出会ってからの事を思い出し、色々と腑に落ちた顔をする。
「あ…という事はもしノア君に<大好物>を覚えさせてあげたい場合って…」
「あなたが彼に手料理を振る舞ってあげたら良いと思うわ。」
「ど、どどど、どうしよう…私、食べるばかりであまり料理なんて…」
「大丈夫よ、味も大事だけど"料理は愛情"って言うじゃない?
メシマズでも彼が気に入れば発現するかもね。」
「まぁ、手っ取り早い方法が無い訳では無いけどね…」
「え!?そんな方法があるんですか?」
「うん…それでさっきあなたに聞いたのよ?
"あの子はあなたの彼氏かしら?"って。」
「ど、どんな方法ですか…?」
「要は『料理や"食材"の虜』にすれば良いのよ?
"食べる"には食事以外にも別の意味があるでしょ?」
「?………へ?あっ!?」
獣人姉妹からそう言われ、最初は理解が及んでいなかったクロラだが、言葉の意味を理解した途端ドンドンと顔を真っ赤にするクロラであった。
そしてここにも、もう1人顔を真っ赤にしている者が1人。
「いやぁすまないね、ノア君。
あの2人も中々食べる娘だから匂いにやられちゃったみたいで…ノア君?顔赤いけど風邪かい?」
「…いえ、お気になさらず…
気に入って貰えたのなら幸いです。」
「やれやれ、食い物の事になると目の色が変わるからのぅ…
それにしても坊主、中々やるようじゃの。
あのランペイジ・クロコダイルを1人で討伐するとはな…」
老齢の男性が試合場に横たわるランペイジ・クロコダイルを見てそう呟く。
するとその場にもう1人の人物がノアの元にやって来る。
「そりゃそうだ。彼の"中"には相当な御方が居られる様だしな。」
ノアの元にやって来たのは、肌が青白く、赤黒い髪に赤黒いマントを羽織った見た目30代位の男性である。
明らかに『俺』の存在を感知している様であり、肌が青白い事もあったので
ズルリ…
「私と同じ吸血鬼の方ですね。」
ノアの足下の影からヴァンディットが姿を現し会釈をする。
「ほほぅ、こりゃまた偉く別嬪さんじゃのう。」
「あぁ、ここまで美しい吸血鬼も最近は見なくなったもんだ。」
「初めまして、ノア様の従者でありますヴァンディットと申します。
気配やオーラから"真祖級"と思われますが、長く外界と隔絶しておりました故、名を知らぬ事を御許し下さい。」
そう言って深々と頭を下げるヴァンディット。
対面に居る吸血鬼は頭をポリポリと掻き
「"真祖級"であるのは間違い無いが、だからと言ってそんな平身低頭な対応を取らなくて良いよ。私はそういった扱いが苦手なんだ。」
「ふー…それは非常に助かります。
その辺りに厳しい方も中にはいらっしゃいますからね。」
頭を上げたヴァンディットのこめかみに汗が伝わっているのが見える。
それだけ緊張する相手と言えよう。
「それに、今その様な振る舞いをして彼の中の御方に不興を買いたくは無いからね。」
「…いつも騒がしいドラキュリオスがこれ程までに大人しいとは…
坊主、何か内に飼っとるんか?」
「は、はは…」
老齢の男性が興味深そうに聞いてくるがノアは笑ってやり過ごした。
パンッ!
と、突然アルキラーが手を叩く。
辺りに響き渡ったその音に、7人が同時に反応する。
「さぁ報告の続きといこうか。」
そう一言言うと、7人はアルキラーの元へと歩いて行く。
(そう言えば報告の途中で獣人姉妹が来たんだったな。)
アルキラーの邪魔をしてはいけないな、とノアはクロラ達の方へ向かおうとすると
「ノア君、君も是非報告の場に同席して欲しいんだが良いかな?」
「へ?あ、はい。」
突然呼び掛けられた事に驚き思わず返事をしてしまうノアであった。
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