ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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再びアルバラスト編

戦闘開始45分

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戦闘開始45分、ノアが『震脚』と『鉄山靠』をぶっ放す2分前。


「…エルから聞いてはいたが、何と言う少年だ…
以前竜種ダンジョンで苦労して倒したヤマタノオロチをものの10分で倒すとは…
…ってか何だあの蛇…ブレス(?)なのか、あれは…」

「多勢に無勢の状況、巨躯の敵にも憶さず立ち向かうあのお姿…
あぁ…ノア様本当に格好良い…
せめてもう一度お会いしてあの時の事をお謝りしたいのに…」

「ミミカよ、彼と会う事は出来るぞ。」

「本当ですかお父様!」

「ああ。
ミミカの隣で顔を真っ青にし、震えながら滝の様に脂汗を流しているカルルをぶちのめす為、ここに向かって来る。
謝るならその時だな。」

「はい、お父様。」


ヴァリエンテ・ルルイエとミミカの2人は、北門を出て直ぐの防壁の側でノアの戦いを観戦していた。

以前御前試合でノアの試合を観戦したミミカは、自分の犯した行いに反省しつつもノアの暴れっぷりに、目をキラキラとさせていた。

旧友のエルニストラ王からある程度の情報を聞いていたルルイエは、実際に見たノアの戦闘力に度肝を抜かれていた。

だがこの場にもう1人、ノアの戦いっぷりを絶望的な表情で眺めている者が居た。


「…ち、父上…私、は、謝って許して貰「無理だな。」


今回のノア討伐依頼の発起人のカルルが、絞り出す様な声で父親であるルルイエに聞こうとするも、無慈悲に否定されるカルル。


「今回彼には全く落ち度は無い。
そもそも貴族の者が、力のある者や名のある冒険者に社交辞令として声を掛ける事は良くあるであろう。
それを真に受ける迄は良い。
それを『討伐依頼』と言う形で仕返しするとはどういう事だ?」

「あ、あれは一時の迷いで…」

「一時の迷いでこの様な大事にしてしまうとは言語道断。
貴様は国に帰り次第、貴族としての爵位を剥奪、一兵士として従事して貰う。」

「し、爵位を剥奪!?それはご無体「何か、反論があるかな?」

ズズズ…

ルルイエからかなりの殺気が発せられた為、カルルはそれ以後言葉を紡ぎ出す事が出来なくなった。


「は、反論のしようも…御座いません…」

「まぁお前の処遇が決まっ『ズズンッ!』

ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!

「うおっ!?」
「きゃぁあああっ!!」
「な!?なん、何っ!?」


街に迄伝わった地震の様な揺れの直後、ノア達が戦っている場所で再び大爆発が発生。

ノアが強化状態の上、スキルを多重発動した上で繰り出した『震脚』込みの『鉄山靠』が炸裂。

戦闘開始直後にノアが輩共に行った『鉄山靠』の比では無く、石畳や地面の下にある岩等も抉り出し、周囲に雨の様に降らせている。

ドズンッ!ゴガンッ!ズンッ!ズズン!

ルルイエ達が居る場所まで礫が飛んでくる程の威力に、辺りは一瞬静寂に包まれる。


「…ちなみにあの少年が言ってたが、挑みに来る冒険者が尽きたら最後にお前の元に来るそうだ。
だから覚悟しておくと良いぞ。」


ルルイエからそう言われたカルルは、絶望的な顔色を更に強くし、地面に突っ伏していた。







ガゴンッ!ズズンッ…ドシャッ!


「…う…」
「ごふっ…かふっ…」

『流石鬼人族。
咄嗟に二刀を構えて防御を取ったか。
良いぞ良いぞ~、そう来なくちゃな。』


2人の傍らには刀身が粉々に砕け散った刀の柄が4つ落ちていた。


「けふっ…げほっ…」
「ぶっ!ぶふっ!」

『ほれ、待っててやるからさっさと怪我を治せ。
これでお互い"1発ずつ"攻撃したんだ、続きと行こう。』

「…お、おぅさ…げぼっ!」
「ま、待たれよ…げぇ…今代わりの刀、を…」

『俺のこのオーラはな、単純な力押しやちょっとした程度じゃ突破出来ない様になってんだ。
その上で主の肌を傷付けたんだ、大したもんだぜ。』

「「……」」

『金色とまでは行かないが、鉄色位にはなっても良いんじゃねぇか?』

「「そ、それは、大して変わらな…」」ガクッ…


ノア、と言うか『俺』の言葉を聞いた『鈍色夜叉』の2人は揃って意識を手放した。


『阿保、鉄も磨けば金に負けねぇ輝きを出すんだぜぇ?』


そう言って意識を失った『鈍色夜叉』の元を去って行った。

(赤黒いオーラの件、僕初耳なんだけど…)

(『聞かれてないからな。ハハッ!』)

(それもそうだね。)





「…おいおい、あの2人を一撃で倒すとはな…
ってかさっきの爆発は何なんだ?」

『秘密。それよりも次はピッカピカに光ってるあなたと後ろの3人が相手ですか?』


ノアの前に居る巨大な斧を担ぎ、支援魔法を掛けられ捲りピッカピカに光る男、その後ろに居る女性【魔法使い】3人に確認を取る。


「いや、この3人は支援魔法と防御魔法を中心に取らせた補助役みたいな者達だから参加はしない。
いつも前線に出るのは俺1人だけだ。」

『了解した。
ではそこのお三方、ここは危なくなるので離れてて貰って良いですか?』

「「「あ…は、はい…」」」

『…?』


3人は反応はすれど動きが芳しくない。


「おい、俺は大丈夫だから離れとけ。
さっきの大爆発見ただろ?
あれに巻き込まれたら流石にお前達の防御魔法でも防ぎきれるか分からない。
あの少年の気が変わらない内に下がっとけ。」

「「「は、はい…」」」


何故か3人がこの場を離れる気配が無いと察したノアは


『グリード、あの3人を守ってやって。』

《はーい。》ズルン、ズルズル… 


「え?」
「わっ!」
「ひゃっ!」

『その場に居ても良いので落ち着いて下さい。
その代わり僕の契約獣を付けさせて貰います。良いですね?』

「「「は、はい!」」」パァア… 


その場に居て良いと言われた女性【魔法使い】達は明らかに顔を明るくした。


「…済まないな、後でちゃんと言っておくからよ。」

『えらく慕われてるのですね。』

「…大した事はしてない。
違法なやり方で奴隷として売り飛ばされそうな所を助けてやっただけだ。
その後も付いてくるもんだから、生きていく術何かを教えたりしたがな。」

『十分理由はあるみたいだけどね。』

「…うっさいうっさい!戦いに来たんだ!
支援魔法の効果が切れちまう前にさっさとやるぞ!」

『ふ、分かりましたよ。
その代わり、手加減しませんよ?
あそこの防壁の所に居るアイツに用があるのでね。』クイッ。


ノアが視線を向けた先には、北門の防壁の直ぐ側に立つ3人の姿があった。


「あぁ、今回の発起人か。
確かに俺だったらキレるな。」

『その割にはちゃっかり参加してると言うね。』

「こんな時でも無いと君みたいな者とは戦えないからな。」

『それもそうですね。』


「…。」

『…。』


そこからお互い喋らなくなり、僅かに沈黙の時間が流れる。

そして


「…俺は『ハーレム』のリーダーであり二つ名は【破壊神】の【狂戦士】ギュラドスカル。
【鬼神】のノア、君を倒させて貰うよ。」

『知ってると思うが、二つ名は【鬼神】で【ソロ】のノアだ。
同じ【神】が付く者同士、まぁ仲良くやりましょうや。』
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