ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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再びアルバラスト編

戦闘開始50分

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戦闘開始50分。

【破壊神】ギュラドスカルvs【鬼神】ノアの対決が開始された。


「ゴォオオオアアッ!」ボンッ!ギラリ! ズドンッ!


ギュラドスカルが【狂戦士状態】となり、腕が倍位の太さとなり、肌が浅黒く変化。
目が漆黒に染まると、ノアに向けて突撃を仕掛けてきた。


「オォオオラァッ!」

ガシッ!ガシッ!ゴガガガガガガガガガガガッ!!

真っ正面から突っ込んで来たギュラドスカルに真っ正面から体当たりを仕掛けたノアは、石畳を砕きながら押し込まれて行く。


ガクン!「ヌッ!?」

ズムンッ!「グオッ…!?」


ノアは押し込まれながらもギュラドスカルの襟首を掴んで自身の方に引いて体勢を崩すと、腹部に<剛脚>を乗せた強烈な蹴りを入れつつ巴投げを仕掛けた。

ギュラドスカルの巨体は、地上20メルの高さまで蹴り上げられた。

ズバッ!ブォンッ!

バシュッ!『オラァッ!』

腰に下げていた荒鬼神を引き抜いたノアは、ギュラドスカルへ向けてぶん投げると、即座に転移して<硬気功><渾身><剛腕>を発動した右の拳を繰り出す。


「ヌリャァッ!」ガギギギュンッ!


咄嗟に背中の巨大な斧を抜いて盾代わりに自身の前に翳したギュラドスカルだが、足場がしっかりしない空中と言う事もあり、火花を散らしながら地面へと向け打ち落とされる。


ズンッ!「キヤガレェッ!【鬼神】!」

『ったりめぇだ、オラァッ!』ブォンッ!


地面に足がめり込む程の衝撃を与えつつも着地を決めたギュラドスカルは、大声疾呼、気合いと共にノアへ向けて叫ぶ。

それに応じたノアは、再び荒鬼神をギュラドスカルへ向けて投擲。


バシュッ!『力込めろやぁっ!』

「オマエモナァッ!」ブォンッ!


ギュラドスカルの数メル手前で転移したノアは、<渾身><剛腕><抜刀術>を乗せた一撃を繰り出す。

それに合わせるかの様に、巨大な斧を振り被る体勢で待機していたギュラドスカルが<渾身><遠心力>を乗せた【斧倶戴天】を発動。

斧の刀身周辺の空間が歪む程の力が収束していき漆黒に染まっていく。
斧に込められた力の程が伺える。

ビシャアアアアアアアアッ!

落雷が発生したのかと錯覚する程の劈く音が辺りに響き、周囲の樹木や岩が地面の土砂ごと捲り上がる。
石畳が弾丸の様に吹き飛び、街の方にまで礫が降り注ぐ。





ガシュッ!ガシュッ!ゴクンッ!

爆心地から飛んできた石畳の破片を、高速で首を振って食い取るグリード。

《石不味い。》

「あ、ありがとうございます…」
「「た、助かりました…」」

《構わないわ、主様の言い付けだもの。
それにしてもあなた達、あの男にどんだけ魔法掛けたのかしら?
全員もれなく魔力がカツカツじゃない。》


(((り、流暢に喋る蛇に慣れないなぁ…)))


「わ、私は武器強化と攻撃力に関する支援魔法を10種程…」
「私は防御力と身体強化に関する支援魔法を10種程…」
「私は体力・スタミナ・魔力の継続回復に関する支援魔法を10種程…」

《あなた達、私の主様を【魔王】か何かと勘違いしてない?》

「そ、そんな事はありません…」
「「これはギュラドスカル様の指示で…」」

《冗談よ。
…でもそのお陰で主様の攻撃が通ってないみたいだけどね。》








ズズズズズズズズズズズッ…

ボフッ…ドガガガガガガガガガッ!


『くそっ!滅茶苦茶硬ぇ!』

(『どんだけ支援魔法掛かってんだ?
硬ぇだけじゃなく速力や攻撃力なんかも強化されてる様だ。』)


土煙の中から弾き出されたノアは、生成した腕と荒鬼神を地面に突き刺して急制動を掛ける。


「クッ…ナンツーイリョクダ…
ゲンカイマデシエンヲウケタニモカカワラズ、ウデノホネガクダケタゾ…」


そう言って折れた自身の右腕をノアに向ける。



シュゥウウウウウッ…ポキポキ、ピキ…

ギュゥウッ!「カンチダ!」

掛けられた数多くの支援魔法の効果で、重傷クラスの怪我が瞬時に完治した。

ズダンッ!「コンドハコチラカラダァッ!」

巨大な斧を振り被った状態でノアへ向け、猛然と駆け出した。

ドドドドドドッ!

「オ"ォオオオオオラアァッ!」ブォンッ!

ガッ!ギュリィインッ!

『『リベラ!』』ドゥンッ!「ウォッ!?」


目にも止まらぬ速さで振られた巨斧を、<受け流し>を発動して荒鬼神で弾いた後、装備効果の『リベラ』をギュラドスカルに当て、距離を取るノア。


「タイシタダメージハナイナ!
ワルアガキニデタカァ?」

『戦略を練ってる所です。』

「フ、マダマダヨユウノヨウダナ!
ダガ、カンガエルヒマヲアタエルトオモウナッ!」

ズラァッ!ズドンッ!

背中に担いでいた2本目の巨斧を手にしたギュラドスカルが、再び猛然と駆け出した。

ズダンッ!「ヴォオオオオオオオッ!」

ノアまで数メルと言う所でギュラドスカルが跳躍、手にしていた巨斧の刀身が再び漆黒に染まりだす。


『させるかっ!』ブォンッ!


再び【斧倶戴天】を発動する予兆に入ったギュラドスカルへ荒鬼神をぶん投げる。

バシュッ!『オラァッ!』ブォンッ!

即座に転移したノアが、荒鬼神の回転力を利用して後ろ回し蹴りを仕掛ける。

だが


「クルトオモッテイタゾ【鬼神】!」

ズドォオオッ!『ぐおあっ!?』


カウンター気味に2発同時の【斧倶戴天】を食らったノアは、4割位のダメージを防具や赤黒いオーラで吸収したものの、その他体の露出部、正確には腕や太腿、顔や手等の肌が裂け、血が噴き出した。


ズザザザザッ!

ノアは体のバネを駆使して身を翻し、何とか地面に着地した。
だがノアの体が通過した地面には血の跡が点々と滴っていた。



タッ、ポタタッ…

『あ~っ、しくじった…』

(『ちょっと先走っちまったな。
どうする?『俺』が前に出て戦ってやろうか?』)

(…さっき『リベラ』を打った時の反応で戦略が漸く決まったんだ。僕がやるよ…)


各所から血を滴らせながらノアがゆっくりと立ち上がる。

すると、次第に押し始めた事で気が大きくなったギュラドスカルが一時的に【狂戦士状態】を解除してノアに煽りを入れる。

フ…

「どうした【鬼神】よ。君の力はその程度か?」

『あー…ちょっと焦っちゃったみたいですね…』

「御前試合でも似た様な事態に陥っていた様だしな。」

『耳の痛い話だよ。』

「御前試合で、変異したコモン相手に戦った時は、もっと鬼気迫る戦いっぷりだったはずだぞ。」

『そりゃ、あれはもうどうしようも無かったから1体のモンスターとして対処したからね。』

「ふ、モンスターの様な状態になっても人間として扱うか…
ではこれからは私をモンスターとして相手して来い、"殺す気で掛かってこい"。
俺はさっきからそのつもりで戦っているぞ。」

『…。』

「おい、どうした?何故黙っている。」

『今何て言った?』

「"殺す気で掛かって来い"。そう言ったんだ。」

『"殺す気で"か…
ギュラドスカルさんは、死んだ事はありますか?』ズ…

「死線を彷徨った事は1~2回、若い頃にあったが死んだ事は無いな。」

『…ならそんな事を軽率に言うんじゃ無い。
撤回するなら今だぞ。』ズズ…

「何だ?禁句だったか?
それともそう言えば本気を出してくれるのか?
ならもう一度言おう。
"殺す気で掛かって来『分かった。』


ギュラドスカルの言葉を食い気味に被せてノアが言い放つ。


『…もう、いい…もう分かった…
死んだ事も無い奴が気軽に"殺す気で掛かって来い"だと?
そんなに死に急ぎたいなら望み通りにしてやる、さっさと【狂戦士状態】に戻りな…』ズズズ…

「…良い殺気だ…
漸く本領発揮って『ズアッ!』コトダナ!」


静かに殺気を立て始めたノアに、衝動的に【狂戦士状態】に入るギュラドスカル。


「オ"ォオオオオオオオッ!」ブォンッ!


【狂戦士状態】になったギュラドスカルはノアに向けて超速で巨斧を振り下ろす。

ガコッ!ザシュッ!メチッ!ドッ!ザシュザシュッ!

「ウゲェ、ォアアッ!?」ズザザッ!


<洗練された手業>を発動したノアは、巨斧の振り下ろしに合わせ、手首を掴んで<渾身>を発動。

手首を外し、太腿のカランビットナイフ2本を持ち手首、腕の腱を切断。

手首を固定して肘を破壊し、脇の下にナイフを突き入れ、首の両側をナイフで切り開かれた。

一瞬の内に6連撃を食らったギュラドスカルは大きく後退する。

 
「ウゲッ…エフッ…」

『チッ、まだ感覚が戻ってないか…
本当なら首の傷から腕を突っ込んで首の骨をへし折るまでが一連の流れだったんだがな…
ほら、さっさと殺し(壊し)てやるから掛かってこい。』
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