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獣人国編
そう言えば初めまして、だったわね。
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《そう言えば初めまして、だったわね。
私はグリード、主様の特殊契約龍よ。》
「「「「「「龍っ!?」」」」」」
「「「「喋ってる!?と言うか雌だったの!?」」」」
グリードが龍である事に驚く『新鋭の翼』一同。
そんなグリードが流暢に喋っている事と雌だった事に目を見開いて驚くクロラ達。
《ふふ、喋れる様になってから会うのは初めてでしたわね、皆さんの話す姿を足元から観察したお陰で発声する事が出来ましたわ。》
「「「「ど、どうも…」」」」
流暢に喋るグリードに礼を言われ、畏まるクロラ達。
片や『新鋭の翼』達は未だ驚きに身を強張らせている。
《それと主様、お願いがあるのですが。》
「うん?どうしたの?」
《骨格を見たいので、地上に出て後ろから皆様を観察してても良いでしょうか?》
「この前言っていた<人化>の事だね、良いよ。」
「「「「「「「「「「じ、じじじ、<人化>ぁっ!?」」」」」」」」」」
「ええっ!?人間みたいになれるの!?」
《えぇ、色々と段階を踏みますが、何れは皆様同様共に肩を並べて歩く事も可能になります。》
という訳で、骨格観察の為ノアからの了承を得たグリードも列に加わる事になった。
元から姿を隠す理由も無いし、フリアダビア、王都、アルバラストで大立回りを演じていた事からも、別に了承を得ずともいつでも姿を現してて良いのに、とノアは思っている。
《ふむふむ、太腿や腕は兎も角、手足の指は複雑そうですねぇ…》
「やっぱり見るだけじゃ分からないよね…」
《えぇ、1度でも食べてれば分かるのですがね…》
ノアとグリードの前を行く『新鋭の翼』達は背中に感じる妙な視線に、冷たいものが流れる感覚を覚える。
すると、ノンがノアに問い掛けてくる。
「ね、ねぇノア君、その…グリード、さん?
私達の事襲わないよね?」
「えぇ、グリードは知能が高いので、そこら辺のモンスターみたいに襲う事はありませんよ。」
「そ、そう…」ホッ…
「まぁ僕が指示すれば話は別ですがね。」
「え…」
不穏な事を発するノアに、ノンは固まってしまった。
《今思えば御前試合の時に、どさくさに紛れて一齧りでもしておけば良かったですわね。》
「確かに。
あの時は緊急措置で蘇生魔法発動してたから死ぬ事は無かったしね。」
《首が飛ぼうがぐしゃぐしゃに擂り潰されようが魔法1つで可食部が復活するのですよ?》
「そうか、グリードにしてみれば夢の様だね。」
《えぇ。個人的に、リナの太腿は柔らかそうで興味あるわ…
ガドラも肉付きが良くてとても美味「ノ、ノア君、と、グリードさん…?
お願いあるんだけど、ま、前歩いて貰って良いかな…?2人の会話が怖すぎてさっきから脂汗が止まらないのよ…」
汗をだらだら流したリナがそう言って来た。
明らかに勝てそうに無い龍という存在が、前を歩く自分達を"食材"として見てきているのだ、『新鋭の翼』達からしてみれば気が気ではないのだろう。
ノアとグリードは、言われるがままに列の最前列へと向かっていった。
ピー…ピー…
バササッ…
「ん?あれは…
皆さん、ちょっと早いですが雨を凌げる場所を探して野営を張りましょう。
7割位の確率で雨降ってきますので。」
「え?雨?」
「こんなに晴れてるのに?」
と、懐疑的な声が上がる。
が、クロラ達はノアの言葉を信じ辺りを見回している。
すると『新鋭の翼』達は
「それじゃあ悪いが俺達は先を急ぐとするよ。
『スッ…』あの方角に背の高い櫓が薄らと見えるだろう?
彼処がスロア領になる、もう目と鼻の先にあるから多少の雨なら何て事無い。」
デミが指差す方向を見ると<千里眼>を発動せずとも見える範囲に櫓が2つ見えた。
ギュン。
<千里眼>を発動して2つの櫓を見てみると、鎧姿の兵士が2人と燕尾服を着た女性が見えた。
どうやら先程の話に出ていた女性執事と思われる。
大方今日明日位に着くとでも手紙を出していたのだろう。
"!"
(え!?気付いた?)
"…クイッ"
(あ、僕が見てる事、完全に気付いてるわ…)
櫓に立つ女性執事がノアの視線に気付き、掛けていた眼鏡をクイッと上げる動作をした為、ノアは<千里眼>を解除した。
「…女性執事の方って昔何かされてましたか?」
「執事?【戦闘執事(バトラー)】で傭兵として各地を転々としてたらしいが…何で急にそんな事を?」
「<千里眼>使って櫓を眺めてたのがあちらにバレました。
凄いですねーあの人、彼処から2ケメル位離れてるのに…」
「ん?という事は櫓で待っているのか。
こうしてはいられないな、皆、急いで行くぞ。」
「「ええ。」」
「おぅ。」
「「はーい。」」
「それではまた、な。」
「えぇ、またいつか。」
ダダダダタタタタ…
挨拶もそこそこに、『新鋭の翼』一行はスロア領に向けて駆けて行った。
「…さ、早い所雨を凌げそうな場所を探しましょうか。」
「「「はーい。」」」
サァアアアア…
本道から少し離れた丘の斜面に浅い洞穴があったので、グリードに削って貰いつつノアの土魔法で壁や天井、地面を補強。
ベレーザが風魔法を発動して空気の入れ替えを行った。
そうこうして簡易の野営地が完成した直後、割と纏まった量の雨が降ってきた。
「わ、ホントに降ってきた。」
「ホントー、さっきまであーんなに晴れてたのに…」
「さっきの予知もスキルか何かなの?」
「さっきのは"雨屋鳥(アマヤドリ)"って言う烏が木の枝に止まったのでもしや、と思ったんですよ。
寝る時と雨が降る時以外降りてくる事が無いので分かりやすいですよ。」
「ほぅ、それで雨が降ると思った訳か。」
「それもあるんだけど、湿度が上がったからかヴァモスとベレーザの体毛がゴワッとしだしたから来るだろうな、と思っただけだよ。」
モサッ。
ヴァモスの頭に手を置いてワシャワシャと撫でるノア。
2人共湿気で体毛がゴワッとしており、いつもより2割増しで大きく見えている程である。
ワシャワシャ…
「…通りで先程から自分の毛が鬱陶しく感じた訳ですね…」
「にゃぁ…ゴワゴワにゃあ…」
2人共自身の体毛が鬱陶しく感じているのか、先程からずーっと毛繕いしていた。
獣人の国に着いたら2人には散髪する事をオススメするとして、取り敢えずそれまでは我慢して貰うとしよう。
「…2人共後でドライ掛けてあげるね。」
「「お願いします」にゃ。」
風魔法持ちのクロラが2人を引き連れて奧へと向かっていった。
その後、洞穴なので火が使えない為、食事は出来合いの物で済まし、早目に寝る事にした。
サァアアアア…
「うーむ…明日には止むかな…」
「ノア様、寝ないのかにゃ?」
「昼間に寝溜めしたから大丈夫だよ。
ベレーザは寝なくて大丈夫?」
「今日はノア様との特訓を行ってないからあまり疲れて無いのにゃ。」
「そうか、じゃあ眠くなるまで居ると良いよ。」
「うにゃ。」
皆が寝静まる中、ベレーザと2人で番をする事に。
外は相変わらず雨が降り続けている。
時間にして30分程経ち、ベレーザがうつらうつらとノアに凭れ掛かった時であった。
「ノア様、今宜しいですか? 」
「どうしたの?ヴァンディットさん。」
「以前お話しした『眷属』の件、漸く調整が終わりましたので報告迄に。」
「え、もう出来たんですか?」
「えぇ、必要量の血を貰ってから熱が入ったのか2徹して大体の形を作り、先程頂いたウルフの素体を以って完成に漕ぎ着けました。
今はもう夜遅いので、明朝にでも披露致します。」
「うん、分かりました、楽しみにしてますね。」
その後2徹したというヴァンディットは寝に入ったのか、声がしなくなった。
ノアは視線を下に移し、膝の上で寝るベレーザに声を掛ける。
「ほら、ベレーザ、あっちで横になりな。
寝起きに体がバキバキになっちゃうぞ?」
「うにゃ~…もうちょっとこのままで…むにゃむにゃ…」
「全く…」
まぁいいか、と諦め、そのまま寝かし付ける事にした。
私はグリード、主様の特殊契約龍よ。》
「「「「「「龍っ!?」」」」」」
「「「「喋ってる!?と言うか雌だったの!?」」」」
グリードが龍である事に驚く『新鋭の翼』一同。
そんなグリードが流暢に喋っている事と雌だった事に目を見開いて驚くクロラ達。
《ふふ、喋れる様になってから会うのは初めてでしたわね、皆さんの話す姿を足元から観察したお陰で発声する事が出来ましたわ。》
「「「「ど、どうも…」」」」
流暢に喋るグリードに礼を言われ、畏まるクロラ達。
片や『新鋭の翼』達は未だ驚きに身を強張らせている。
《それと主様、お願いがあるのですが。》
「うん?どうしたの?」
《骨格を見たいので、地上に出て後ろから皆様を観察してても良いでしょうか?》
「この前言っていた<人化>の事だね、良いよ。」
「「「「「「「「「「じ、じじじ、<人化>ぁっ!?」」」」」」」」」」
「ええっ!?人間みたいになれるの!?」
《えぇ、色々と段階を踏みますが、何れは皆様同様共に肩を並べて歩く事も可能になります。》
という訳で、骨格観察の為ノアからの了承を得たグリードも列に加わる事になった。
元から姿を隠す理由も無いし、フリアダビア、王都、アルバラストで大立回りを演じていた事からも、別に了承を得ずともいつでも姿を現してて良いのに、とノアは思っている。
《ふむふむ、太腿や腕は兎も角、手足の指は複雑そうですねぇ…》
「やっぱり見るだけじゃ分からないよね…」
《えぇ、1度でも食べてれば分かるのですがね…》
ノアとグリードの前を行く『新鋭の翼』達は背中に感じる妙な視線に、冷たいものが流れる感覚を覚える。
すると、ノンがノアに問い掛けてくる。
「ね、ねぇノア君、その…グリード、さん?
私達の事襲わないよね?」
「えぇ、グリードは知能が高いので、そこら辺のモンスターみたいに襲う事はありませんよ。」
「そ、そう…」ホッ…
「まぁ僕が指示すれば話は別ですがね。」
「え…」
不穏な事を発するノアに、ノンは固まってしまった。
《今思えば御前試合の時に、どさくさに紛れて一齧りでもしておけば良かったですわね。》
「確かに。
あの時は緊急措置で蘇生魔法発動してたから死ぬ事は無かったしね。」
《首が飛ぼうがぐしゃぐしゃに擂り潰されようが魔法1つで可食部が復活するのですよ?》
「そうか、グリードにしてみれば夢の様だね。」
《えぇ。個人的に、リナの太腿は柔らかそうで興味あるわ…
ガドラも肉付きが良くてとても美味「ノ、ノア君、と、グリードさん…?
お願いあるんだけど、ま、前歩いて貰って良いかな…?2人の会話が怖すぎてさっきから脂汗が止まらないのよ…」
汗をだらだら流したリナがそう言って来た。
明らかに勝てそうに無い龍という存在が、前を歩く自分達を"食材"として見てきているのだ、『新鋭の翼』達からしてみれば気が気ではないのだろう。
ノアとグリードは、言われるがままに列の最前列へと向かっていった。
ピー…ピー…
バササッ…
「ん?あれは…
皆さん、ちょっと早いですが雨を凌げる場所を探して野営を張りましょう。
7割位の確率で雨降ってきますので。」
「え?雨?」
「こんなに晴れてるのに?」
と、懐疑的な声が上がる。
が、クロラ達はノアの言葉を信じ辺りを見回している。
すると『新鋭の翼』達は
「それじゃあ悪いが俺達は先を急ぐとするよ。
『スッ…』あの方角に背の高い櫓が薄らと見えるだろう?
彼処がスロア領になる、もう目と鼻の先にあるから多少の雨なら何て事無い。」
デミが指差す方向を見ると<千里眼>を発動せずとも見える範囲に櫓が2つ見えた。
ギュン。
<千里眼>を発動して2つの櫓を見てみると、鎧姿の兵士が2人と燕尾服を着た女性が見えた。
どうやら先程の話に出ていた女性執事と思われる。
大方今日明日位に着くとでも手紙を出していたのだろう。
"!"
(え!?気付いた?)
"…クイッ"
(あ、僕が見てる事、完全に気付いてるわ…)
櫓に立つ女性執事がノアの視線に気付き、掛けていた眼鏡をクイッと上げる動作をした為、ノアは<千里眼>を解除した。
「…女性執事の方って昔何かされてましたか?」
「執事?【戦闘執事(バトラー)】で傭兵として各地を転々としてたらしいが…何で急にそんな事を?」
「<千里眼>使って櫓を眺めてたのがあちらにバレました。
凄いですねーあの人、彼処から2ケメル位離れてるのに…」
「ん?という事は櫓で待っているのか。
こうしてはいられないな、皆、急いで行くぞ。」
「「ええ。」」
「おぅ。」
「「はーい。」」
「それではまた、な。」
「えぇ、またいつか。」
ダダダダタタタタ…
挨拶もそこそこに、『新鋭の翼』一行はスロア領に向けて駆けて行った。
「…さ、早い所雨を凌げそうな場所を探しましょうか。」
「「「はーい。」」」
サァアアアア…
本道から少し離れた丘の斜面に浅い洞穴があったので、グリードに削って貰いつつノアの土魔法で壁や天井、地面を補強。
ベレーザが風魔法を発動して空気の入れ替えを行った。
そうこうして簡易の野営地が完成した直後、割と纏まった量の雨が降ってきた。
「わ、ホントに降ってきた。」
「ホントー、さっきまであーんなに晴れてたのに…」
「さっきの予知もスキルか何かなの?」
「さっきのは"雨屋鳥(アマヤドリ)"って言う烏が木の枝に止まったのでもしや、と思ったんですよ。
寝る時と雨が降る時以外降りてくる事が無いので分かりやすいですよ。」
「ほぅ、それで雨が降ると思った訳か。」
「それもあるんだけど、湿度が上がったからかヴァモスとベレーザの体毛がゴワッとしだしたから来るだろうな、と思っただけだよ。」
モサッ。
ヴァモスの頭に手を置いてワシャワシャと撫でるノア。
2人共湿気で体毛がゴワッとしており、いつもより2割増しで大きく見えている程である。
ワシャワシャ…
「…通りで先程から自分の毛が鬱陶しく感じた訳ですね…」
「にゃぁ…ゴワゴワにゃあ…」
2人共自身の体毛が鬱陶しく感じているのか、先程からずーっと毛繕いしていた。
獣人の国に着いたら2人には散髪する事をオススメするとして、取り敢えずそれまでは我慢して貰うとしよう。
「…2人共後でドライ掛けてあげるね。」
「「お願いします」にゃ。」
風魔法持ちのクロラが2人を引き連れて奧へと向かっていった。
その後、洞穴なので火が使えない為、食事は出来合いの物で済まし、早目に寝る事にした。
サァアアアア…
「うーむ…明日には止むかな…」
「ノア様、寝ないのかにゃ?」
「昼間に寝溜めしたから大丈夫だよ。
ベレーザは寝なくて大丈夫?」
「今日はノア様との特訓を行ってないからあまり疲れて無いのにゃ。」
「そうか、じゃあ眠くなるまで居ると良いよ。」
「うにゃ。」
皆が寝静まる中、ベレーザと2人で番をする事に。
外は相変わらず雨が降り続けている。
時間にして30分程経ち、ベレーザがうつらうつらとノアに凭れ掛かった時であった。
「ノア様、今宜しいですか? 」
「どうしたの?ヴァンディットさん。」
「以前お話しした『眷属』の件、漸く調整が終わりましたので報告迄に。」
「え、もう出来たんですか?」
「えぇ、必要量の血を貰ってから熱が入ったのか2徹して大体の形を作り、先程頂いたウルフの素体を以って完成に漕ぎ着けました。
今はもう夜遅いので、明朝にでも披露致します。」
「うん、分かりました、楽しみにしてますね。」
その後2徹したというヴァンディットは寝に入ったのか、声がしなくなった。
ノアは視線を下に移し、膝の上で寝るベレーザに声を掛ける。
「ほら、ベレーザ、あっちで横になりな。
寝起きに体がバキバキになっちゃうぞ?」
「うにゃ~…もうちょっとこのままで…むにゃむにゃ…」
「全く…」
まぁいいか、と諦め、そのまま寝かし付ける事にした。
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