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獣人国編
バキバキ
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「あー…うー…体がバキバキにゃぁぁ…」
「だーから言ったろ?そうなるって。
ほら、後ろ向いて背中合わせになるぞ。」
ガシッ。グィーッ…
「んにゃ『ゴキッ』ぁあ『ゴキキッ』あ…
効くにゃぁ『ゴキリ』猫背には余計効くにゃあ…『ゴキゴキッ』。」
「何おばあちゃんみたいな事言ってるんだ、ほらベレーザも自分で体伸ばして。」
「んにゃぁああ…」
「2人共朝っぱらから何やってんの?」
「んにゃっ!?」
気持ち良さそうにノアの腰の上で伸びをし、顔を蕩けさせていたベレーザは、寝惚け眼のポーラに痴態を見られ、少しの間顔を真っ赤にしていた。
「ふぁあぁあ…」
「おはよー…」
「おはよ。」
「おはよう。心配してたが、晴れて良かったな。」
「えぇ、雲1つ無い快晴ですね。」
続々と起きてくる一同。
昨晩の雨は朝方には止み、爽やかな風が吹いていた。
ヴァモスとベレーザは、晴れ渡った空を見て、「また毛玉みたいにならなくて良かった。」と口を揃えていた。
洞穴の中で軽めの食事を取り、各々体を解したり、顔を洗ったりと出発の準備を進めていると
ズルッ…
「あ、ヴァンディットさん、おはようございます。」
「おはようございますノア様。
昨日お話ししました『眷属』を皆様にご紹介しようと思って出て参りました。」
「お、待ってました。
皆さーん、ヴァンディットさんに『眷属』出来たみたいですよ。」
「「「「おー。」」」」どやどや…
外に居たクロラやジェイル、ヴァモスやベレーザが戻ってくる。
「それでは早速紹介します。"ブラッツ"出てきなさい。」
ズルッ…
グルル…ウォンッ!
「「「「「「「おー!」」」」」」」
ヴァンディットの足元の影から出て来たのは、前日仕留めたウルフよりも二回り位大きな赤黒い毛並みの狼であった。
頭の天辺から尻尾の先まで全てが赤黒く、説明しなくともそれが血液で作られている事が分かる。
が、血液独特の鉄臭い感じもせず、獣臭もしない。
サラッ…
触れてみても血濡れている事は無く、普通の動物の毛触りと同じである。
クゥ~ン。
この場に居る全員とは初対面のハズだが、大人しい上に直ぐに懐いた。
「皆様の血を使っておりますから敵とは認識していません。
だからと言って、その他の人を襲う事もしません。
あくまで敵対してきた者にのみ攻撃します。」
「へぇ~。」
「これからはこの子を、護衛兼アイテムボックス兼日除け兼防具代わりとして共に同行致しますわ。」
「「「「「「「え?」」」」」」」
"ブラッツ"と名付けられた『眷属』の狼は、色々と機能を兼ねている様だ。
「…護衛は分かりますが…
アイテムボックスに、日除けに、防具…?
…どういう事ですか?」
「ふふ、混乱されるのも仕方の無い事でしょう。
1つ1つ説明致します。」
そう言ってヴァンディットはその辺に転がっていた石を1つ拾い、ブラッツの背中に置く。
すると
スッ…
「あ、体の中に入った。」
「体の中に入った、と言うより転移させた、と言った方が良いですね。
採取した植物や鉱石等の素材を一時的に仕舞っておく保管庫みたいな物です。」
ゴソゴソ…ひょいっ。
「こんな感じに。」
「「「「「「「おー。」」」」」」」
ヴァンディットが屈んで自身の影に手を突っ込んだかと思うと、先程の石を取り出す。
ちなみに、ブラッツに素材の匂いを覚えさせれば次からは探してきてくれるという。
「次に日除けの件ですが、ブラッツは全て血液で出来ていますので私の<血液操作>の影響下にあります。
なのでこうチョチョイと操作をしてあげると…」
パシャン…
「「「「「「「おー。」」」」」」」
ヴァンディットが軽く指を振ったかと思うと、ブラッツの体から血液がヴァンディットの手や頭に移動。
徐々に形状が変化していき、薄手の手袋とベール付きの帽子、俗に言うトーク帽に変化した。
ちなみにブラッツから血液を移動させているので、先程よりかは多少ブラッツが小さくなっている。
「この子の血には光属性軽減の薬品を混ぜてありますし、私は普段からもお手製日焼け止めクリームを肌に塗り込んでいますから、これで太陽の下に出ても大丈夫なハズです。」
「大丈夫」と口には出したが、まだ実践はしていないので、自分でもどうなるかは分からないらしい。
「更にですね、これから皆さんと行動を共にするに当たって、ドレスのままだと動き辛いので…」
確かに普段のヴァンディットの格好は漆黒のドレスにヒールという姿。
個人空間内では髪を束ねて白衣を着ていたが、冒険者と肩を並べて歩くには些か不便であろう。
「そこで移動させる血液量を増やすと…」
ズズズ…
「「「「「「「おおー。」」」」」」」
ブラッツが、通常のウルフサイズまで小さくなる程の多くの血液が移動していくと、普段のドレス姿ではなく、スーツにロングコート、ヒールがブーツに変化。
ご丁寧に髪止めまで作り、髪型をポニーテールにしていた。
その上で手袋を装着しているので、見た目的には仕事モードのバラス、アルキラー夫妻を彷彿とさせる。
「いやー、以前バラスさんとアルキラーさんの格好を見てこう、ビビビッと来たんですよ。」
(あ、やっぱりそこからきてるのね。
…ふむ、ドレス姿のヴァンディットさんも良いけど男装姿のヴァンディットさんもなかなか…)
(『え?お前さん、男もイケるクチなのか?』)
(そういう意味じゃない。)
ノアの中で何か新しい扉が開いた気がした。
そして最後にトーク帽をつばの広いハットに変化させた所で<血液操作>を終了させた。
「どーです?こうすれば日光対策はバッチリです。」
「「「「「「「おー。」」」」」」」
(((((((…吸血鬼みたい…)))))))
※元々ヴァンディットは吸血鬼です。
赤黒いロングコートに、特徴的な青白い肌。
物語等で見聞きする吸血鬼の要素が所々にある。
「…ただ、こういったズボンタイプはあまり着た事無いから少し落ち着かないですね…
体のラインがドレスよりも目立っちゃって…」
「そんな事無いですよ、スタイル良いから凄く綺麗!」
「出来るじょせーって感じー!」
「開いたわ(扉が)。」
「綺麗カッコイイにゃ。」
女子組からもなかなか好評の様だ。
「ノア君、普段お嬢様みたいな人がこう、突然ビシッとした格好するのって何か良いな。」
「分かりますか、ジェイル。」
『『ガシッ!』』
ノアとジェイルは無言の握手を交わしていた。
「そして最後に防具としての役割ですが、これはノア様の【鬼鎧殻】から着想を得ました。
ブラッツの全ての血液を私の全身に纏わせ、強固な全身鎧を形成させます。」
ぶわわ…
ブラッツの体が個体から液体へ瞬時に変化したかと思うと、ヴァンディットの全身を覆い、光沢を放った漆黒の重金属鎧の様な装備に変化した。
「でかっ。」
ブラッツの持つ全ての血液を使っている為、ヴァンディットの身長が通常の3割増しで大きくなった。
ゴンゴンッ。
「硬。」
「殴ってみて下さい。」
「へ?」
「耐久テストです。さぁ思いっきりどうぞ。」
「う、うん。」ゴスッ!
ヴァンディットに促され、鎧の腹部辺りを殴るノア。
だが鎧にはヒビ1つ無く、多少押し込まれた程度である。
ズズ…「ノア様のパンチはこの程度では無いハズです。」
「じゃあ強目で…」ズゴンッ!
ズリリ…「もっと!」
「ふんっ!」ゴシャッ!
ズズズ…「もっ「待って待って、僕の手が持たないって…」
割と強目に打ち込んだからか、ノアが手をブラブラと振って痛みを逃がしている。
ヴァンディットの鎧を確認してみるも、多少凹みがある程度なので防御性能はしっかりある様だ。
「こんな姿ですが、戦えはしませんのでご了承下さい…」
「うん、分かった。あくまでヴァンディットさんの防御用という事だね。」
ズズズ…ウォンッ!
全身鎧状態を解除し、再び手袋とトーク帽を付けた姿に戻る。
ブラッツも大きめの狼の姿に戻って元気に吠えていた。
「それではこれから一緒に旅に行こうか。」
「はい。お供させて頂きます。」
こうしてヴァンディット、ブラッツと共に旅をする事になった。
「あの…ヴァンディットさん…?」
「ちょ、ちょっと待って下さい…こ、心の準備が…」
やっぱり陽射しのある所に出る事が怖いのか、洞穴から出て来れず、意を決して外へ飛び出したのは、それから30分後の事だった。
「だーから言ったろ?そうなるって。
ほら、後ろ向いて背中合わせになるぞ。」
ガシッ。グィーッ…
「んにゃ『ゴキッ』ぁあ『ゴキキッ』あ…
効くにゃぁ『ゴキリ』猫背には余計効くにゃあ…『ゴキゴキッ』。」
「何おばあちゃんみたいな事言ってるんだ、ほらベレーザも自分で体伸ばして。」
「んにゃぁああ…」
「2人共朝っぱらから何やってんの?」
「んにゃっ!?」
気持ち良さそうにノアの腰の上で伸びをし、顔を蕩けさせていたベレーザは、寝惚け眼のポーラに痴態を見られ、少しの間顔を真っ赤にしていた。
「ふぁあぁあ…」
「おはよー…」
「おはよ。」
「おはよう。心配してたが、晴れて良かったな。」
「えぇ、雲1つ無い快晴ですね。」
続々と起きてくる一同。
昨晩の雨は朝方には止み、爽やかな風が吹いていた。
ヴァモスとベレーザは、晴れ渡った空を見て、「また毛玉みたいにならなくて良かった。」と口を揃えていた。
洞穴の中で軽めの食事を取り、各々体を解したり、顔を洗ったりと出発の準備を進めていると
ズルッ…
「あ、ヴァンディットさん、おはようございます。」
「おはようございますノア様。
昨日お話ししました『眷属』を皆様にご紹介しようと思って出て参りました。」
「お、待ってました。
皆さーん、ヴァンディットさんに『眷属』出来たみたいですよ。」
「「「「おー。」」」」どやどや…
外に居たクロラやジェイル、ヴァモスやベレーザが戻ってくる。
「それでは早速紹介します。"ブラッツ"出てきなさい。」
ズルッ…
グルル…ウォンッ!
「「「「「「「おー!」」」」」」」
ヴァンディットの足元の影から出て来たのは、前日仕留めたウルフよりも二回り位大きな赤黒い毛並みの狼であった。
頭の天辺から尻尾の先まで全てが赤黒く、説明しなくともそれが血液で作られている事が分かる。
が、血液独特の鉄臭い感じもせず、獣臭もしない。
サラッ…
触れてみても血濡れている事は無く、普通の動物の毛触りと同じである。
クゥ~ン。
この場に居る全員とは初対面のハズだが、大人しい上に直ぐに懐いた。
「皆様の血を使っておりますから敵とは認識していません。
だからと言って、その他の人を襲う事もしません。
あくまで敵対してきた者にのみ攻撃します。」
「へぇ~。」
「これからはこの子を、護衛兼アイテムボックス兼日除け兼防具代わりとして共に同行致しますわ。」
「「「「「「「え?」」」」」」」
"ブラッツ"と名付けられた『眷属』の狼は、色々と機能を兼ねている様だ。
「…護衛は分かりますが…
アイテムボックスに、日除けに、防具…?
…どういう事ですか?」
「ふふ、混乱されるのも仕方の無い事でしょう。
1つ1つ説明致します。」
そう言ってヴァンディットはその辺に転がっていた石を1つ拾い、ブラッツの背中に置く。
すると
スッ…
「あ、体の中に入った。」
「体の中に入った、と言うより転移させた、と言った方が良いですね。
採取した植物や鉱石等の素材を一時的に仕舞っておく保管庫みたいな物です。」
ゴソゴソ…ひょいっ。
「こんな感じに。」
「「「「「「「おー。」」」」」」」
ヴァンディットが屈んで自身の影に手を突っ込んだかと思うと、先程の石を取り出す。
ちなみに、ブラッツに素材の匂いを覚えさせれば次からは探してきてくれるという。
「次に日除けの件ですが、ブラッツは全て血液で出来ていますので私の<血液操作>の影響下にあります。
なのでこうチョチョイと操作をしてあげると…」
パシャン…
「「「「「「「おー。」」」」」」」
ヴァンディットが軽く指を振ったかと思うと、ブラッツの体から血液がヴァンディットの手や頭に移動。
徐々に形状が変化していき、薄手の手袋とベール付きの帽子、俗に言うトーク帽に変化した。
ちなみにブラッツから血液を移動させているので、先程よりかは多少ブラッツが小さくなっている。
「この子の血には光属性軽減の薬品を混ぜてありますし、私は普段からもお手製日焼け止めクリームを肌に塗り込んでいますから、これで太陽の下に出ても大丈夫なハズです。」
「大丈夫」と口には出したが、まだ実践はしていないので、自分でもどうなるかは分からないらしい。
「更にですね、これから皆さんと行動を共にするに当たって、ドレスのままだと動き辛いので…」
確かに普段のヴァンディットの格好は漆黒のドレスにヒールという姿。
個人空間内では髪を束ねて白衣を着ていたが、冒険者と肩を並べて歩くには些か不便であろう。
「そこで移動させる血液量を増やすと…」
ズズズ…
「「「「「「「おおー。」」」」」」」
ブラッツが、通常のウルフサイズまで小さくなる程の多くの血液が移動していくと、普段のドレス姿ではなく、スーツにロングコート、ヒールがブーツに変化。
ご丁寧に髪止めまで作り、髪型をポニーテールにしていた。
その上で手袋を装着しているので、見た目的には仕事モードのバラス、アルキラー夫妻を彷彿とさせる。
「いやー、以前バラスさんとアルキラーさんの格好を見てこう、ビビビッと来たんですよ。」
(あ、やっぱりそこからきてるのね。
…ふむ、ドレス姿のヴァンディットさんも良いけど男装姿のヴァンディットさんもなかなか…)
(『え?お前さん、男もイケるクチなのか?』)
(そういう意味じゃない。)
ノアの中で何か新しい扉が開いた気がした。
そして最後にトーク帽をつばの広いハットに変化させた所で<血液操作>を終了させた。
「どーです?こうすれば日光対策はバッチリです。」
「「「「「「「おー。」」」」」」」
(((((((…吸血鬼みたい…)))))))
※元々ヴァンディットは吸血鬼です。
赤黒いロングコートに、特徴的な青白い肌。
物語等で見聞きする吸血鬼の要素が所々にある。
「…ただ、こういったズボンタイプはあまり着た事無いから少し落ち着かないですね…
体のラインがドレスよりも目立っちゃって…」
「そんな事無いですよ、スタイル良いから凄く綺麗!」
「出来るじょせーって感じー!」
「開いたわ(扉が)。」
「綺麗カッコイイにゃ。」
女子組からもなかなか好評の様だ。
「ノア君、普段お嬢様みたいな人がこう、突然ビシッとした格好するのって何か良いな。」
「分かりますか、ジェイル。」
『『ガシッ!』』
ノアとジェイルは無言の握手を交わしていた。
「そして最後に防具としての役割ですが、これはノア様の【鬼鎧殻】から着想を得ました。
ブラッツの全ての血液を私の全身に纏わせ、強固な全身鎧を形成させます。」
ぶわわ…
ブラッツの体が個体から液体へ瞬時に変化したかと思うと、ヴァンディットの全身を覆い、光沢を放った漆黒の重金属鎧の様な装備に変化した。
「でかっ。」
ブラッツの持つ全ての血液を使っている為、ヴァンディットの身長が通常の3割増しで大きくなった。
ゴンゴンッ。
「硬。」
「殴ってみて下さい。」
「へ?」
「耐久テストです。さぁ思いっきりどうぞ。」
「う、うん。」ゴスッ!
ヴァンディットに促され、鎧の腹部辺りを殴るノア。
だが鎧にはヒビ1つ無く、多少押し込まれた程度である。
ズズ…「ノア様のパンチはこの程度では無いハズです。」
「じゃあ強目で…」ズゴンッ!
ズリリ…「もっと!」
「ふんっ!」ゴシャッ!
ズズズ…「もっ「待って待って、僕の手が持たないって…」
割と強目に打ち込んだからか、ノアが手をブラブラと振って痛みを逃がしている。
ヴァンディットの鎧を確認してみるも、多少凹みがある程度なので防御性能はしっかりある様だ。
「こんな姿ですが、戦えはしませんのでご了承下さい…」
「うん、分かった。あくまでヴァンディットさんの防御用という事だね。」
ズズズ…ウォンッ!
全身鎧状態を解除し、再び手袋とトーク帽を付けた姿に戻る。
ブラッツも大きめの狼の姿に戻って元気に吠えていた。
「それではこれから一緒に旅に行こうか。」
「はい。お供させて頂きます。」
こうしてヴァンディット、ブラッツと共に旅をする事になった。
「あの…ヴァンディットさん…?」
「ちょ、ちょっと待って下さい…こ、心の準備が…」
やっぱり陽射しのある所に出る事が怖いのか、洞穴から出て来れず、意を決して外へ飛び出したのは、それから30分後の事だった。
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