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獣人国編~救出作戦~
性懲りも無くまた来たんだ?
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〝性懲りも無くまた来たんだ?
おや?この間正規ルートを突破した少年じゃないか。
ははぁん、自分達ではクリア出来ないからって少年にお願いしたんだね?〟
約束の1時間が間近になったので『宝物庫』の直ぐ近くに行くと、動き易さ重視の革鎧に、背中と両腕に小盾を装備した大勢の調査隊と、いつも騎士鎧を身に付けている『犬姫』の3人が、同じく革鎧と肌にピッタリと張り付いている肌着(スパッツとか言う物)を着用し、屈伸運動をしていた。
ただ、『宝物庫』前で待機している一同に対して機械音じみた声で煽りを受けていた。
何も言い返せない一同は「ぐぬぬ」顔をするのみであった。
〝お、この前『宝物庫』を攻略した少年じゃないか、大変な事に巻き込まれたねぇ。
良ければ君だけ直通でラインハードの下まで送るけどどうする?〟
「「「「「「「え?」」」」」」」」
相変わらず何処から状況を見ているか分からないが、突然の『宝物庫』側からの提案に驚きを隠せない一同。
確かにダンジョンによっては1度でもクリアすれば好きな階層から潜れる所もあると聞く。
だがそうなると、指名依頼の意味が無くなってしまう。
「いや、お気遣い無く。
今回は先導する様に頼まれたので、その義務は果たさないといけませんからね。」
〝律儀だねぇ。
そうなると"皆と条件が同じ"になってしまうけど良いかな?〟
「?…えぇ、良いですよ。」
何か気になる事を言っていたが、取り敢えず『宝物庫』前の大扉に移動する。
〝それじゃあせめてもの助力として、いきなり2層まで送ってあげよう。
流石にここに居る面子は全員1層は楽にクリア出来るだろうからね。〟
と、気前の良い『宝物庫』からそう提案され、素直に応じるノア。
ゴゴンッ…
「さて、向かいましょうか。」
「「「「「「「おぅ。」」」」」」」
ぞろぞろ…
大扉が開放されたので中へと進む。
すると直ぐ様、この間来た時と同様の薄暗い石造りの室内に移動していた。
部屋の左側には麻袋が山積みになっており、右端には1メル幅の如何にもな古びた宝箱が2つ設置されている。
前回来た時は麻袋を回収した所、部屋の中に轟音と火の手がまわり、部屋の奥にある罠たっぷりの扉の中へ逃げ込まざるを得なくなったのであった。
ガシッ、ポイッ、ガシッ、ポイッ…
「さてと…準備は良いですか?」
「「「「「「「「おぅ。」」」」」」」」
キーとなる麻袋の回収を始めたノアは、残り1個迄回収した所で全員に確認を取る。
残りを回収すれば罠が作動し、罠たっぷりの部屋に駆け込むのである、調査隊は罠の配置を覚えてるだろうから良いが、『犬姫』の3人は初なので"準備は良いか?"と言う意味で確認を取っているのだ。
『犬姫』の3人は緊張した面持ちながらコクりと頷いて"準備は良いです"と返事を返した。
という訳で
ガシッ、ポイッ…
「「「「「「「「あれ?」」」」」」」」
部屋の中に静寂が流れた直後、困惑の声が響き渡る。
前回の様に罠が作動しないのである。
スタスタスタ…
が、取り敢えず部屋の奥にある扉の方へと向かうと
キィ…
「あ、開いてる。」
「「「「「「えぇ…」」」」」」
今までと違う事態にざわつく一行だが
「どーしました?行きますよ?」
何回も挑戦している調査隊にとっては困惑の種なのだろうが、ノアにとってはまだ2回目である為、然程気になる事では無い。
カチャ…
ノアは警戒しつつも扉を開けて中に入る。
それに続けと調査隊も中に入る事に。
すると
「え?」
「え?」
「は?」
「「何これ?」」
「え?え?」
「え、外?」
扉の中に入って来た者達が口々に困惑の声を上げ、中には驚きのあまり声が出せない者も居る。
今までであれば扉の奥に進めば罠たっぷりの通路があったが、今回はまるっきり違う。
先程の薄暗い部屋とは打って変わって、どんよりとしているが空があり、だだっ広い平原のど真ん中に東の大陸にある"天守閣"と言う10階建ての建物が聳えている。
屋根の大棟の所々に凶悪そうな魚の置物が置いてあったり、城の周囲を守護する様に人形の石像が鎮座している。
"天守閣"へと続く道の両脇には同様の石像が等間隔で並べられており、その形相は般若の如き威圧感を放っていた。
言ってしまえば魔王城(和風)な造りをしており、入ったダンジョンを間違えたのでは?と思わせるには十分であった。
「こりゃまた…
…え?どうなってるの…?」
と、ノアですら困惑していると
〝やっほー!ノア君数日ぶりー!〟
この魔王城(和風)なステージに似合わない快活そうな声が響く。
だが周囲を見回しても誰の姿も見えない。
が、ノアにとっては聞き覚えのある声であった。
サラサラ…
「お?」
すると、ノア達の直ぐ近くに鎮座していた石像が砂の様にサラサラと崩れたかと思うと、再び再構築されて人型を取る。
サラサラ…
最初はザックリとした人型であったが、徐々に精密な造りとなっていき、黒髪を束ねて簪で留めてた着物姿の女性へと変化していった。
「あれ?ラインハードさん?」
「うふふ、そうなんですよ、良く分かりましたね?
どうです?ダンジョンマスターの権限が私に移ったので衣装や髪型なんかも思いのままなんですよ。」くるくる。
着物姿のラインハードは嬉しそうにしつつ、くるりと1回転していた。
「えぇ、凄く似合ってますよ。
…ですが、これは一体どういう事ですか?
前回来た時とは全く別物ですし、空もある…ここは外ですか?」
「いえいえ、ちゃんと『宝物庫』の内部ですよ。
今度リニューアルオープンする『新・宝物庫』の新ステージになりますわ。
まだ所々作り込みが行き届いてませんが、この平原には城下町を作る予定なのですよ。」
「「「「「「し、新ステージ…?」」」」」」
調査の為に訪れた者達も、ラインハードの説明に困惑の色を隠せない様子である。
というか僅か数日でステージが別物になるとは、流石ダンジョンマスターである。
「それはそうと、後ろの団体さんは一体…?」
「あぁ、この間正規ルートを攻略したじゃないですか?
その調査の為に来た人達ですよ。」
「あぁ、旧ステージがやたら騒がしかったのはその為なのですね。
でもすいません、旧ステージは破棄させて頂きました。」
「「「「「「「えええっ!?」」」」」」」
何と調査隊が必死こいて攻略に励んでいた3層~最奥5層のステージは、調査が中断された後、誰も居ない時を狙って破棄したとの事。
理由としては、正規ルートは本来ラインハードが凶刃に倒れる事が終了条件となっていた。
いくらそれがダンジョンの仕様と言えど、凶刃に倒れるのはラインハード本人である。
今の所ノアしか攻略していないが、挑戦者が来る度に死ぬ恐怖を味わうのは御免被りたかったので、ダンジョンマスターとなった今、終了条件の改変を行う為、旧ステージは破棄する事にした様だ。
「それでここが新ステージですか…」
「何れは1~2層にも手を加えようと思ってますが、取り敢えず現状維持ですかね。
ここに城下町を造るとなると中々に骨が折れますので…」
「確かに城の作り込みとか凄いですものね。
あのクオリティで町造るとなったらそりゃ大変でしょうからね。」
平原の広さは縦横1ケメル程あり、中央部に"天守閣"もとい魔王城(和風)が建っている。
平原全てが城下町になるとすればいくらダンジョンマスターと言えど骨が折れる事だろう。
調査に来た者達が「どうしたものか…」と言った表情をしていると、ラインハードが突然こんな提案をしてきた。
「そうだ!まだ未完成ではありますが、新ステージを体験して行ってはどうでしょうか?」
「「「「「「「え?」」」」」」」
おや?この間正規ルートを突破した少年じゃないか。
ははぁん、自分達ではクリア出来ないからって少年にお願いしたんだね?〟
約束の1時間が間近になったので『宝物庫』の直ぐ近くに行くと、動き易さ重視の革鎧に、背中と両腕に小盾を装備した大勢の調査隊と、いつも騎士鎧を身に付けている『犬姫』の3人が、同じく革鎧と肌にピッタリと張り付いている肌着(スパッツとか言う物)を着用し、屈伸運動をしていた。
ただ、『宝物庫』前で待機している一同に対して機械音じみた声で煽りを受けていた。
何も言い返せない一同は「ぐぬぬ」顔をするのみであった。
〝お、この前『宝物庫』を攻略した少年じゃないか、大変な事に巻き込まれたねぇ。
良ければ君だけ直通でラインハードの下まで送るけどどうする?〟
「「「「「「「え?」」」」」」」」
相変わらず何処から状況を見ているか分からないが、突然の『宝物庫』側からの提案に驚きを隠せない一同。
確かにダンジョンによっては1度でもクリアすれば好きな階層から潜れる所もあると聞く。
だがそうなると、指名依頼の意味が無くなってしまう。
「いや、お気遣い無く。
今回は先導する様に頼まれたので、その義務は果たさないといけませんからね。」
〝律儀だねぇ。
そうなると"皆と条件が同じ"になってしまうけど良いかな?〟
「?…えぇ、良いですよ。」
何か気になる事を言っていたが、取り敢えず『宝物庫』前の大扉に移動する。
〝それじゃあせめてもの助力として、いきなり2層まで送ってあげよう。
流石にここに居る面子は全員1層は楽にクリア出来るだろうからね。〟
と、気前の良い『宝物庫』からそう提案され、素直に応じるノア。
ゴゴンッ…
「さて、向かいましょうか。」
「「「「「「「おぅ。」」」」」」」
ぞろぞろ…
大扉が開放されたので中へと進む。
すると直ぐ様、この間来た時と同様の薄暗い石造りの室内に移動していた。
部屋の左側には麻袋が山積みになっており、右端には1メル幅の如何にもな古びた宝箱が2つ設置されている。
前回来た時は麻袋を回収した所、部屋の中に轟音と火の手がまわり、部屋の奥にある罠たっぷりの扉の中へ逃げ込まざるを得なくなったのであった。
ガシッ、ポイッ、ガシッ、ポイッ…
「さてと…準備は良いですか?」
「「「「「「「「おぅ。」」」」」」」」
キーとなる麻袋の回収を始めたノアは、残り1個迄回収した所で全員に確認を取る。
残りを回収すれば罠が作動し、罠たっぷりの部屋に駆け込むのである、調査隊は罠の配置を覚えてるだろうから良いが、『犬姫』の3人は初なので"準備は良いか?"と言う意味で確認を取っているのだ。
『犬姫』の3人は緊張した面持ちながらコクりと頷いて"準備は良いです"と返事を返した。
という訳で
ガシッ、ポイッ…
「「「「「「「「あれ?」」」」」」」」
部屋の中に静寂が流れた直後、困惑の声が響き渡る。
前回の様に罠が作動しないのである。
スタスタスタ…
が、取り敢えず部屋の奥にある扉の方へと向かうと
キィ…
「あ、開いてる。」
「「「「「「えぇ…」」」」」」
今までと違う事態にざわつく一行だが
「どーしました?行きますよ?」
何回も挑戦している調査隊にとっては困惑の種なのだろうが、ノアにとってはまだ2回目である為、然程気になる事では無い。
カチャ…
ノアは警戒しつつも扉を開けて中に入る。
それに続けと調査隊も中に入る事に。
すると
「え?」
「え?」
「は?」
「「何これ?」」
「え?え?」
「え、外?」
扉の中に入って来た者達が口々に困惑の声を上げ、中には驚きのあまり声が出せない者も居る。
今までであれば扉の奥に進めば罠たっぷりの通路があったが、今回はまるっきり違う。
先程の薄暗い部屋とは打って変わって、どんよりとしているが空があり、だだっ広い平原のど真ん中に東の大陸にある"天守閣"と言う10階建ての建物が聳えている。
屋根の大棟の所々に凶悪そうな魚の置物が置いてあったり、城の周囲を守護する様に人形の石像が鎮座している。
"天守閣"へと続く道の両脇には同様の石像が等間隔で並べられており、その形相は般若の如き威圧感を放っていた。
言ってしまえば魔王城(和風)な造りをしており、入ったダンジョンを間違えたのでは?と思わせるには十分であった。
「こりゃまた…
…え?どうなってるの…?」
と、ノアですら困惑していると
〝やっほー!ノア君数日ぶりー!〟
この魔王城(和風)なステージに似合わない快活そうな声が響く。
だが周囲を見回しても誰の姿も見えない。
が、ノアにとっては聞き覚えのある声であった。
サラサラ…
「お?」
すると、ノア達の直ぐ近くに鎮座していた石像が砂の様にサラサラと崩れたかと思うと、再び再構築されて人型を取る。
サラサラ…
最初はザックリとした人型であったが、徐々に精密な造りとなっていき、黒髪を束ねて簪で留めてた着物姿の女性へと変化していった。
「あれ?ラインハードさん?」
「うふふ、そうなんですよ、良く分かりましたね?
どうです?ダンジョンマスターの権限が私に移ったので衣装や髪型なんかも思いのままなんですよ。」くるくる。
着物姿のラインハードは嬉しそうにしつつ、くるりと1回転していた。
「えぇ、凄く似合ってますよ。
…ですが、これは一体どういう事ですか?
前回来た時とは全く別物ですし、空もある…ここは外ですか?」
「いえいえ、ちゃんと『宝物庫』の内部ですよ。
今度リニューアルオープンする『新・宝物庫』の新ステージになりますわ。
まだ所々作り込みが行き届いてませんが、この平原には城下町を作る予定なのですよ。」
「「「「「「し、新ステージ…?」」」」」」
調査の為に訪れた者達も、ラインハードの説明に困惑の色を隠せない様子である。
というか僅か数日でステージが別物になるとは、流石ダンジョンマスターである。
「それはそうと、後ろの団体さんは一体…?」
「あぁ、この間正規ルートを攻略したじゃないですか?
その調査の為に来た人達ですよ。」
「あぁ、旧ステージがやたら騒がしかったのはその為なのですね。
でもすいません、旧ステージは破棄させて頂きました。」
「「「「「「「えええっ!?」」」」」」」
何と調査隊が必死こいて攻略に励んでいた3層~最奥5層のステージは、調査が中断された後、誰も居ない時を狙って破棄したとの事。
理由としては、正規ルートは本来ラインハードが凶刃に倒れる事が終了条件となっていた。
いくらそれがダンジョンの仕様と言えど、凶刃に倒れるのはラインハード本人である。
今の所ノアしか攻略していないが、挑戦者が来る度に死ぬ恐怖を味わうのは御免被りたかったので、ダンジョンマスターとなった今、終了条件の改変を行う為、旧ステージは破棄する事にした様だ。
「それでここが新ステージですか…」
「何れは1~2層にも手を加えようと思ってますが、取り敢えず現状維持ですかね。
ここに城下町を造るとなると中々に骨が折れますので…」
「確かに城の作り込みとか凄いですものね。
あのクオリティで町造るとなったらそりゃ大変でしょうからね。」
平原の広さは縦横1ケメル程あり、中央部に"天守閣"もとい魔王城(和風)が建っている。
平原全てが城下町になるとすればいくらダンジョンマスターと言えど骨が折れる事だろう。
調査に来た者達が「どうしたものか…」と言った表情をしていると、ラインハードが突然こんな提案をしてきた。
「そうだ!まだ未完成ではありますが、新ステージを体験して行ってはどうでしょうか?」
「「「「「「「え?」」」」」」」
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