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獣人国編~【勇者】アーク・ダンジョン『時の迷宮』~
突入直後
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『『『『ブゥンッ!』』』 』
ガコンッ!ゴゴゴゴゴゴ…
アーク、ハナ、ハウンドの3人に加えてノアが『時の迷宮』4層内に侵入。
薄暗い石壁、石畳に囲まれた5メル四方の小部屋に出る。
直後、部屋全体に揺れと轟音が鳴り響き、石壁の一部がスライドした後、湿り気のある空気と共に鬱蒼と生い茂る熱帯雨林が姿を現した。
「くっくっくっ…
いきなり熱帯雨林かよ、引き悪いなぁ…
んで?今からの40時間お前さんなりの指導をしてくれるんだろ?」
「そうですよ。」
「まぁ精々頑張りな。
言っとくがこの中のモンスターは強敵揃いだ。
直ぐに指導云々言ってられなくなるぜ。」
「ご忠告どうも。
さ、皆さん行きましょうか。」
「…チッ…」
ニタニタと笑いながらノアを煽る様に言うアークだが、当の本人は全く気にせず熱帯雨林を進み始めた。
「…その、良かったのですか?
ついさっきまで彼女達に訓練をつけていた様ですし、今は完治したみたいですが、病み上がりですよね?」
「その辺は御心配無く。
リハビリがてらの『ブレイカー』としての依頼で体は万全ですし、疲れる程特訓に付き合った訳でもありません。
このまま不眠不休で4日は動き続けられますよ。」
「そ、そう…」
「それでノア殿、具体的にはアイツに何をするつもりなのだ?」
ノアと同じ考えを持つハウンドではあるが、これからノアがどんな事を行うのか純粋に興味を持った様子。
「取り敢えずお二方はこれから極力アークに手を貸さない様にして下さい。
あくまで監視であって、パーティでは無いのですから。」
「は、はい。」
「ああ。」
「他にもありますが、取り敢えずその都度"状況"が訪れたらお話しします。
全部話した所で"アレ"が全部理解するのは難しいでしょうから。」
ノアとしては何か考えがある様だが、深くは語ってくれなかった。
「なぁ、俺ぁ連戦続きで腹減ってんだ。
取り敢えず腹拵えといこうぜ。
良く言うだろ?腹が減っては何とやら、って。」
「勝手に食えば良いでしょう。」
「は?」
「勝手に食えば良い、って言ったんですよ。
その辺に木の実や野草に"食えそうな"虫やモンスターが居るので適当に済ませりゃ良いじゃないですか。」
ノアはアークに対して振り向く事も、足を止める事無く歩を進める。
「あなたの事ですから、食事に託つけてダラダラと時間を浪費し、ノルマを稼ぐ事無くこの回を終わらせるつもりでしょう?」
「うっ…ち、違ぇよ!」
どうやら図星の様だ。
「本日計6回の突入でノルマ達成が厳しい状況下で"そんな事(食事)"に時間を割く事すら惜しいんだ、悪いがトコトン省かせて貰う…
お?この先100メル行った所にモンスターが居ますね。
ノルマ稼ぎに丁度良いので行ってみては?」
ノアが指差す方向を見ると、確かに木の陰に何か動くモノが見えた。
ノアによって取れる選択肢を狭められたアークは、しかめっ面になりながらも応じる事にした様だ。
「チッ…分ぁったよ!
だが俺は今この状態で本調子じゃない。
取り敢えず誰かしら手伝「ハナさん、アークさんは枷の解除をご所望です。外してやって下さい。」
「え?良いんですか…?」
「えぇ、構いませんよ。
"その程度"でやる気になってくれるのなら儲けもんです。」
アークの手足に付けられた枷を外す事に心配な様子のハナ。
だがアークは不満げな様で
「だ、だがよぉ「おや?枷を解除すれば本調子になるのでしょう?
その上で更に助けを要求すると言う事は、いよいよもって"自分には【勇者】に相当する実力が無い"と言う事を知らしめる事になりますよ?」
「…っざけんなよ…!
おい早く枷を外せ!俺の本来の力を見せてやろうじゃねぇか!」
冷ややかな目で嘲る様にアークを見やると、当の本人は顔を真っ赤にし、ハナに枷の解除を急かす。
手足の枷を解除されたアークは、腰に差していた剣を抜き、ノアをギッと睨み付けた後、熱帯雨林の奥へと進む。
そんなアークにノアは声を掛ける。
「アークさん。」
「あ?何だよ、まだ何かあんのか?」
「僕が同行する際は手足の枷は基本的に外させて貰います。
<洗脳>だろうが、その他自前のスキルを駆使して事に当たって下さい。
その代わり、"自分のケツは自分で拭いて下さい"。
それだけ守ってくれれば"何やっても良い"です。」
「言ったな?"何やっても良い"と。」
「えぇ。"何やっても良い"ですよ。」
それだけ聞いたアークはニヤリと笑った後、林の奥へと進んでいった。
「…ノア君、良かったのですか?
あんな事言って…」
「アイツ、絶対何かしら仕掛けて来るぞ?」
「別に構いませんよ。
あの手の輩はこちらが下手に手を差し伸べるととことん利用して来ますので、焚き付けた上で突き放した方が勝手にやる気を出すので扱いが楽なんですよ。」
「いや、何と言うか<洗脳>を利用してモンスターを押し付けてきたりしますよ絶対…」
「うーん…この『時の迷宮』内にいるモンスターがどれ程の強さか知りませんが、アイツ程度の<洗脳>では逆にモンスターの神経を逆撫でして襲われるかも知れませんよ?」
などと、ハナとハウンドと話していると、林の奥が騒がしくなった。
ガサッ!ガサササッ!
「はっ!はぁっ!お、おい助けてくれ!コイツら<洗脳>が効かねぇ!」
先程林の奥に突っ込んで行ったアークがものの1分程で3人の下に逃げてきた。
アークの口振りからしてお得意の<洗脳>を使って懐柔か何かしようと試みたが全く効かず、逆に怒らせてしまった様だ。
ちなみに林の奥に居たモンスターが何かと言うと
ガルルルォアッ!
「あ!あれは『アセレラ・ジャガー』!?
<縮地>に似たスキルを駆使して高速移動を可能にする肉食の小型モンスターです!」
「おいおい、そんなのを7頭も引き付けてるぞ…
アイツまさか私達に押し付けるつもりじゃ…」
視線の先に居るアークは真っ直ぐ3人を目指しており、その口元には僅かながらに笑みを浮かべている。
どうやらハウンドの言う通り3人に、と言うよりかノアに押し付けるつもりの様だ。
ダダダダダッ!
「た、助…」
だがアーク自身『アセレラ・ジャガー』の想像以上の移動速度に余裕が無い様で、【勇者】の補正ありでもピタリと後ろに付かれている始末。
ガルルァッ!オァアアッ!
ドダダッ!ザザザッ!
『アセレラ・ジャガー』の方はというと、進行方向に居る3人の存在に気付き、アーク側に3頭を残し、4頭が3人に向けて駆け出し始めた。
「ノ、ノア君、迎撃しつつ彼を助けましょう!
あのままでは襲われてしまいます!」スラッ…
「チッ、面倒事しか起こさないな、あのなんちゃって【勇者】は!」チャキ…
「まぁ待って下さい。」
ハナとハウンドの2人は前に進み出て腰の剣を抜き迎撃体勢に入ろうとするが、ノアに静止を掛けられる。
ズズズズズッ…
「ひっ!?」
「うわっ!?」
ノアから殺気が放出され、ハナとハウンドは悲鳴を上げる。
グルァッ!?ズザザッ!ザザッ!
ダカカッ!
こちらに向かってきていた4頭の『アセレラ・ジャガー』は急停止し、反転してアークの方へ逃げていく。
「お、おい!何でこっちに戻って来んだよ!
あっち行け!あっちに…
ちょ、おい見てないで助けてくれよ!」
と、助けを呼ぶアークだが
「1~2分前の事をもう忘れたのですか?
言いましたよね?"自分のケツは自分で拭いて下さい"と。
自分で引っ張って来たのですから自分で処理して下さい。」
そう言ってノアは腕を組んで静観の形を取る。
その目は"どうなろうと知った事では無い"とばかりに冷めきっていた。
「な…な…待てよ…助『グルァアッ!』『ガブジュッ!』ごぉお"お"お"お"ぼっ!?」
ガルルッ!ガジッ!
ゴアァアッ!グチッ!
ガァアッ!ゴリッ…
呆然と立ち尽くすアークの喉元に、『アセレラ・ジャガー』が食らい付く。
直ぐにアークの首から大量に出血が発生。
絶叫と共に地面に倒れ伏すと、次々に群がられ、あっという間に5パーツに分かれる事となった。
ガブリュッ!ブチッ!クチャッ…
「……。」
その様子をノアは終始無言で眺め、ハナとハウンドは目を伏せてなるべく見ない様にしていた。
ガコンッ!ゴゴゴゴゴゴ…
アーク、ハナ、ハウンドの3人に加えてノアが『時の迷宮』4層内に侵入。
薄暗い石壁、石畳に囲まれた5メル四方の小部屋に出る。
直後、部屋全体に揺れと轟音が鳴り響き、石壁の一部がスライドした後、湿り気のある空気と共に鬱蒼と生い茂る熱帯雨林が姿を現した。
「くっくっくっ…
いきなり熱帯雨林かよ、引き悪いなぁ…
んで?今からの40時間お前さんなりの指導をしてくれるんだろ?」
「そうですよ。」
「まぁ精々頑張りな。
言っとくがこの中のモンスターは強敵揃いだ。
直ぐに指導云々言ってられなくなるぜ。」
「ご忠告どうも。
さ、皆さん行きましょうか。」
「…チッ…」
ニタニタと笑いながらノアを煽る様に言うアークだが、当の本人は全く気にせず熱帯雨林を進み始めた。
「…その、良かったのですか?
ついさっきまで彼女達に訓練をつけていた様ですし、今は完治したみたいですが、病み上がりですよね?」
「その辺は御心配無く。
リハビリがてらの『ブレイカー』としての依頼で体は万全ですし、疲れる程特訓に付き合った訳でもありません。
このまま不眠不休で4日は動き続けられますよ。」
「そ、そう…」
「それでノア殿、具体的にはアイツに何をするつもりなのだ?」
ノアと同じ考えを持つハウンドではあるが、これからノアがどんな事を行うのか純粋に興味を持った様子。
「取り敢えずお二方はこれから極力アークに手を貸さない様にして下さい。
あくまで監視であって、パーティでは無いのですから。」
「は、はい。」
「ああ。」
「他にもありますが、取り敢えずその都度"状況"が訪れたらお話しします。
全部話した所で"アレ"が全部理解するのは難しいでしょうから。」
ノアとしては何か考えがある様だが、深くは語ってくれなかった。
「なぁ、俺ぁ連戦続きで腹減ってんだ。
取り敢えず腹拵えといこうぜ。
良く言うだろ?腹が減っては何とやら、って。」
「勝手に食えば良いでしょう。」
「は?」
「勝手に食えば良い、って言ったんですよ。
その辺に木の実や野草に"食えそうな"虫やモンスターが居るので適当に済ませりゃ良いじゃないですか。」
ノアはアークに対して振り向く事も、足を止める事無く歩を進める。
「あなたの事ですから、食事に託つけてダラダラと時間を浪費し、ノルマを稼ぐ事無くこの回を終わらせるつもりでしょう?」
「うっ…ち、違ぇよ!」
どうやら図星の様だ。
「本日計6回の突入でノルマ達成が厳しい状況下で"そんな事(食事)"に時間を割く事すら惜しいんだ、悪いがトコトン省かせて貰う…
お?この先100メル行った所にモンスターが居ますね。
ノルマ稼ぎに丁度良いので行ってみては?」
ノアが指差す方向を見ると、確かに木の陰に何か動くモノが見えた。
ノアによって取れる選択肢を狭められたアークは、しかめっ面になりながらも応じる事にした様だ。
「チッ…分ぁったよ!
だが俺は今この状態で本調子じゃない。
取り敢えず誰かしら手伝「ハナさん、アークさんは枷の解除をご所望です。外してやって下さい。」
「え?良いんですか…?」
「えぇ、構いませんよ。
"その程度"でやる気になってくれるのなら儲けもんです。」
アークの手足に付けられた枷を外す事に心配な様子のハナ。
だがアークは不満げな様で
「だ、だがよぉ「おや?枷を解除すれば本調子になるのでしょう?
その上で更に助けを要求すると言う事は、いよいよもって"自分には【勇者】に相当する実力が無い"と言う事を知らしめる事になりますよ?」
「…っざけんなよ…!
おい早く枷を外せ!俺の本来の力を見せてやろうじゃねぇか!」
冷ややかな目で嘲る様にアークを見やると、当の本人は顔を真っ赤にし、ハナに枷の解除を急かす。
手足の枷を解除されたアークは、腰に差していた剣を抜き、ノアをギッと睨み付けた後、熱帯雨林の奥へと進む。
そんなアークにノアは声を掛ける。
「アークさん。」
「あ?何だよ、まだ何かあんのか?」
「僕が同行する際は手足の枷は基本的に外させて貰います。
<洗脳>だろうが、その他自前のスキルを駆使して事に当たって下さい。
その代わり、"自分のケツは自分で拭いて下さい"。
それだけ守ってくれれば"何やっても良い"です。」
「言ったな?"何やっても良い"と。」
「えぇ。"何やっても良い"ですよ。」
それだけ聞いたアークはニヤリと笑った後、林の奥へと進んでいった。
「…ノア君、良かったのですか?
あんな事言って…」
「アイツ、絶対何かしら仕掛けて来るぞ?」
「別に構いませんよ。
あの手の輩はこちらが下手に手を差し伸べるととことん利用して来ますので、焚き付けた上で突き放した方が勝手にやる気を出すので扱いが楽なんですよ。」
「いや、何と言うか<洗脳>を利用してモンスターを押し付けてきたりしますよ絶対…」
「うーん…この『時の迷宮』内にいるモンスターがどれ程の強さか知りませんが、アイツ程度の<洗脳>では逆にモンスターの神経を逆撫でして襲われるかも知れませんよ?」
などと、ハナとハウンドと話していると、林の奥が騒がしくなった。
ガサッ!ガサササッ!
「はっ!はぁっ!お、おい助けてくれ!コイツら<洗脳>が効かねぇ!」
先程林の奥に突っ込んで行ったアークがものの1分程で3人の下に逃げてきた。
アークの口振りからしてお得意の<洗脳>を使って懐柔か何かしようと試みたが全く効かず、逆に怒らせてしまった様だ。
ちなみに林の奥に居たモンスターが何かと言うと
ガルルルォアッ!
「あ!あれは『アセレラ・ジャガー』!?
<縮地>に似たスキルを駆使して高速移動を可能にする肉食の小型モンスターです!」
「おいおい、そんなのを7頭も引き付けてるぞ…
アイツまさか私達に押し付けるつもりじゃ…」
視線の先に居るアークは真っ直ぐ3人を目指しており、その口元には僅かながらに笑みを浮かべている。
どうやらハウンドの言う通り3人に、と言うよりかノアに押し付けるつもりの様だ。
ダダダダダッ!
「た、助…」
だがアーク自身『アセレラ・ジャガー』の想像以上の移動速度に余裕が無い様で、【勇者】の補正ありでもピタリと後ろに付かれている始末。
ガルルァッ!オァアアッ!
ドダダッ!ザザザッ!
『アセレラ・ジャガー』の方はというと、進行方向に居る3人の存在に気付き、アーク側に3頭を残し、4頭が3人に向けて駆け出し始めた。
「ノ、ノア君、迎撃しつつ彼を助けましょう!
あのままでは襲われてしまいます!」スラッ…
「チッ、面倒事しか起こさないな、あのなんちゃって【勇者】は!」チャキ…
「まぁ待って下さい。」
ハナとハウンドの2人は前に進み出て腰の剣を抜き迎撃体勢に入ろうとするが、ノアに静止を掛けられる。
ズズズズズッ…
「ひっ!?」
「うわっ!?」
ノアから殺気が放出され、ハナとハウンドは悲鳴を上げる。
グルァッ!?ズザザッ!ザザッ!
ダカカッ!
こちらに向かってきていた4頭の『アセレラ・ジャガー』は急停止し、反転してアークの方へ逃げていく。
「お、おい!何でこっちに戻って来んだよ!
あっち行け!あっちに…
ちょ、おい見てないで助けてくれよ!」
と、助けを呼ぶアークだが
「1~2分前の事をもう忘れたのですか?
言いましたよね?"自分のケツは自分で拭いて下さい"と。
自分で引っ張って来たのですから自分で処理して下さい。」
そう言ってノアは腕を組んで静観の形を取る。
その目は"どうなろうと知った事では無い"とばかりに冷めきっていた。
「な…な…待てよ…助『グルァアッ!』『ガブジュッ!』ごぉお"お"お"お"ぼっ!?」
ガルルッ!ガジッ!
ゴアァアッ!グチッ!
ガァアッ!ゴリッ…
呆然と立ち尽くすアークの喉元に、『アセレラ・ジャガー』が食らい付く。
直ぐにアークの首から大量に出血が発生。
絶叫と共に地面に倒れ伏すと、次々に群がられ、あっという間に5パーツに分かれる事となった。
ガブリュッ!ブチッ!クチャッ…
「……。」
その様子をノアは終始無言で眺め、ハナとハウンドは目を伏せてなるべく見ない様にしていた。
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