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獣人国編~【勇者】アーク・ダンジョン『時の迷宮』~
突入1時間目
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ペチペチ…
「……」
「起きろ。」
ドフッ!「おぼぉっ!?」
倒れていたアークの腹部に蹴りを入れ、無理矢理起こすノア。
アークは悲鳴と共に体をくの字に曲げて強制的に起床。
荒過ぎるノアの行動に「何するんだ」とばかりに睨み付けるアーク。
「目覚めましたか。
突入10分でもう蘇生薬を1本使うとはね。
今までの6回、どんだけハナさんとハウンドさんに頼りきっていたかが分かりました。
こりゃ予想よりも大分厳しめにいかないと駄目ですね。」
「ふ、ふざけるなぁっ!
テメェ何故助けなか『ガシッ!』むごぅっ!?」
ノアの対応に食って掛かるアークだが、顔面を掴まれてしまい息もままならなくなってしまった。
「ここまでのやり取りを見てまだ分からないか?
端からこっちはお前を助けるつもりは無いし、助けさせるつもりも、協力するつもりも無い。
お前がモンスターに襲われて死のうが食われようが、俺達はあくまでお前の"監視でありノルマ達成の見届け人"だ。
ノルマに達しない様なら達するだけの見込みがある場所へ引っ張って行くし、嫌と言うなら力ずくで連れて行く。
謂わば今のお前は"奴隷"なんだよ。分かったらさっさと働け。働いて罪を灌げ。」
ブンッ!ドサッ!
「いでっ!?テメェ!何しやが…
な、何で…どういう事だ!?」
ゴミを投げ捨てるかの様にその辺の地面にアークを投げ、再び食って掛かろうとしたアークが周囲を見渡して漸く気付く。
グルルルル…
グルァア…
先程襲ってきた『アセレラ・ジャガー』が未だ辺りを彷徨いており、アークを睨み付けていた。
だが何故かノア含めハナとハウンドには見向きもせずに、である。
「な、何でお前らは襲われないんだ!?」
「さぁ?日頃の行いじゃない?」
ノアは皆目見当がつかないと言った様に手を広げてとぼけているが、勿論理由はある。
ノアが先程『アセレラ・ジャガー』に向けて殺気を放った事で『アセレラ・ジャガー』内で認識が変更された。
~当初~
アーク→精神に干渉してきたウザい敵(つまり餌)
ノア・ハナ・ハウンド→追加の敵(つまり餌)
~<殺気放出>後~
アーク→逃げるだけの雑魚敵。(つまり餌)
ノア→ヤバい殺気を放つ敵。(襲わない様にしよう。)
ハナ・ハウンド→ノアの側に居たので番か妾。(襲わない様にしよう。)
~現在~
アーク→どうやらノアと友好関係には無い。(つまり餌)
ノア→アークを襲っても何ら反応を示さなかった。(敵では無いが、味方でも無い。襲わない様にしよう。)
ハナ・ハウンド→ノアの番か妾。(襲わない様にしよう。)
ついでに言うなら、ヤバい殺気を放つ奴を相手にするよりか、何ら脅威にならない手頃な敵が近くに居るので、そちらを狙う方が断然楽である。
「丁度良いじゃないですか。
あなたの肉の味を知ったモンスターがあなた目当てで蘇生を待ち、あなたはノルマの足しに待っててくれたモンスターを倒せば良いんです。
利害関係が一致してて都合が良い。」
不敵な笑みを浮かべてそう説明するノアに、アークはある種のおぞましさを感じた事だろう。
「お、お前は何だ…
考え方がイカれてる…お前は"鬼"か悪魔の類いに違いない…」
アークとしては、ノアの考えに侮蔑の意味を込めて放った言葉であるのだが
ズズズズズズズ…
「…くっくっく…イカれてて結構。
俺は【"鬼"神】のノアだ。
糞みてぇな【勇者】の相手をするのは【鬼神】位イカれていた方が丁度良いだろ?』
「ひ、ひぃいい…」
「「……っ!…」」
クゥーン…
キュゥウ…ン…
赤黒いオーラを立ち昇らせ、赤黒く染まった両眼でアークを睨み付けるノア。
この姿を見慣れているハズのハナ、初見のハウンド、周囲を彷徨いていた『アセレラ・ジャガー』も、ノアから発せられる殺気に当てられ、身動き1つ取れずにいた。
『始めろ、時間が惜しい。』
少ししてノアがアークと距離を取り、左手で合図を送りつつ、そう言い放った。
これはアークに対してでもあるが、彷徨いている『アセレラ・ジャガー』に対してでもある。
ゥウ…オォオオッ!
この殺気を放つ存在が何を言っているかは分からないが、何をさせたいかは何となく分かる。
『アセレラ・ジャガー』達は、ノアの合図を受け、畏縮していた気持ちを奮い立たせ、視線の先に居るアークへと吼え掛かって行った。
ガシッ!
「畜生っ!畜生!畜生!畜生!畜生っ!
やりゃあ良いんだろ!やりゃあ!
やってやる!俺は【勇者】だ!こんな雑魚共なんか屁でもねぇぜ!」
『おぅ、その調子その調子。』
半ば自棄くそ気味ではあるが、やる気を出してくれた様なので良しとしよう。
アークは乱暴に剣を取り、『アセレラ・ジャガー』の群れに突っ込んで行った。
ちなみに余談ではあるが、『アセレラ・ジャガー』の"アセレラ"とは古い言葉で"加速"と言う意味である。
これは俊敏性の事も意味してるのだがもう1つ意味がある。
『アセレラ・ジャガー』の爪や牙には雑菌が多量に存在しており、傷を付けられた際の出血効果や化膿の悪化速度が通常での比では無く、短期決着が求められる。
だが、アークは2頭を仕留める間に9ヶ所も被弾してしまい、内2ヶ所は太股に受けた事で太い血管から大量出血。
これが元でアークは2度目の死を迎えてしまった。
「あぁあああああっ!!『ラヴァ・フィールドォッ』!」
ジュボァアッ!
ギュォオアアッ!?
ガァアアッ!?
アークが剣を周囲に振り回しつつ何やら呪文を唱えると、半径10メル内の地面が赤熱したかの様に赤々と高熱を発し始めた。
範囲内に居た『アセレラ・ジャガー』達は瞬時に燃え上がり、そのまま炭化して崩れ落ちた。
アークが<洗脳>以外のまともな技を使った事に少し驚いたが、今はそんな事どうでもいい。
ザッザッ、パキッパキッバキンッ!
ノアはガラス化した地面を進み、アークの下に近付いて行く。
ノアの接近に気付いたアークは誇らしげに振り返ると
「見たか!俺の手に掛かればこ『ボゴッ!』ゥベッ!?」
ズシャアッ!
ノアにぶん殴られたアークは、地面に倒れ伏した。
『折角のノルマ稼ぎだってのに何で素材燃やし尽くしちまうんだ馬鹿野郎!
討伐数稼ぎじゃねぇんだぞ!結局時間が無駄になっちまったじゃねぇか!』
「う…うぅ…『ガシッ!』うぅっ!?」
『おら!時間が惜しいんだ、さっさと立ちやがれ!
200メル先に別のモンスターの反応がある!行くぞオラッ!』
「い、嫌だぁっ!死にたくない!帰りたい!」
『死にたくないなれ真面目に戦え!
帰りたいならノルマをこなせ!ノルマを達成出来なきゃ死ぬまで戦え!
ハナさんとハウンドさんは無事だった『アセレラ・ジャガー』を回収!
俺らは先に行ってますので200メル先で合流!』
「「は、はいっ!」」
首根っ子を掴まれたアークは、ノアに命乞いをするも一蹴され、熱帯雨林の奥へと消えていく。
姿が見えなくなるまでの間、アークからは「頼む!」と懇願する声が聞こえていたが、ノアは全く聞き入れてくれなかった。
「……」
「起きろ。」
ドフッ!「おぼぉっ!?」
倒れていたアークの腹部に蹴りを入れ、無理矢理起こすノア。
アークは悲鳴と共に体をくの字に曲げて強制的に起床。
荒過ぎるノアの行動に「何するんだ」とばかりに睨み付けるアーク。
「目覚めましたか。
突入10分でもう蘇生薬を1本使うとはね。
今までの6回、どんだけハナさんとハウンドさんに頼りきっていたかが分かりました。
こりゃ予想よりも大分厳しめにいかないと駄目ですね。」
「ふ、ふざけるなぁっ!
テメェ何故助けなか『ガシッ!』むごぅっ!?」
ノアの対応に食って掛かるアークだが、顔面を掴まれてしまい息もままならなくなってしまった。
「ここまでのやり取りを見てまだ分からないか?
端からこっちはお前を助けるつもりは無いし、助けさせるつもりも、協力するつもりも無い。
お前がモンスターに襲われて死のうが食われようが、俺達はあくまでお前の"監視でありノルマ達成の見届け人"だ。
ノルマに達しない様なら達するだけの見込みがある場所へ引っ張って行くし、嫌と言うなら力ずくで連れて行く。
謂わば今のお前は"奴隷"なんだよ。分かったらさっさと働け。働いて罪を灌げ。」
ブンッ!ドサッ!
「いでっ!?テメェ!何しやが…
な、何で…どういう事だ!?」
ゴミを投げ捨てるかの様にその辺の地面にアークを投げ、再び食って掛かろうとしたアークが周囲を見渡して漸く気付く。
グルルルル…
グルァア…
先程襲ってきた『アセレラ・ジャガー』が未だ辺りを彷徨いており、アークを睨み付けていた。
だが何故かノア含めハナとハウンドには見向きもせずに、である。
「な、何でお前らは襲われないんだ!?」
「さぁ?日頃の行いじゃない?」
ノアは皆目見当がつかないと言った様に手を広げてとぼけているが、勿論理由はある。
ノアが先程『アセレラ・ジャガー』に向けて殺気を放った事で『アセレラ・ジャガー』内で認識が変更された。
~当初~
アーク→精神に干渉してきたウザい敵(つまり餌)
ノア・ハナ・ハウンド→追加の敵(つまり餌)
~<殺気放出>後~
アーク→逃げるだけの雑魚敵。(つまり餌)
ノア→ヤバい殺気を放つ敵。(襲わない様にしよう。)
ハナ・ハウンド→ノアの側に居たので番か妾。(襲わない様にしよう。)
~現在~
アーク→どうやらノアと友好関係には無い。(つまり餌)
ノア→アークを襲っても何ら反応を示さなかった。(敵では無いが、味方でも無い。襲わない様にしよう。)
ハナ・ハウンド→ノアの番か妾。(襲わない様にしよう。)
ついでに言うなら、ヤバい殺気を放つ奴を相手にするよりか、何ら脅威にならない手頃な敵が近くに居るので、そちらを狙う方が断然楽である。
「丁度良いじゃないですか。
あなたの肉の味を知ったモンスターがあなた目当てで蘇生を待ち、あなたはノルマの足しに待っててくれたモンスターを倒せば良いんです。
利害関係が一致してて都合が良い。」
不敵な笑みを浮かべてそう説明するノアに、アークはある種のおぞましさを感じた事だろう。
「お、お前は何だ…
考え方がイカれてる…お前は"鬼"か悪魔の類いに違いない…」
アークとしては、ノアの考えに侮蔑の意味を込めて放った言葉であるのだが
ズズズズズズズ…
「…くっくっく…イカれてて結構。
俺は【"鬼"神】のノアだ。
糞みてぇな【勇者】の相手をするのは【鬼神】位イカれていた方が丁度良いだろ?』
「ひ、ひぃいい…」
「「……っ!…」」
クゥーン…
キュゥウ…ン…
赤黒いオーラを立ち昇らせ、赤黒く染まった両眼でアークを睨み付けるノア。
この姿を見慣れているハズのハナ、初見のハウンド、周囲を彷徨いていた『アセレラ・ジャガー』も、ノアから発せられる殺気に当てられ、身動き1つ取れずにいた。
『始めろ、時間が惜しい。』
少ししてノアがアークと距離を取り、左手で合図を送りつつ、そう言い放った。
これはアークに対してでもあるが、彷徨いている『アセレラ・ジャガー』に対してでもある。
ゥウ…オォオオッ!
この殺気を放つ存在が何を言っているかは分からないが、何をさせたいかは何となく分かる。
『アセレラ・ジャガー』達は、ノアの合図を受け、畏縮していた気持ちを奮い立たせ、視線の先に居るアークへと吼え掛かって行った。
ガシッ!
「畜生っ!畜生!畜生!畜生!畜生っ!
やりゃあ良いんだろ!やりゃあ!
やってやる!俺は【勇者】だ!こんな雑魚共なんか屁でもねぇぜ!」
『おぅ、その調子その調子。』
半ば自棄くそ気味ではあるが、やる気を出してくれた様なので良しとしよう。
アークは乱暴に剣を取り、『アセレラ・ジャガー』の群れに突っ込んで行った。
ちなみに余談ではあるが、『アセレラ・ジャガー』の"アセレラ"とは古い言葉で"加速"と言う意味である。
これは俊敏性の事も意味してるのだがもう1つ意味がある。
『アセレラ・ジャガー』の爪や牙には雑菌が多量に存在しており、傷を付けられた際の出血効果や化膿の悪化速度が通常での比では無く、短期決着が求められる。
だが、アークは2頭を仕留める間に9ヶ所も被弾してしまい、内2ヶ所は太股に受けた事で太い血管から大量出血。
これが元でアークは2度目の死を迎えてしまった。
「あぁあああああっ!!『ラヴァ・フィールドォッ』!」
ジュボァアッ!
ギュォオアアッ!?
ガァアアッ!?
アークが剣を周囲に振り回しつつ何やら呪文を唱えると、半径10メル内の地面が赤熱したかの様に赤々と高熱を発し始めた。
範囲内に居た『アセレラ・ジャガー』達は瞬時に燃え上がり、そのまま炭化して崩れ落ちた。
アークが<洗脳>以外のまともな技を使った事に少し驚いたが、今はそんな事どうでもいい。
ザッザッ、パキッパキッバキンッ!
ノアはガラス化した地面を進み、アークの下に近付いて行く。
ノアの接近に気付いたアークは誇らしげに振り返ると
「見たか!俺の手に掛かればこ『ボゴッ!』ゥベッ!?」
ズシャアッ!
ノアにぶん殴られたアークは、地面に倒れ伏した。
『折角のノルマ稼ぎだってのに何で素材燃やし尽くしちまうんだ馬鹿野郎!
討伐数稼ぎじゃねぇんだぞ!結局時間が無駄になっちまったじゃねぇか!』
「う…うぅ…『ガシッ!』うぅっ!?」
『おら!時間が惜しいんだ、さっさと立ちやがれ!
200メル先に別のモンスターの反応がある!行くぞオラッ!』
「い、嫌だぁっ!死にたくない!帰りたい!」
『死にたくないなれ真面目に戦え!
帰りたいならノルマをこなせ!ノルマを達成出来なきゃ死ぬまで戦え!
ハナさんとハウンドさんは無事だった『アセレラ・ジャガー』を回収!
俺らは先に行ってますので200メル先で合流!』
「「は、はいっ!」」
首根っ子を掴まれたアークは、ノアに命乞いをするも一蹴され、熱帯雨林の奥へと消えていく。
姿が見えなくなるまでの間、アークからは「頼む!」と懇願する声が聞こえていたが、ノアは全く聞き入れてくれなかった。
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