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獣人国編~【勇者】アーク・ダンジョン『時の迷宮』~
閑話その2 ダンジョンの外でのアレコレ
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~冒険者ギルド側~
「…えー、″という訳で今回発端となった『森の番人レント・レアナ』は新人冒険者のノアの伝手で集まった上級冒険者数名と、龍種2体の加勢により討伐されたし。
尚、今まで『滅びの森』の頂点に君臨していた『森の番人レント・レアナ』に代わり、温厚な龍種『亞龍・プロスペリダージ』が統治し、現在獣人国とも良好な関係を保てております。″と…」
φ(..)カキカキ…カカッ!
「にゃー、報告書終わったのにゃー!」
「お疲れ様。
じゃあ次は"新装開店の『宝物庫』"の報告書をお願いね。」
「にゃぁああ…(泣)」
冒険者ギルド受付嬢の1人であるチェシャは、先日討伐された『森の番人レント・レアナ』に関する国外向けの報告書をまとめていた。
『森の番人レント・レアナ』出現のあらまし、時系列に則った状況説明、参加人員、被害報告、顛末、被害報告、今後の危険性の有無等、多岐に渡る。
「どうしたのチェシャ?そんな項垂れちゃって。
…と言うか、冒険者の個人名書いちゃってるじゃない、大丈夫なの…?」
「いやね、ダンジョン『宝物庫』に新要素が見付かった時に″新人冒険者″としか書かなかったら、各国・各領から「新人冒険者とあるが、この情報は正しい物か?」とか「公表は控える故、名を明記願う。」との問い合わせがあったのにゃ。
だから今回から″新人冒険者のノア″って明記する事になったのにゃ。」
「項垂れてたのは?」
「この冒険者の子の戦闘内容が突飛過ぎるのにゃ。説明が難しくてこれに関する問い合わせだけで100件位あったのにゃぁ…
だからまた問い合わせが来るかと思うと…にゃぁああ…」
「あぁ…なる程ね…」
「せめて彼が新人冒険者じゃなくて、中級冒険者だったらにゃあ…」
「なら私から″中級冒険者への昇級試験″を打診してみよっか?
ほら、ここから南下した村の近くに″昇級試験場″があるから丁度良いじゃない。」
「それもそうにゃね。
実力に見合った地位に立って欲しいのにゃ。」
と、受付嬢のチェシャと職員の1人が話していると
「おーい、その南下した村から緊急性のある依頼が来たぞ。」
「え?」
「にゃ?」
『村周辺のモンスター討伐』…参加人員:中級冒険者相当又は上級冒険者。人数は明記せず。
対象モンスター:不明。
報酬金:可能な限り努力する。
直近にあった『森の番人レント・レアナ』出現に際し『滅びの森』から逃げてきた危険度(低)~(高)のモンスターが我が村に居座った。
だが怯えた様子で村で暴れる事が無かったので経過を見ていたのだが、『森の番人レント・レアナ』討伐後も居座り続けるモンスターが多く安心して眠れないのだ。
昨日2軒の家が襲われ、全壊した。
お願いだ、いつ命が脅かされるか分かったモノでは無い。
報酬は期待出来ないが、我が村を救ってくれる有志を募って欲しい…
「対象モンスター″不明″、報酬も期待出来ない…
うーん…要請はしますが…厳しいでしょうね…」
「うにゃあ…」
「対象モンスターが分からないんじゃ、戦力がどれ程必要なのかも分からんしなぁ…」
(((この手の依頼を受けてくれる人なんて…あ…)))
「…ちょっと思い当たる人が…」
「あ、私も…」
「うにゃあ。」
~クロラ~
「むー…」(_ ̄З ̄)_
「どうしたのクロラ、そんな不満そうな表情して。」
「んーんー、何でも「まるで″少年が【勇者】パーティの女性3人にばかり構ってて、私に構ってくれないから機嫌が「ポポポ、ポーラちゃん!それ以上は言わないで!」あら、図星だったかしら。」
とあるカフェのテーブルに突っ伏すクロラ。
そんなクロラの心情を1発で見抜くポーラは相変わらずである。
「何か知り合いの獣人さんからの情報だと、元凶である【勇者】の性根を叩き直すみたいで、『時の迷宮』4層に行ったみたいだよー。」
「ははは、ノア君は相変わらずだな。
そんなに気になるなら声掛けてきたら良いじゃないか?」
同じパーティのロゼとジェイルも、軽食を手に持ち話に加わってきた。
「う、うん…
でもノア君とはあくまで別パーティだから、変にヤイヤイ言うのはどうかと思うし…」
「クロラも相変わらずねぇ。」
と、相変わらず他愛の無い事でうんうん悩んでいたクロラの背後から
「…あれ?
その赤髪…もしかしてクロラ…?」
「んぇ…?」
「あー、ホントだ。クロラだ、久し振り!
冒険者になれたんだね。」
「…もしかして…ハクアと…ユカリ…?」
「…と言う訳で、こっちの軽鎧を着てるのがハクア。スカーフで顔隠してて、ローブ姿で杖ついてる娘がユカリ。
2人は同じ村のご近所さんなんだ。」
「どうも、ハクアよ。
今言った通りクロラとは同郷で、【テイム】の適正を持つ中級冒険者よ。
隣に居るユカリとパーティ組んでるの。」
「どうもユカリよ。
クロラの隣の家に住んでた【呪術】の中級冒険者よ。
ごめんなさいね、人見知りだからスカーフで顔隠してるの。
馴れたら外すからも少しこのままで。」
黒髪長身スレンダーがハクア、茶髪で小柄がユカリである。
「実は私達、先月位に村に戻ったんだ。
今年クロラが漸く冒険者になるって聞いて。」
「もしかしたら会えるかも、って思ってたけど少し遅かったみたい。」
「あー…春になった途端急かされる様に村を出る事になっちゃって…」
2人の話を聞いたクロラは、何処と無く歯切れが悪そうに話す。
するとハクアとユカリの表情が真剣なモノになり
「知ってる。バッツとガッツのせいでしょ?」
「…うん…
…もしかして、″聞いてる…?″」
「…うん。
実は村に戻った時に丁度黒装束の諜報部の人も村に来てて、″最初から最期まで″の事をクロラとバッツ、ガッツの両親に話ししてたよ。」
ここで言う″最初から最期まで″というのは、クロラが最初期にパーティを組んでいた(というか組まされていた)バッツ、ガッツ主導で行った押し付け~オードゥスでの騒動の事である。
「バッツとガッツの両親は最初話を聞いた時、クロラの事を悪く言ってた。内容は控えるけどね。
でも話が進んでオードゥスで2人が起こした2つの騒動の話に入ったら顔を真っ青にしてたよ。」
「しかも原因が明らかに2人にあって、証拠も揃ってるから両親共に何も言えなくなっちゃって。
結果、居辛くなったのか最終的に村を出て行く事になるって。」
「え?そうなの?」
「うん、どのみち2人が起こした騒動の賠償とかで溜め込んでた私財が持ってかれちゃったし、元々村の人達から嫌われてたしね。主に横柄で。」
「…そっか…
…そ、それで、お父さんお母さんは何か言ってた…かな…?
一応私も…押し付けに…加担した訳だし…」
クロラは目を伏せて隣に座る2人に確認を取る。
よく見るとクロラの体は少し震えていた。
無理も無い事だ、未遂とはいえ犯罪に加担した事が友人のみならず両親にも知れてしまったのだから。
「なんでも、押し付けを受けた新人冒険者の子がクロラの事を許してて、刑罰の類を不問にしたんだって。
このご時世に珍しい子よね。」
「だから諜報部の人も、『もし娘さんが村に帰ってきても安心して迎えて下さい。』って言ってて、それを聞いてクロラの両親もホッと胸を撫で下ろしてたよ。」
「そう…なんだ…」ホッ。
クロラも胸を撫で下ろす。
「それと聞いたよクロラ。
押し付けを許してくれた子に命まで助けられたらしいじゃん。」
「相手は対上級冒険者クラスのモンスターだったらしいじゃん。
よく無事だったね。」
「う、うん…」
「それに何だって、クロラァ。
その子にデレデレな感じらしいじゃない。
二度も助けられて運命感じちゃった感じ?」
「良いなぁ、私もそんな運命的な出逢いしたいよ。」
「そ、そんなデレデレなんて…(照)」
(((デレデレなんだよなぁ…)))ズゴゴ…
同郷3人の話を端で聞いていたポーラ、ロゼ、ジェイルの3人は、心の中でツッコミつつシェイクを啜っていた。
すると
「おや、皆さんお揃いで。
良ければご一緒しても良いですか?」
「…えー、″という訳で今回発端となった『森の番人レント・レアナ』は新人冒険者のノアの伝手で集まった上級冒険者数名と、龍種2体の加勢により討伐されたし。
尚、今まで『滅びの森』の頂点に君臨していた『森の番人レント・レアナ』に代わり、温厚な龍種『亞龍・プロスペリダージ』が統治し、現在獣人国とも良好な関係を保てております。″と…」
φ(..)カキカキ…カカッ!
「にゃー、報告書終わったのにゃー!」
「お疲れ様。
じゃあ次は"新装開店の『宝物庫』"の報告書をお願いね。」
「にゃぁああ…(泣)」
冒険者ギルド受付嬢の1人であるチェシャは、先日討伐された『森の番人レント・レアナ』に関する国外向けの報告書をまとめていた。
『森の番人レント・レアナ』出現のあらまし、時系列に則った状況説明、参加人員、被害報告、顛末、被害報告、今後の危険性の有無等、多岐に渡る。
「どうしたのチェシャ?そんな項垂れちゃって。
…と言うか、冒険者の個人名書いちゃってるじゃない、大丈夫なの…?」
「いやね、ダンジョン『宝物庫』に新要素が見付かった時に″新人冒険者″としか書かなかったら、各国・各領から「新人冒険者とあるが、この情報は正しい物か?」とか「公表は控える故、名を明記願う。」との問い合わせがあったのにゃ。
だから今回から″新人冒険者のノア″って明記する事になったのにゃ。」
「項垂れてたのは?」
「この冒険者の子の戦闘内容が突飛過ぎるのにゃ。説明が難しくてこれに関する問い合わせだけで100件位あったのにゃぁ…
だからまた問い合わせが来るかと思うと…にゃぁああ…」
「あぁ…なる程ね…」
「せめて彼が新人冒険者じゃなくて、中級冒険者だったらにゃあ…」
「なら私から″中級冒険者への昇級試験″を打診してみよっか?
ほら、ここから南下した村の近くに″昇級試験場″があるから丁度良いじゃない。」
「それもそうにゃね。
実力に見合った地位に立って欲しいのにゃ。」
と、受付嬢のチェシャと職員の1人が話していると
「おーい、その南下した村から緊急性のある依頼が来たぞ。」
「え?」
「にゃ?」
『村周辺のモンスター討伐』…参加人員:中級冒険者相当又は上級冒険者。人数は明記せず。
対象モンスター:不明。
報酬金:可能な限り努力する。
直近にあった『森の番人レント・レアナ』出現に際し『滅びの森』から逃げてきた危険度(低)~(高)のモンスターが我が村に居座った。
だが怯えた様子で村で暴れる事が無かったので経過を見ていたのだが、『森の番人レント・レアナ』討伐後も居座り続けるモンスターが多く安心して眠れないのだ。
昨日2軒の家が襲われ、全壊した。
お願いだ、いつ命が脅かされるか分かったモノでは無い。
報酬は期待出来ないが、我が村を救ってくれる有志を募って欲しい…
「対象モンスター″不明″、報酬も期待出来ない…
うーん…要請はしますが…厳しいでしょうね…」
「うにゃあ…」
「対象モンスターが分からないんじゃ、戦力がどれ程必要なのかも分からんしなぁ…」
(((この手の依頼を受けてくれる人なんて…あ…)))
「…ちょっと思い当たる人が…」
「あ、私も…」
「うにゃあ。」
~クロラ~
「むー…」(_ ̄З ̄)_
「どうしたのクロラ、そんな不満そうな表情して。」
「んーんー、何でも「まるで″少年が【勇者】パーティの女性3人にばかり構ってて、私に構ってくれないから機嫌が「ポポポ、ポーラちゃん!それ以上は言わないで!」あら、図星だったかしら。」
とあるカフェのテーブルに突っ伏すクロラ。
そんなクロラの心情を1発で見抜くポーラは相変わらずである。
「何か知り合いの獣人さんからの情報だと、元凶である【勇者】の性根を叩き直すみたいで、『時の迷宮』4層に行ったみたいだよー。」
「ははは、ノア君は相変わらずだな。
そんなに気になるなら声掛けてきたら良いじゃないか?」
同じパーティのロゼとジェイルも、軽食を手に持ち話に加わってきた。
「う、うん…
でもノア君とはあくまで別パーティだから、変にヤイヤイ言うのはどうかと思うし…」
「クロラも相変わらずねぇ。」
と、相変わらず他愛の無い事でうんうん悩んでいたクロラの背後から
「…あれ?
その赤髪…もしかしてクロラ…?」
「んぇ…?」
「あー、ホントだ。クロラだ、久し振り!
冒険者になれたんだね。」
「…もしかして…ハクアと…ユカリ…?」
「…と言う訳で、こっちの軽鎧を着てるのがハクア。スカーフで顔隠してて、ローブ姿で杖ついてる娘がユカリ。
2人は同じ村のご近所さんなんだ。」
「どうも、ハクアよ。
今言った通りクロラとは同郷で、【テイム】の適正を持つ中級冒険者よ。
隣に居るユカリとパーティ組んでるの。」
「どうもユカリよ。
クロラの隣の家に住んでた【呪術】の中級冒険者よ。
ごめんなさいね、人見知りだからスカーフで顔隠してるの。
馴れたら外すからも少しこのままで。」
黒髪長身スレンダーがハクア、茶髪で小柄がユカリである。
「実は私達、先月位に村に戻ったんだ。
今年クロラが漸く冒険者になるって聞いて。」
「もしかしたら会えるかも、って思ってたけど少し遅かったみたい。」
「あー…春になった途端急かされる様に村を出る事になっちゃって…」
2人の話を聞いたクロラは、何処と無く歯切れが悪そうに話す。
するとハクアとユカリの表情が真剣なモノになり
「知ってる。バッツとガッツのせいでしょ?」
「…うん…
…もしかして、″聞いてる…?″」
「…うん。
実は村に戻った時に丁度黒装束の諜報部の人も村に来てて、″最初から最期まで″の事をクロラとバッツ、ガッツの両親に話ししてたよ。」
ここで言う″最初から最期まで″というのは、クロラが最初期にパーティを組んでいた(というか組まされていた)バッツ、ガッツ主導で行った押し付け~オードゥスでの騒動の事である。
「バッツとガッツの両親は最初話を聞いた時、クロラの事を悪く言ってた。内容は控えるけどね。
でも話が進んでオードゥスで2人が起こした2つの騒動の話に入ったら顔を真っ青にしてたよ。」
「しかも原因が明らかに2人にあって、証拠も揃ってるから両親共に何も言えなくなっちゃって。
結果、居辛くなったのか最終的に村を出て行く事になるって。」
「え?そうなの?」
「うん、どのみち2人が起こした騒動の賠償とかで溜め込んでた私財が持ってかれちゃったし、元々村の人達から嫌われてたしね。主に横柄で。」
「…そっか…
…そ、それで、お父さんお母さんは何か言ってた…かな…?
一応私も…押し付けに…加担した訳だし…」
クロラは目を伏せて隣に座る2人に確認を取る。
よく見るとクロラの体は少し震えていた。
無理も無い事だ、未遂とはいえ犯罪に加担した事が友人のみならず両親にも知れてしまったのだから。
「なんでも、押し付けを受けた新人冒険者の子がクロラの事を許してて、刑罰の類を不問にしたんだって。
このご時世に珍しい子よね。」
「だから諜報部の人も、『もし娘さんが村に帰ってきても安心して迎えて下さい。』って言ってて、それを聞いてクロラの両親もホッと胸を撫で下ろしてたよ。」
「そう…なんだ…」ホッ。
クロラも胸を撫で下ろす。
「それと聞いたよクロラ。
押し付けを許してくれた子に命まで助けられたらしいじゃん。」
「相手は対上級冒険者クラスのモンスターだったらしいじゃん。
よく無事だったね。」
「う、うん…」
「それに何だって、クロラァ。
その子にデレデレな感じらしいじゃない。
二度も助けられて運命感じちゃった感じ?」
「良いなぁ、私もそんな運命的な出逢いしたいよ。」
「そ、そんなデレデレなんて…(照)」
(((デレデレなんだよなぁ…)))ズゴゴ…
同郷3人の話を端で聞いていたポーラ、ロゼ、ジェイルの3人は、心の中でツッコミつつシェイクを啜っていた。
すると
「おや、皆さんお揃いで。
良ければご一緒しても良いですか?」
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