ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~【勇者】アーク・ダンジョン『時の迷宮』~

討伐とお願い

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ガルッ!「クロラ!(ハクア)」

ワゥッ!「大丈夫!?(ユカリ)」

「皆さん、クロラさんの事お願いします。」

「「う、うん…」」


クロラを抱き抱えたノアの元に、ドルフとガルフに跨がったハクアとユカリがやって来た。

直ぐ様2人にクロラを任せ、再び『超沈鮟皇』に向き直る。


バチンッ!シュリィン…

「直ぐに終わらせます。」ダッ!


腰から直剣と刀を抜いたノアは、一目散に『超沈鮟皇』へと駆けていった。






ブチンッ!グロロロロロロロロロッ!!!

ドシュッ!ドドドドドドドドッ!


ノアが直剣を投げて縫い付けられていた舌を無理矢理引き千切った『超沈鮟皇』は怒りの咆哮を上げながらノアへ向けて水球を一斉発射。


ザザザザザッ!ザザッ!


ノアはそれを、高速移動で回避したり、身を捩ったり、首を傾けたり、荒鬼神ノ化身を用いて逸らしたりして全弾を回避。

ちなみに、荒鬼神ノ化身で逸らした場合、武器の効果で魔力を吸収され、速力は即座に落ち、ただの水と化した。


グロロォオオッ!ズドンッ!

「!」


尚も向かって来るノアへ向け咆哮を上げた『超沈鮟皇』は、大きく跳躍し、大きな口を更に大きく広げてノアへ狙いを定めて落下してくる。


「あの質量であれは危険だ!ノア君逃げるんだ!(ユカリ)」


と、ユカリが声を掛けるもノアは動かず寧ろ『超沈鮟皇』の落下地点で刀を鞘に仕舞い、待機していた。


ゴォオオオオオッ!

(<渾身><抜刀術><洗練された手業>を発動!)

ドゴンッ!


地面にハンマーを叩き付けたかの様な音と共に、ノアがその場から消えた。


ツプッ…

ズドォオオンッ…


『超沈鮟皇』は大口を開けたまま地面に落下し、そのまま動かなくなった。


「…え?ノア君は…?(ハクア)」
「…消えちゃったけど…終わったの…?(ユカリ)」

「…2人共、あそこ…(クロラ)」


ハクアとユカリは、キョロキョロと周りを見渡すが、ノアの姿は無い。
が、クロラが『超沈鮟皇』の上を指差すと、大木の枝に、刀を持ったノアがぶら下がっていた。




ズシャッ!

「っと…」

トテテ…

「ノ、ノア君、今何やったの?
『超沈鮟皇』ピクリとも動かなくなっちゃったけど…(ハクア)」

「あー、切れ味良過ぎて両断されて無いみたいですね『ツンツン…ベロンッ!』ほら。」

「「おわっ!?(ハクア、ユカリ)」」


地面に降りてきたノアに何をやったのか聞く2人。
するとノアは、徐に刀で『超沈鮟皇』の頭部を小突くと、ズルリと剥がれて地面に落ちた。


「表面が滑り易かったので、剣速を上げてぶった斬りました。」

「おーい大丈夫かー?(ジェイル)」

「…っと、皆来ましたし、他にもモンスター居たみたいですが、今ので下がっていったので一度村に戻りましょうか。」

「「う、うん…(ハクア、ユカリ)」」


ノアは仕留めた『超沈鮟皇』の死体をアイテムボックスに仕舞った後、クロラの無事と『超沈鮟皇』の討伐をジェイル達に報告する為に駆けていった。





「…ねぇ、クロラ。
今みたいな感じで前も助けて貰ったの…?(ハクア)」

「え?…うん、そうだよ…?(クロラ)」

「今みたいに、事も無げに颯爽と?(ユカリ)」

「そうだけど…2人共どうしたの?(クロラ)」


ノアの後ろ姿を暫し見詰めていたハクアとユカリが、徐にクロラに問い掛けてきた。
2人からの不意な質問に首を傾げるクロラ。


「うーん、こりゃ確かにクロラが惚れちゃうのも分かるわ…(ハクア)」

「え!?ちょ、ハク「颯爽とやって来てあっという間にモンスター倒しちゃうし、それを誇示する事もせず、自分の事より助けた相手の事をいの一番に気遣ってくれる…
うーん、120クロラポイント。(ユカリ)」

「ほあっ!?な、何!?そのポイント!?(クロラ)」



『クロラポイント』…クロラの両親(というか完全に父親)が勝手に決めた指標。
故にクロラ本人も勿論知らない。

大事な大事な娘と付き合うのに足る男であるかどうかを測るモノで、ハクアとユカリが村を旅立つ2分前に決めたものである。

ポイントの裁量は2人のさじ加減である。



「さっきのアレ見た?ユカリ。
年下の男の子に助けられてお姫様抱っこされた時のクロラの顔!(ハクア)」

「見た見た。
あの時のクロラの顔はもう完落ちですわ!(ユカリ)」

ワゥ…。ガルル…。

「んもぅ、い、良いから早く皆の所戻ろ!
ドルフちゃんとガルフちゃんも困ってるでしょ!(クロラ)」


同郷の2人に茶化され顔を真っ赤にしたクロラは、ハクアの従魔であるドルフ、ガルフを引き合いに出し、無理矢理話を切り上げようとした。

だが結局村に帰るまでの間、茶化されるクロラなのであった。







~村中央の広場~


ズズン…

「「「「「おおお…」」」」」

「こんなデカいモンスターが村の奥に…?」

「サイズまでは分かりませんでしたが、村の奥にまだまだモンスターは居る様です。
ですがコレよりは小型で、危険度も下のモノでしたから今日動く事は無いかと。
念の為、警戒はしますがね。」


村中央の広場に戻ってきたノア達は、一先ず『超沈鮟皇』を村の住人に見せる。
現物を見せた目的として、村の子供達が面白がって奥に行かない様にする為である。

死体とは言え、パカッと見開かれた『超沈鮟皇』の眼を見た子供達は恐怖し、親御さんに抱き付いていた。


(魚の目って怖いって言う人居るしね。)

「それでヴァンディットさん、クロラさんの方はどうでしょうか?」

「受け身を取っていたお陰で、打ち身と軽い打撲で済んでおります。
少し安静にしていれば大丈夫でしょう。」

「分かりました。
という訳でクロラさん、少し安静にしてて下さいね。」

「はい…(クロラ)」


と、クロラの容体確認をしていると、村の入口辺りから騎士鎧の集団が近付いて来た。


ガシャガシャ…

「野盗捕獲の報告があって来ました!
この村の村長さんは…って、あれ?ノア殿?」

「あ、ハウンドさん、お疲れ様です。」


野盗50人の捕縛と聞いて10名程の騎士鎧姿の獣人を引き連れてきたのは、前日に『時の迷宮』で共に活動していたハウンドであった。

何でも、連日の業務で流石に休みを取ったらしく、代わりにハウンドが担当する事になったと言う。


「って、うわっ!?何でこんな所に『超沈鮟皇』が!?(ハウンド)」

「凄…頭部がバックリよ…(騎士1)」
「ホント、一撃で仕留めてる…(騎士2)」


一先ずハウンドには依頼の事を話し、この村で起こった事を話す事に。





「なる程。『森の番人』戦の残党狩りに来たら野盗に出会し、更に村の奥から『超沈鮟皇』が出現した訳ですか…
団長も言ってましたが、ノア殿の行く先々では必ず何かが起こりますな…」

「意図した訳じゃないけどね。
それよりもハウンドさんにお願いがあるんですけど良いですか?」

「ん?何でしょう。
ある程度の事はお引き受け致しますが…」

「それでは…」


と言う事で、この場に居合わせたハウンドに色々とお願い事をする事にした。
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