ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
604 / 1,127
獣人国編~御前試合の代表決め~

カウントダウン

しおりを挟む
「そう言う事なら好きにやらせて貰うぞ!(ゴフゥ)」ゴゥッ!

「俺らのこの拳が君にどれ程通用するかを見るには良い機会だからなぁっ!(ゴファン)」ゴッ!


そう言い放った直後、2人の全身が煌めくと共に威圧感と力の増幅を感じた。


『『ドンッ!』』

ザッ!「ッラァッ!」ガッ!

ザゥッ!「シッ!」ズムンッ! 


ノアの左右に展開したゴフゥとゴファンは、それぞれ右の拳を顔面に、中段蹴りを鳩尾に叩き込んだ。


「「えっ!?」」


マトモに食らってくれるハズが無いと思い、7割位の力で打ち込んだ2人であったが、本当に反撃すらもせず、諸に食らった為、何故か打ち込んだ本人達が驚いてしまった。


「…っ…ん?今のが本気ですか…?
どうやら様子見で打ち込んだって所ですかね?
良いんですか?後8発ですよ?」

「ぬっ!?」


様子見で打ち込んだ事を1発で見抜かれたゴフゥは僅かにたじろぐ。

するとゴファンが前に出て


「本当に避けも、反撃もしないみたいだな…
それじゃあ初っぱなから決めさせて貰うぜ!」

ギュンッ!


ゴファンがノアの前に立ち、腰の付近に″両手″を構え、波動弾を放つ為力を溜め始める。


ィィイイ…

「ノ、ノア様っ!それは無茶です!食らってはいけません!(ヴァモス)」


先程波動弾を食らったヴァモスが観客席からそう呼び掛けるも、ノアに動きはない。
その間もゴファンは力を溜め続ける。
何ならさっきより溜めが長いので、威力を高めているのだろう。


ィィイ″イ″ッ!

「ヴァモス君からも言われてるが、避ける気は無いんだな?(ゴファン)」

「えぇ勿ろ「なら食らぇぃっ!(ゴファン)」バジュゥヴヴヴヴッ!


ノアの返答に食い気味に波動弾をぶっ放すゴファン。
威力に加え、範囲や光量も増大した波動弾はノアの姿をスッポリと覆い隠してしまった。


ジュゥヴヴヴッ…

「最大出力だ、これなら「バトルベアの突進以上ダックス憤怒の突進未満って所か…」んな…っ!?」

ボフッ!

「…全身隈無く衝撃が伝わる感じ…
なる程ね、<苦痛耐性>持っててもそれなりにダメージ来るなぁ…
まぁでも予想の範囲内。」


光の奔流が収まり、波動弾が掻き消えると、先程同様仁王立ちのノアがそこに居た。
眉が少し下がった程度でそれ以外に表情に変化無し。


「「「「「「「えぇ…(観客)」」」」」」」


″『ああっとっ!超犀野人2の十八番である波動弾を諸に食らったにも関わらず、【鬼神】に一切ダメージが入っていない様子!
お聞き下さい!先程まで騒がしかった観客が次々と押し黙っていってます!』″


この闘技場に居る観客の多くはトーナメント戦を幾つも見ており、その中には超犀野人2の戦いを見た者も数多く居る。

彼等が波動弾を放つ度に対戦者は倒れていく様を見ている為、ノアの反応はあり得ないとばかりに皆閉口しているのである。


「くっ、くっくっく…
それでこそ俺達が求めてた【鬼神】だぜ…(ゴフゥ)」

「これでコチラの飛び道具が通用しなくなっちまった…
俺達は【波動″拳士″】だ、やはり残された武器は己の四肢って訳だ。(ゴファン)」


この状況に、超犀野人2の2人は意気消沈するかと思ったが、笑顔を見せ、逆に意気を高揚とさせていた。


「行くぜぇっ!」ドンッ!
「ッラァアッ!」ダンッ!

ズムンッ!ドゴォッ!


咆哮を上げて急速接近を開始した2人は、ほぼ同時にフルスイングの拳をノアの胴体に叩き込む。


ズグッ…

「シッ!」ズドォッ!
「ッシャァアアアアッ!」ドゴォンッ!

「っ…」ズザザッ!


ゴフゥが中段蹴りを打ち込み、ゴファンが<渾身>を乗せた後ろ回し蹴りを繰り出すと、流石のノアもたたらを踏み、後退する。

と、残り3発となった所でノアに変化が現れた。


ズズズ…


″『あ…ああああっ!?
【鬼神】の体から靄の様な赤黒いオーラが立ち昇り始めました!
恐らく提示した10発が終了した瞬間から攻撃を開始する為の準備でありましょう!』″


「お、おいアレ…(ゴフゥ)」

「あぁ、いよいよ始まるみてぇだ、なっとぉ!(ゴファン)」ダッ!


ノアに変化が起こったのも厭わず、ゴファンはその場から跳躍し、ノアの頭上に移動。


グォオオッ!

「ッリャァアッ!」ドゴァッ!

ズズンッ!


300キロ位はあろうゴファンの巨体から繰り出された踵落としがノアの左肩に直撃する。

赤黒いオーラを立ち昇らせたノアは微動だにしなかったが、ノア自身の足下には僅かに陥没が発生していた。


ズズズ…ズル…

『2。』

「「「「「「ひ、ひぇぇぇ…(観客)」」」」」」


赤黒いオーラの噴出が強くなり、肩甲骨の辺りから赤黒い腕が2本追加で生えてくる。
この恐怖のカウントダウンに、観客席の各所から悲鳴の様な物が上がってきていた。


「アアアアアッ!」ゴギンッ!

『1。』

ズズズ…


肩に足が乗ったまま、そこを軸にしてノアの顔側面に蹴りを叩き込むも、ノアのカウントダウンは止まらない。


ストッ。

「オオオオオオオオオッ!」ギィイ″イ″イ″ッ!

「次が最後だゴファン!必ずカウンターが来る!直ぐに逃げられる様にしておけっ!(ゴフゥ)」

「おぅよっ!(ゴファン)」


地面に降り立ったゴファンは即座に腰溜めの体勢になり、拳に力を溜め始めた。
ゴファンの右腕に光が集まって行くと共にドンドンと光量が増していく。

相当量の力を溜めているにも関わらずゴフゥは攻撃後のゴファンの身を案じている。

何せ力を溜め続けているゴファンの目の前に立つノアは、豪豪と赤黒いオーラを立ち昇らせ、赤黒く染まった眼でゴファンを睨み、肩甲骨の辺りから生成した腕を軽く動かし、十指をポキポキと鳴らしながらゴファンの攻撃を今か今かと待ちわびていたのだ。

誰だって不安しか抱かない状況である。

そしていよいよその時が訪れた。


「ッゼェァアッ!」ボッ!

ズゴゴ『ゴッ!』『バガァッ!!』ンッ…


まるでハンマーをフルスイングで振り上げるかの様な動きで、目の前に立つノアの腹部目掛けて力を溜めに溜め、<渾身>に<二連撃>、攻撃力上昇スキル<我武者羅(がむしゃら)>をも乗せた拳を叩き込むゴファン。

ゴフゥから攻撃後直ぐに逃げられる様に、と言われていたが、その姿は防御、回避等をかなぐり捨てた攻撃全振りの姿勢であった。

そして拳を叩き込んだ瞬間、ゴファンの顔面に赤黒い塊が激突。
ゴフゥの言った通りノアからカウンターが飛んで来たのである。
その衝撃は凄まじく、300キロ近いゴファンの巨体が、ノアの目線の高さまで跳ね上がる程であった。


「…っ!?…っ!…っ!?」


ゴファンは自身の身に一瞬何が起こったのか分からず、痛みも忘れて混乱していた。

だが目の前に立つ【鬼神】は、跳ね上がる自分に握手でもするかの様な手の形をさせて近付いてきたのだけは分かった。

しかも生成した左手3本で、である。

その動作で余計にゴファンは混乱してしまい、その動きの意味を知ったのはぶっ飛ばされた後の事であった。


『<発勁>。』

『『『パガァッ!』』』

「っ!?…っ!?」…ゥウ…ダガンッ!

「がっ!?」


予備動作が一切無い<発勁>がゴファンの腹部に3発全弾が命中。
まるで、射出された大砲の様にぶっ飛ばされたゴファンは、観客席との仕切りに激突するのであった。
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

精霊に愛された錬金術師、チートすぎてもはや無敵!?

あーもんど
ファンタジー
精霊の愛し子で、帝国唯一の錬金術師である公爵令嬢プリシラ。 彼女は今日もマイペースに、精霊達と楽しくモノ作りに励む。 ときどき、悪人を断罪したり人々を救ったりしながら。 ◆小説家になろう様にて、先行公開中◆ ◆三人称視点で本格的に書くのは初めてなので、温かい目で見守っていただけますと幸いです◆

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

異世界配信中。幼馴染みに捨てられた俺に、神々(視聴者)がコメントしてくるんだが。

葉月
ファンタジー
コルネ村で、幼なじみであり恋人でもあったユリアナと、ささやかな幸福を分かち合って生きていたロイド。 だがある日、ユリアナは女神の愛子として目覚め、国王の命により王都へと連れ去られる。 突然、日常を奪われ、運命に引き裂かれたロイドは、抗う術も持たぬまま、否応なく大きな流れへと呑み込まれていく。 これは、奪われたものを取り戻すため、そして理不尽な運命に抗おうとする、一人の少年の物語である。

我らダンジョン攻略部〜もしも現実世界にダンジョンができて、先行者利益を獲得できたとしたら〜

一日千秋
ファンタジー
昨今、話題の現実にダンジョンができる系の作品です。 高校生達のダンジョン攻略と日常の学校生活、ビジネス活動を書いていきます。 舞台は2025年、 高校2年生の主人公の千夏将人(チナツマサト)は 異世界漫画研究部の部長をしています。 同じ部活の友人たちとある日突然できたダンジョンに できてすぐ侵入します。 オタクは知っている、ダンジョンには先行者利益があることを。 そして、得たスキルでこつこつダンジョンを攻略していき、日本で影響力をつけていった先に待ち受ける困難とは!? ダンジョンの設定はステータス、レベル、スキルあり、ダンジョン内のモンスターの死体はしっかり消えます。 一話につき1000〜2500文字くらいの読みやすい量になっているので初心者には読みやすい仕様になっております。 キャラクターはところどころ新キャラが出てきますがメインストーリーは主に3人なので複雑になりすぎないように心がけています。 「いいね」頂けるととても嬉しいです! 「お気に入り」登録も最高に嬉しいです! よろしくお願いします! ※契約書、経済システムの書式、掲示板テンプレはAI生成を活用して制作しております。修正、加筆は行っております。ご了承下さい。

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

処理中です...