ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

誤解

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「私達の場合、召喚と言う手順を踏んでこの世界に来た訳ではなく、気が付いたらこの世界に来ていたし、向こうで身に付けていた技術を生かして来たから特段困る様な事は無かったよ。(アルキラー)」

「ユウ君、だっけ?
君の【適正】を教えて貰っても良いかな~?(バラス)」

「あ、実はまだ適正の儀を受けてなくて…(悠)」

「ユウはヒュマノから追い出された後、商人の荷馬車へ忍び込んで点々と移動し、ドワーフの国の近くで行き倒れたんだとよ。(ルド)」

「儂らん所の国はそこそこ大きな国じゃが、適正の儀を行える様な教会なんぞあらんからな。(バド)」

「であれば早々に適正の儀を受けて自分の適正を知っていた方が良い。
単純に選択肢が増えるからね。(アルキラー)」

「なら後でユウを教会へ連れていって【適正】を調べてきてやろう。
いいな?ユウ。(ロイ)」

「あ、はい!(悠)」


という訳で、今の今まで自身の適正を知らなかった悠は、後程ドワーフ達と共に教会へ行き、適正の儀を受けに行く事が決まった。





「さてユウ君突然だが、この世界で上手く生き抜いていく為には大まかに何が必要か分かるかな?(アルキラー)」

「え…?…サバイバル力とか臨機応変さ、資金力…とかですか…?(悠)」

「うーん、それもあるけど、大まかに言うと″武力″、″人脈″、″頭脳″のどれか1つでも有している事だな。
しかもそれ全ての頭に″圧倒的な″が付くけどね。
私達やノア君の場合は″武力″と″人脈″、私達は″裏の″で、ノア君は″表の″だけどね。(アルキラー)」

「だけどユウ君の場合、今の所どれも無い、もしくは合っても弱い部類でしかない。
が、逆を言えば″どうにでもなる″立ち位置ではあるからそこまで難しい話にはならないかしらね。(バラス)」

「ほ、本当ですか!?(悠)」


先程ノアが言っていた様なヒュマノ側からの追っ手や諜報部の様な類の連中が居なければ特段問題は無い。




「「だけど問題はミユキちゃんの方だね。(バラス、アルキラー)」」

「…っ、はい…(悠)」


やはりか、と言った様子の悠は黙って2人の話を聞く事にした。


「何せ悪名高いヒュマノに【勇者】として召喚され、しかも内外にその名を広められてしまったのだもの。(バラス)」

「唯一の救いは″名だけ″が広まっている、という事だな。
こちらの世界にはテレビやSNSなんて物が無いからその点に関しては都合が良い。(アルキラー)」

(((((てれび…?えすえぬえす…?(一同))))))

「この世界でミユキちゃんが平穏無事に暮らしていくとなれば、彼女がこの世界に来てからのありとあらゆる情報を「あ、アルキラーさん、その辺りは王都の諜報部の人に相談してみるので…」む、そうか。
まぁ今現在のヒュマノは国としての機能が止まっている状態だから、今すぐどうこうなるとは考え難い。
その間に先程言った三要素のどれか1つでも整えておいた方が良いぞ。(アルキラー)」

「は、はい。(悠)」


今この場であれやこれや言っても仕方が無いと思ったのか、アルキラーは手短に話すだけに留めた。


「それでもし君の行く手を阻む者が居たり、都合の悪い者が居たら言ってくれたら始末してやろう。
同じ世界の者同士だ。3人までなら無償で引き受けてやるぞ?(アルキラー)」

「そ、そうならない様に努力します…(悠)」

「ふふ、ジョークだって、ジョーク。
君はもう少し肩の力を抜くと良いよ~、ほらリラックス、リラーックス。(バラス)」

「バラスは抜き過ぎだ。(アルキラー)」

「え~、アル君手厳しい~。(バラス)」

「アル君言うな。(アルキラー)」





「ま、何はともあれ取り敢えずユウの【適正】を見てくるわ。(バド)」

「どのみち今からでは何も出来んしの。(ルド)」

「もし分かったら教えるけんの。(ロイ)」

「えぇ、分かりました。」


一先ず話を終えた一同。
ドワーフ達は悠の【適正】を調べに獣人国の教会へ向かい、エスメラルダは取り敢えず街をぶらつくとの事。

バラスとアルキラーの2人はノアの下で別件の報告がある為、残る事となった。


「すいません、こんな事で呼び出してしまって…」

「いや、構わないよ。
丁度例の【勇者】アークに関する報告もあったしね。(アルキラー)」

「ちなみにアークの方は片付きそうですか?」

「あぁ、長期間洗脳させられていたからか、頭の中に言い逃れ出来ないレベルでくっきりと術式が残されていた。
その術式を仕掛けた者も大方目星は付いていて、ノア君の方も大体想像出来ているだろうが、【勇者】アークの故郷イグレージャ・オシデンタルに居を構える貴族とその一派だったよ。(アルキラー)」

「あの国は【勇者】と【聖女】の二大派閥で成り上がった国だから色々と脆弱なんだよねぇ~。(バラス)」

「じゃあ後はその情報をイグレージャ・オシデンタルに伝えれば…」

「「その必要は無いよ。
イグレージャ・オシデンタルには″数日後、泣き叫びながら自分達の行いを自供し出す″とだけ伝えておいたから。(バラス、アルキラー)」」

「ちょ!?ちょっと2人共!?一体何をやったんです!?」

「「企業秘密になるのでお答え出来ません。(バラス、アルキラー)」」

「えっ!?ちょっ、怖い!ねぇ一体何やったんですかぁっ!?」


数日後、イグレージャ・オシデンタル国内にて耳から血を流し、石畳に頭を打ち付けつつ、泣きながら懺悔の言葉を叫ぶ十数名の貴族が現れたと言う。

その貴族達を捕らえた者達は口々に呟いていた。″彼らの頭の中で何かが蠢いていた″、と。






~ノアが手紙を出してから半日後~ 


「″ナサケ″様~。ノア様からお手紙ですよ~。」

「こら″調″、外でその名を呼ぶなと言ったじゃないですか。」

「も、申し訳ありません。」

「…全く…
まぁ良いです、今後気を付けて下さいね。
それで、そちらが私宛の手紙ですか。
″調″、中は見ましたか?」

「いえ、全く。」

「彼から手紙とはまた珍しいですねぇ。
どれどれ…」ガサガサ… 


″『人の存在の消し方を教えて下さい。』″


「「んなっ!?」」

「ナ、ナサ…じゃない!局長!
こ、これ非常にマズイ手紙なんじゃないですか!?
ノア様が遂に人殺しに手を出すかも知れませんよ!」

「落ち着きなさい″調″。
こうして手紙を出してくる位ですからまだ行っていない証拠でもあります。
確か彼は獣人国に居るのでしたね。
兎に角真意を探りに獣人国へ向かうとしましょう。」

「は、はい!」
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