ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

男2人、人気の無い通り、何も起きないハズがなく…

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~獣人国から東に3キロメル地点~ 


「ゴメンね~ムッ君、こんな所まで来て貰って。(【男色家】ゲイリー)」

「本当だよ…人通りの全くない夜道をお前と2人っきりとか、何か起きそうでヒヤヒヤものだぜ…(【無手】の傭兵ムツキ)」

「起こそうか?ハァハァ…(ゲイリー)」 

「起こすな!そして息を荒げるな!(ムツキ)」


現在時刻で言えば夜の10時頃。
【男色家】のゲイリーと【無手】のムツキは、今となっては人通りの全く無くなった通りを2人で歩いていた。

後方には夜でもはっきり分かる程煌々と光輝く獣人国が見え、彼等の視線の先には、廃墟もかくや、しんと静まり返り、ポツポツと僅かな明かりが灯るヒュマノ聖王国が見えていた。

この2人が何故こんな人気の無い通りを歩いているかと言うと


「仕方無いでしょ、獣人国には感知系スキルカンストの【神出弓士】と個人要塞の異名を持つ【殲滅剣士】、若き英雄【鬼神】が揃ってるんだもの、迂闊な事は喋れないわよ。(ゲイリー)」

「確かにな。
それよりもゲイリーよ、実際に彼に当たってみた感想はどうだ?(ムツキ)」

「もぅ最高よ。
力強さの中に年相応の無邪気さを持ってて、終始私のおにんに「お前の癖に刺さったかどうかを聞いてんじゃねぇんだよ!
近年″デモニオ″周辺に出現している″魔物″を討伐出来るだけの人材か、と聞いているんだ!(ムツキ)」



デモニオ…大陸の北西部にある強国。 
強国たる由縁は、近郊にある霊峰から竜や巨獣が頻繁に訪れ、国の北部にある深さ1000メル以上とも言われるシンクホールから″魔物″が湧く為と言われている。

過去には多くの最上級・上級冒険者を輩出していたが、ここ数年モンスターや魔物の出現が減少傾向にあった為束の間の安寧を送っていた。

だが近年再びの増加傾向にあり、″第2のフリアダビア″になるのでは、と危ぶまれている。



「俺らが【鬼神】の殺害依頼にかこつけてこの地にやって来たのは、″フリアダビア前哨基地にて戦果を挙げた強者″が数多く訪れているからだろう?(ムツキ)」

「【技士】のドワーフ3人、【暗殺】のバラス、アルキラー夫妻、【鬼神】のノア。
現在行方不明中の【召喚勇者】が居ればと思ったけど、やっぱり不在だったな。
元々のこの世界の【勇者】アークが居たのには驚いたが、あれは実力的に中級冒険者程度しか無く、どのみち論外ね。
【神出弓士】と【殲滅剣士】は流石に想定外だったわ。(ゲイリー)」

「で、お前の目から見てデモニオで通用しそうな者は居たか?
言っておくが、必要なのは″強者″だが、もっと言えば″過剰戦力″だ。(ムツキ)」

「それであればやはり【鬼神】を筆頭に【神出弓士】と【殲滅剣士】の3人だけね。
【神出弓士】と【殲滅剣士】は過去にデモニオで魔物の群れを屠った記録があるから文句は無いけど、【鬼神】に関しては噂以上の戦力を持っているのは確かみたいだし、彼にはもっと特別な″何か″を感じるわ。(ゲイリー)」

「″何か″って何だ?(ムツキ)」


と、ムツキが問うとゲイリーはその場で立ち止まった。


「ねぇムッ君、1月程前に傭兵ギルドに来た″謎の依頼″を覚えてるかしら?(ゲイリー)」

「″謎の依頼″?
あぁ、【正義賊】のシュルトが受けた特定の適正のみ受注可能で、依頼主不明。
報酬無しな上に他言無用等と言う訳の分からん依頼の事だな?
戻って来たシュルトにどんな依頼だったか聞いたが話してくれなかったな。(ムツキ)」

「そうそれ。
ちなみにその依頼が出た後に何か大きな事件が無かった?(ゲイリー)」


と言いつつ視線をヒュマノへと向けるゲイリー。


「え?まさかヒュマノが現状、国としての機能を失っているのはそれが関係してると言いたいのか?(ムツキ)」

「可能性の話だけど、それはあくまで結果としてそうなったって話で、原因は他にあるでしょう?(ゲイリー)」

「ヒュマノが主戦力としていた奴隷、しかも子供の獣人奴隷が一夜にして忽然と姿を消したんだっけか?
確か未だに全員消息不明だとか…(ムツキ)」

「そう。
俺の調べではざっと4000人位は居たハズだが、そんな人数が痕跡も残さず忽然と姿を消すとは普通に考えて不可能。
そこで俺は無い頭を働かせて考えてみたの。
どうやったらそんな芸当が出来るかな、ってね。
そぉしたらここに行き着いたの。(ゲイリー)」


不敵な笑みを浮かべたゲイリーは、ヒュマノと獣人国との中間地点に位置するスロア領を指差す。


「1ヶ月と少し前、元々のここの領主であったコモン・スロアがそれはまぁ大層な事件を起こした。
何なら息子のデミ・スロアは【鬼神】相手に試合を吹っ掛けたりしているの。
まぁ結果は御存知の通りでしょうけどね。(ゲイリー)」

「あぁ、知ってる知ってる。
何でも″造魔核″等と言う物を製造して、最終的には自分にも使用。
息子の方のは、ほぼ一方的に試合を言い渡して完膚なきまでにぶっ潰されたんだったな。(ムツキ)」

「そ。その一件でこのスロア領の領主とヒュマノとの関係性が露呈。
どうやったって獣人国と良好な関係を築ける訳が無いのだけど、つい最近獣人国と新領主との間で友好条約が締結されたわ。(ゲイリー)」

「一部では【鬼神】が双方の仲を取り持った、なんて噂が流れてるな。(ムツキ)」

「ちなみに俺は、噂では本当の事だと思っているわ。(ゲイリー)」

「ほぅ、それは何でまた?(ムツキ)」

「それは「そこからは私が話そう。(ナサケ)」

「「っ!?(ゲイリーとムツキ)」」


話し合いを続けている2人の背後から声が掛かる。
咄嗟に振り返ると、そこには黒い装束を身に纏った王都の諜報員のナサケが立っていた。


「どうやら既に勘づいている様だね?(ナサケ)」

「王都の諜報部員の御出座しかよ…(ムツキ)」

「これら一連の出来事には【鬼神】が絡んでいる…
あくまで可能性の話だったけど、貴方が来た事で確信に変わったわ。(ゲイリー)」

「なに、あなた方は信用に足ると分かって姿を現したまで。
それにあなた方の国の事情を鑑みるに、彼等の様な過剰戦力を欲するいうのも頷ける。
ただ今暫くはここでの事は他言無用でお願いしたいな。(ナサケ)」

「当たり前よ。
このスロア領、一見何も感じられないけど【男色家】としての私の適正が言っている。
″このスロア領内から獣人の″男の子″がたっぷり居る″とね。(ゲイリー)」

「え!?ちょ、マジか!?(ムツキ)」


自信満々にスロア領の方を指差し、そう言い放つゲイリー。
ムツキは気付かなかったのか、とても驚いていた。
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