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獣人国編~御前試合の代表決め~
ご挨拶
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~大通り~
ザワ…ザワザワ…
「ね、ねぇノア君、皆見てるよ…もしかして似合ってないんじゃないかな…?(クロラ)」
「そんな事ありませんよ。
似合っているのは勿論、綺麗格好良いですし、しっかり可愛いですよ。」
「え、へ…ふひぃ…(クロラ)」
「クロラがべた褒めされ過ぎて変な笑い声になってるわよ。(ポーラ)」
三途リバーにザリガニ捕りに行こうとしていたノアを引っ張って街へと出てきた一行だが、海洋種製のバトルドレスとあって直ぐに周りから注目の的となってしまった。
ちなみにミダレの事は宿のおばちゃんにお願いしてあるのでご安心を。
バトルドレスを構成しているのは、通常のスケイルメイルよりも光沢のある海洋モンスターの鱗を使用している為、僅かな動作で靡くドレスは、まるで陽に照らされた水面を思わせる輝きを放っていた。
その輝きは、獣人国を訪れている貴族の目敏いご令嬢の目に直ぐ止まる事となり
タタタ…
「あ、あの貴女方?
その御召し物は一体何処で繕って貰った物なのですか?」
「その美しい輝きのドレスを是非とも入手したく…」
「「ふぇ!?(ポーラとクロラ)」」
と、目を爛々と輝かせたご令嬢方に詰め寄られ、素頓狂な声をあげていると
スッ…
「恐れ入ります、これらのドレスは私共の主より海洋種の方から贈呈された数少ない品となります。
現在入手は難しく、早くとも式典以降となりますのでご理解の程を。(ヴァンディット)」
「「は、はい…」」
普段とは違い、黒のラインが入った深紅のドレスを纏うヴァンディットは、長い銀髪を靡かせ、日除け用の黒いベールから顔を覗かせてご令嬢方に恭しく頭を下げた。
その品位ある所作と風格に、ドレスの事で頭が一杯だったご令嬢方は思わずたじろいでしまった。
「さ、流石ヴァンディットさん…(クロラ)」
「着慣れている人はやっぱり違うわね…(ポーラ)」
と、2人が感心していると
『『ペチッ。』』
「「ひゃっ!?」」
「背筋を伸ばして胸を張りましょう。
案外こういうのは堂々としていれば何て事無いものです。
ジロジロ見てくる人に対しては、「何か?」とでも言いたげな雰囲気を醸し出すと良いですよ?(ラインハード)」
「「は、はい…」」
(見た目は少女だけど流石は元女王。
人前に出る時の心構えを分かってらっしゃる。)
クロラとポーラの背中を軽く叩き姿勢を整える様に言うラインハード。
少女型の外見ながら、ヴァンディットと同じくドレス姿が堂に入っていた。
するとそこに
「やぁ【鬼神】のノア君。
それと従者のヴァンディットさんにラインハードさん。ガールフレンドのクロラさんにポーラさんご機嫌よう。(ジョー)」
「素敵な御召し物をノア君から贈られた様ですな。(ロスト)」
「「あ、ジョーさんこんにちわ。(クロラとポーラ)」」
ペコッ。(ラインハード)
「バルディック・ロスト様、ご機嫌よう御座います。(ヴァンディット)」
通りの奥から親しげに声を掛けてきたのは、バルディック・ロストを引き連れてきたジョーであった。
1人1人名を呼び、ノアに関しては二つ名を付けた上で関係性を示しているのは、恐らく周りに居る貴族に対する配慮だろう。
【鬼神】といえば″黒い二刀の少年″というのが世間での認識の為、今自分達の目の前に居るのが″現在のノア″であると再認識させている。
それと共に、自身とノア、その従者やガールフレンドの2人含めて交遊関係を持っているから″変な事は考えるなよ?″と周囲に知らしめている、とノアは考察した。
実際ノアの<聞き耳>には、周囲に居る貴族から<あれが【鬼神】!?>とか<噂と違うぞ!>等、口々に漏らしている者も居た為、事前に面倒事を潰してくれたのやも知れない。
「ジョー殿、少し失礼しますぞ。(ロスト)」
するとジョーの後ろに居たバルディック・ロストがノアの前にやって来て
「やぁノア殿、此度はゴーマンが暴走し、止める事が出来ず申し訳無かった。(ロスト)」
「いえいえ、ゴーマン男爵の執事さんが僕1人を対象にしてくれたので人的被害が出ませんでしたし、″あの程度″フリアダビアやアルバラストに比べれば何て事無いので気にしないで下さい。」
『『『ザワザワ…』』』
ノアにゴーマン男爵から最後の悪足掻きとして″殺害依頼″が出されていた事は、既に周囲の貴族達の耳に入っていたが、それを″あの程度″の一言で済ませた為ざわつく周囲。
「そう言って頂くと安心出来ます。
本当は色々と話したい事はありますが、ノア殿に挨拶したい者達が居られる様なので今回はここまでに致しましょう。(ロスト)」
「え?挨拶?」
「ノア君、君は社交界に出た事は無いだろうけど、そういった場では縁を持ちたくて挨拶回りに来る者も居るんだよ?
ちなみに君、クリスタルブルーの中級冒険者だから一応″男爵″クラスに該当するからね。(ジョー)」
バルディック・ロストの後ろを見てみると、幾人かの貴族が並んで連なっていた。
というか、手前に居る貴族は見覚えのある父娘の2人組であった。
「…やぁノア殿…先日は息子がとんでも無い事を仕出かしてしまい申し訳無かった…(ルルイエ)」
「兄がすいませんでした…(ミミカ)」
「あ、アルバラストでの…
いやいや、僕も半ばムキになって八つ当たりした所もあったので、良いストレス解消になりましたよ。」
「そ、そうなのですか…?(ミミカ)」
「息子はあの後自領に戻し、一般兵士と一緒に性根を鍛え直している。
行動力は大したものだが、しょうも無い事で腹立てられては次期領主など任せられんからな…(ルルイエ)」
~クロラ達サイド~
「ねぇねぇクロラさん、ノア君とあちらの貴族さんは何かあったのですか?(ラインハード)」
「そっか、ラインハードさんは知らなくて当たり前だね。
簡単に言うと、あちらのお嬢さんからの婚求を断った腹いせで、彼女のお兄さんがアルバラストで″ノア君討伐依頼″を出したのよ。(クロラ)」
「…何かノア君ってそんな事ばかり遭遇してない?(ラインハード)」
※そんな事ばかりです。
「そうですか、彼の処遇についてこちらからとやかく言う事はありません。
それよりも、僕に何か話したい事があるのでわ?」
「「え?」」
「盗み聞きするつもりは無かったのですが、さっきジョーさんと話している内容が少し耳に入りまして…」
「…で、あれば話が早い。
単刀直入に言おう、我が隣領にて3ヶ月~半年以内に発生すると予想される″大規模氾濫″に是非とも参加して貰いたいのだ。(ルルイエ)」
「良いですよ。」
「過去に類を見ない程の規模が予想される故、よく考えてから…(ルルイエ)」
「「え、軽っ!?」」
ノア、″大規模氾濫″参加決定。
ザワ…ザワザワ…
「ね、ねぇノア君、皆見てるよ…もしかして似合ってないんじゃないかな…?(クロラ)」
「そんな事ありませんよ。
似合っているのは勿論、綺麗格好良いですし、しっかり可愛いですよ。」
「え、へ…ふひぃ…(クロラ)」
「クロラがべた褒めされ過ぎて変な笑い声になってるわよ。(ポーラ)」
三途リバーにザリガニ捕りに行こうとしていたノアを引っ張って街へと出てきた一行だが、海洋種製のバトルドレスとあって直ぐに周りから注目の的となってしまった。
ちなみにミダレの事は宿のおばちゃんにお願いしてあるのでご安心を。
バトルドレスを構成しているのは、通常のスケイルメイルよりも光沢のある海洋モンスターの鱗を使用している為、僅かな動作で靡くドレスは、まるで陽に照らされた水面を思わせる輝きを放っていた。
その輝きは、獣人国を訪れている貴族の目敏いご令嬢の目に直ぐ止まる事となり
タタタ…
「あ、あの貴女方?
その御召し物は一体何処で繕って貰った物なのですか?」
「その美しい輝きのドレスを是非とも入手したく…」
「「ふぇ!?(ポーラとクロラ)」」
と、目を爛々と輝かせたご令嬢方に詰め寄られ、素頓狂な声をあげていると
スッ…
「恐れ入ります、これらのドレスは私共の主より海洋種の方から贈呈された数少ない品となります。
現在入手は難しく、早くとも式典以降となりますのでご理解の程を。(ヴァンディット)」
「「は、はい…」」
普段とは違い、黒のラインが入った深紅のドレスを纏うヴァンディットは、長い銀髪を靡かせ、日除け用の黒いベールから顔を覗かせてご令嬢方に恭しく頭を下げた。
その品位ある所作と風格に、ドレスの事で頭が一杯だったご令嬢方は思わずたじろいでしまった。
「さ、流石ヴァンディットさん…(クロラ)」
「着慣れている人はやっぱり違うわね…(ポーラ)」
と、2人が感心していると
『『ペチッ。』』
「「ひゃっ!?」」
「背筋を伸ばして胸を張りましょう。
案外こういうのは堂々としていれば何て事無いものです。
ジロジロ見てくる人に対しては、「何か?」とでも言いたげな雰囲気を醸し出すと良いですよ?(ラインハード)」
「「は、はい…」」
(見た目は少女だけど流石は元女王。
人前に出る時の心構えを分かってらっしゃる。)
クロラとポーラの背中を軽く叩き姿勢を整える様に言うラインハード。
少女型の外見ながら、ヴァンディットと同じくドレス姿が堂に入っていた。
するとそこに
「やぁ【鬼神】のノア君。
それと従者のヴァンディットさんにラインハードさん。ガールフレンドのクロラさんにポーラさんご機嫌よう。(ジョー)」
「素敵な御召し物をノア君から贈られた様ですな。(ロスト)」
「「あ、ジョーさんこんにちわ。(クロラとポーラ)」」
ペコッ。(ラインハード)
「バルディック・ロスト様、ご機嫌よう御座います。(ヴァンディット)」
通りの奥から親しげに声を掛けてきたのは、バルディック・ロストを引き連れてきたジョーであった。
1人1人名を呼び、ノアに関しては二つ名を付けた上で関係性を示しているのは、恐らく周りに居る貴族に対する配慮だろう。
【鬼神】といえば″黒い二刀の少年″というのが世間での認識の為、今自分達の目の前に居るのが″現在のノア″であると再認識させている。
それと共に、自身とノア、その従者やガールフレンドの2人含めて交遊関係を持っているから″変な事は考えるなよ?″と周囲に知らしめている、とノアは考察した。
実際ノアの<聞き耳>には、周囲に居る貴族から<あれが【鬼神】!?>とか<噂と違うぞ!>等、口々に漏らしている者も居た為、事前に面倒事を潰してくれたのやも知れない。
「ジョー殿、少し失礼しますぞ。(ロスト)」
するとジョーの後ろに居たバルディック・ロストがノアの前にやって来て
「やぁノア殿、此度はゴーマンが暴走し、止める事が出来ず申し訳無かった。(ロスト)」
「いえいえ、ゴーマン男爵の執事さんが僕1人を対象にしてくれたので人的被害が出ませんでしたし、″あの程度″フリアダビアやアルバラストに比べれば何て事無いので気にしないで下さい。」
『『『ザワザワ…』』』
ノアにゴーマン男爵から最後の悪足掻きとして″殺害依頼″が出されていた事は、既に周囲の貴族達の耳に入っていたが、それを″あの程度″の一言で済ませた為ざわつく周囲。
「そう言って頂くと安心出来ます。
本当は色々と話したい事はありますが、ノア殿に挨拶したい者達が居られる様なので今回はここまでに致しましょう。(ロスト)」
「え?挨拶?」
「ノア君、君は社交界に出た事は無いだろうけど、そういった場では縁を持ちたくて挨拶回りに来る者も居るんだよ?
ちなみに君、クリスタルブルーの中級冒険者だから一応″男爵″クラスに該当するからね。(ジョー)」
バルディック・ロストの後ろを見てみると、幾人かの貴族が並んで連なっていた。
というか、手前に居る貴族は見覚えのある父娘の2人組であった。
「…やぁノア殿…先日は息子がとんでも無い事を仕出かしてしまい申し訳無かった…(ルルイエ)」
「兄がすいませんでした…(ミミカ)」
「あ、アルバラストでの…
いやいや、僕も半ばムキになって八つ当たりした所もあったので、良いストレス解消になりましたよ。」
「そ、そうなのですか…?(ミミカ)」
「息子はあの後自領に戻し、一般兵士と一緒に性根を鍛え直している。
行動力は大したものだが、しょうも無い事で腹立てられては次期領主など任せられんからな…(ルルイエ)」
~クロラ達サイド~
「ねぇねぇクロラさん、ノア君とあちらの貴族さんは何かあったのですか?(ラインハード)」
「そっか、ラインハードさんは知らなくて当たり前だね。
簡単に言うと、あちらのお嬢さんからの婚求を断った腹いせで、彼女のお兄さんがアルバラストで″ノア君討伐依頼″を出したのよ。(クロラ)」
「…何かノア君ってそんな事ばかり遭遇してない?(ラインハード)」
※そんな事ばかりです。
「そうですか、彼の処遇についてこちらからとやかく言う事はありません。
それよりも、僕に何か話したい事があるのでわ?」
「「え?」」
「盗み聞きするつもりは無かったのですが、さっきジョーさんと話している内容が少し耳に入りまして…」
「…で、あれば話が早い。
単刀直入に言おう、我が隣領にて3ヶ月~半年以内に発生すると予想される″大規模氾濫″に是非とも参加して貰いたいのだ。(ルルイエ)」
「良いですよ。」
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