ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~御前試合の代表決め~

後にお世話になる面々(一部除く)

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4組目~奴隷商を傘下に持つ貴族、アルフレッド・レイド~


「この度は【鬼神】のノア殿に感謝を述べたく参りまして御座います。(レイド)」

「え?感謝…ですか…?
いやー…感謝される様な事をした覚えが…」

「アルバラスト野盗殲滅戦によって腕の立つ、良質な野盗を数多く捕らえて下さいました故、連日買い手に困る事が無いのですよ。(レイド)」

「え?あの人数を全て所有してるのですか?」


ノアの″野盗200人殺し″の大本となった戦いにて、捕らえた野盗の殆どを傘下の商会が保有していると言う。

言われてみれば″不死竜ヒュドラ″等を召喚する者も居たりした為、質の良い者ばかりであったのは間違いない。

「もし新たな奴隷を欲す場合は、是非ともアルフレッド商会にお願い致します。(レイド)」

「は、はい…」


手短に自己紹介をしつつ傘下の商会の名を売った後、アルフレッドはその場を去っていった。

物腰低く貴族特有の腹黒く、裏のありそうな言動も無かったので、割と好印象であった。





5組目~龍信仰のある亜竜人族(竜より下位の存在)貴族ワン・リバーン~


「お初にお目に掛かります。
海の向こうにある亜人族(人とその他種族の混種族)が多く暮らす地で領主をしておりますワン・リバーンと申します。(リバーン)」

「あ、初めまして、ノアです。」

「……。(リバーン)」

「……。」

「流石は契約獣に龍を御使いになられていると言う噂通り、強い″龍気″を放っておられますな…(リバーン)」

「あ、そう言ったモノがあるのですね。」

「はい、本当なら″地面の下に居られる方″の龍気を肌で感じるべく、石畳に顔を擦り付けて(ハァハァ)「変な勘違いされるから控えて下さいね。」


どうやら亜竜人族にとっての龍は、ミダレにとってのノアと似ている様で、″龍気″というモノに当てられてハァハァと気分を高揚させていた。

ミダレ程見た目には変化無かったが、何が起こるか分からないので取り敢えずしゃがもうとするリバーンを制止した。





6組目~貴族では無いが、『真の勇者』とか言うクランのリーダー、アラン~


「俺はクラン『真の勇者』のリーダー、アランだ。君はこの世界の【勇者】は不甲斐ないと思わないかね?(アラン)」

(あ、これ面倒なヤツだ。)

「この世界に召喚されたと言う【召喚勇者】は先のフリアダビアでは大した戦績も挙げず、その後姿を消し、元々の【勇者】は遊び呆けるばかりで自国からも厄介者扱い。(アラン)」

「はぁ。」

「そんな【勇者】に代わり、我ら総勢20名のクラン『真の勇者』は君の様な有望な若手を欲している!
共に協力し、世界を取ろうではないか!(アラン)」

「あ、大丈夫です。」





7組目~東の土地に暮らす鬼人族の貴族、我矛修羅(ガムシュラ)~


「うむむ、【鬼神】の名に違わぬ溢れ出る闘気…
相対するまで名ばかりと思っていたが、″本物″であったか…!(我矛修羅)」


3メル近くある巨駆と浅黒い肌、立派な2本角に赤黒い眼。
鬼神と似た特徴を持つ我矛修羅は尊敬と畏怖を込めた視線をノアに送る。

どうやら中に居る鬼神の気配を察している様子。


「【鬼神】殿の数々の武勇、挙げた戦果等を風の噂で聞き及んでおります。
私も鬼人族の端くれ、心の奥に闘争を求めております故、一度同じ戦場を【鬼神】殿と共に駆けてみとぅ御座います。(我矛修羅)」

「いつも行き当たりばったりで、唐突に始まるのでそう言った機会はありませんよ?」

「ですので、大戦のご予定があれば我ら「無い無い!そんな予定無いですから!」

※あります。

(『すまんね、鬼人族の男は大抵こんな感じなんだ、慣れてくれ…』)


要約すると、″大戦にしょっちゅう出会すノアが羨ましいから、予定があったら呼んでくれ″との事らしい。

圧が凄かったので、明確な否定はせず、『機会があったら』と言う事でこの場は納める事にした。

曖昧な返答ながら言質を取った為か、我矛修羅は小さくガッツポーズを取っていた。


(どんだけ戦いに飢えてるんだよ…)

(『元々戦闘種族だからな、平和な世では生き辛いのさ。』)


その後も、妙に上から目線で自陣に引き入れて来ようとする貴族、適当な単語を並べて中身の無い話をしてくる面倒臭そうな貴族や、純粋に友好関係を築きたいと申し出てくる貴族からの挨拶に追われる事となった。





「はー……」

(貴族ってパーティとかでいつもこんな事やってんの…?)

(『大半は良かったが、下らんヤツの話は聞くに耐えねぇな。』)


時間にして僅か30分、戦闘では疲れる事の無いノアだが、貴族からの挨拶回りに辟易としていた。

しかも挨拶に来た貴族の内、数組は獣人国に諜報員を忍び込ませていたらしく、ノアの父親であるレドリックに裏事情を公に暴露され憔悴し切っている者も居た。

その者達からは謝罪と共に、一家に対する不干渉を誓ってきたのだった。


「″あー疲れた″、とでも言いたげな顔してるね?(ジョー)」

「僕はやっぱり人よりかモンスターを相手にしてた方が気が楽で良いですね。」

「あら?私達を相手にするのは息が詰まるとでも言いたいのかしら?(ポーラ)」

「そ、そうは言ってないでしょポーラ…」


後方で待っててくれた一行との絡みが始まった様なので、ジョーはその場から離れる事にする。


「な、なぁジョー殿?
彼はさっき我々からの要請を安請け合いしてくれたが、もっと詳しい情報を与えなくて良いのかね?(ルルイエ)」

「対象モンスターや規模、地形等の情報を聞くまでもなく二つ返事でなんて…(ミミカ)」

「恐らく私が″伝手″と言う単語を出したからああも簡単に安請け合いしてくれたのだと思います。
″大規模戦闘″に打って付けのプロがこの街に2人居りますからね。
まぁ着いて来て下さい。(ジョー)」

「「は、はぁ…」」


ポーラとクロラに翻弄され始めたノアに会釈した後、ルルイエとミミカの2人はジョーの跡を着いていった。





~大通りから2本入った人気の無い路地~


「よう、ジョー。(レドリック)」
「久し振りね、ジョー。(アミスティア)」

「えぇ、お久し振りです2人共。こちらの2人は…(ジョー)」

「″聞いてる″。
ヴァリエンテ・ルルイエ伯爵と娘さんのミミカ嬢だろ?
用件は大体把握している。単刀直入に言って貰って構わない。(レドリック)」

「3ヶ月~半年以内に西の大地…私の記憶が確かなら、資源豊富な山あいに位置する広大な平地だったハズだけど、そこで″大規模氾濫″が起こるのよね?(アミスティア)」

「「は、はい…」」

「流石は【神出弓士】のレドリックと【殲滅剣士】のアミスティアで御座いますね、話が早くて助かります。(ジョー)」

「え!?【神出弓士】と【殲滅剣士】って、″あの″…?(ルルイエ)」

「ルルイエ伯の脳裏に浮かぶのが、″どの″【神出弓士】と【殲滅剣士】かは分かりませんが、一応2人共、各クランのリーダーをやらせて貰ってます。(レドリック)」

「私達に話を持ってくるって事は、予想されるモンスターの総数は5000や10000じゃ利かないのでしょう?(アミスティア)」

「…現在判明しているだけでも最低20000…
この段階で過去に起こった″氾濫″よりも数が多く、対象となるモンスターは簡単には死なず、中々にしぶとい″昆虫系″だ。(ルルイエ)」

「分かった。
後日で良いのでモンスターの種類、規模、地形、周辺地図、投入可能な戦力、近隣情報等を纏めて寄越して欲しい。
ウチのクランから参加可能な者に要請かけとくよ。(レドリック)」

「ウチのクランからも何人か寄越すし、勿論ノアちゃんも投入するわ。(アミスティア)」
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