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獣人国編~御前試合の代表決め~
大義名分
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~獣人国・北門付近~
「…何だその組み合わせは。
目立ちたいのか隠れたいのかどっちなんだ?(レドリック)」
「…そっちこそ珍しい組み合わせですね…
どうしたんです?これから大戦でも始まるんですか?(ナサケ)」
元【暗殺】のアルキラー、バラスを引き連れて通りを歩いていたレドリックの前に、人間サイズの巨大エリンギのクリストフを連れた黒装束姿の王都諜報員ナサケが居た。
「場合によってはそうなるかもな。
で?そのキノコとどこ行くつもりだ?
またノア絡みか?(レドリック)」
「ノア君は多少絡んでますが、許可を貰った位ですよ。
実はかくかくしかじかありまして、つかえるキノコのクリストフさんに御協力を仰ぐ事になったんですよ。(ナサケ)」
「えっへん。『ドン。』(クリストフ)」
ナサケからそう紹介されたつかえるキノコのクリストフは誇らしげに胸(の辺り)を叩いた。
デミ・スロアに仕えていたつかえるキノコのクリストフに協力を要請し、「ノアに話が通っているなら。」との事で、ナサケと共にヒュマノ聖王国に向かう所であった。
~北門出て直ぐ~
テクテク…
「ほぅ。では君は、オードゥスのダンジョンに生息していた″歩くキノコ″からの報酬である″無限キノコの変異種″と言う事なんだね?(アルキラー)」
「如何にも。
アイテムボックス内で増えに増え、有用な種と統廃合を繰り返した結果私が産まれたのです!(クリストフ)」
獣人国を発った一行。
バラス、アルキラーとクリストフは初対面という事もあったので自己紹介を開始した。
クリストフが産まれたきっかけは、ノアが冒険者となって最初に訪れた街のオードゥスに存在する初心者向けダンジョン内に生息している″歩くキノコ″からの依頼で仲間を見つけた報酬として″無限キノコ″を貰った事が端を発している。
一時的にそのオードゥスで職員として活動していたバラス、アルキラーはオードゥス繋がりで話が弾んで直ぐ仲良くなった。
と言うか僅か数分で仲良くなりすぎだろう、とすら思われた。
「いやー、ノア殿のお知り合いだったとは気付かず申し訳御座いません。
ささ、どうぞウェルカムドリンクです。(クリストフ)」スッ…
「ノア君は相変わらず面白い事が尽きないねぇ。『ズズズ…』(アルキラー)」
ズズズ…「あ、これ永○園のお吸い物だわ。(バラス)」
と、クリストフからのウェルカムドリンクに舌鼓を打っているその直ぐ後ろでは
「何しれっとヒュマノ方面へ向かっているのですか?(ナサケ)」
「ちょっと気掛かりな事があってね。
なに、そちらの仕事に首突っ込むつもりは無いさ。(レドリック)」
「気掛かりな事とは何ですか?
せめてそれ位は教えて貰っても「ナサケはさっき″変わった魔力の反応″を感知しなかったか?」…やはりあなたも気付いてましたか…(ナサケ)」
レドリックの言葉を受けたナサケは口調を真剣な物へと変化させた。
「お前がここに居ると言う事は、魔力反応の正体に気付いてないのだろう。
まぁそれは俺も同じだ。
だがあの2人の見解では″【魔王】の魔力反応″らしい。(レドリック)」
「…その情報は信用に値するモノで?(ナサケ)」
「手癖は酷ぇが、アイツらのそういった部分には一目置いてんだ。
まず間違い無いだろう、と見てる。(レドリック)」
レドリックの目線の先では、本日3杯目のウェルカムドリンクを啜っているバラス、アルキラーの2人が居る。
「通りで″対【魔王】殲滅を目的とした戦闘クラン【終(ターミネート)】″のリーダー2人が居ると思いましたよ。
そういえば直近で【魔王】軍を殲滅したばかりでしたね、″偽物″の。(ナサケ)」
※王都編のタイトル:『閑話 ヤバイ奴らによる【魔王】殲滅戦(上)』のヤツ。
「そーなのよ!″偽物″よ″偽物″!
フリアダビアでシエストラバードを仕留めて抜き取った情報を基に居場所突き止めて強襲したってのに、結局″偽物″だったのよー!(バラス)」
「【魔王】配下の四天王と軍勢の規模的にアタリだと思ったんだが、結局は″偽物″。
まぁクランメンバーは久々に暴れられて上機嫌だったけどな。(アルキラー)」
「つまり本来の【魔王】は別に居る。
んで、その【魔王】らしき反応が先程のそれという訳さ。(レドリック)」
「それで?今度の【魔王】は″本物″なのですか?(ナサケ)」
「「「それを今から確認に行くのさ。」」」
「なーる。(思考放棄のナサケ)」
3人の目的を知り、腑に落ちたと同時に思考を放棄したナサケだが、ここでつかえるキノコのクリストフが気になる事を聞いてきた。
「あのー、皆様方?
話の中に【魔王】が出てきましたが、″偽物″と″本物″が居るのですかな?(クリストフ)」
「あ、【魔王】と【勇者】の関係性を知らないと分からないわよね。
ウェルカムドリンクの御礼に教えてあげるわ。(バラス)」
「お願いします。(クリストフ)」
という訳でバラスから【魔王】についての説明を聞く事になった。
曰くバラスの説明では
・【勇者】と【魔王】本来対となる存在。
世界が混沌に包まれる時【勇者】が生まれ、永きに渡る平和と安寧の日々に突如として【魔王】が生まれると言われている。
・【魔王】を弱らせる事自体は誰にでも出来るが、存在を完全に消滅させるには【勇者】という存在が必要不可欠。
・つまり″本物の【魔王】は【勇者】以外倒せない″のである。
「とまぁザックリ言うとそんな感じ。(バラス)」
「なる程。
直近であなた方が相対したと言う【魔王】軍が″本物″であれば、討伐される事自体不可能なのですな。(クリストフ)」
「そゆ事。(バラス)」
「ん?では何故【勇者】ではないあなた方が″対【魔王】殲滅を目的とした戦闘クラン″を掲げ、活動なされているのですか?(クリストフ)」
「「大義名分。」」
「え?(クリストフ)」
「「大義名分。」」
「え?(クリストフ)」
「…あー、つまりだなぁ(レドリック)」
バラスとアルキラーの発言が理解出来なかったクリストフにレドリックが説明してくれた。
要約すると
・バラス、アルキラーをリーダーとするクラン【終(ターミネート)】は、各国に存在する″ヤベェ″連中を集めた戦闘集団である。
・″ヤベェ″の部分に目を瞑れば、戦闘の幅が異常に広く、全員勢揃いすれば【勇者】以上の戦力を持つ。
・この世界の【勇者】は言い方はアレだが使い物にならないので、″トドメは【勇者】に刺して貰うが、それ以外好き勝手やって良い″という″大義名分″が与えられている。
・なので″ヤベェ連中が好き勝手楽しみ、四肢をもいで厳重に封印を施し、後はトドメのみ″の状態で【魔王】を引き渡すという契約を交わしている。
「はぁ~、お二方は″ヤベェ″方だったのですな。(クリストフ)」
「そーぉでーす。(バラス)」
「いやいや、昔取った杵柄で300人位【暗殺】した位だよ。(アルキラー)」
「十分だわ。(ナサケ)」
「ちなみにその300人の中に俺の名前も含まれてるからな?未遂に終わったけど。(レドリック)」
つまり【魔王】に関する事柄についてはバラス、アルキラー率いるクラン【終(ターミネート)】の一任になっている為、【魔王】の疑いがある場所について調査を行う権限がある。
「のだよナサケ君?(アルキラー)」
「あーもう分かりましたから私に断り無く離れたりしないで下さいね?
一応現在のヒュマノは関係者以外立入禁止の状態なんですからね。(ナサケ)」
「「「分かってるって。」」」
(本当かなぁ…(ナサケ))
満面の笑みを浮かべる3人と人間大のキノコを引き連れたナサケは、ヒュマノ聖王国へと向かうのだった。
「…何だその組み合わせは。
目立ちたいのか隠れたいのかどっちなんだ?(レドリック)」
「…そっちこそ珍しい組み合わせですね…
どうしたんです?これから大戦でも始まるんですか?(ナサケ)」
元【暗殺】のアルキラー、バラスを引き連れて通りを歩いていたレドリックの前に、人間サイズの巨大エリンギのクリストフを連れた黒装束姿の王都諜報員ナサケが居た。
「場合によってはそうなるかもな。
で?そのキノコとどこ行くつもりだ?
またノア絡みか?(レドリック)」
「ノア君は多少絡んでますが、許可を貰った位ですよ。
実はかくかくしかじかありまして、つかえるキノコのクリストフさんに御協力を仰ぐ事になったんですよ。(ナサケ)」
「えっへん。『ドン。』(クリストフ)」
ナサケからそう紹介されたつかえるキノコのクリストフは誇らしげに胸(の辺り)を叩いた。
デミ・スロアに仕えていたつかえるキノコのクリストフに協力を要請し、「ノアに話が通っているなら。」との事で、ナサケと共にヒュマノ聖王国に向かう所であった。
~北門出て直ぐ~
テクテク…
「ほぅ。では君は、オードゥスのダンジョンに生息していた″歩くキノコ″からの報酬である″無限キノコの変異種″と言う事なんだね?(アルキラー)」
「如何にも。
アイテムボックス内で増えに増え、有用な種と統廃合を繰り返した結果私が産まれたのです!(クリストフ)」
獣人国を発った一行。
バラス、アルキラーとクリストフは初対面という事もあったので自己紹介を開始した。
クリストフが産まれたきっかけは、ノアが冒険者となって最初に訪れた街のオードゥスに存在する初心者向けダンジョン内に生息している″歩くキノコ″からの依頼で仲間を見つけた報酬として″無限キノコ″を貰った事が端を発している。
一時的にそのオードゥスで職員として活動していたバラス、アルキラーはオードゥス繋がりで話が弾んで直ぐ仲良くなった。
と言うか僅か数分で仲良くなりすぎだろう、とすら思われた。
「いやー、ノア殿のお知り合いだったとは気付かず申し訳御座いません。
ささ、どうぞウェルカムドリンクです。(クリストフ)」スッ…
「ノア君は相変わらず面白い事が尽きないねぇ。『ズズズ…』(アルキラー)」
ズズズ…「あ、これ永○園のお吸い物だわ。(バラス)」
と、クリストフからのウェルカムドリンクに舌鼓を打っているその直ぐ後ろでは
「何しれっとヒュマノ方面へ向かっているのですか?(ナサケ)」
「ちょっと気掛かりな事があってね。
なに、そちらの仕事に首突っ込むつもりは無いさ。(レドリック)」
「気掛かりな事とは何ですか?
せめてそれ位は教えて貰っても「ナサケはさっき″変わった魔力の反応″を感知しなかったか?」…やはりあなたも気付いてましたか…(ナサケ)」
レドリックの言葉を受けたナサケは口調を真剣な物へと変化させた。
「お前がここに居ると言う事は、魔力反応の正体に気付いてないのだろう。
まぁそれは俺も同じだ。
だがあの2人の見解では″【魔王】の魔力反応″らしい。(レドリック)」
「…その情報は信用に値するモノで?(ナサケ)」
「手癖は酷ぇが、アイツらのそういった部分には一目置いてんだ。
まず間違い無いだろう、と見てる。(レドリック)」
レドリックの目線の先では、本日3杯目のウェルカムドリンクを啜っているバラス、アルキラーの2人が居る。
「通りで″対【魔王】殲滅を目的とした戦闘クラン【終(ターミネート)】″のリーダー2人が居ると思いましたよ。
そういえば直近で【魔王】軍を殲滅したばかりでしたね、″偽物″の。(ナサケ)」
※王都編のタイトル:『閑話 ヤバイ奴らによる【魔王】殲滅戦(上)』のヤツ。
「そーなのよ!″偽物″よ″偽物″!
フリアダビアでシエストラバードを仕留めて抜き取った情報を基に居場所突き止めて強襲したってのに、結局″偽物″だったのよー!(バラス)」
「【魔王】配下の四天王と軍勢の規模的にアタリだと思ったんだが、結局は″偽物″。
まぁクランメンバーは久々に暴れられて上機嫌だったけどな。(アルキラー)」
「つまり本来の【魔王】は別に居る。
んで、その【魔王】らしき反応が先程のそれという訳さ。(レドリック)」
「それで?今度の【魔王】は″本物″なのですか?(ナサケ)」
「「「それを今から確認に行くのさ。」」」
「なーる。(思考放棄のナサケ)」
3人の目的を知り、腑に落ちたと同時に思考を放棄したナサケだが、ここでつかえるキノコのクリストフが気になる事を聞いてきた。
「あのー、皆様方?
話の中に【魔王】が出てきましたが、″偽物″と″本物″が居るのですかな?(クリストフ)」
「あ、【魔王】と【勇者】の関係性を知らないと分からないわよね。
ウェルカムドリンクの御礼に教えてあげるわ。(バラス)」
「お願いします。(クリストフ)」
という訳でバラスから【魔王】についての説明を聞く事になった。
曰くバラスの説明では
・【勇者】と【魔王】本来対となる存在。
世界が混沌に包まれる時【勇者】が生まれ、永きに渡る平和と安寧の日々に突如として【魔王】が生まれると言われている。
・【魔王】を弱らせる事自体は誰にでも出来るが、存在を完全に消滅させるには【勇者】という存在が必要不可欠。
・つまり″本物の【魔王】は【勇者】以外倒せない″のである。
「とまぁザックリ言うとそんな感じ。(バラス)」
「なる程。
直近であなた方が相対したと言う【魔王】軍が″本物″であれば、討伐される事自体不可能なのですな。(クリストフ)」
「そゆ事。(バラス)」
「ん?では何故【勇者】ではないあなた方が″対【魔王】殲滅を目的とした戦闘クラン″を掲げ、活動なされているのですか?(クリストフ)」
「「大義名分。」」
「え?(クリストフ)」
「「大義名分。」」
「え?(クリストフ)」
「…あー、つまりだなぁ(レドリック)」
バラスとアルキラーの発言が理解出来なかったクリストフにレドリックが説明してくれた。
要約すると
・バラス、アルキラーをリーダーとするクラン【終(ターミネート)】は、各国に存在する″ヤベェ″連中を集めた戦闘集団である。
・″ヤベェ″の部分に目を瞑れば、戦闘の幅が異常に広く、全員勢揃いすれば【勇者】以上の戦力を持つ。
・この世界の【勇者】は言い方はアレだが使い物にならないので、″トドメは【勇者】に刺して貰うが、それ以外好き勝手やって良い″という″大義名分″が与えられている。
・なので″ヤベェ連中が好き勝手楽しみ、四肢をもいで厳重に封印を施し、後はトドメのみ″の状態で【魔王】を引き渡すという契約を交わしている。
「はぁ~、お二方は″ヤベェ″方だったのですな。(クリストフ)」
「そーぉでーす。(バラス)」
「いやいや、昔取った杵柄で300人位【暗殺】した位だよ。(アルキラー)」
「十分だわ。(ナサケ)」
「ちなみにその300人の中に俺の名前も含まれてるからな?未遂に終わったけど。(レドリック)」
つまり【魔王】に関する事柄についてはバラス、アルキラー率いるクラン【終(ターミネート)】の一任になっている為、【魔王】の疑いがある場所について調査を行う権限がある。
「のだよナサケ君?(アルキラー)」
「あーもう分かりましたから私に断り無く離れたりしないで下さいね?
一応現在のヒュマノは関係者以外立入禁止の状態なんですからね。(ナサケ)」
「「「分かってるって。」」」
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