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獣人国編~全ての始まり~
式典までは
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~『廃都』地下500メル地点~
ピッピッピッ…
「…動かねぇな。
軟禁状態から解放されていの一番にここにやって来るとばかり思ってたんだが。」
「周りに居る4人も動かずかれこれ30分以上…
まさか昔話に花を咲かせてるとかじゃないだろうな?」
「油断は禁物よ、イスケルダ、セルト。
特にこのツェド・ガーランドの動向には注視なさい。
老齢とは言え、【魔王】様に封印措置を取り、この地に縛り付けた張本人ですのよ?
長い軟禁生活と年月の経過で漸く弱体化してきたというのに、このタイミングで侵入されては堪ったものではありません。」
ここは元ヒュマノ聖王国から約10ケメル離れた『廃都』の地下約500メル地点。
どういう経緯があったかは定かでは無いが、ヒュマノ聖王国と『廃都』の地下施設は繋がっており、10年前に召喚され激戦の末封印措置
を施された【魔王】が光の柱に縛り付けられている。
その配下であるアリス、イスケルダ、セルトの3人は地下施設の一画に表示されているモニターを眺めていた。
そこには『廃都』を中心に半径10ケメルの範囲内に存在する生命反応を表示している。
モンスターまで対象にすると洒落にならない数が表示されるので、現在はモンスター表示は除外してある。
そしてモニター内の1画面にはヒュマノ聖王国王城の断面図と、王城と地下空間との境辺りに5つの赤点が表示されている。
1つには『ツェド・ガーランド』
1つには『バラス』
1つには『アルキラー』
「こっちの『バラス』『アルキラー』っつー人間は良いのか?
造魔核で作った【魔王】擬きとその配下にトドメを刺した奴だぜ?」
「結果的にそうなっただけで脅威度で言えば下だ。配下に至ってはその前段階で戦ったガキの方が脅威だ。」
「ん?通路に反応がありました。」
「「お?来たか?」」
「何期待しているのですか?
…どうやらネズミか何かが侵入しただけのみたいです。」
「「なーんだ。」」
イスケルダとセルトと言う【魔王】の配下は、通路に反応が出ると途端に口角を吊り上げた。
だが大した事が無いと分かると肩を落として息を吐いた。
「まぁ後3日でどうこうなる事は無いだろう。
さっき捕まえた森の番人とやらを″コクーン″の発射台にしてここともお去らば。
調整はさっき済ませたから後は獣人国の式典を待つだけ。」
「っつー訳で俺達はそれまで休眠カプセルで寝させて貰うぜ?」
「分かりました。
ご苦労様です、お休みなさい。」
「「じゃあ後は【魔王】様とおゆっくり~。」」
「ちょ…か、からかわないで下さい…」
照れ顔の【魔王】配下アリスに手を振りつつ、イスケルダとセルトの2人はその場から去っていった。
~獣人国・縁日通り~
「き、緊張したっちゃ~…
それにまだ心臓バクバクしとっちゃに、体がポッポッしとるっちゃよ…(ミダレ)」
「でも良かったじゃない。
ノア君、しっかり受け止めてくれて。(クロラ)」
「う、うん…とっても嬉しかった…(ミダレ)」
小麦色の肌の上からでも紅潮しているのが分かる程、サキュバスのミダレは照れていた。
丁度数分前にミダレは自分の気持ちをノアに伝え、照れながらもノアはそれにしっかりと応えていた。
ちなみに当のノアはと言うと
「ヘイヘイヘイヘイ、ヨーヨーヨーヨー。
どう?どう?クロラや私に続いてミダレさんに告白された気持ちは?(ポーラ)」
『そ、そりゃ嬉しいよ…
でも3人も好きな女性が居るのって、不誠実に思われないかな…?』
「ガハハハッ!
坊はホンにそっち方面の話には弱いようじゃのぅ!(バド)」
「器量を持ち合わせとる奴と、甲斐性無くただ女(め)ぇばら侍らせとる者とじゃ雲泥の差よ!(ルド)」
「坊がそう思うとる内は大丈夫じゃ!(ロイ)」
『そ、そうかなぁ…』
「そうよ。ほら見てみなさいよクロラの顔。
普通自分以外に新しい彼女が出来たらあんな嬉しそうな顔しないわよ。(ユカリ)」
「うん。あんな嬉しそうなクロラの顔久し振りに見た。(ハクア)」
「この1ヶ月、話題に事欠かなかったのに、やる事ちゃんとやってたんだな…(デミ)」
『言い方。』
「若様、それは語弊を生みやすい言い方に御座いますよ。(ローザ)」
何故かこのタイミングで身近に居た知り合い連中に囲まれていた。
ちなみにヴァモスとベレーザもこの場に同席しており、練習終わりに2人でぶらついていた所であったと言う。
ドワーフ3人組とエルフのエスメラルダの呑兵衛4人組は、縁日通りの物珍しさから、変わり種の酒が無いかと練り歩いていたとか。
スロア領領主デミ・スロアは、【戦闘執事】のローザと共に貴族連中に挨拶回りをしていた流れで立ち寄ったらノアと出会した。
クロラと同郷の友人であるユカリとハクアは、縁日通りの屋台群で売られている甘味に目が無かったのか、夏季氷(カキゴオリ)や冷やしバナナナナナナ等を頬張っていたら一行に出会したのだった。
ツンツン…
『どうしたベレーザ?』
「本当に気配が無いのにゃ。(ベレーザ)」
「威圧感みたいなモノも無いですね。(ヴァモス)」
『お、やっぱり分かる?
力の制御に成功してね、その影響で』
「「え、何か不安…(真顔)」」
『え。』
力の制御に成功したノアではあるが、それに伴う気配の消失は2人にはお気に召さなかった様子。
今まで感じられていた安心感等も一緒に消えてしまった様に感じ、落ち着かないのだと言う。
という訳で
『…分かった。
ここに居る間は『フッ…』今まで通りにしておくよ。」
2人から不評を受けた為、制御を解除して普段通りのノアに戻る事にした。
「あ!元に戻ったにゃ!『スリスリ…』これこれ、これにゃあ!落ち着くにゃぁ!(ベレーザ)」
「…すいませんノア様、我が儘言って…(ヴァモス)」
「あーいや、この位何て事無いんだけどさ…」
チラッ…
制御を解除した途端、ベレーザはパァッと表情を明るくして頬擦りしてきた。
そんなベレーザの対応に頭を下げるヴァモス。
確かヴァモスはベレーザの1つ下だったハズだが、これではどっちが年下か分かったものではない。
気にするなとヴァモスに言い聞かすノアだが、懸念事項が1つあったのでそちらの方に目をやると
ビクンッ!
「ひぃん、ふ…ぅん!?(ミダレ)」
「ミ、ミダレちゃん大丈夫!?(クロラ)」
(あー…やっぱりかぁ…)
ノアの中の鬼神の力が放出されたからか、離れた場所に居るミダレが敏感に感じ取ってしまった。
「だ、大丈夫っちゃ…
ノア君の…ふ…彼女さんになるっちゃ、これ位…で…ん…弱音吐いてられん…く『あらぬ誤解を受けそうだからその言い方止めなさい。(戻したノア)』
ピッピッピッ…
「…動かねぇな。
軟禁状態から解放されていの一番にここにやって来るとばかり思ってたんだが。」
「周りに居る4人も動かずかれこれ30分以上…
まさか昔話に花を咲かせてるとかじゃないだろうな?」
「油断は禁物よ、イスケルダ、セルト。
特にこのツェド・ガーランドの動向には注視なさい。
老齢とは言え、【魔王】様に封印措置を取り、この地に縛り付けた張本人ですのよ?
長い軟禁生活と年月の経過で漸く弱体化してきたというのに、このタイミングで侵入されては堪ったものではありません。」
ここは元ヒュマノ聖王国から約10ケメル離れた『廃都』の地下約500メル地点。
どういう経緯があったかは定かでは無いが、ヒュマノ聖王国と『廃都』の地下施設は繋がっており、10年前に召喚され激戦の末封印措置
を施された【魔王】が光の柱に縛り付けられている。
その配下であるアリス、イスケルダ、セルトの3人は地下施設の一画に表示されているモニターを眺めていた。
そこには『廃都』を中心に半径10ケメルの範囲内に存在する生命反応を表示している。
モンスターまで対象にすると洒落にならない数が表示されるので、現在はモンスター表示は除外してある。
そしてモニター内の1画面にはヒュマノ聖王国王城の断面図と、王城と地下空間との境辺りに5つの赤点が表示されている。
1つには『ツェド・ガーランド』
1つには『バラス』
1つには『アルキラー』
「こっちの『バラス』『アルキラー』っつー人間は良いのか?
造魔核で作った【魔王】擬きとその配下にトドメを刺した奴だぜ?」
「結果的にそうなっただけで脅威度で言えば下だ。配下に至ってはその前段階で戦ったガキの方が脅威だ。」
「ん?通路に反応がありました。」
「「お?来たか?」」
「何期待しているのですか?
…どうやらネズミか何かが侵入しただけのみたいです。」
「「なーんだ。」」
イスケルダとセルトと言う【魔王】の配下は、通路に反応が出ると途端に口角を吊り上げた。
だが大した事が無いと分かると肩を落として息を吐いた。
「まぁ後3日でどうこうなる事は無いだろう。
さっき捕まえた森の番人とやらを″コクーン″の発射台にしてここともお去らば。
調整はさっき済ませたから後は獣人国の式典を待つだけ。」
「っつー訳で俺達はそれまで休眠カプセルで寝させて貰うぜ?」
「分かりました。
ご苦労様です、お休みなさい。」
「「じゃあ後は【魔王】様とおゆっくり~。」」
「ちょ…か、からかわないで下さい…」
照れ顔の【魔王】配下アリスに手を振りつつ、イスケルダとセルトの2人はその場から去っていった。
~獣人国・縁日通り~
「き、緊張したっちゃ~…
それにまだ心臓バクバクしとっちゃに、体がポッポッしとるっちゃよ…(ミダレ)」
「でも良かったじゃない。
ノア君、しっかり受け止めてくれて。(クロラ)」
「う、うん…とっても嬉しかった…(ミダレ)」
小麦色の肌の上からでも紅潮しているのが分かる程、サキュバスのミダレは照れていた。
丁度数分前にミダレは自分の気持ちをノアに伝え、照れながらもノアはそれにしっかりと応えていた。
ちなみに当のノアはと言うと
「ヘイヘイヘイヘイ、ヨーヨーヨーヨー。
どう?どう?クロラや私に続いてミダレさんに告白された気持ちは?(ポーラ)」
『そ、そりゃ嬉しいよ…
でも3人も好きな女性が居るのって、不誠実に思われないかな…?』
「ガハハハッ!
坊はホンにそっち方面の話には弱いようじゃのぅ!(バド)」
「器量を持ち合わせとる奴と、甲斐性無くただ女(め)ぇばら侍らせとる者とじゃ雲泥の差よ!(ルド)」
「坊がそう思うとる内は大丈夫じゃ!(ロイ)」
『そ、そうかなぁ…』
「そうよ。ほら見てみなさいよクロラの顔。
普通自分以外に新しい彼女が出来たらあんな嬉しそうな顔しないわよ。(ユカリ)」
「うん。あんな嬉しそうなクロラの顔久し振りに見た。(ハクア)」
「この1ヶ月、話題に事欠かなかったのに、やる事ちゃんとやってたんだな…(デミ)」
『言い方。』
「若様、それは語弊を生みやすい言い方に御座いますよ。(ローザ)」
何故かこのタイミングで身近に居た知り合い連中に囲まれていた。
ちなみにヴァモスとベレーザもこの場に同席しており、練習終わりに2人でぶらついていた所であったと言う。
ドワーフ3人組とエルフのエスメラルダの呑兵衛4人組は、縁日通りの物珍しさから、変わり種の酒が無いかと練り歩いていたとか。
スロア領領主デミ・スロアは、【戦闘執事】のローザと共に貴族連中に挨拶回りをしていた流れで立ち寄ったらノアと出会した。
クロラと同郷の友人であるユカリとハクアは、縁日通りの屋台群で売られている甘味に目が無かったのか、夏季氷(カキゴオリ)や冷やしバナナナナナナ等を頬張っていたら一行に出会したのだった。
ツンツン…
『どうしたベレーザ?』
「本当に気配が無いのにゃ。(ベレーザ)」
「威圧感みたいなモノも無いですね。(ヴァモス)」
『お、やっぱり分かる?
力の制御に成功してね、その影響で』
「「え、何か不安…(真顔)」」
『え。』
力の制御に成功したノアではあるが、それに伴う気配の消失は2人にはお気に召さなかった様子。
今まで感じられていた安心感等も一緒に消えてしまった様に感じ、落ち着かないのだと言う。
という訳で
『…分かった。
ここに居る間は『フッ…』今まで通りにしておくよ。」
2人から不評を受けた為、制御を解除して普段通りのノアに戻る事にした。
「あ!元に戻ったにゃ!『スリスリ…』これこれ、これにゃあ!落ち着くにゃぁ!(ベレーザ)」
「…すいませんノア様、我が儘言って…(ヴァモス)」
「あーいや、この位何て事無いんだけどさ…」
チラッ…
制御を解除した途端、ベレーザはパァッと表情を明るくして頬擦りしてきた。
そんなベレーザの対応に頭を下げるヴァモス。
確かヴァモスはベレーザの1つ下だったハズだが、これではどっちが年下か分かったものではない。
気にするなとヴァモスに言い聞かすノアだが、懸念事項が1つあったのでそちらの方に目をやると
ビクンッ!
「ひぃん、ふ…ぅん!?(ミダレ)」
「ミ、ミダレちゃん大丈夫!?(クロラ)」
(あー…やっぱりかぁ…)
ノアの中の鬼神の力が放出されたからか、離れた場所に居るミダレが敏感に感じ取ってしまった。
「だ、大丈夫っちゃ…
ノア君の…ふ…彼女さんになるっちゃ、これ位…で…ん…弱音吐いてられん…く『あらぬ誤解を受けそうだからその言い方止めなさい。(戻したノア)』
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