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獣人国編~全ての始まり~
キノコパーティ
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~現在・スパルティア王城~
「儂が次に目覚めた時には国名、国の方針、奴隷の扱い、そして人全てが変わっておった。
儂の身体も流行り病で痩せ細り、死なん程度に回復魔法を撃たれておったから斬り飛ばされた右腕は傷は癒えておったが所々腐り、蛆が湧いておった。
隷属の首輪によって魔力や【支配】の力も制限されておるから腕を生やすのに半年、流行り病が回復するのに3年、体力を戻すのに4年は掛かったかのぅ。(ツェド)」
「…つーかアンタも罹ってたんだな、あの流行り病に…
ウチの息子も罹っててね、そりゃもう大変だったさ。(レドリック)」
10年前にこの国で起こった事の説明を終えるツェド。
世間的に知られている彼の武力や適正を持ってすれば城の者達の反乱等直ぐに打開出来そうなモノだが、彼もまた流行り病に罹っていた為、数年もの間瀕死の闘病生活が行われていた事がここで明らかにされた。
「それで、その謎の存在は今もまだ地下空間に…?(ナサケ)」
「あぁ居るハズじゃ。
死亡通達も来とらんから死んでもおらずに磔にされて生きながらえとると思う。
とは言え、確認に向かうなら外で働いとる者達や奴隷達を避難させてからじゃな。
下手すればここは戦場になるじゃろうからな。(ツェド)」
「ほぅ、と言うと?(レドリック)」
ツェドの話では、謎の存在を半封印状態にしているとは言え、あちらもこの10年で着々と力を蓄えていっていると言うのが【千離同封】を介して感じ取れると言う。
具体的に言うなら、【千離同封】の解除に必要な魔力量はとうに到達している為、解除スキル持ちがいればいつでも突破される状態なのだと言う。
だが
「あ、もう調査なら済んだよ。(バラス)」
「は?(ツェド)」
「使い魔の様なモノを既に地下空間に送り込んで、例の通路方面へと向かわせたんだが、仕切りとなっている扉の隙間から先に進んだ瞬間何者かによって壊されてしまった。(アルキラー)」
「ちょ、大丈夫なのですか?(ナサケ)」
「えぇ、仕切りとなっている扉から先に出ようとしないし、それ以降動きも無い。(バラス)」
「どうやらゴーレム何かと同じ、待機反応型のモンスターや魔物が中で犇めいている様だ。
被害を考えなくて良いなら話は別だが、今回はあくまでも確認だ。
取り敢えず僅かでも状況が確認出来たという事で良しとしようじゃないか。(アルキラー)」
「…アルキラーさん、その情報を後で此方にも…(ナサケ)」
「えぇ勿論提供致しますよ。(アルキラー)」
どうやらツェドの話の最中にバラス、アルキラー双方で情報収集に励んでいたらしく、既にある程度の情報は出揃っている様子であった。
「それでお2人さん?
下に居ると言う謎の存在、今現在の情報的に何だと判断する?(レドリック)」
「「ビンゴ。」」
タッタッタッタ…
「ツェドさん、ちょっと良いか?(バンデイラ)」
「どうしたバンデイ…何じゃおヌシ、頭に何を乗せておるんじゃ?(ツェド)」
城内で話をしていた一行の下に元奴隷獣人達のリーダーであるバンデイラが駆け込んできた。
何事かと思ったが、バンデイラの頭の上に乗っている物を見て、引き締まり掛けた空気が弛緩した様に思われた。
「や。」フリフリ。
「や、やぁ…
えーっと、デカいキノコと言う事は、お前達の連れって事で良いんじゃよな?(ツェド)」
「「「「かなぁ…」」」」
「は?(ツェド)」
バンデイラが頭に乗せていたのは、成人男性の膝下位の大きさのずんぐりとしたキノコであった。
どうやら1時間近く話していた様で、つかえるキノコのクリストフが行っていた策が完了したらしい。
実際に何が行われたかは一行でも分からないので、取り敢えずクリストフの居る広場の方まで向かう事にした。
~旧噴水広場~
「…えーっと、君達?
もう一度自己紹介して貰っても良いかな…?」
〈はい!
ボクは斬り込み隊長、アタッカーの″マイ″!
自慢の傘でどんなモンスターでも斬り刻んであげるよ!(舞茸のマイ)〉
〈おではタンクの″サルノ″。
こう見えて身体は頑丈だから大抵のモンスターの攻撃は防ぐど。(サルノコシカケのサルノ)〉
〈わ、わたしはヒーラーのマッシュです。
回復位しか出来ませんが頑張りマシュ!(マッシュルームのマッシュ)〉
「3人合わせて。(クリストフ)」
〈〈〈キボノおでクコらはパマー3マッテ達ィ人キシュノコ組パーでティってマッシュ言ういマシュ!〉〉〉
「可愛らしいでしょ?(クリストフ)」
((((((揃わねぇなぁ…))))))
1時間程クリストフが大木に抱き付いて何かしていた様だが、アタッカー・タンク・ヒーラーの役割を持ったキノコ達を生産していた様で、元奴隷獣人達の前で大中小それぞれの大きさのキノコ達がつかえるキノコクリストフと共に自己紹介していた。
両腕に大きな茸の傘を備えた大型のサルノ。
波打った刀身の様な傘を備えた中型のマイ。
真っ白い杖の様な持った真っ白い小型のキノコのマッシュ。
その他にもクリストフの居た大木の周りには大中小のキノコ達がワラワラと歩き回っていた。
「″キノコパーティ″?
それがこの者達の総称か?(ツェド)」
「やや!貴殿が噂のツェド殿ですかな?(クリストフ)」
そこに頭の上に小型のキノコを乗せたバンデイラと共に、ツェドやレドリック達がやって来た。
「この者達はこんなナリですが即戦力となる者達ばかりです。
食料確保に赴く前に一度お試しになってみては如何でしょう?(クリストフ)」
生産されたキノコ達を勧めるクリストフ。
″お試しに″と言われたが、現状健常者が少ない状況でそちらまで力を注ぐ余裕は無いので
「それじゃあ儂と組み手をしようじゃないか。
こちとら10年も軟禁されとって体が鈍ってたんじゃ。
バン(バンデイラの愛称)それで良いよな?(ツェド)」
「あぁ頼むわ。(バンデイラ)」
古参の奴隷であるバンデイラを筆頭に、スパルティアの元国王であるツェドを知っている者はある程度居るが、その殆どが″知らない又は覚えていない″者達ばかりである。
奴隷達のリーダーであるバンデイラを愛称で呼ぶ辺り、気の知れた間柄であるのは分かるがキノコ達との組み手を見ればツェドの事を分かってくれるだろう、との見解である。
「つーかバンよ、いつまでそのキノコを頭に乗せているつもりじゃ?(ツェド)」
「あ、いや、何か懐かしい感覚なんでつい、な…(バンデイラ)」
「…済まんかったな。
嫌な事を思い出させてしまったかの。(ツェド)」
10年前の火災でバンデイラが妻と息子を失った事を思い出し、謝罪するツェド。
「まぁ辛いは辛いが…
『ポンポン』楽しかった思い出も甦ってきたから相殺って所だな。(バンデイラ)」
頭の上に乗るキノコを撫でながらバンデイラはそう答えていた。
「儂が次に目覚めた時には国名、国の方針、奴隷の扱い、そして人全てが変わっておった。
儂の身体も流行り病で痩せ細り、死なん程度に回復魔法を撃たれておったから斬り飛ばされた右腕は傷は癒えておったが所々腐り、蛆が湧いておった。
隷属の首輪によって魔力や【支配】の力も制限されておるから腕を生やすのに半年、流行り病が回復するのに3年、体力を戻すのに4年は掛かったかのぅ。(ツェド)」
「…つーかアンタも罹ってたんだな、あの流行り病に…
ウチの息子も罹っててね、そりゃもう大変だったさ。(レドリック)」
10年前にこの国で起こった事の説明を終えるツェド。
世間的に知られている彼の武力や適正を持ってすれば城の者達の反乱等直ぐに打開出来そうなモノだが、彼もまた流行り病に罹っていた為、数年もの間瀕死の闘病生活が行われていた事がここで明らかにされた。
「それで、その謎の存在は今もまだ地下空間に…?(ナサケ)」
「あぁ居るハズじゃ。
死亡通達も来とらんから死んでもおらずに磔にされて生きながらえとると思う。
とは言え、確認に向かうなら外で働いとる者達や奴隷達を避難させてからじゃな。
下手すればここは戦場になるじゃろうからな。(ツェド)」
「ほぅ、と言うと?(レドリック)」
ツェドの話では、謎の存在を半封印状態にしているとは言え、あちらもこの10年で着々と力を蓄えていっていると言うのが【千離同封】を介して感じ取れると言う。
具体的に言うなら、【千離同封】の解除に必要な魔力量はとうに到達している為、解除スキル持ちがいればいつでも突破される状態なのだと言う。
だが
「あ、もう調査なら済んだよ。(バラス)」
「は?(ツェド)」
「使い魔の様なモノを既に地下空間に送り込んで、例の通路方面へと向かわせたんだが、仕切りとなっている扉の隙間から先に進んだ瞬間何者かによって壊されてしまった。(アルキラー)」
「ちょ、大丈夫なのですか?(ナサケ)」
「えぇ、仕切りとなっている扉から先に出ようとしないし、それ以降動きも無い。(バラス)」
「どうやらゴーレム何かと同じ、待機反応型のモンスターや魔物が中で犇めいている様だ。
被害を考えなくて良いなら話は別だが、今回はあくまでも確認だ。
取り敢えず僅かでも状況が確認出来たという事で良しとしようじゃないか。(アルキラー)」
「…アルキラーさん、その情報を後で此方にも…(ナサケ)」
「えぇ勿論提供致しますよ。(アルキラー)」
どうやらツェドの話の最中にバラス、アルキラー双方で情報収集に励んでいたらしく、既にある程度の情報は出揃っている様子であった。
「それでお2人さん?
下に居ると言う謎の存在、今現在の情報的に何だと判断する?(レドリック)」
「「ビンゴ。」」
タッタッタッタ…
「ツェドさん、ちょっと良いか?(バンデイラ)」
「どうしたバンデイ…何じゃおヌシ、頭に何を乗せておるんじゃ?(ツェド)」
城内で話をしていた一行の下に元奴隷獣人達のリーダーであるバンデイラが駆け込んできた。
何事かと思ったが、バンデイラの頭の上に乗っている物を見て、引き締まり掛けた空気が弛緩した様に思われた。
「や。」フリフリ。
「や、やぁ…
えーっと、デカいキノコと言う事は、お前達の連れって事で良いんじゃよな?(ツェド)」
「「「「かなぁ…」」」」
「は?(ツェド)」
バンデイラが頭に乗せていたのは、成人男性の膝下位の大きさのずんぐりとしたキノコであった。
どうやら1時間近く話していた様で、つかえるキノコのクリストフが行っていた策が完了したらしい。
実際に何が行われたかは一行でも分からないので、取り敢えずクリストフの居る広場の方まで向かう事にした。
~旧噴水広場~
「…えーっと、君達?
もう一度自己紹介して貰っても良いかな…?」
〈はい!
ボクは斬り込み隊長、アタッカーの″マイ″!
自慢の傘でどんなモンスターでも斬り刻んであげるよ!(舞茸のマイ)〉
〈おではタンクの″サルノ″。
こう見えて身体は頑丈だから大抵のモンスターの攻撃は防ぐど。(サルノコシカケのサルノ)〉
〈わ、わたしはヒーラーのマッシュです。
回復位しか出来ませんが頑張りマシュ!(マッシュルームのマッシュ)〉
「3人合わせて。(クリストフ)」
〈〈〈キボノおでクコらはパマー3マッテ達ィ人キシュノコ組パーでティってマッシュ言ういマシュ!〉〉〉
「可愛らしいでしょ?(クリストフ)」
((((((揃わねぇなぁ…))))))
1時間程クリストフが大木に抱き付いて何かしていた様だが、アタッカー・タンク・ヒーラーの役割を持ったキノコ達を生産していた様で、元奴隷獣人達の前で大中小それぞれの大きさのキノコ達がつかえるキノコクリストフと共に自己紹介していた。
両腕に大きな茸の傘を備えた大型のサルノ。
波打った刀身の様な傘を備えた中型のマイ。
真っ白い杖の様な持った真っ白い小型のキノコのマッシュ。
その他にもクリストフの居た大木の周りには大中小のキノコ達がワラワラと歩き回っていた。
「″キノコパーティ″?
それがこの者達の総称か?(ツェド)」
「やや!貴殿が噂のツェド殿ですかな?(クリストフ)」
そこに頭の上に小型のキノコを乗せたバンデイラと共に、ツェドやレドリック達がやって来た。
「この者達はこんなナリですが即戦力となる者達ばかりです。
食料確保に赴く前に一度お試しになってみては如何でしょう?(クリストフ)」
生産されたキノコ達を勧めるクリストフ。
″お試しに″と言われたが、現状健常者が少ない状況でそちらまで力を注ぐ余裕は無いので
「それじゃあ儂と組み手をしようじゃないか。
こちとら10年も軟禁されとって体が鈍ってたんじゃ。
バン(バンデイラの愛称)それで良いよな?(ツェド)」
「あぁ頼むわ。(バンデイラ)」
古参の奴隷であるバンデイラを筆頭に、スパルティアの元国王であるツェドを知っている者はある程度居るが、その殆どが″知らない又は覚えていない″者達ばかりである。
奴隷達のリーダーであるバンデイラを愛称で呼ぶ辺り、気の知れた間柄であるのは分かるがキノコ達との組み手を見ればツェドの事を分かってくれるだろう、との見解である。
「つーかバンよ、いつまでそのキノコを頭に乗せているつもりじゃ?(ツェド)」
「あ、いや、何か懐かしい感覚なんでつい、な…(バンデイラ)」
「…済まんかったな。
嫌な事を思い出させてしまったかの。(ツェド)」
10年前の火災でバンデイラが妻と息子を失った事を思い出し、謝罪するツェド。
「まぁ辛いは辛いが…
『ポンポン』楽しかった思い出も甦ってきたから相殺って所だな。(バンデイラ)」
頭の上に乗るキノコを撫でながらバンデイラはそう答えていた。
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