ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
819 / 1,117
獣人国編~事後処理・決意・旅立ち~

過保護と心配性

しおりを挟む
″…″過保護″で″心配性″…はぁ…
親でしたらそう言うものじゃないでしょうか…?
それに、安心させる為なら尚更言ってあげた方が良いのではないでしょうか…?(暦)″


両親に対して″神様とは会ってない″と嘘を吐いた理由が″過保護″と″心配性″だった事に対し、暦は苦笑いであった。

その事にノアは少しムッとし


「だったら言わせて貰いますけど、暦さんは僕の人生から恥ずかしい過去まで全て調べ尽くしてるんですよね?」

″い、言い方ぁ…
まぁ確かにノア君の″暦″は大体把握していますよ…?(暦)″

「だったら″あの時″の事を思い出してみて下さいよ!」

″″あの時″…?(暦)″





~あの時(ノアの病気が完治し、両親に冒険者になりたいと話した日の夜・ノアは寝室にて就寝中)~


「あの子が冒険者にねぇ…半年前には考えられなかったわね…(アミスティア)」

「あぁ。これで寿命を延ばす為に自然な形でスキル取得を促す事が出来るな。(レドリック)」


完治したとは言え、病気の影響でノアの寿命が短くなったと伝えられた両親は、少しでも延命させようと有用なスキル取得を思案していた。


「外は危険が一杯だから耐性系は必須よね。(アミスティア)」

「所変われば水も変わる。
胃を強くするスキルも取得させた方が良いな。(レドリック)」


~2分後~


「無いとは思うけど、食べ物に困って毒草を口にしちゃうかも知れないわ…
あぁ…心配だわぁ…(アミスティア)」

「無いとは思うが、食うに困って腐肉を口にしてしまうかも知れん。
<サバイバル飯>を取得させるべきか…(レドリック)」


~更に2分後~


「ミストレイ山地に生息している『デッドポイズンクソバード(標高6000メルに生息する猛毒の鳥モンスター)』にたまたま出会して襲われたらどうしましょう…!
考えたらキリが無い…!(アミスティア)」

「腹を空かせたノアが『フラッドベア(人里から遠く離れた僻地に生息している虫も食わないとても臭い肉の熊)』を食べてしまわないか…心配だぁ…心配だぁ…(レドリック)」

「「…そうだ…」」


息子を思うあまり、どこか思考が狂ってきた両親は





~少しして~

トコトコ…

「うー…のど渇いた…
あれ?台所が明るい…お父さんお母さんが起きてるのかな…?」


喉が渇いて起きてきたノアは、台所の扉から光が漏れてきているのを見付け、両親が何かやってるのだと思い見に行く事に。

扉の隙間から中を覗いてみると


ポタ…ポタポタ…

「うふふふ…ノアちゃんの体重からして『発狂鼠』の毒3滴までなら大丈夫…
これを毎日食せばすーぐに<毒耐性>が上がっていくわ…
ノアちゃんの為、ノアちゃんの為…(アミスティア)」

「次は『マヒトヒヒ』の尻尾を2欠片…これで<麻痺耐性>が…
その後『眠眠蝉(ミンミンゼミ)』の翅を1枚半混入させれば<睡眠耐性>が容易に得られるぞ…
ノアが安心して冒険者生活を送れる様にしないとなぁ…(レドリック)」

カタカタ…

…冒険者になりたいと言った日の深夜、両親は僕の朝食に毒物を混入していた…





″…あ、ありましたねぇ…そんな事…
…美味しく頂けましたか…?(暦)″

「美味しく頂けちゃいましたよ!
何故かあの日以降毒物を悟らせない為か、味のレベルが引き上げられちゃってましたよ!
後僕がご飯食べてる時の両親の目が何か怖くなった!」


ノアの想いに両親の心配性が合わさった結果、少し間違った方向に舵を切る事になった。
ちなみに両親合作毒物料理の影響で、耐性系は容易に身に付き、戦闘時の洞察力と観察力が養われ、大いに役立つ事になった。


″し、心配性は何と無く分かりましたが、″過保護″とは…?
普通のご家庭は子供を甘やかしたり、お願い事を叶えてくれるモノだと思いますが…?(暦)″

「では″あの時″の事を思い出してみて下さい。
″僕が幼少の頃にチョロっと話した事″が今の僕に繋がってますので!」

″″あの時″…?(暦)″





~あの時(ノアが幼少の頃に行ったピクニック(と言う名の母アミスティアvs『サウザントネイルドラゴン』戦)にて)~


グォオオオオオオオオッ!

「うふふふふふふふっ!そんな攻撃じゃ私は倒せないわよぉっ!『竜殺シノ断チ』!(アミスティア)」

『『『『ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!』』』』

グァアアアアアアアアアッ!


幼いノアとレドリックは、母アミスティアの依頼先のとある荒地にピクニックに来ていた。

ノアはレドリックに肩車され、遠く離れた場所から母の勇姿を眺めていた。


「ふぉおおお…おかーさんすごいね。」

「はっはっは、あれ位訳無いさ。(レドリック)」

「ぼくもおかーさんみたいにドラゴンをたおせるかなぁ?」

「はっはっは、何だ?ノアはドラゴンを倒したいのか?(レドリック)」

「うん!」





~それから数年後のとある山中~


「って小さい頃に言っていただろう!『メテオストライク』!(レドリック)」

『『『『『ゴォッ!』』』』』

「言った僕ですら忘れてたのに何『『『ドガガガガガガガガガガガッ!』』』


レドリックの下に″ゴブリンが湧き過ぎて困っている。何なら山ごと消して構わん″との依頼が来たので、ついでに特訓も兼ねてノアと戦闘を行っていた。

幾本もの火球がノアの下に降り注ぎ、辺りは大爆発に包まれた。


「並みのモンスターなど素手で!
ドラゴンなど無造作に!
俺やアミに匹敵する力を!
ノアの要望は俺が!俺達がその願いを叶えてやろうじゃないかぁっ!(レドリック)」

「覚えて無いけど当時の僕はそこまで言ったつもり無いと思うなぁっ!」

「くはははははははっ!問答無用!
次行くぞ息子よ!(レドリック)」

   
小さい頃にポソリと″ドラゴンをたおしたい″と言ったが為、両親は全力で以てノアをシゴク事に。
その結果、今のノアを形成する程の戦力を有する事になった。

が、両親に対して不用意に発言したらダメだな、と言う考える様になったのだった。





「もしあの時″神様に会って、寿命延ばせるんだ″って言ったら、両親が一体どんな行動を取るか分かったもんじゃない!
だから言わなかったんですよ、怖くて!」

″う、うん…言わない方が良かったかもね…(暦)″


ノアからの言い分に、漸く暦も理解を示してくれた様子。


「でも両親に心配は掛けたくないので、何れは話そうと思ってますし、延命の件も何れ暦さんにお願いするかもしれません。
ですが、まだ5年以上もあるのでもう少し整理したいので、もうちょっと待って貰えないでしょうか?」

″え、えぇ、大丈夫だけど…(暦)″

「もしかして保留にし続けると僕か暦さんに何か不都合が出てくるとか…?」

″いえ、そう言うのはありません…ありませんが…(暦)″

″無いならええじゃろ。
変に追及するのもこの少年に拒まれる事に繋がってしまうぞ暦よ。
時間を取らせてしまって済まなかったな少年よ、また機会があれば会いに来るでの。
旅の幸運を祈っとるぞ。
ほれ暦、ドーラ帰るぞ。(海神)″

″は、はい…(暦)″

″ええ。(地母神ドーラ)″


少し歯切れの悪い暦に、海神が言い聞かせ2人を連れ立って姿を消す。

すると止まっていた時間が徐々に動き出し、一行は当初の予定通りスロア領へと向かうのであった。
しおりを挟む
感想 1,253

あなたにおすすめの小説

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

処理中です...