ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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獣人国編~事後処理・決意・旅立ち~

いざエルフの森へ(クロラ、ポーラ達がね)

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~翌早朝・北門付近~


チュンチュン…チチチ…

クピ。(酔い止め服用ポーラ)
けろっ。(ザルのクロラ)

「ウブォエッ!(酔い止めすら飲めなかったエスメラルダ)」 

「おい大丈夫か?娘っ子よ。(バド)」さすさす。
「大して強くもないのにガバガバ飲むからじゃわい。(ルド)」

カランコロン!

「ほれ、追加の桶じゃ。あーあ、飲んだ酒が勿体無い…(ロイ)」

「エ、エルフの森に行ったら酒呑みの機会が減るから、飲み溜めを…ウェエッ!(2波目エスメラルダ)」

「「「今ので全部出たな。(ドワーフ3人組)」」」

((『…心配だ…』))


″式典で頑張ってくれた踊り子達へのお疲れ様会″兼″防衛戦終結のお祝い″兼″ノア様の復活祭″兼″これから旅立たれる関係各者様の壮行会″から一夜明け、人通りの少ない早朝の北門付近にはノア達より一足先に獣人国を出るクロラ、ポーラ達のパーティと、エルフのエスメラルダが集まっていた。

一行がこれから向かうのは、外の世界との交流がまだ少ないと言う″エルフの森″で、以前の戦闘でクロラの『目の良さ』を指摘されたエスメラルダからの推薦でエルフ族直々に訓練を施して貰える事になった。

が、″エルフの森″と外の世界とのゲートを開いていられる時間がそれ程無いのと、ノアが式典以降寝込んでしまった為、割と急ぎ足での出立となる。

挨拶回り、旅支度も終え、万全の態勢でいよいよ出立。
となるハズだったのだが、早朝現れたエスメラルダの顔面は蒼白で、明らかに嘔吐一歩手前の表情だったのだった。

ちなみにポーラは酔ってはいたが、ヴァンディットから貰った酔い止めで即治り、クロラに至っては全く酒が残っていなかったのだった。


「程々にしておかないとダメですよエスメラルダさん?(ヴァンディット)」

「ぜ、善処します…うぶっ。(エスメラルダ)」

(…いや、ヴァンディット嬢の酔い方も中々だったぞ…(髪ボサボサのドゥ))


と、エスメラルダにお酒の飲み方云々を説いているヴァンディットであるが、本人も昨晩はでろんでろんに酔い、ドゥに酔い止めを服用させられるまではドゥの髪いじりをしたり、抱き付いたりと大変であった。


「旅支度は済んだ様だけど、何か買い足しは無いかな?
いやぁ、顔馴染みが遠くに行っちゃうのはやっぱり寂しいモノだねぇ。(ジョー)」

「でも何れはノア君について行きたいので頑張ります。(クロラ)」

「愛の為、って奴です。(ポーラ)」

「はっはっは、大きく出たね。
夢は大きい方が良い。なぁノア君。(ジョー)」


頬を赤く染めながら想いを伝える2人。
そんな2人にノアは


「あの…こんな事言うのも何だけど、″僕を目標″にするのはやめておいた方が良いよ…
″程々″、″程々″が一番だよ。
1ヶ月の間気絶させられ過ぎて夢なのか現実なのか分からない生活を送ったりすると気が狂いそうに「う、うん!″程々″に止めておくから安心してノア君!(クロラ)」

「外から来たお客人…しかもノア君の関係者にそんな事するハズないれしょ…(エスメラルダ)」


ノアは、今現在の自分を形成した訓練の数々を思い出し、彼女達2人に忠告するノア。
そんなノアに真顔で詰め寄られた為か、クロラやポーラはノアを安心させる様に直ぐに返答していた。





「そうだノア君、族長(ユグ)に何か伝えておく事はあるかしら?(サッパリしたエスメラルダ)」

「伝えておく事…ですか…そうですねぇ…」


エルフ族の族長であるユグ(フリアダビアでノアと共に戦ったメンバー)に伝言は無いかと聞かれ、顎に手を当てて少し思案するノア。


「″信用してますよ″、ですかね。」

「…え?何その色んな意味に捉えられそうな言葉…」

「エスメラルダさん、″信用してますからね″?」ニッコリ。

「ちょ…怖い怖い…
″信用″してくれて良いから。ちゃんとこの子達をエルフの森まで送り届けるから…(エスメラルダ)」


エスメラルダはここ最近酒関係で色々とやらかしているので、特にノアからの″信用″の圧は凄まじいものであった。

ちなみに後日エルフの森に到着した際にエルフ族族長ユグに、戦友とも言えるノアからの言葉を伝えた所、シンプルかつ滅茶苦茶重い一言に、戦々恐々。

結果クロラ達は手厚く迎え入れられたと言う。





ガラガラ…

「…と、定期便が来たみたいね。
皆!そろそろ出ましょう!(エスメラルダ)」

「はーい!(クロラ)」
「はい!(ポーラ)」


色々と話し込んでいると、獣人国に定期的にやって来る馬車がガラガラと音を立ててやって来た。

クロラ達にとっては新しい旅へ向けての嬉しい音になるが、ノアにとっては暫しの別れの音となる。

やはり寂しくはなるが、ここは笑顔で送ろう。
と心の中で決めている。


『『ガバッ!ぎゅぅうっ…』』 

「おわっと。」


エスメラルダに短く返事をした後、2人はほぼ同時にノアに抱き付いてきた。
ノアは反応が遅れたが、よろける事無く2人をしっかり抱き止める。


「行ってくるね、ノア君。(クロラ)」

「うん、行ってらっしゃいクロラさん。」

「私達が居ないからといって、ミダレさんにばかり執着してたら許さないんだからね?(ポーラ)」

「…一体どうしろと。
…大丈夫、ポーラの事もしっかり想ってるからね。」

『『ポンポン。』』


2人を安心させる様に背中を優しく叩くと、2人は微笑みながらノアから離れ、定期馬車とエスメラルダの下へと向かっていった。

すると丁度朝日が昇り、クロラ達の居る場所が明るく照らされる。
まるで2人の今後を表すかの様であった。




ガラガラ……

(『…行ったな。』)

(行っちゃったね…)


定期馬車の姿が見えなくなるまで手を振り、彼女達を見送るノア。

フンっと鼻から呼気を出し、気持ちを切り替えたノアはクルリと後ろに向き直る。


「さて、次は僕達の番だ。
明朝ここを発つ。各々準備を進めよう!」

「「「おぅさ!(ドワーフ3人組)」」」
「うん。(ミダレ)」
「了解ですぞ。(クリストフ)」
「はい、ノア様。(ヴァンディット)」
「りょーかーい。(ラインハード)」


と声を上げる一同。

ちなみに今後ノアの旅に同行するのは


ヴァンディット
ラインハード
つかえるキノコのクリストフ
ミダレ
『商人見習い(メルカドール)』のミリア

である。


そこから半日~1日遅れて後を追う形でドワーフ3人組も続くとの事。
理由としては『坊に着いていけば飽きる事がない』かららしいが、同行しないのは、『坊は酒飲まんから』らしい。

ちなみに販路拡大(と言う名目で)南部に向かうドゥは、2組とは別ルートで旅をするとの事。

ヴァンディットから「一緒で良いのに」と呟いていたが、一応事業の一環だからと言う事で断っていた。

だがノアの見立てでは、あと2押し位すれば了承していた様に思われた。
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