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獣人国編~事後処理・決意・旅立ち~
出立
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~更に翌日の早朝・南門付近~
チュンチュン…チチチ…
「はい、皆さんおはようございます。」
「おはようございますノア様。(ヴァンディット)」
「おっはよー!(ラインハード)」
「おはよう、ノア君(ミダレ)」
「おっふぁようござぃまふ…(ミリア)」
「眠そうだね、ミリアちゃん。」
「き、昨日遅くまでベイゼルさんや護衛の冒険者さん達と荷支度したり準備してましたので…(ミリア)」
早朝、待ち合わせ場所である南門付近へ行くと、薄手の皮鎧と腰にアイテムボックスを装備した『商人見習い(メルカドール)』のミリアと、商人のベイゼル、その護衛の冒険者パーティ3人が既に待機していた。
ミリアは少し緊張した面持ちで。
だが少しうつらうつらとしており、まるで遠足前日の児童の様であった。
その後少し遅れてローブを身に付けたミダレがおずおずとやって来た。
ちなみにミダレは普段、ヒラヒラとした薄手の服を着ており、強風が吹けば少し目のやり場に困ってしまうので、ローブを身に付けさせた。
外から見れば安全なのだが、ノアにとっては逆効果で、「あのローブの下はあの格好なんだよなぁ…」と想像すると何やらこみ上げて来るものがあった。
隠した方が何かこう…な気分になるノアであった。
また少しして、「あれ?クリストフは?」と思い、周囲を見回してみると、建物の陰のジメッとした場所に既に立っていた。
もしかしてお前、ずっとそこに居たのか?と思ったが、聞かないでおいた。
「いやはや申し訳無い…
私の下を離れるのはこれが初めてだったもので、あれが無いこれが無いを繰り返していたらいつの間にか深夜に…(ベイゼル)」
「いえいえ、心配になるのも分かりますから安心して下さい。
ミリアちゃん、今日は当分歩く事になるけど、もし眠くなったらちゃんと言ってね?」
「は、はい。(ミリア)」
ベイゼルがどれ位一緒に居たかは分からないが、商人と御者よりか親と子の関係の方が近いかも知れない。
相手が知れているとはいえ、子を預けるのだから念には念を入れるのは仕方の無い事だろう。
「基本的に朝・昼・晩の3回食事を摂る。
ミリアちゃんはジビエは大丈夫かな?」
「はい、大丈夫です。(ミリア)」
「ならその予定で行こう。
それと街に寄った時に僕から300メル以上離れる、又は街の外に出る場合は僕に一言声を掛けて欲しい。
それ以上離れると<聞き耳>と<気配感知>の外になっちゃうから探しに行かないといけないからね。」
「はい、分かりました。(ミリア)」
その後も幾つかの取り決めを行いその都度確認を行っていく。
と言っても彼女を束縛する様なモノではなく、安全を保証するモノが殆どであった。
「…っと、それじゃあそろそろ…」
と、獣人国を発とうとした時だった。
街の方を見てみると、街の各所から続々と獣人達が南門付近に集まって来るのが見えた。
2ヶ月間殆どと言える位行動を共にしていたヴァモスとベレーザに、ノアが泊まっていた宿の主人から犬姫の騎士団員全員と兵士、何度か拳を交わした面々だったり、ふと遠くに見える王城のテラスを見てみると、王族一家が表に出てこちらを眺めている。
恐らく一番年下のフォルクだろうか、こちらにブンブンと手を振っている。
前日はクロラとポーラを見送ったノアだが、今日は獣人国に暮らす全ての人達がノア達を見送りに来ていた。
『『『バッ!』』』『『『『ザッ!』』』』
『『『『『ヒラヒラ。』』』』』
早朝だからと言うのもあるだろうか、犬姫の騎士団や兵士達は声を発さずに自身の剣を体の側面に持っていって静かに最敬礼し、街の住人達は、笑顔でノア達に手を振るだけに留めた。
お礼や話したい事は一昨日の壮行会で一頻り話したので、後は見送るのみ、という事なのだろう。
ペコ…。
「よし、それじゃあ見送りも済んだ事だし、発つとしようか。」
「はい。(ヴァンディット)」
「うん。(ラインハード)」
「そうですな。(クリストフ)」
「はいな。(ミダレ)」
「は、はい。(ミリア)」
「しっかり『商人見習い(メルカドール)』として勉強するんだぞ!(ベイゼル)」
「「「頑張ってな!ミリア!(護衛の冒険者パーティ)」」」
「はい頑張ります!(ミリア)」
「ほいじゃあ儂らは後を追うでな!また何処ぞで会おうぞ!(バド)」
「出来れば酒用意しといてくれ!(ルド)」
「ガハハ!(ロイ)」
冒険者生活を開始して僅か4ヶ月の普通の冒険者であれば、大勢からの見送りを受けて萎縮してしまうものだが、ノアは萎縮する所か笑顔で礼をし、直ぐに出立に向けて頭を切り替えた。
まだ幼さを感じさせるその少年の堂々とした振るまいに、萎縮していたミリアは自然とノアの方へと歩を進めていた。
ベイゼルや護衛の冒険者パーティからの激励にもハキハキと答え、何なら笑顔で手を振る余裕まであった程だ。
その後、僅か1ヶ月半程前にこの国を訪れた1人の冒険者は、新たな同行者を連れ、大勢からの見送りを受けながら旅立っていった。
新たな出会いと冒険を求めて。
~獣人国を出て10分後~
テクテク…
「それで、ノア殿。
今後は南の何処を目指すのですかな?(クリストフ)」
「…決まってない…
それに南に何があるのかも分かってない…」
クリストフから今後の旅程を聞かれたノアだが、行き先は″南″という事しか決まってない。
何なら冒険者生活を開始した当初から道なりに進み、アルバラストからフリアダビアへは戦力を求められて向かい、フリアダビアから王都へはその戦果を認められて向かい、王都から獣人国へはヴァモスとベレーザの為に向かった様なものだ。
謂わば今迄の旅程は自分で決めたモノが殆ど無かったのである。
普通の冒険者なら「○○のダンジョンに行ってみたい」とか「強い武器を手に入れたい」とかある程度の目標や予定等を持っているモノだが、ノアには特段そういった目標は無い。
冒険者になってぶらぶらと旅がしたいだけであった。
と、そんな行き先不透明なノアに選択肢を与えたのは
ペラ…
「えっと…ここから2日程南下した『ウォルタメ』と言う村では今の時季″スイカ″が最盛期となってますね。
確か収穫を手伝えば1人1玉限定ですが、貰えたハズですよ。(ミリア)」
「え!?スイカ!?
良いね、食べたい食べたい!」
ミリアは自身の手帳を取り出して現在地と大体の行き先とを照らし合わせて名産品を挙げてみる。
すると1発目に挙げた″スイカ″がノアにヒットしたらしく、一先ずの行き先はその村となりそうである。
チュンチュン…チチチ…
「はい、皆さんおはようございます。」
「おはようございますノア様。(ヴァンディット)」
「おっはよー!(ラインハード)」
「おはよう、ノア君(ミダレ)」
「おっふぁようござぃまふ…(ミリア)」
「眠そうだね、ミリアちゃん。」
「き、昨日遅くまでベイゼルさんや護衛の冒険者さん達と荷支度したり準備してましたので…(ミリア)」
早朝、待ち合わせ場所である南門付近へ行くと、薄手の皮鎧と腰にアイテムボックスを装備した『商人見習い(メルカドール)』のミリアと、商人のベイゼル、その護衛の冒険者パーティ3人が既に待機していた。
ミリアは少し緊張した面持ちで。
だが少しうつらうつらとしており、まるで遠足前日の児童の様であった。
その後少し遅れてローブを身に付けたミダレがおずおずとやって来た。
ちなみにミダレは普段、ヒラヒラとした薄手の服を着ており、強風が吹けば少し目のやり場に困ってしまうので、ローブを身に付けさせた。
外から見れば安全なのだが、ノアにとっては逆効果で、「あのローブの下はあの格好なんだよなぁ…」と想像すると何やらこみ上げて来るものがあった。
隠した方が何かこう…な気分になるノアであった。
また少しして、「あれ?クリストフは?」と思い、周囲を見回してみると、建物の陰のジメッとした場所に既に立っていた。
もしかしてお前、ずっとそこに居たのか?と思ったが、聞かないでおいた。
「いやはや申し訳無い…
私の下を離れるのはこれが初めてだったもので、あれが無いこれが無いを繰り返していたらいつの間にか深夜に…(ベイゼル)」
「いえいえ、心配になるのも分かりますから安心して下さい。
ミリアちゃん、今日は当分歩く事になるけど、もし眠くなったらちゃんと言ってね?」
「は、はい。(ミリア)」
ベイゼルがどれ位一緒に居たかは分からないが、商人と御者よりか親と子の関係の方が近いかも知れない。
相手が知れているとはいえ、子を預けるのだから念には念を入れるのは仕方の無い事だろう。
「基本的に朝・昼・晩の3回食事を摂る。
ミリアちゃんはジビエは大丈夫かな?」
「はい、大丈夫です。(ミリア)」
「ならその予定で行こう。
それと街に寄った時に僕から300メル以上離れる、又は街の外に出る場合は僕に一言声を掛けて欲しい。
それ以上離れると<聞き耳>と<気配感知>の外になっちゃうから探しに行かないといけないからね。」
「はい、分かりました。(ミリア)」
その後も幾つかの取り決めを行いその都度確認を行っていく。
と言っても彼女を束縛する様なモノではなく、安全を保証するモノが殆どであった。
「…っと、それじゃあそろそろ…」
と、獣人国を発とうとした時だった。
街の方を見てみると、街の各所から続々と獣人達が南門付近に集まって来るのが見えた。
2ヶ月間殆どと言える位行動を共にしていたヴァモスとベレーザに、ノアが泊まっていた宿の主人から犬姫の騎士団員全員と兵士、何度か拳を交わした面々だったり、ふと遠くに見える王城のテラスを見てみると、王族一家が表に出てこちらを眺めている。
恐らく一番年下のフォルクだろうか、こちらにブンブンと手を振っている。
前日はクロラとポーラを見送ったノアだが、今日は獣人国に暮らす全ての人達がノア達を見送りに来ていた。
『『『バッ!』』』『『『『ザッ!』』』』
『『『『『ヒラヒラ。』』』』』
早朝だからと言うのもあるだろうか、犬姫の騎士団や兵士達は声を発さずに自身の剣を体の側面に持っていって静かに最敬礼し、街の住人達は、笑顔でノア達に手を振るだけに留めた。
お礼や話したい事は一昨日の壮行会で一頻り話したので、後は見送るのみ、という事なのだろう。
ペコ…。
「よし、それじゃあ見送りも済んだ事だし、発つとしようか。」
「はい。(ヴァンディット)」
「うん。(ラインハード)」
「そうですな。(クリストフ)」
「はいな。(ミダレ)」
「は、はい。(ミリア)」
「しっかり『商人見習い(メルカドール)』として勉強するんだぞ!(ベイゼル)」
「「「頑張ってな!ミリア!(護衛の冒険者パーティ)」」」
「はい頑張ります!(ミリア)」
「ほいじゃあ儂らは後を追うでな!また何処ぞで会おうぞ!(バド)」
「出来れば酒用意しといてくれ!(ルド)」
「ガハハ!(ロイ)」
冒険者生活を開始して僅か4ヶ月の普通の冒険者であれば、大勢からの見送りを受けて萎縮してしまうものだが、ノアは萎縮する所か笑顔で礼をし、直ぐに出立に向けて頭を切り替えた。
まだ幼さを感じさせるその少年の堂々とした振るまいに、萎縮していたミリアは自然とノアの方へと歩を進めていた。
ベイゼルや護衛の冒険者パーティからの激励にもハキハキと答え、何なら笑顔で手を振る余裕まであった程だ。
その後、僅か1ヶ月半程前にこの国を訪れた1人の冒険者は、新たな同行者を連れ、大勢からの見送りを受けながら旅立っていった。
新たな出会いと冒険を求めて。
~獣人国を出て10分後~
テクテク…
「それで、ノア殿。
今後は南の何処を目指すのですかな?(クリストフ)」
「…決まってない…
それに南に何があるのかも分かってない…」
クリストフから今後の旅程を聞かれたノアだが、行き先は″南″という事しか決まってない。
何なら冒険者生活を開始した当初から道なりに進み、アルバラストからフリアダビアへは戦力を求められて向かい、フリアダビアから王都へはその戦果を認められて向かい、王都から獣人国へはヴァモスとベレーザの為に向かった様なものだ。
謂わば今迄の旅程は自分で決めたモノが殆ど無かったのである。
普通の冒険者なら「○○のダンジョンに行ってみたい」とか「強い武器を手に入れたい」とかある程度の目標や予定等を持っているモノだが、ノアには特段そういった目標は無い。
冒険者になってぶらぶらと旅がしたいだけであった。
と、そんな行き先不透明なノアに選択肢を与えたのは
ペラ…
「えっと…ここから2日程南下した『ウォルタメ』と言う村では今の時季″スイカ″が最盛期となってますね。
確か収穫を手伝えば1人1玉限定ですが、貰えたハズですよ。(ミリア)」
「え!?スイカ!?
良いね、食べたい食べたい!」
ミリアは自身の手帳を取り出して現在地と大体の行き先とを照らし合わせて名産品を挙げてみる。
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