ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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取り敢えず南へ編

1時間待ってやる

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『『『ザッ!』』』

「あ、あたしが一応この村の村長をやっているアレイよ…
悪いけど、あんた達の申し出に応じる事は出来ないわ…
皆生活が掛かっているのだもの…(アレイ)」

(あ、村長だったんだ。)

「付き添いの冒険者だ。(ザラット)」

「同じく付き添いの冒険者です。」


″【勇者】軍″はこの場に居るだけで100人近くは見える。
最初こそ意気込んでいたアレイだったが、数と何とも言えない笑みを浮かべた集団の圧にやられ、オドオドとしていた。


そこに付き添ってきたザラットとノアは、その圧に負ける事無くアレイの両脇に佇んでいた。




「あれ?お前試験街テスタに″1人″で居た冒険者だろ?(ハイン)」

「あぁ。
君はテスタでパーティから抜けさせられた冒険者だったね。
確か″毎回倒したモンスターに過剰攻撃を加えて素材をダメにして

「う、うるせぇ!
お前こそ1人で彷徨ってこの村に来たんだろう!この村とは無関係だろ!
邪魔だ!どっか行け!(ハイン)」

「悪いが朝御飯を頂いた恩を返せていないのでね、悪いがここに居させて貰うよ。」

「こ、この…「新入り!さっさとしろ!」

「は、はい!(ハイン)」


ハインがウダウダ話している事に業を煮やした″【勇者】軍″の1人がハインに発破を掛ける。


スラッ!

「……。」

「ははっ!恐いだろう!
良いか?刺されると痛いんだぜ?
俺達″【勇者】軍″は御協力願えない″背信者に罰を与える権限″がある。
それは新入りの俺すらもなぁ!(ハイン)」

「今こっちは100人位しか居ねぇが、山の麓には仲間が200人、明日には追加で200人、300人の″【勇者】軍″がやって来るだろう。
それを断ると言う事がどういう事か分かるだろう?」

「そ、それは…(アレイ)」


ハインに続いて集団の中から装備の整った傭兵らしき人物もやって来てアレイに交渉し出した。

だが交渉と言うよりも脅迫に近い物言いに更に萎縮するアレイ。


「聞きたいのだが、その″【勇者】軍″の行いは周辺の国々は了承しているのか?(ザラット)」

「了承しているかしていないかは問題では無い。″【魔王】討伐を成し得る【勇者】軍がそう言っているのだ″!
これらの行いは全て不問とされるのだぁ!」

「自分達で勝手に作ったルールを正しいとしているだけじゃん。」

「つまり″無許可″だな。
下らん、そして降らん。(ザラット)」


イグレージャ・オシデンタルが勝手に制定して勝手に公布したこの宣言は、勿論の事何処の国も了承しておらず、体良く″検討する″に止まっている。

だがそれを″【勇者】軍″は承認される前から実行している為タチが悪い。
本人達は正しい行いだとしても、世界的にみればただの犯罪行為であるのだから。

それらを声高らかに宣言した装備の整った傭兵の言葉を切り捨てたノアとザラットに、ハインは青筋を立て


「良いか!猶予を、考える時間を1時間だけ与えてやる!
我ら″【勇者】軍″は寛大だからなぁ!
それまでにこの村を明け渡さない場合、こうなると思えっ!(ハイン)」

ビュンッ!


と、交渉が通用しないとみるや、ハインは先程抜いた剣でノアへと斬り掛かる。


「これは見せ『ガヂィンッ!』しめだぁっ!
…あ、あれ?(ハイン)」


見せしめと言いつつ斬り掛かったハインだが、その手に剣は残っていなかった。
落ちた形跡も無く、足下を見渡していたが、隣に居た装備の整った傭兵が絶句している事に気が付いた。


カキ…

「何ふぁこのへん、刃ほぼれしまふっへへふかい物にならはいじゃないふぁ(何だこの剣、刃零れしまくってて使い物にならないじゃないか)『ミキキキ…ビキンッ!』
何?こんな物で僕を殺そうとした訳?」

「ひ…ぇぇ…(ハイン)」

「な、何…」


本日2回目となる、歯で剣を受け止めたノアは、質の悪い剣をそのまま噛み砕いてしまった。
その光景に、ハインと傭兵、その後方に居る集団が僅かながらに固まった。


「…取り敢えずそちらが名乗ってこちらが名乗らないのは宜しくないから紹介しておくよ。
僕は中級冒険者のノア。
世間的には【鬼神】の通り名で知られていると思うけど、後ろの方々にはこう言った方が良いかな?
僕は″野盗200人殺し″のノア、アルバラストでアンタらの様な犯罪集団を数多く捕縛した張本人だ。
この村に攻め行ってみろ?″【勇者】軍″だろうが″神″だろうが全員纏めてぶっ潰してやるよ。」

「き、君が″【鬼神】″…?(ザラット)」

「や、″野盗200人殺し″ってあんた…(アレイ)」

「は?…え?きじん…?(ハイン)」

「う、嘘だろ…」


ノアの二つ名と通り名を聞いて各々驚きの表情を見せる。
唯一ハインは、南方からこの地にやって来た為、ノアの二つ名を聞いてもピンと来ていなかった。


「は、ハッタリだぁ!」
「こんな村にそんな奴ぁ居るわけねぇ!」
「さっきのも何か仕込みがあったに違いねぇ!」
「良いか!俺ら″【勇者】軍″に楯突いたらどうなるか

ズズズズ…『黙れ。』メキメキメキメキ…

「「「「「「「ひっ!?」」」」」」」

「お、おお…(アレイ)」

「…マジか…(ザラット)」


ノアの発言を信じようとしない連中が声を荒げる中、力の制御を解除して殺気を放出しつつ赤黒いオーラと腕を生やして威圧感を増加させるノア。

やはり相手に圧を与えるのならこの形態が最も効果的であろう。


『良いか?考える時間を1時間だけ与えてやる。
【鬼神】は寛大だからなぁ。
″【勇者】軍″をイグレージャ・オシデンタルまで後退させろ、さもなくば潰す。』

「い、1時間…!?そんな無茶な…」

『その無茶をこちらにも強いたんだ、″お相子″だろう?』

「わ、分かった、話を付けて、来よう…」


とんでもない殺気を振り撒いてそう″お願い″するノアに、装備の整った傭兵は了承せざるを得なかった。

結果的にこの地に訪れた″【勇者】軍″は、一時的に退く事になったのだった。





ズズズズ…

『…全く…』

「ぼ、坊や、アンタ…(アレイ)」

「…君があの…【鬼神】…なのか…?
それなら色々と合点が行くが…(ザラット)」


オーラで形成した腕を引っ込めつつ嘆息するノアに、アレイとザラットが声を掛ける。


「な?その坊を連れて正解じゃったろ?(バド)」
「こん坊はその手のプロじゃき、上手ーく退けたじゃろ。(ルド)」

「ですがノア殿…(クリストフ)」

『あぁ、そうだね。』

「ん?どうしたんだい坊や…?(アレイ)」


村の方で待機していたドワーフ3人組とクリストフ、村人達も3人の下へやって来た。
村人達はノアの変貌ぶりに驚きを露にしていた。

そんな中、クリストフが何やら不安そうな声を上げ、ノアもそれに同意していた。


『一時的に奴等は退いていきましたが、″【勇者】軍″が″軍″である以上、1時間後に必ず戻ってきます。
村人達皆の総意を聞きたいですし、それによっては色々と準備をしなければいけません。』

「「「「な、何だって!?」」」」

「だろうな。(ザラット)」

「だろうの。(ルド)」
「「じゃろうな。(バドとロイ)」」


″【勇者】軍″の総数が先程の集団のみであれば、ノアの脅しを受けて迂回、もしくは後退するのだろうが、″明日には追加で200人、300人の″【勇者】軍″がやって来る″と言っていた。

明日以降数が増え、″【勇者】軍″の戦力が増大すれば再びこの村に攻め行って来るのは目に見えていた。


『攻め行らないにしても、僕がこの村を去った所を狙って再び攻め行って来る事も考えられますからね。』

「そんな…それじゃあ一体どうしたら良いんだい…(アレイ)」


この村に再び″【勇者】軍″が攻め行って来るのも時間の問題であると悟ったアレイは、どうしたものかと頭を悩ませていた。




『現在100…明日には2、300か…
クリストフ、森・山が主戦場になるがどうだ?』

「好都合ですぞ。(クリストフ)」

『そうか。
ヴァンディットさん、″魔眼″使えます?』

「勿論ですわ。(ヴァンディット)」

『よし。ラインハードさん、例の″魔装鉄甲の砲形態″って射程はどれ位になりますか?』

「遮蔽物有りで200、無しで300位なら狙えますが?(ラインハード)」

『なるほ「ちょ、ちょっと坊や、一体何をするってんだい?(アレイ)」


何やら戦術の様な物を立てているノアにアレイが問い掛ける。


『この村は″割に合わない″と思わせてやるんですよ。』

「「「「「「「はぁ?」」」」」」」
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