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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~
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~ルルイエ伯爵とカルル、護衛の兵士数人~
「…″奴隷だけの街(前哨基地)を造る″…か…
考えもしなかった…
主戦力は我らヴァリエンテの民と兵、精々が補充要員程度にしか考えていなかったが、『元冒険者』による『戦闘奴隷』が居れば話は別だ。
何せ志願兵であれば1から鍛えねばならん。
だが『戦闘奴隷』ならば低く見積もっても″4″。
殆どが″6″の状態であろうから訓練に割ける時間が大幅に減る…(ルルイエ)」
「迫る大氾濫に対し、戦力の増強のみを考え、街(前哨基地)の建設を二の次に考えていたが、″生産・技術職の奴隷″が居れば″開拓と建設をほぼ同時″に行える…
限られた状況下で最善策を導き出したという事か…(カルル)」
「それだけでは御座いませんよ。
ノア殿の案は【勇者】軍からの被害を受けて逃げる事しか出来ず、状況的に悪事に手を染める事しか出来なかった者達への救済となりえます。(兵士1)」
「ノア殿は此度の大氾濫が去った暁には、街(前哨基地)の者達に自由を与えるらしく、故郷の街や村への連絡は任せると申し窺っております。(兵士2)」
「…我が領の公金を使わず、獣人国からの多大な報奨金を使ってこの策を実行するとは…(ルルイエ)」
杖を突きながら息子のカルルや兵士らと共に調査に訪れたルルイエは、ノア一家が立てた策について話していた。
そこに
チリン…
「この策を街の者達に伝えるにあたり、絶対と言って良い程反感を食らうものと予想されました。
何せ″街の外からやって来た者達が自分達の公金を使って勝手な事をやらかそうとしている″のです。
何かにつけて反対してくると思いました。
だからノア殿は身銭を切ったのだと思いますぞ。(クリストフ)」
ルルイエや兵士らに同行する形でクリストフも着いてきていた。
クリストフとしては、直近で【勇者】軍による蛮行が行われたにも関わらず、種類が似かよった奴隷を招き入れる事による不和を失くそうとノアが画策した、と思っている様だが
ドドッ!ドドッ!(メロディア・ジプシーバナーの脚音。)
「大袈裟だよクリストフ。
僕はそこまで考えていた訳じゃないよ、っと。『スタッ!』」
「おやノア殿、そうなのですか?(クリストフ)」チリン…
先行していたノアがメロディア・ジプシーバナーに乗ってルルイエ達、クリストフらの下に参上。
クリストフの考えをやんわりと否定しながら下馬した。
「僕の戦闘スタイルは知ってるでしょ?」
「えぇ、『無茶』ですよね。(クリストフ)」チリン…
「…否定出来ないけど、この場では違うね。
『効率重視』だよ、『効率重視』。
限られた時間、限られた手札でどうやったら上手くいくかなって考えて、自分が持つ手札の中に獣人国から貰った莫大なお金があったから使ったって″だけ″。
そしたら今のクリストフ同様、父さんと母さんから″考えたね″って言われたけど、何のこっちゃ分からなかったよ。」
「いや、だからといって6億もの額を…(ルルイエ)」
「正直1億ですら手元にあるのが怖いのに、十ウン億も手元にあったら毎日戦々恐々ですよ。
父さんと母さんは全然受け取ってくれないし…
僕らは冒険者だから数日暮らしていけるだけのお金があれば十分なんです。
今回それを手離す口実に使ったと言う事ですよ。
それでは調査を続けますので話はここまでとします。それじゃ。」
ダカダッ!(メロディア・ジプシーバナーが駆け出す。)
自分から言いたい事は終えたとばかりに、メロディア・ジプシーバナーを走らせて再び調査に向かうノア。
その姿を一行は眺める事しか出来なかった。
(『そういやクリストフの奴、ずっと微かに『チリン…』って鳴ってんの何なんだろうな?』)
(昨日からだったよね?
まぁ後で聞いてみるとしようか。)
~再び門扉付近~
『ガサガサ』
「ヴァーちゃん、ヴァーちゃん!これは?(ラインハード)」
「それは『イノチカリトリカブト』ですね。
毒薬の材料になりますよ~。(ヴァンディット)」
『ガサガサ 』
「じゃー…これ!(ラインハード)」
「それは『猛毒セリ』。
毒飯が作れるらしいですよ~。(ヴァンディット)」
ヴォンッ!(ブラッツ)
「それは『昏睡仙(コンスイセン)』と言って眠ってる間に毒状態に陥るのでペッしなさいね。(ヴァンディット)」
「毒草しか無いのですねここら辺…(ミリア)」
「まぁここら辺は日陰だから、毒草の類いが育ちやすいのでしょう。(アミスティア)」
所変わってここは門扉近くで植生を調査中の女性陣。
ラインハードと眷属のブラッツが植物を見付けては、薬品製作で自然と植物の知識が身に付いたヴァンディットが答えていく。
植生調査は地味に重要で、何が生えているかで食糧生産拠点にもなるし、薬品製造の拠点にもなる。
どうやら門扉近くは日が差さない場所が多い為か毒草が多く、ヴァンディットはホクホク顔であったが、他の者達は苦笑いを浮かべ、ブラッツは言い付け通りペッしていた。
「そういえばミダレちゃん、″あの件″についてはどうだったかしら?
何人か来てくれそう?(アミスティア)」
「ここから少し北にある村に2日前から何人か滞在してたみたいっちゃね。
だからギルドを介してここに来てくれるかお願いしてる所っちゃけど、多分来てくれると思うっちゃよ。(ミダレ)」
「だと良いわ。(アミスティア)」
奴隷だけの街を造るにあたり、最前線で調査をする者と女性陣達の様に後方で調査をする者に分かれる事になり、ミダレと話す機会が増える事になった。
その際アミスティアはミダレに″何か″を依頼していたらしく、その依頼に対してミダレからはアテがあるとの事。
「でも大丈夫だったかしら?
結構急な話だったけど…?(アミスティア)」
「いえいえ、お陰で″助かる娘″も結構居ると思うので大助かりです。(ミダレ)」
「それは良かったわ。
今回の様に街を興す際には割と重要な要素だったりするの。
下手すると″【勇者】軍″みたいな事が起こってしまうかも知れないから相談して良かったわ。(アミスティア)」
~名も無き広大な大地・森林エリア付近~
『『『ガヤガヤ…』』』(数人程の話し声。)
「ここはどうだ?」
「川や森に近い、ここなら打って付けだろう。」
「周りに資源は豊富だ、人が揃えば短時間でそこそこの砦が造れるだろう。」
「よし、ではルルイエ様に伝えてこよう。(兵士)」
「…″奴隷だけの街(前哨基地)を造る″…か…
考えもしなかった…
主戦力は我らヴァリエンテの民と兵、精々が補充要員程度にしか考えていなかったが、『元冒険者』による『戦闘奴隷』が居れば話は別だ。
何せ志願兵であれば1から鍛えねばならん。
だが『戦闘奴隷』ならば低く見積もっても″4″。
殆どが″6″の状態であろうから訓練に割ける時間が大幅に減る…(ルルイエ)」
「迫る大氾濫に対し、戦力の増強のみを考え、街(前哨基地)の建設を二の次に考えていたが、″生産・技術職の奴隷″が居れば″開拓と建設をほぼ同時″に行える…
限られた状況下で最善策を導き出したという事か…(カルル)」
「それだけでは御座いませんよ。
ノア殿の案は【勇者】軍からの被害を受けて逃げる事しか出来ず、状況的に悪事に手を染める事しか出来なかった者達への救済となりえます。(兵士1)」
「ノア殿は此度の大氾濫が去った暁には、街(前哨基地)の者達に自由を与えるらしく、故郷の街や村への連絡は任せると申し窺っております。(兵士2)」
「…我が領の公金を使わず、獣人国からの多大な報奨金を使ってこの策を実行するとは…(ルルイエ)」
杖を突きながら息子のカルルや兵士らと共に調査に訪れたルルイエは、ノア一家が立てた策について話していた。
そこに
チリン…
「この策を街の者達に伝えるにあたり、絶対と言って良い程反感を食らうものと予想されました。
何せ″街の外からやって来た者達が自分達の公金を使って勝手な事をやらかそうとしている″のです。
何かにつけて反対してくると思いました。
だからノア殿は身銭を切ったのだと思いますぞ。(クリストフ)」
ルルイエや兵士らに同行する形でクリストフも着いてきていた。
クリストフとしては、直近で【勇者】軍による蛮行が行われたにも関わらず、種類が似かよった奴隷を招き入れる事による不和を失くそうとノアが画策した、と思っている様だが
ドドッ!ドドッ!(メロディア・ジプシーバナーの脚音。)
「大袈裟だよクリストフ。
僕はそこまで考えていた訳じゃないよ、っと。『スタッ!』」
「おやノア殿、そうなのですか?(クリストフ)」チリン…
先行していたノアがメロディア・ジプシーバナーに乗ってルルイエ達、クリストフらの下に参上。
クリストフの考えをやんわりと否定しながら下馬した。
「僕の戦闘スタイルは知ってるでしょ?」
「えぇ、『無茶』ですよね。(クリストフ)」チリン…
「…否定出来ないけど、この場では違うね。
『効率重視』だよ、『効率重視』。
限られた時間、限られた手札でどうやったら上手くいくかなって考えて、自分が持つ手札の中に獣人国から貰った莫大なお金があったから使ったって″だけ″。
そしたら今のクリストフ同様、父さんと母さんから″考えたね″って言われたけど、何のこっちゃ分からなかったよ。」
「いや、だからといって6億もの額を…(ルルイエ)」
「正直1億ですら手元にあるのが怖いのに、十ウン億も手元にあったら毎日戦々恐々ですよ。
父さんと母さんは全然受け取ってくれないし…
僕らは冒険者だから数日暮らしていけるだけのお金があれば十分なんです。
今回それを手離す口実に使ったと言う事ですよ。
それでは調査を続けますので話はここまでとします。それじゃ。」
ダカダッ!(メロディア・ジプシーバナーが駆け出す。)
自分から言いたい事は終えたとばかりに、メロディア・ジプシーバナーを走らせて再び調査に向かうノア。
その姿を一行は眺める事しか出来なかった。
(『そういやクリストフの奴、ずっと微かに『チリン…』って鳴ってんの何なんだろうな?』)
(昨日からだったよね?
まぁ後で聞いてみるとしようか。)
~再び門扉付近~
『ガサガサ』
「ヴァーちゃん、ヴァーちゃん!これは?(ラインハード)」
「それは『イノチカリトリカブト』ですね。
毒薬の材料になりますよ~。(ヴァンディット)」
『ガサガサ 』
「じゃー…これ!(ラインハード)」
「それは『猛毒セリ』。
毒飯が作れるらしいですよ~。(ヴァンディット)」
ヴォンッ!(ブラッツ)
「それは『昏睡仙(コンスイセン)』と言って眠ってる間に毒状態に陥るのでペッしなさいね。(ヴァンディット)」
「毒草しか無いのですねここら辺…(ミリア)」
「まぁここら辺は日陰だから、毒草の類いが育ちやすいのでしょう。(アミスティア)」
所変わってここは門扉近くで植生を調査中の女性陣。
ラインハードと眷属のブラッツが植物を見付けては、薬品製作で自然と植物の知識が身に付いたヴァンディットが答えていく。
植生調査は地味に重要で、何が生えているかで食糧生産拠点にもなるし、薬品製造の拠点にもなる。
どうやら門扉近くは日が差さない場所が多い為か毒草が多く、ヴァンディットはホクホク顔であったが、他の者達は苦笑いを浮かべ、ブラッツは言い付け通りペッしていた。
「そういえばミダレちゃん、″あの件″についてはどうだったかしら?
何人か来てくれそう?(アミスティア)」
「ここから少し北にある村に2日前から何人か滞在してたみたいっちゃね。
だからギルドを介してここに来てくれるかお願いしてる所っちゃけど、多分来てくれると思うっちゃよ。(ミダレ)」
「だと良いわ。(アミスティア)」
奴隷だけの街を造るにあたり、最前線で調査をする者と女性陣達の様に後方で調査をする者に分かれる事になり、ミダレと話す機会が増える事になった。
その際アミスティアはミダレに″何か″を依頼していたらしく、その依頼に対してミダレからはアテがあるとの事。
「でも大丈夫だったかしら?
結構急な話だったけど…?(アミスティア)」
「いえいえ、お陰で″助かる娘″も結構居ると思うので大助かりです。(ミダレ)」
「それは良かったわ。
今回の様に街を興す際には割と重要な要素だったりするの。
下手すると″【勇者】軍″みたいな事が起こってしまうかも知れないから相談して良かったわ。(アミスティア)」
~名も無き広大な大地・森林エリア付近~
『『『ガヤガヤ…』』』(数人程の話し声。)
「ここはどうだ?」
「川や森に近い、ここなら打って付けだろう。」
「周りに資源は豊富だ、人が揃えば短時間でそこそこの砦が造れるだろう。」
「よし、ではルルイエ様に伝えてこよう。(兵士)」
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