ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

続々と

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~2日後・昼近く~ 

『『『ジーワ、ジーワ。』』』(ムンムンゼミの声。)

「「「暑ぃ~…(???達)」」」


北部からヴァリエンテ領へと続く街道を3人の健康的な体付きの女性が茹だる暑さに耐えながら歩いていた。

その中の1人が徐に地図を取り出して何処かの場所を確認し出した。


『『ガサガサ…』』

「確かもうそろそろよね、ミダレが言ってた街って…
そもそもあの娘何で西端の街に居るのかしら。
ちょっと前まで南にある『テスタ』に行ってたハズでしょ…?(????)」

「まさかもう旦那を見付けてその街で暮らしてるとか…?(???)」

「いやー、それはどうかしら…(???)」

「いや、でもあり得るわよ…?
あの娘″誘惑香″の制御が一番苦手だったからその辺の男に″致し、致され″

「はい、この話止めー!
友達を使って勝手な妄想をするのは止めましょーね~!(???)」


3人はミダレとは知り合い、と言うよりか友達の様で、辺境の地とも言えるヴァリエンテ領に居る事に首を傾げ、あらぬ妄想をするのだが、あながち間違いでは無かった。





『『『ガラガラガラ…』』』(遠くから荷馬車の音。)

「あ、あそこじゃない?ヴァリエンテ領って。(サキュバスのミダラ)」

「みたいね。
″新しく街を新設するから『娼館ギルド所属』の皆に協力して欲しい″なんてミダレから突然連絡が来たんだもの、ビックリしちゃったわ。(サキュバスのラハラメ)」

「最近精気にありつけなかったから、私としては嬉しい限りだけどね~。(サキュバスのアマエ)」


街道を歩く健康的な体付きの女性3人は『娼館ギルドに所属』しているサキュバス族で、ミダレから新設される街での″性処理″を依頼されている。

彼女達はサキュバス族である為、人族の様な方法で″性処理″をする必要があまり無く、対象の体に触れて精気を吸収するだけで済むので、比較的安全な職であると言える。

しかも彼女達は『公的娼館ギルドに所属』しているギルドの一員である為、ギルド側から提示されている禁止行為を行えば重い罪を科せられる事になるのだ。





『『『ゴトゴトゴト…』』』(荷馬車が次々とヴァリエンテ領内へ。)

「すいませーん!(ラハラメ)」

「む…?
あ、もしや『公的娼館ギルド』から派遣されたサキュバスの方々ですか?(兵士1)」

「「「はーい、そうでーす。」」」

「ギルド所属の印章です。登録証と一緒に確認お願いします。(ラハラメ)」

「ご丁寧にどうも。(兵士1)」


領内へと入る為、兵士に身分証と『娼館ギルド』の登録証を手渡す一行。
その横では20人程が乗れる荷馬車が次々と列を成して通過していく。


「あれが″開拓民兼新しい街の住人″達なのね。
かなりの人数よ、500人位は居るんじゃないかしら。(ミダラ)」
「血気盛んそうお客さん達ばかりじゃない。(ラハラメ)」
「久し振りにお腹一杯になりそうだね~。(アマエ)」


サキュバス族からしてみれば、年齢や身分。美醜はあまり関係無く、精気が良いかどうかが判断基準となるらしく、馬車の荷台に乗せられてやって来た者達を見て久し振りの精気に目を輝かせていた。

と、そこに


「あーっ!ラハラメちゃん、ミダラちゃんにアマエちゃん!来てくれたっちゃね!(ミダレ)」

「あらミダレじゃん、久し振り~。(アマエ)」
「呼ばれたから来たんだよ~!(ラハラメ)」
「その口調久し振り~、やっほーミダレ~。(ミダラ)」

「「「…って、あれ!?」」」


門の陰からひょっこりとミダレと使い魔のイスクリードが姿を現す。
3人とは久し振りの再会なのかニコニコとした笑顔でブンブンと手を振って歓迎するミダレだが、それとは対称的に3人はミダレの変化に驚いていた。


「ミ、ミダレちゃ…あ、頭に″角″…!?(ラハラメ)」
「背中に″翼″が…!?(ミダラ)」
「″尻尾″と…もしかしてそこのずんぐりむっくりはミダレちゃんの″使い魔″!?(アマエ)」 

《ずんぐりむっくりじゃないよ、イスクリードって呼んで!》


ノアと手違いで契約を結んでしまったミダレは、その日を境に頭からは″角″が。
腰の辺りには″翼″が。
そしてお尻の付け根辺りから小さな″尻尾″が生え、如何にもサキュバスといった特徴が表れていった。

そしてずんぐりむっくりとした使い魔のイスクリードが常に周囲を漂っており、3人の知るミダレから明らかに変化していたのだった。


「…って事は…!
″淫紋″!″淫紋″があるハズよミダレちゃん!
見せてみなさい!(ミダラ)」

「ヤ、ヤーァッ!
こ、こんな人の目が多い所ではイヤやって!(ミダレ)」


何かに感付いたミダラが徐に襲い掛かり、服を捲ろうとする。
門の前に立つ兵士は目のやり場に困っているのか、止める事無く目を背けていた。


「ほ、ほら!ここで話すのもあれっちゃけん、中入って話そうっちゃ!(ミダレ)」アセアセ…

「そうね、久し振りの再会なのに、こんな往来でミダレを剥き身にする訳にもいかないしね…(ラハラメ)」

「その代わり、全部説明して貰うわよミダレちゅわん?(ミダラ)」

「″致した″のか″致された″のか教えろー。(アマエ)」


ミダレははだけた衣服を直しつつ街へと誘導。
このままでは根掘り葉掘り聞かれつつ″淫紋″探しで剥かれてしまうので必死であった。





~ヴァリエンテ領内~


『『『ガヤガヤガヤ!』』』

「5番馬車から14馬車の者達は速やかに降りてくれ!後続が控えているからな!(兵士2)」

「生産・技術職の皆さんは【適正】毎に整列してくれ!(兵士3)」

「点呼が取れた所から順に建造場所に向かう!
速やかに行動されたし!(兵士4)」

「子供連れはゆっくりとで構わない!持病がある者等は近くの兵士に言ってくれ!(カルル)」


領内へ入ると、開拓民(元奴隷達)を乗せた荷馬車から続々と人々が降りてきては体を解して長旅の疲れを軽く癒していた。

街の中心にある広場には『元冒険者』と『生産・技術職の軽犯罪奴隷』、そして『【勇者】軍が原因で奴隷落ちしてしまった者達』の3グループが展開して各々点呼を取っていた。


表向き彼等は″開拓民・大氾濫に対する有志″として来ている。
謂わばここは彼等にとって死地とも言える。

しかも今から街を建造し、大氾濫が発生するまでの僅かな時間でそれに耐えられるだけの設備を整えなければならない。
常人で無くても考えたくない案件である。

にも関わらずこの場に集まっている者達の表情は比較的明るい。

ただ単に大氾濫を楽観視しているのかも知れないが、彼等がこの地に来るのを自らの意思で決定したのは、この地に『【勇者】軍500人潰し』が居る事であった。
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