ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

.

文字の大きさ
996 / 1,117
ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

続々と

しおりを挟む
~2日後・昼近く~ 

『『『ジーワ、ジーワ。』』』(ムンムンゼミの声。)

「「「暑ぃ~…(???達)」」」


北部からヴァリエンテ領へと続く街道を3人の健康的な体付きの女性が茹だる暑さに耐えながら歩いていた。

その中の1人が徐に地図を取り出して何処かの場所を確認し出した。


『『ガサガサ…』』

「確かもうそろそろよね、ミダレが言ってた街って…
そもそもあの娘何で西端の街に居るのかしら。
ちょっと前まで南にある『テスタ』に行ってたハズでしょ…?(????)」

「まさかもう旦那を見付けてその街で暮らしてるとか…?(???)」

「いやー、それはどうかしら…(???)」

「いや、でもあり得るわよ…?
あの娘″誘惑香″の制御が一番苦手だったからその辺の男に″致し、致され″

「はい、この話止めー!
友達を使って勝手な妄想をするのは止めましょーね~!(???)」


3人はミダレとは知り合い、と言うよりか友達の様で、辺境の地とも言えるヴァリエンテ領に居る事に首を傾げ、あらぬ妄想をするのだが、あながち間違いでは無かった。





『『『ガラガラガラ…』』』(遠くから荷馬車の音。)

「あ、あそこじゃない?ヴァリエンテ領って。(サキュバスのミダラ)」

「みたいね。
″新しく街を新設するから『娼館ギルド所属』の皆に協力して欲しい″なんてミダレから突然連絡が来たんだもの、ビックリしちゃったわ。(サキュバスのラハラメ)」

「最近精気にありつけなかったから、私としては嬉しい限りだけどね~。(サキュバスのアマエ)」


街道を歩く健康的な体付きの女性3人は『娼館ギルドに所属』しているサキュバス族で、ミダレから新設される街での″性処理″を依頼されている。

彼女達はサキュバス族である為、人族の様な方法で″性処理″をする必要があまり無く、対象の体に触れて精気を吸収するだけで済むので、比較的安全な職であると言える。

しかも彼女達は『公的娼館ギルドに所属』しているギルドの一員である為、ギルド側から提示されている禁止行為を行えば重い罪を科せられる事になるのだ。





『『『ゴトゴトゴト…』』』(荷馬車が次々とヴァリエンテ領内へ。)

「すいませーん!(ラハラメ)」

「む…?
あ、もしや『公的娼館ギルド』から派遣されたサキュバスの方々ですか?(兵士1)」

「「「はーい、そうでーす。」」」

「ギルド所属の印章です。登録証と一緒に確認お願いします。(ラハラメ)」

「ご丁寧にどうも。(兵士1)」


領内へと入る為、兵士に身分証と『娼館ギルド』の登録証を手渡す一行。
その横では20人程が乗れる荷馬車が次々と列を成して通過していく。


「あれが″開拓民兼新しい街の住人″達なのね。
かなりの人数よ、500人位は居るんじゃないかしら。(ミダラ)」
「血気盛んそうお客さん達ばかりじゃない。(ラハラメ)」
「久し振りにお腹一杯になりそうだね~。(アマエ)」


サキュバス族からしてみれば、年齢や身分。美醜はあまり関係無く、精気が良いかどうかが判断基準となるらしく、馬車の荷台に乗せられてやって来た者達を見て久し振りの精気に目を輝かせていた。

と、そこに


「あーっ!ラハラメちゃん、ミダラちゃんにアマエちゃん!来てくれたっちゃね!(ミダレ)」

「あらミダレじゃん、久し振り~。(アマエ)」
「呼ばれたから来たんだよ~!(ラハラメ)」
「その口調久し振り~、やっほーミダレ~。(ミダラ)」

「「「…って、あれ!?」」」


門の陰からひょっこりとミダレと使い魔のイスクリードが姿を現す。
3人とは久し振りの再会なのかニコニコとした笑顔でブンブンと手を振って歓迎するミダレだが、それとは対称的に3人はミダレの変化に驚いていた。


「ミ、ミダレちゃ…あ、頭に″角″…!?(ラハラメ)」
「背中に″翼″が…!?(ミダラ)」
「″尻尾″と…もしかしてそこのずんぐりむっくりはミダレちゃんの″使い魔″!?(アマエ)」 

《ずんぐりむっくりじゃないよ、イスクリードって呼んで!》


ノアと手違いで契約を結んでしまったミダレは、その日を境に頭からは″角″が。
腰の辺りには″翼″が。
そしてお尻の付け根辺りから小さな″尻尾″が生え、如何にもサキュバスといった特徴が表れていった。

そしてずんぐりむっくりとした使い魔のイスクリードが常に周囲を漂っており、3人の知るミダレから明らかに変化していたのだった。


「…って事は…!
″淫紋″!″淫紋″があるハズよミダレちゃん!
見せてみなさい!(ミダラ)」

「ヤ、ヤーァッ!
こ、こんな人の目が多い所ではイヤやって!(ミダレ)」


何かに感付いたミダラが徐に襲い掛かり、服を捲ろうとする。
門の前に立つ兵士は目のやり場に困っているのか、止める事無く目を背けていた。


「ほ、ほら!ここで話すのもあれっちゃけん、中入って話そうっちゃ!(ミダレ)」アセアセ…

「そうね、久し振りの再会なのに、こんな往来でミダレを剥き身にする訳にもいかないしね…(ラハラメ)」

「その代わり、全部説明して貰うわよミダレちゅわん?(ミダラ)」

「″致した″のか″致された″のか教えろー。(アマエ)」


ミダレははだけた衣服を直しつつ街へと誘導。
このままでは根掘り葉掘り聞かれつつ″淫紋″探しで剥かれてしまうので必死であった。





~ヴァリエンテ領内~


『『『ガヤガヤガヤ!』』』

「5番馬車から14馬車の者達は速やかに降りてくれ!後続が控えているからな!(兵士2)」

「生産・技術職の皆さんは【適正】毎に整列してくれ!(兵士3)」

「点呼が取れた所から順に建造場所に向かう!
速やかに行動されたし!(兵士4)」

「子供連れはゆっくりとで構わない!持病がある者等は近くの兵士に言ってくれ!(カルル)」


領内へ入ると、開拓民(元奴隷達)を乗せた荷馬車から続々と人々が降りてきては体を解して長旅の疲れを軽く癒していた。

街の中心にある広場には『元冒険者』と『生産・技術職の軽犯罪奴隷』、そして『【勇者】軍が原因で奴隷落ちしてしまった者達』の3グループが展開して各々点呼を取っていた。


表向き彼等は″開拓民・大氾濫に対する有志″として来ている。
謂わばここは彼等にとって死地とも言える。

しかも今から街を建造し、大氾濫が発生するまでの僅かな時間でそれに耐えられるだけの設備を整えなければならない。
常人で無くても考えたくない案件である。

にも関わらずこの場に集まっている者達の表情は比較的明るい。

ただ単に大氾濫を楽観視しているのかも知れないが、彼等がこの地に来るのを自らの意思で決定したのは、この地に『【勇者】軍500人潰し』が居る事であった。
しおりを挟む
感想 1,253

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

処理中です...