ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

街としての形にはなった。

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一式装備[弾丸戦車(タンク・ディバラ)]…『剛拳兜の装甲殻』や『剛拳兜の軟繊維』、超希少素材″『大海獣の極薄柔肌』″等を使用した全身装備。 

元となったヘラクレスグーパンオオカブトの高い防御性能を維持したまま、下地に″『大海獣の極薄柔肌』″を仕込む事によって付与された衝撃吸収能力を利用し、防御と攻撃両方の両立を可能にしている。 

全身が装甲であり、全身が武器でもある為、″相手にただ突っ込めば″そのまま相手を粉砕する事が可能。

溜めた衝撃を各部に伝達させて解放する事で必殺技的威力となる。
 


後日談にはなるが、今章の幾つか後に『対【魔王】編』が開始される際、大氾濫でモンスター相手に猛威を振るったこの一式装備が1つ他国に流れてしまう。

だが、下地に仕込まれた″『大海獣の極薄柔肌』″だけ如何なる職人が見ても″『■■■■■■■■』″としか表示されず、極薄過ぎて誰からも重要視されなかった為″『スライムの軟繊維』″で代用され、検証されないまま即実践投入された結果、多大な犠牲者を生む事になる。



パラパラ…パラ…(ドラゴネウラの破片) 

「…ぉぉ…(スティルダー)」
「…す、凄ぇ…(ダッカード)」

ギェエアアアアッ!ゲェァアアアッ!

「「あ、しまっ…」」

グゲ『ドパァンッ!』ギョ『ゴチュッ!』

『『ドシャァアアアッ!』』(頭部を失ったドラゴネウラ2体撃墜。)


一式装備[弾丸戦車(タンク・ディバラ)]による性能の一端を垣間見たスティルダーとダッカード両名は、戦闘中だという事を忘れて思わず呆然としてしまった。

そこに残りのドラゴネウラ2体が迫り、危うく襲われる所だったが、寸前で頭部が吹き飛び事なきを得る。その攻撃のヌシは勿論


『『シュゥウウ…』』(揺らぐ空間)

「はぁ…やはり″矢″は″射る″に限るな…
悪かったな2人共、手を煩わせてしまったな。(レドリック)」

「「…いえ、助かりました…」」


両肩口辺りの空間が揺らいでいるレドリックが矢を射ったポーズで佇んでいた。
が、その手に弓は装備していない。だが″射って″2人を助けたのは間違いないだろう。


「…それにしても、今のは一体…
大氾濫の前兆でしょうか…(スティルダー)」

「かもな。
ダンジョンコアが形成され、巨大な繭が出現し、外の世界へ″敵情視察″に来たのかもな。
謂わばこのドラゴネウラは″斥候″みたいなものだろう。(レドリック)」


大氾濫が起こる約2週間程前の前兆として、今まで目撃例の無かったモンスターの報告が数多く上がると言う。

この地の場合、山の麓の方まで開けており、非常に見張らしも良いのでこのドラゴネウラの発生場所は巨大な繭である事は間違い無い。

つまり大氾濫の発生は早くて″2週間後″になると予想される。
まぁ大氾濫直前となれば″異常な数のモンスター″が出現するので、視覚的にも判別が付くのだ。


「一先ず観測所に居る観測班とルルイエ殿と合流し、一度街に戻ろう。
大体の発生時期が判明したから今後どう動くべきか皆で協議しないとな。(レドリック)」


後に3人の下へ向かってきている観測班・ルルイエと合流し一行は一度街へと戻るのだった。





~街建設地~


『『モコモコモコ…ピキピキピキ…』』(石灰等を混ぜた特製の土に魔力を流し防壁&長屋を建設。)

『『ダカダカッ!』』『『ガンガンガンッ!』』(建屋&防壁に簡易的な扉、梯子等を取り付ける。)

スチャッ!チャッ!チャッ!(防壁上に弓や矢、剣等を配置(先日の元カース武器)。)

『『ズズ…ズ…』』(張り巡らされた塹壕上に『ブスブスの木』製の置き罠を配置。)


「設置していたテントを回収!
住人や子供は長屋に入り、確認作業に当たって欲しい!(技術職1)」

「多少の修正は承ろう!
夜を迎える迄には修正箇所の洗い出しをしてくれ!(技術職2)」


『『『ドカドカドカッ!』』』(塹壕上に渡された橋を渡る。)


「日持ちする物資は優先的に中に入れろ!
備蓄庫にドンドン運べ!」

「薬品庫と間違えるなよ!対モンスター用の毒薬なんかもあるからな!」


街建設地では、防壁と大氾濫の間だけ住まう予定の長屋が建てられた所から、加速度的に各種設備が建てられていく。

防壁上には見張り台、モンスターの侵入を防ぐ重々しい門。
門の外には、以前グリードによって掘られた塹壕と、その上に渡された『ブスブスの木』製の置き罠。

人一人半が通れる幅の簡易的な橋は、前後の門とは別に街へと続く6ヶ所の通路へと繋がっている。
その通路は地上と地下で2つ存在。

つまり門とは別に街へと繋がる通路は、全部で12箇所あるという訳だ。

街の中は建設直後とあって、住人や戦闘・技術職が少しの間過ごす長屋と簡単な造りの倉庫がある位だ。

当初は住人、一家に1つ家屋を用意するつもりであったが、近々でダンジョンコア、先日巨大な繭が形成されたとあって簡単でありながら大人数住まう事が出来る長屋にしようという案になった。

その判断が幸いし、完成した正にその日に巨大な繭からモンスターが出現した為、この決断は正しかったと言えるだろう。

ちなみに大氾濫が終結した後、ちゃんとした家屋を建設する予定であるのだとか。


外でテント生活をしていた者達は指示通り素早く行動を開始し、街の中へ次々と入っていく。

今まで日々を過ごしていたテントがあったのは、比較的安全とは言え、誰かが巡回していなければ容易にモンスターが跋扈する危険地帯。

外界とを遮る防壁があるだけで精神的に幾分マシになる。
僅かながらの荷物を長屋に運び、腰を落ち着けて休みたい所ではあるが、休んでいる暇は無い。

街としての形が出来ただけで、機能がしっかり整っているかは定かでは無い。

最小限ではあるが、そういった機能の確認や住み易さを見る為の時間を設けたのであった。





~作業場(″完成″)~


「ぉぉ…作業場が出来てる…(デオ)」
「余裕は無いハズなのに良く拵えてくれたぜ…(ガーラ)」


人の波に呑まれる形でデオとガーラの2人も街に入ってきたのだが、ふと目をある場所に向けると、今まで土台しか設けられていなかった作業場が、誰がどう見ても鍛冶作業場(それ+工房)としてグレードアップしていたのだった。


「そりゃ、俺達の仲間にあんな素晴らしい武具を拵えてくれたんだ。
コチラもしっかりとした場所を用意しなきゃ申し訳が付かないだろう?」


「「お?」」

 
街の何処からか、彼等(スティルダーとダッカード)と共にここにやって来た仲間達の声がデオとガーラの耳に届いたのだった。
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