ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~掃討開始~

色々あった5日間

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街としての体裁が整ってから早5日。
大氾濫の起点と予想される巨大な繭から斥候が出現し、日に日に危機感が増し、不安な日々を送るものと思われた。

だが実際は違った。

何故なら日を増す毎に、まるで示し合わせたかの様にこの地に来訪者が現れ、有志として大氾濫掃討に参加してくれる事になったからだ。

その始まりは、先日謹慎を受けて一度天空大陸・第3諸島『ハルモニア』へと帰還したハーピー族が街にやって来た事から始まる。





~ハーピー族(ヤンチャラット・チュルチー・シッチャカ・チャチャ・ゴチ)の再訪~


「え?禊として参加?
あれ?謹慎でチャラになったんじゃないのですか?」

〔本当ならそうなのですが、飯抜き最終日にゴチが隠し持っていた″焼き菓子″を皆で貪っている所を目撃してしまいまして、禊は帳消し。
この地で起こる大氾濫に有志として参加する事を禊とする事にしました。(ハーピークイーン)〕

〔と、飛ぶ鳥を落とす勢いで頑張らせて頂きますよ…!(チュルチー)〕

「上手い事言ったつもりか。」


街が建った日の夕暮れ時、5人?5羽?のハーピー族を引き連れた一際大きなハーピー、ハーピークイーンがやって来た。

到着早々ハーピークイーンを筆頭として続けて5人のハーピー族が先日の謝罪にやって来た。

聞く所によると、句読点や改行によって恐ろしく水増しされた始末書は何とか受理されたものの、その後に行われた3日間の飯抜きは余程キツかったらしく、ノアからゴチに忍ばせていた焼き菓子の仄かに甘い香りに耐え切れず、隠れて皆でムシャムシャしてしまったらしい。

だがハーピークイーンはそんな光景を目撃してしまった為、禊は持ち越しとなったという。

元々脳筋(ゴチとチャチャを除く)な連中である為、下界で起こる大氾濫に参加させた方が禊としても効果的、と判断したらしい。


〔インヴェルノ殿が戦えない以上、此方からは彼女達を戦力とするのが良いかと…
もし断るのであれば、彼女達にはまた始末書から書かせる事に…(ハーピークイーン)〕

〔〔〔いやだーっ!また始末書書くのはやだぁーっ!〕〕〕
〔お願いです!頑張りますから参加させて下さいぃっ!(チャチャ)〕
〔うがーっ!お腹空いたぁーぁっ!(ゴチ)〕ギュルルルッ!

「分かったから引っ付くなぁっ!
あとゴチさんは夕飯まで我慢しなさい!」


再びの始末書を拒絶するハーピー族5人は、禊として大氾濫への参戦が決定。
大氾濫までは出来上がったばかりの防壁又は天空大陸・第3諸島『ハルモニア』を行き来し、準備するとか。

ちなみに最近姿を見せていない四季龍インヴェルノ自身は、大氾濫への参戦は前向きであったのだが、広範囲に被害が及ぶとして今回は見送る事となった。(最終的には参戦はする。)





~その日の夜・【拳士】パーティ『筋肉達磨』のバルク・パンプ・スクワと海洋種からの刺客~


「失礼!こちらに荷をお持ちしたのだが、何処に持って行けば良いですかな?(バルク)」

「はいはーい、どちらさんで…あれ?
あなた方何処かで…」

「お、『筋肉達磨』じゃねぇか。(デオ)」
「どうしてお前らここに居るんだ?(ガーラ)」

「おお!?御二方!(スクワ)」
「その節はどうもありがとう御座いますですぞ!(パンプ)」

「あー!そうだ思い出した!『筋肉達磨』の皆さんでしたね!」


前にも言ったが、『筋肉達磨』の3人は以前ノアと拳を交え、その後に特注の防具製作にデオとガーラの存在を伝えた経緯がある。


「「「ノア殿のお陰でこの素晴らしい防具があるのです!見て下され筋肉を強調するこの装備を!」」」

「わーっ!やめてやめて!
分かったから!一先ず荷を持ってきたんだから荷降ろししてからね!?」


胸元がガッツリ開いた独特な防具と、そこから強調される鍛え上げられた筋肉を惜し気も無く披露する『筋肉達磨』の3人。

ノアを中心に置き、3方向からポージングをして感謝を伝える3人。
そんなムキムキマッチョ3人からの圧に、流石のノアも怯えていた。





「ぬぅん!(バルク)」

ドスンッ!(荷馬車から石柱(?)を降ろす。)

「それが荷ですか…
見た所石材の様ですが…」

「我々も最初はそう思ったのですが、何でも今をときめく″海洋種″からの荷だそうで…(パンプ)」

「あ、リヴァイアさんに頼んでいたヤツだ!
それなら後の事は分かるのでこちらで対応しますよ。」


以前海洋種の長リヴァイアに対して要請していた″物″が届いたと分かり、ノアの表情は明るくなった。


「あの、もし宜しければそれをどうするか見せて頂いても…?(スクワ)」

「良いですよ。
″この中の方達″も早めにここでの生活に慣れて貰った方が良いでしょうから。」

「「「″この中″…?」」」

「え?これ石材じゃないのか?(デオ)」
「つか、″方達″って何だよ、この石柱の中に人でも入っているのか?(ガーラ)」

「はい、そうです。」

「「「「「え?」」」」」


3人は元より、デオとガーラもこの石柱(?)が何なのか分からず興味津々な様子。
ノアの話では、石柱(?)の中に″何か″入っているらしく、この場に居た全員が驚いていた。





『『『のっし、のっし、のっし…』』』

「「「ふぅ、ふぅ…」」」

ズンッ!ズンッ!

「皆さん、″池″までもうちょっとですから頑張って下さい。」

「や、やはりノア殿は流石ですな…
我々が1人で1本の石柱を持つのがやっとだというのに、1人で2本も担ぐとは…(パンプ)」

「【適正】のお陰ですよ。
素の状態でしたら流石に1本が限界ですし。」

((その時点で凄ぇんだがな…(デオとガーラ)))


『筋肉達磨』で3本、ノア1人で2本の石柱を担ぎ、一行は街から少し離れた場所にある池に向かう。

事前にリヴァイアから説明を受けていたノア曰く、この石柱を設置する場所の周りには水の存在が不可欠なのだとか。


『『『のっし、のっし、のっし…』』』

「…それにしても、壕やバリケード等が散見されましたが、この地で何か起こるのですかな?(スクワ)」

「まさか、【勇者】軍の第二派に備えているとか…?(バルク)」

「いや、近い内にこの地で大氾濫が起こるんですよ。その為の備えです。
今運んでいるこの石柱も、海洋種の知り合いにお願いして届けて貰った″有志の方々″です。」

(((((…本当、一体中に何入ってんだろ…)))))


説明されればされる程、謎が深まる石柱。

その正体は直ぐに判明するのだった。


ドズンッ!バチャチャッ!(水辺に石柱を設置)

「別に池の中に入れなくても、水が掛かれば良いそうです。」

「…なる程…(パンプ)」バチャ!
「ではこの辺で…(スクワ)」バチャッ!
「…よいしょっと…(バルク)」バチャ!

「それで?この後どうなる…(デオ)」


『『『『『ミキッ!』』』』』(石柱にひび割れ)


「え?(ガーラ)」


池の水辺に石柱を置いた直後、全ての石柱に水が浸透していったと同時に一斉にひび割れが発生。


バキッ!ボゴォッ!(石柱破壊)
ボゴッ!ボゴッ!(石柱破壊)

『『『『『ズルンッ…』』』』』(石柱からヌルリと登場)

ヒュー…ハー…(呼吸音)

〔うーん…空気が美味い…この地が我等の新たな生活の拠点、そして戦いの地となるのだな…(″肺魚人族″1)〕

〔その様にリヴァイア様から言われている。
そして、貴方が【鬼神】殿だな。
我等は″肺魚人族″。大氾濫掃討に際してリヴァイア様から有志として派遣された、宜しく頼む。(″肺魚人族″2)〕


リヴァイアに対して″陸上生活可能な種族″を応援として要望していたノアの下に、″夏眠″から目覚めた″肺魚人族″が参戦したのだった。
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