ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~万死一生~

『偽神闇鬼』

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هدف القضاء ذو ​​الأولوية القصوى:ترك الخط الأمامي(最優先排除目標:戦線離脱)


グルルル…

『『『バヂバヂィッ!』』』(雷撃発射準備)


手強い奴よ。
奴は我から力を奪い、地に貶めんとしていた。
とはいえ奴から更なる高みを目指せる力を幾つか得た。

もうこれ以上は無いだろう、最後位は華々しく


『『『ゾワッ…』』』

خطر(危険)

グル『『『バギュゥウウウウンッ!』』』


『竜征趙』は、唯一と言っていい程自身を脅かしたノアへ向けて雷撃を放とうとしていた。

あの小さな体からは想像出来ない程の戦闘力を持っていたが、魔力の消失と共に自身から離れ、落下したとて油断は出来ない。

トドメを差そう、そう思った時だった。

自身の直上から途轍も無い殺気を放つ別個体が現れ、襲撃してきている。

それを察した『竜征趙』は、ノアへ向けてチャージしていた雷撃を移動させ、直上の相手に向けて放つのだった。




【箜妥鑾ッ!】『『バチィッ!』』

【饉懋錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏ッ!】

『『ガヂョッ!』』『『『ズバァアアアアッ!』』』(頭部爆砕)


身長5メル程の真っ黒い″何か″が現れた。

″何か″は、何も身に纏っていない筋骨隆々の男性の裸体の様に見え、目や鼻等は見えず、鋭い牙を剥き出しにした口だけが特徴的であった。

その″何か″は、『竜征趙』が放った雷撃を事も無げに裏拳で弾き、代わりに鉄塊の様な拳を繰り出してきた。

頭部に拳が直撃すると、そこを中心として強烈な衝撃波が発生し、跡形も無く吹き飛んだ。

だがそれでも『竜征趙』は死んではいない。

核にある巨魔石によって、現在の『竜征趙』はほぼほぼ不死の状態である為だ。


『『『グヂュルジュルズヂュル…』』』(高速再生)

…ッ…ゲェエァアアアアッ!


故に脅威的な生命力と再生力でもって頭部を生やす事すら容易いのである。




【惡羅錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏ッ!】

『『『ドムッ!』』』『『『ゴバァッ!』』』(踏み付けにより左翅の付け根貫通)

『『ズボッ!』』『『ズロロロロロッ!』』(脊髄引っこ抜き)

『『バリッ!』』『『『ベリッ!』』』(右翅を引き千切る)

ギェエエアアアアアアアッ!


回復、再生する傍から″何か″=『偽神闇鬼』によって身体の各所が片っ端から破壊されていく。

堪らず『竜征趙』からは悲鳴に似た咆哮が上がる。

とは言え『竜征趙』もむざむざとやられるだけではない。


ビョルルンッ!『『ガシッ!』』(『偽神闇鬼』の身体に尻尾を巻き付ける)

【駑ッ!】

ヒュバッ!(尻尾を振り、自身の背から引き剥がす)


『偽神闇鬼』は『竜征趙』の様に翅を持たない為、引き剥がしてしまえば距離を取れる。
そう考えて『偽神闇鬼』を宙へと放り出したのだが


『『ガシッ!』』(寸前で尻尾の先端を掴む)

【駑饉ッ!
惡惡惡錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏ッ!】

ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!(尻尾を掴んだ状態で『竜征趙』をぶん回す)

【朞廻錏錏咒爾羅錏錏錏錏錏錏錏錏ッ!(翻訳しても意味の無い咆哮)】

『『『ゴォオオオオオオオオオッ!』』』

ッ!…ッアッ!



~旧巨大な繭跡地・山の麓~


『『『ドガァアアアッ!』』』(山肌に衝突)

ゲゲッ…グルルルァア『『ズドムッ!』』

【饉懋惡錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏ッ!】

ドゴンッ!バゴンッ!ドヂュッ!ズヂュッ!ドガンッ!バガンッ!メキュッ!ボキッ!ズドンッ!(滅多打ち)


街の上空からぶん回し、最前線の更に奥、旧巨大な繭跡地の山の斜面までぶん投げた『偽神闇鬼』は、直ぐに『竜征趙』の下まで到着。

咆哮の後に連続50連発の拳を振り下ろし、山肌が『竜征趙』から漏れ出た体液で血塗られていく。


ギュゥウオオオオオオッ!!

『『『バギュゥウッ!』』』(至近距離雷撃発射)

″【痲錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏ッ!】″(至近距離爆咆哮)

『『『フシュ…』』』(雷撃消滅)

ゲギ…ギッ!?


半壊した状態の『竜征趙』は、『偽神闇鬼』と肉薄した状態で反撃とばかりに雷撃を放つが、『偽神闇鬼』の咆哮(声)だけで雷撃を消滅させ、尚も攻撃は続けられた。


『『『コォオオオオオ…』』』(高速再生)

ガギッ!(左胸の甲殻を抉じ開ける)

ギガガガッ!?

ガギッ!メキメキメキッ!(右胸の甲殻を抉じ開ける)

ゲェエァアアアアッ!

『『『『ズドドドドドドドドドッ!』』』』(全身から無数の棘を出現させる)


数多の攻撃により襤褸雑巾よりもボロボロになった『竜征趙』は、胸の中に内包している巨魔石による高速再生を行っていた。

そこが気になった『偽神闇鬼』は、徐に胸の辺りの甲殻を引き剥がして抉じ開けていく。

『竜征趙』としては核である巨魔石を破壊されては堪ったモノでは無いので、反撃として全身から硬質な棘を生成し、串刺しにしてやろうと画策。

だが

ピキキ…ボロ…(棘破損)

【…憤。】

『『『ブチブチブチブチッ!』』』(両胸の甲殻と共に両翅を引き千切る)

ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ッ!!!!


生成した棘は『偽神闇鬼』に届く事無く、体表面で砕けた為、思わず『偽神闇鬼』は鼻(無いけど)で笑った。

その後力任せに胸の甲殻を引き剥がすと、序でに両方の翅も一緒に引き剥がしてしまった。


『『『コォオオオオオオッ!』』』(輝く巨魔石)

グヒュルル…ヒュゥウン…フゥウン…(懇願の鳴き声)


核である巨魔石が露となり、堪らず『竜征趙』から悲鳴が上がる。

ある意味この状況は犬が腹を見せて服従のポーズとも取れる行動ではあるが


【贄廬迦輿。(知るかよ。)】

ガギッ!『『ミシミシッ!』』ボリンッ!(巨魔石補食)

ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ッ!!!!


懇願叶わず核である巨魔石に食らい付かれ再び悲鳴を上げる『竜征趙』。


ボリッ!ボリッ!

『『『ギュォオッ!』』』(口内に光が発生)

【痲錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏錏ッ!】

『『『『ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!』』』』(雷撃熱線放射)

グ…ガ…ア″ア″ア″ア″ア″ア″ア″ッ!!!!


補食した魔石を用い、『竜征趙』の十八番とも言える雷撃を発生させ、継続的に放射。『竜征趙』を熱線の直撃を受けて端から破壊されていく。


ガギッ!『『『ブチブチブチズロロロロロッ!』』』(『竜征趙』の首を持ち、胸の巨魔石と脊髄諸とも引っこ抜く)

『『『コォオオオオオ…』』』(高速再生)


『偽神闇鬼』によって首をもがれ、脊髄と巨魔石のみになった状態でも『竜征趙』は生き続け、 元通りになろうと高速再生の真っ最中である。

胸の巨魔石は、度重なる高速再生・回復補食により、元から4割程の大きさとなっている事から、『偽神闇鬼』の恐ろしさが分かって貰える事だろう。


フゥウウン…ゲェ…ゥルルゥ…ゥアッ!

ビョルルンッ!(再生した尻尾による一撃)

『『ガギュィインッ!』』(牙で受け止め)

『『バリッ!ボリッ!』』ゴリンッ!(尻尾から補食開始)

ア″ア″ア″ア″ッ!!!!


悲鳴を混じらせ、弱者を演じる『竜征趙』であったが、尻尾が再生した瞬間『偽神闇鬼』の顔面を狙った一撃を放つ。

だが『偽神闇鬼』は、苦も無く牙で尻尾を受け止め、そこからモリモリと噛み砕きながら補食し始めた。

何もかもが通用しなかった『竜征趙』は、絶望の悲鳴を上げ、ただただ補食されるのを待つのみ。

となる事は無かった。


『『『サァア…』』』(『偽神闇鬼』の体が徐々に霧散)

【錏?…魑ッ、闊撓广諧迦…】

『『『ドチャッ!』』』(『偽神闇鬼』の腕が霧散し、『竜征趙』落下)

ガァ…ゥ…?

【魑ッ、爾轗轗卦芻『『『ザァア…』』』(『偽神闇鬼』消滅)


あともう少しという所で『偽神闇鬼』は活動限界を迎え、姿を消してしまうのだった。





~防壁上~


「あっ!ああっ!謎の召喚獣が姿を消しました!(兵士1)」
「恐らく活動限界だと思われます!(兵士2)」

「…制約ありきのあの戦闘力だったのだろう…
数分とは言え頼もしい存在であった…だがここまでか…(ルルイエ)」

〔あ!待つのだわさ!皆あそこを見るのだわさ!〕

「「「「「「「え?」」」」」」」


『鬼神』が召喚した『偽神闇鬼』と『竜征趙』との戦闘は街の方からも観測されており、あまりに一方的な展開に胸踊らせる者達が殆どであった。

それ故『偽神闇鬼』が活動限界を迎えたのは中々に堪えた事だろう。

だがそんな中、街に留まっていたケット・シーのステラが山の上の方を指差す。

そこには





『『『グヂュルジュルズヂュル…』』』(高速再生)

『『バサァッ!』』(両翅復活)

グルッ!グルルルルルッ!


『偽神闇鬼』が消滅し、その場から直ぐ様離れたかった『竜征趙』は、両翅を大急ぎで再生させ、その場から大きく飛翔。

再び奴(『偽神闇鬼』)が襲ってくるかも知れない為、高高度を目指しつつ他の部位を急速に再生させていく。

核である巨魔石をかなり消耗してしまったが、まだ余裕はある。
その間に別の方法で魔力を補充すれば幾らでもやりようは



《ngshsn。
wrnkykyknrk-rnrugknhujkmtkrrw。(逃がしはせん。我の究極なる氷の牢獄に封じ込めてくれるわ。)》

『『『『ゴォッ!』』』』(暴風)

『『『ビキィッ!』』』(氷漬け)


何処からともなく誰かの声が響いてきた直後、『竜征趙』の周囲に氷点下の暴風が吹き荒れ、即座に凍り付いてしまうのであった。








~8時間後・深夜・街のとある一室~


『『『ザワザワザワザワ…』』』(外からの喧騒)

「……ぅ…」ヒュー…ヒュー…

(……息苦しい…喉が焼けてる様な…あ、焼けてたんだっけ…
水が欲しい…熱い…)

「…み、水…」

ピチョン、ピチョン…(水)

「…っぇ、『コクン、コクン…』……」


街の中に建つ長屋のとある一室。
外から聞こえてきた喧騒で意識を取り戻すノア。

焼ける様な喉の痛みと火傷の熱に浮かされるまま水を求めると、口内に水が垂れ、誰かが飲ませてくれた。


〔…目が覚めたのだわさ…?大丈夫…なのだわさ…?〕

「ス…ラさ…?
…っか、…ててぅれた…すね…(ステラさん?
…そっか、看ててくれたんですね…)」


喉を潤して少し落ち着いていると、自分の顔を覗き込んで来る小さな影が顔に掛かる。

目を瞑っていても顔に僅かに触れるヒゲと特徴的な語尾で正体が誰だか直ぐに分かった。


〔喋らなくても良いのだわさ。
火傷の影響で息を吸うだけでも激痛が走るハズなのだわさ。〕

「…ぅしぁいのゎやまやぁ…けど、…れじぁ、いひそうぅがとれな…(そうしたいのはやまやまだけど、それじゃ、意志疎通が取れな…)」


『〔聞こえるのだわさ?〕』

(…え?…何か頭の中に響いて…)

『〔″テレパス″って能力で、坊やの頭に直接話し掛けてるのだわさ。
暫くはこれで話すのだわさ。〕』


火傷により喉が逐一痛む為、ケット・シーのステラが独自の能力″テレパス″でノアの脳内に直接話し掛けてくれた。

ノアは心の中で独り言を呟く要領で話せば、そのままステラに伝わる為、技術やスキルを使わなくて良いのである。

『〔…何から話せば良いか…
坊やが街に戻ってから色々あったのだわさ。〕』

(あ、ここは街の中か…
…あれ?そういえば僕何でここで寝て…)

「…あっ!」

ダンッ!『『ドサッ!』』

「ぃでっ!」

〔あぁもう坊や!魔力切れと満身創痍なのだから無茶しないのだわさ!〕


ちょこんとノアの顔の横に座り、思い詰めた表情で何から話すべきか悩んでいたステラを他所に、自分がここに居る経緯を思い出したノアは慌てて立ち上がろうとした。

だが右腕は先の大火傷で思う様に動かせず、力も入り辛い。
更に今まで気を失っていた為魔力切れから回復しきっておらず、思う様に立ち上がる事が出来ずに転倒してしまった。





コク、コクコク…「カフッ!…ゲフッ!」

〔ゆっくり少しずつ飲むのだわさ。〕


回復魔法等効果が無いノアに、ヴァンディットが残していった各種経口薬で回復を図るノア。

火傷によって痛みが走るが、ジンワリと治癒していく為徐々にではあるが快方に向かっている。


〔さて、坊やが寝ていた間に起こった事を順を追って話のだわさ。〕 

(うん、お願いします。)
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