ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~万死一生~

各方面の状況

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~第46波終息後の防壁上~


ガッ!ガッ!ゴッ!『『ドサドサッ!』』(虫モンスターを蹴り落とす)

「ふぅ…これで粗方落とし終わりましたかな。(バルク)」

「残していると伝って上がってくるからな、しっかり落としておかないと…(ゴーラ)」


第46波に及ぶモンスターの襲撃を凌いだ防壁上では、モンスターの死骸を蹴落とす光景が広がっていた。

これは第43波にて積もり積もったモンスターの死骸を伝って、危うく防壁を乗り越えて来そうな場面があった為、行われ始めたモノである。

とは言え数が数である為、直に積もって来そうなモノだが、最前線に向かおうとすれば『発狂湧き』を起こされてしまう為、動くに動けなくなったグリードによるヤケ食いが行われているので積もる前に片付いているのである。


タッタッタ…

「リーダー。
サウスん所の【弓】持ちや【魔法使い】はこれを以て避難する事が決定したらしい。(クランメンバー)」

「あっちも相当カツカツでレドリック殿から分けて貰って凌いでたが、流石に限界か。
仕方無いな。(ゴーラ)」


第46波の襲撃を終え、一息吐いていた所で、類人猿クラン『エイペス』のクランメンバーの1人が、5つ目となるクランの撤退が開始されたという報告をしてきた。

と言っても全員が撤退する訳では無く、矢の様な消耗品を要す遠距離攻撃持ちや、魔力を主体とする【魔法使い】等が対象であった。

此度の大氾濫に向けて各々準備したり、前以て街の中に備蓄したりしていたのだが、それでも足らず撤退を余儀無くされたのだという。

サブ武器を用いて継戦する者も居るには居るが、精々が2割程に留まったという。
    




~ヴァリエンテ領へと続く門~


「ではカルルよ、私は一度自領へと戻り各国へ向けた報を認めてくる。
暫しの間ここを頼むぞ。(ルルイエ)」

「…父上、その報と言うのはこの地の″陥落″を告げるモノですか…?(カルル)」

「…今の状況では湧き出る虫モンスターを迎撃し、耐え凌ぐだけで精一杯。
上空で四季龍インヴェルノ殿が御しているボスを討伐するまでには至らん。
これ以上事態が好転する見込みが無くなる前に方々に報せておくだけだ。(ルルイエ)」

「…くっ…(カルル)」


ヴァリエンテ領へと続く門の前では、馬に乗ったルルイエ伯爵と新設された街の領主であるカルルが顔を見合せ重苦しい話をしていた。

ルルイエ帰領の目的は各国への戦況の通達であるが、実質的には『敗戦宣言』である。

この街に集った者達だけでは此度の大氾濫を終結させる事は難しく、隣領に位置するヴァリエンテ領も戦火に曝される事にもなるだろう。

という事を対外的に知らせ、各国からの支援を募ろうとしてあるのだ。

ある意味″第2のフリアダビア″発生である。


「ルルイエ様、ミリアちゃんの事お願いしますね。(ヴァンディット)」

「勿論だ。さぁ行こうかミリア嬢。(ルルイエ)」

「…ヴァンディットさんもノアさんの事お願いしますね…?(ミリア)」

「心配しなくても大丈夫ですよ、ノア様は少し眠っているだけです。
また直ぐに目を覚まして皆に元気な表情を見せてくれるハズです。(ヴァンディット)」


一時的に帰領するルルイエ伯爵の馬上には、商人見習いのミリアも居り、ヴァンディットへ一時的な別れを告げていた。

ミリアは商人見習いである為戦闘力は勿論皆無であるが、物資の調達や兵士と連携したヴァリエンテ領への連絡等、別の方面で戦っていた。

とは言え、終結の見通しが立たなくなった為、街の住人である母子と、その家族共々避難を言い渡されたのである。





『『ガコォン…』』(閉門)


「…ヴァンディットさん。
貴女の見立てではノア君の容態はどうですか…?(カルル)」

「…目は覚ますでしょう。
ですが重傷で重症ある事は変わらず、魔力も限定的で、立つのが精一杯。
戦線に立つのは…無理でしょう。
状況はフリアダビアの時より悪いです。(ヴァンディット)」


ルルイエとミリアが去った後カルルは深刻な面持ちでノアの容態を聞く。

状況を鑑みればノアの治療を行いたい所ではあるが、度重なる戦闘で物資が枯渇し、手持ちの薬品類も最低限を下回った量しか残っていない。

例え手を尽くしてノアを回復させたとて、上空に居る『竜征趙』をどうこう出来るとは思えない。

今回ばかりは撤退も視野に入れていたのだった。





~防壁下~


『『ドサドサッ!』』ズシャッ!(防壁上から虫モンスターの死骸が投下)


ダカダッ!

「アミスティアさん!
あっちの死骸は避けておきました!(美幸)」


ズザザッ!

「こっちもです!次の波が来ても迎撃出来ます!(悠)」


「ご苦労様。
後は馬(メロディア・ジプシーバナー)とのっそり(タヌキ)を放してきなさい。(アミスティア)」

「そしたら2人はヴァリエンテ領へ向かうと良い。兵士の方に話は通してある。(レドリック)」


「「えっ!?」」


防壁の下では死骸の撤去作業が行われていた。

度重なる戦闘で虫モンスターが防壁に幾度か押し寄せ、潜伏先兼避難経路でもある塹壕が死骸で埋まっており機能を果たしていなかった。

この先何波あるか分からないが、再び虫モンスターが押し寄せてくる事も考え、最低限の機能を確保する為に動いていた。

あまり話の中では動向が記されていないが、【召喚勇者】である美幸と【万能】の悠もしっかり働いており、メロディア・ジプシーバナーとのっそりタヌキに跨がり防壁周りの虫共を蹴散らしていた。

だが流石に物量には敵わず幾度か逃げに徹する事しか出来ずにいた。

そんな2人に対しアミスティアとレドリックはヴァリエンテ領への撤退を言い渡す。

当然だが2人は驚きに一瞬身を固まらせるのだった。


「わ、私はまだ戦えます!(美幸)」

「俺もまだまだ…(悠)」

「既に何人も継戦不可能と判断して避難を始めているわ。
単純に戦力が低下してるのね。
今まで上手くやり過ごせていたけど、これからはどうなるかは分からない。
なら早い内に決断した方が良いからね。(アミスティア)」

「付き合いは短いが、君達が限界かどうかは先の撤去作業で大体把握出来てる。
後半は馬とタヌキ任せだったからな、体力魔力共に限界のハズだ。(レドリック)」

「「うう…」」


抗う2人であったが両親の前では限界を隠す事は出来ず、撤退を余儀無くされるのだった。





~反対側の防壁下~


『『バリバリバリバリ…』』(グリードヤケ食い中)

《むきー!何なのアイツ!
私が近付いただけで発狂湧きなんか起こした上に私の炎(プラズマレーザー)まで無効化しやがってぇっ!》

「戦闘力も高ければ知能も高い。
″あの状態″でも生き続ける馬鹿げた生命力に桁違いの魔力量…
ホンットに厄介な相手ですなぁ奴は。(クリストフ)」


アミスティアとレドリックの居る防壁とは真反対の防壁下では発狂湧きによって溜まった虫モンスターの死骸をクリストフとグリードが処理していた。

グリードはノアが敗れた後、真っ先に半封印状態となった『竜征趙』へと攻撃を仕掛けた。

だが恐ろしい生命力で氷の牢獄の中から莫大な量のモンスターを出現させた事でそちらに専念せねばならず、討伐は持ち越しとなった。

だがこの時は″グリードが接近した事で発狂湧きが発生した″とは思わず、それが発覚したのは2度目の発狂湧きが発生した時であった。

その為グリードは前線に出る事が出来ず、死骸の処理と迫りくる虫モンスターの迎撃しか行う事が出来なかったのである。

ノア周りでは最強格の2体ですら手も足も出せない状況に、グリードはヤケ食い、クリストフは嘆息していた。

ちなみにクリストフも度重なる戦闘によってキノコを生成するのが難しくなり、攻撃よりも防御や支援、足止めを主として立ち回っていた。


《…ハーピー族の話だと3時間ちょっとで″彼(四季龍インヴェルノ)″の魔力が尽きて奴(『竜征趙』)が解放される…
その瞬間、死骸を喰らって溜めに溜めた魔力を一点に集束した最大火力で葬ってやるわ…》


上空に漂う″ソレ″を忌々しそうに睨み付けるグリードは、決意を固めつつ転がっている死骸を喰らい続けていた。





~遥か上空~


『『『『パキ…ピキ…ピキキ…』』』』(空を埋め尽くさんばかりの巨大な氷の結晶)


『『『…ン…クン…ドクン…ドクン…ドグン…』』』(その結晶の内部で脈動する巨大な肉塊)


『『『ジュルジュル…ズジュル…ゥジュル…』』』(端々からジワリジワリと再生する肉塊)


(《…明らかに先程より再生速度が上がっている…此奴、私の氷を克服しつつある…
絶対零度の牢獄だぞ、何故生きていられる…》)


街と山との中間地点、その更に上空に漂う氷の牢獄『絶対零度(アブソリュート・ゼロ)』によって空は巨大な6角形の氷の結晶が空を埋め尽くしていた。

それによって真夏の時季であるハズのこの地に、涼やかな風が流れ込んでいた。


だが空を埋め尽くさん程の氷の牢獄を展開せざるを得ない理由は、その内部に居る『竜征趙』という非常に厄介な存在の動きを封じる為であった。

ノアが敗れた直後、天空大陸・第3諸島『ハルモニア』で待機していた四季龍インヴェルノは、『竜征趙』の脅威に危機感を感じ自身の必殺技『絶対零度(アブソリュート・ゼロ)』を発動した。

だがそれでも『竜征趙』は死ぬ事は無く、心臓や脳まで凍結する事は無かった。
精々が動きを止め、肉体の再生を非常にゆっくりなものにする程度であった。

更に厄介だったのは、時間経過と共に肉体の再生速度が上昇。

氷の層を厚くする事で再生速度を抑える事に成功、結果的に巨大な氷の牢獄を形成せざるを得なくなってしまったのだった。

それでも内部の『竜征趙』をコントロールする事は敵わず、四季龍インヴェルノも魔力切れを待つばかりとなったのである。


(《…皆の者、魔力供給はもう良い。
急ぎ街へと降り立ち、協力態勢を築きに向かうのだ。》)


(〔し、しかし…(ハーピー族1)〕)


(《何れだけ魔力を捧げても此奴を完全に止める事は無理だ。
ならば数の減った街へ援軍として向かった方が幾分良いだろう。》)


(〔わ、分かりました、御武運を…(ハーピー族2)〕)


四季龍インヴェルノの周囲は極低温下にある為ハーピー族であろうとも近付く事は難しい。

なので風の障壁を用いて四季龍インヴェルノの下まで声を届け、連絡を取り合っていたのであった。

四季龍インヴェルノはハーピー族から魔力供給を受けていたが、それを取り止めて街へ援軍として向かう事を提案。

ハーピー族達は渋ったものの、最後は四季龍インヴェルノに従い、戦力の減った街へと降りるのだった。
 




~防壁南端~


「エル、アール、魔力残量の報告ー。(ラインハード)」

[私は6割程ですラインハード様。(エル)]
[私は3割程ですラインハード様。(アール)]

「ならばなるべく魔力残量が均一になる様に等分。
最後の最後で機能が停止したら大変だからね。(ラインハード)」

[[はい、畏まりました。]]


防壁南端上で警戒中のラインハードと、その護衛のエルとアール。

大型虫モンスターはラインハードの狙撃、小型モンスターはエルとアールの2人の射撃によって防壁を死守していたが、魔力限界の波が3人にも迫っていた。


「私は5割って所かな。
ミダレちゃんやその友達のサキュバスちゃん達が魔石を生成してくれたお陰で何とかやれてこれたけど、そろそろって所かな。
だから皆、状況的に落ち着いてる今の内にヴァリエンテ領へ避難した方が良いよ。(ラインハード)」

「「「「う、うん…(ミダレ含めたサキュバス4人組)」」」」


魔力残量の報告会をしている傍らでサキュバス族のミダレ、ラハラメ、ミダラ、アマエの4人が最後の魔石提供を行っていた。

サキュバス族は精気を魔力変換する事に長けた種族である為非戦闘職でありながらも街に長らく待機していた。

だが陥落間近な事も考慮し、いよいよヴァリエンテ領へ向かう事を提案していた。

ちなみにミダレの眷属である使い魔のイスクリードは魔力減少に伴い召喚を制限している為この場には居ない。


「じ、じゃあ…ノア君にお別れして…来るね…(ミダレ)」

「おいおい、その言い方は語弊を生んじゃうよー?(ラインハード)」

「…多分ノア君の事だから、目を覚ましたらまた戦いに身を投じると思うっちゃ。
既にボロボロなのにこれ以上戦ったら本当に死んじゃうんじゃないか、ってスゴく不安になっちゃって…(ミダレ)」

「……(ラインハード)」


ミダレは、ノアが意識を失って街に戻って以降気が気でなかった。
不安に押し潰されそうになりながらも得意の睡眠魔法で戦場を駆けていたのは、気を紛らせる為だったのかも知れない。

だが発狂湧きを終え、手を、足を止めてしまえば考えてしまうのはノアの事ばかり。

考えたくない事まで考えてしまい、精神的に不安定になっていく。

せめて隣領に避難する前に顔を合わせておきたいが、ノアの状態を見てしまえばより一層心配になるかも知れない。

ノアの性格を考えれば目覚めた後の行動は大体分かる。
自分が無意識に出した言葉が現実のものとなってしまうかも知れない。

だから愛する人に会っておきたい。
会っておかないと後々後悔してしまうだろうから。


「…ノア君は2つ目の長屋の中。
ステラさんも一緒に居るハズだから直ぐに分かると思うよ。(ラインハード)」

「…ありがとう…(ミダレ)」


ラインハードに言われた長屋に目をやり、ミダレはその場所へと向かう。

足取りは重いし一歩一歩近付くと不安は増していく。




ガチャ…(とある一室の扉が開く)

(…あぁ、体が軽い。
忘れてたけどあの剣重かったんだよなぁ。)

(『そりゃ大剣数本分の重量があったからな。
それを装備してなきゃ体は軽いだろうな。』)


とある長屋の一室の扉が開いたかと思うと、″帯刀していない″ノアが姿を現したのだった。
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