蒼き英雄(旧)

雨宮結城

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第四章 ゲーム学校編

Part8

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「ユキ…」

「お待たせ、アスタ」

アスタの方へと振り返るユキ。

「ああん?誰だお前」

「んっ」

プレイヤー達の方を見るユキ。

「お前には用は無いんだよ」

「俺らが用あるのは、そこにいるアスタってヤツなんだからな」

「なら尚更、ボクがどく訳にはいかない」

「なんだと」

「これ以上アスタに危害を加えるなら、ボクは容赦しないよ」

「ソイツを倒せば、金貨千枚なんだぞ!」

「そうだ、大金が手に入るんだぞ」

「ボクはそんなものより、大事な人を守る方が大事だ」

「ユキ…」

ユキがそう言い、嬉しくなるアスタ。

「…なら、二人まとめてやってやるよ」

「んっ」

その場にいたアスタとユキを除いたプレイヤー達は、一斉に襲いかかってきた。

「おらー!」

「…」

ユキがその攻撃に対して、反撃しようとしたその時、一人の少年が、その攻撃を防いだ。

「っ!」

その少年とは、リタだった。

「!」

まだ居たのかよと思うプレイヤー達。

「っ!大丈夫か、ユキさん」

「リタ君…うん、大丈夫」

「良かった、なら、ここはひとまず逃げよう。アスタさんを保護する為に」

「そうだね」

リタはそう言うと、剣に魔力を込め、その剣を地面に向かって斬った。

そうする事により、土煙が発生し、リタ達が逃げやすくする為だ。

「(よし、後はエリーナの所まで)」

リタ達は、アスタの場所に向かっている最中に、ユキが瞬間移動で先に向かっていってしまった為、リタとエリーナは走って向かっていた。

その時に、リタは思いついた。フレンド登録してあるエリーナがどこかに隠れ、それを後からリタ達が瞬間移動で向かうと言う作戦を。

そして、土煙の影響でリタ達の姿が見えなくなったプレイヤー達。それを利用し、リタはユキとアスタを一緒に、エリーナが隠れた所まで、瞬間移動で向かった。

「……見失ったか」

リタ達を見失ったプレイヤー達。その頃リタ達は、エリーナの元へとたどり着いていた。

「…」

「あ、リタ」

「エリーナ、良かった。無事移動できたな」

「そうね」

エリーナは、第一階層の北の森の中にある家に、待機していた。

「ここなら、大丈夫だよね」

「ああ、ありがとうエリーナ」

「ええ、それより、その人が、アスタさんなのね」

「うん、二人共ありがとね」

「良いって、これくらい」

「アスタ、怪我はない?大丈夫?」

「ああ、大丈夫みたいだ。心配かけて悪い、ユキ」

「ううん、ボクはアスタに会えて嬉しいよ」

「…それに、二人も、ありがとう。えーと」

「ああ、自己紹介がまだだったな。俺はリタ」

「私はエリーナ。よろしくね、アスタさん」

「ああ、よろしく、リタさんにエリーナさん」

「…リタ、これからだけど」

「とりあえず、アスタさんのクエストが終わるまでは、俺達もここにいた方が良いだろう。さっきので顔を覚えられただろうからな」

「そうね」

「…クエストを出したのって、やっぱり」

「ああ、あのクエストは、スラムが出したものだ」

「アスタさん、スラムに会ったんですか?」

「まあ、一応」

「どんな感じだったの?アスタ」

「スラム、さっき戦った限りでは、俺一人でも充分に戦えた。ただ」

「ただ?」

ただという言葉に反応するユキ。

「スラムは、ある条件を満たさないと、倒せないみたいなんだ」

「え、どう言う事?」

「スラムを倒すには、スラムと、このゲームのラストボスモンスターである、タイダンハーツを、ほぼ同時に倒すしかないみたいなんだ」

「!?」

「それは、誰から聞いたんですか?」

「スラム本人からだ」

「本人から!?」

「ああ」

「でも、何でほぼ同時に倒さないといけないんですか?」

「そうしないと、タイダンハーツもスラムも、復活の能力で、死なないからだ」

「!?死なない?」

「ああ、だから、スラムは俺一人にしても、タイダンハーツに関しては、ユキにリタさん、それにエリーナさんがタイダンハーツに挑んでもらうしかないんだ」

「…タイダンハーツ、この世界のラスボスか」

「確かに、スラムは元NPCだけど、タイダンハーツはボスモンスターですからね。それこそ、アスタさんのクエストが終わり次第、ギルドに行って、クエストを出してもらいましょう。ボスモンスターは、沢山のプレイヤーさん達の力も借りないと、きっと倒せない」

「そうだな、でも、スラムがその間大人しくしてるとは思えない」

「そうだね、きっとスラムも、他のプレイヤーと戦うと思う」

「俺達も、レベル上げをしないと、勝てない」

「…提案があるんだが、良いかな」

「提案?何か考えがあるの?アスタ」

「さっきまで、たくさんプレイヤーと戦って分かったんだが、この世界ではモンスターを倒すより、プレイヤーと戦った方が、経験値が上がるみたいなんだ。だから、俺達四人で戦って、レベル上げをしないか?」

「四人で、ですか」

「ああ、もちろんHPを全て削るんじゃなくて、HPバーが半分までいったら交代していく。見てる二人は、敵が来ないかの見張り。全員が同じタイミングで戦うと、いざと言う時に、全滅する可能性があるからな」

「なるほど、その方法で、いけるとこまでレベル上げをして、アスタさんはスラムを、俺達はタイダンハーツを相手にする訳ですか」

「ああ」

「戦いの組み合わせはどうするの?アスタ」

「組み合わせは、俺とリタさん。ユキとエリーナさんでどうかな」

「ボクは良いよ」

「私もそれで構いません」

「俺もだ」

「ありがとう。じゃあ、俺のクエストが終わり次第、それを始めよう」

アスタが出した提案に、ユキにリタ、エリーナも賛成し、スラムが出したクエストが終了するまでの間は、家で待機。

クエストが終わり次第、アスタの作戦を遂行する形となった。

〈その頃、野原にいたスラムは〉

「…うーん、アスタへの試練としてクエストを出したけど、アスタの方ばかりに行って、私の方には全く来ないわね。自分で出しておいてなんだけど、まさかここまでいないなんてね。退屈。仕方ない、私の方から、プレイヤーを倒していこうかしらね」

スラムは、アスタへと戦いがあるまでは、そこそこレベルの相手と戦うつもりだったが、あまりにもスラムへ挑む者がいない為、スラム自身が、戦いを楽しむ為、動き出した。
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