蒼き英雄(旧)

雨宮結城

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第四章 ゲーム学校編

Part9

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アスタへの討伐クエストが終わる五分前、スラムはプレイヤー達を次々と倒して廻っていた。

「くそ!なんなんだアイツは」

ダンジョンでスラムから逃げるプレイヤー達。

「とにかく、早くダンジョンから出ないと」

「っ!もうすぐだ」

スラムから逃げていた三人のプレイヤー達、出口が見え安心したのも束の間、後ろからスラムが迫っていた。

「逃がさないよ」

「っ!」

「見つかった」

「…このー!」

プレイヤー達は逃げきれないと判断した。そして一人のプレイヤーが、スラムに斬りかかる。

「ふっ」

その攻撃を避け、剣でそのプレイヤーの頸を斬るスラム。

「あ…」

「ひぃ!」

「ふふ。ハッハッハ」

戦い相手を倒す快感を覚えたスラム。プレイヤー達を気にせず、不気味な笑いをするスラム。

「なんなんだよ」

「…」

「強すぎだろ」

あまりの力の差に絶望するプレイヤー二人。

「ハァ、あと一分か」

「…」

「君達を倒して、一旦終わりにしようかね」

「!」

スラムから逃げていた残り二人のプレイヤーは、スラムに倒され、光に包まれて消滅した。

「…時間か。アスタの討伐クエスト、終了。残りプレイヤーは、三十五人。やりすぎたかな、まあいっか。あとはアスタとの戦いに残しておこう。楽しみしてるよ、アスタ」

スラムはアスタとの戦いに、期待を胸に抱いていた。

その頃、リアルワールドではスラムに知識を植え付けたと思われる人物を見つけ、尋問していた。

「お前が、あのスラムとか言うやつに知識を与えたのか」

「だから、何の事か分からない!」

「とぼけるか、監視カメラに映っていたぞ。ゲームを操作しているお前の映像が」

「なんども言うが、俺は知らないって!その映像の事も、何も身に覚えがないんだ!」

「…」

「どうしますか。宮山さん」

「…」

「宮山さん、警察の方々が到着したそうです」

「あぁ、分かった」

宮山ディレクターは、スラムに知識を与えたと思われる、杉山という男を、警察に任せることした。

参加者の親達が警察に連絡していた為、警察がホテルへと来ていた。その中には、青山率いる特別チームもいた。

サオリも、ユキとアスタが心配になり、連絡していたのだ。

「その男か、杉山と言うのは」

「はい」

「警察?なあ、違うって、俺じゃない!」

「私は青山と言う者だ。杉山さん、話を聞かせてもらうよ」

「…」

リアルワールドでは、青山が杉山について調べ始めようとしていた。そして場所は戻り、ゲーム世界では。

「時間だ。アスタさんのクエストは終わった」

「ふぅ、良かったねアスタ」

「ああ」

このゲーム世界は、ソウルワールドと似たように、時間加速システムが搭載されており、リアルワールドでの一時間が、Soul Make Onlineでは一日だった。 

ホテルの映像からは、スラムとプレイヤー達の戦い等が映されていた。

そして、アスタへと討伐クエストが終了し、安心するアスタ達。

「さて、じゃあ始めますか」

「そうだね」

「特訓開始ですね」

「そうね」

アスタにユキ、リタとエリーナは、アスタの提案にあった特訓を、家から出た森で始めた。

「さて、じゃあ行きますよ。アスタさん」

「ああ!」

「っ!ふぅ!」

「っ!よっ」

リタの剣での攻撃を、アスタは避け、反撃した。

「ふぅっ!」

「っ!」

その攻撃を、リタも防ぐ。

アスタとリタは、その後も互いに避けたり防いだり、ほぼ互角の戦いをしていた。

「ハァ!」

「っ!」

だが、アスタには一歩及ばず、リタは敗れる。

「…HP半分、俺の負けか」

「凄い(リタは決して弱くない。なのに、勝っちゃうなんて、アスタさん、強い)」

「大丈夫か、リタ」

倒れていたリタに、手を差し伸べるアスタ。

「ええ、なんとか」

その手を握るリタ。

「アスタさん、強いですね。何かこの手のゲームやっていたんですか?」

「…まあな」

「…さて、次はエリーナとユキさんの番ですよ」

「ええ」

「うん、よろしく頼むね。エリーナちゃん」

「私の方こそ、よろしくです。ユキさん」

アスタとリタに続いて、ユキとエリーナも、戦いを始めた。

そして時間は過ぎていき、夜になり、第一階層の宿へと向かうアスタ達。

「宿は、ここでいいかな?」

「アスタ、ここって」

「ああ、俺のいた宿に似てるからな」

「俺は大丈夫ですよ」

「私も」

中に入るアスタ達一同。

「いらっしゃいませー」

元気がありふれている女性定員が来た。

「あの、二部屋空いてますか?」

「はい!空いてますよ」

「良かった」

「はい!こちらがそのお部屋の鍵になります」

「はい」

鍵を受け取るアスタ。

「さて、部屋だけど」

「ここはボクとエリーナちゃん。アスタとリタ君で良いんじゃない?」

「そうだな、じゃあユキ。これ鍵」

「うん」

男子、女子で分かれ、各自部屋に行くアスタ達。

「ふう」

部屋に入り、力を抜くアスタ。

「疲れたなー」

リタも、戦いの疲労で疲れていた。

「お疲れ様、リタさん」

「こっちこそ、楽しい戦いでしたよ」

「そうだな」

「…あの」

「ん?どうしたんだ、リタさん」

「俺の事は、リタで良いですよ」

「そうか?分かった」

「あと」

「ん?」

「アスタさん」

「…俺の方も、アスタで良いぜ」

「分かりました。じゃあ、アスタ」

「あぁ」

「アスタは、誰かと特訓で戦ってたりしてたんですか?動きが明らかに慣れていたし、それに、凄く楽しそうだったから」

「…そうだな、前いた世界では、親友と特訓って言って戦ってたよ」

「親友か、良いですね」

「ああ」

「俺には、男の親友はいないからな」

「でも、エリーナがいるじゃないか」

「ええ、エリーナとは、昔からの幼なじみですから」

「幼なじみか、良いな。昔からの付き合いは大事にしなきゃだな」

「ええ、エリーナに会う前は、友達も作れず、一人だったから。エリーナが居てくれるお陰で、今の俺がいる感じがします」

「…俺も、ユキに始めて会う前は、ホントに親友であるフェイだけだった」

「フェイ、その人が、アスタの親友」

「ああ」

「その人も、ゲームしてたんですね」

「ゲーム…ゲームとは言えないけど、そうだな。フェイが殺されるまでは、ずっと一緒だった」

「…殺される?」

「ああ」

「…」

リタは、ゲームなのだから、ゲームで死んでしまったりするのは当たり前だったが、アスタの声のトーンを聞き、アスタがただのゲーム経験者ではないのだと、少し感じ始めていた。

「リタは、どんなゲームをやっていたんだ?」

「俺は、Sword&MagicAdventureって言うゲームをやってた」

「あのゲームか」

「ええ、発売されるやいなや、凄く人気が出たVRMMOゲーム。そのゲームでもエリーナと一緒にプレイしてた」

「Sword&MagicAdventure…」

「ええ、一ヶ月前、ようやくクリアしましたよ」

「なるほどな、だから強かったのか、リタ」

「アスタも強かったぜ、正直、俺より断然」

「ありがとう」

「この調子で、限界までレベル上げして、生きて、リアルワールドに帰りましょう」

「ああ、その為にも、今よりもっと強くならなくちゃな」

「ええ」

〈ユキとエリーナ部屋では〉

「ユキさん」

「どうしたの?エリーナちゃん」

「ユキさんって、アスタさんとは付き合ってるんですか?」

「うん、アスタはボクの彼氏だよ」

「やっぱりそうでしたか」

「うん!エリーナちゃんは、リタ君とはどんな感じなの?」

「私とリタは、昔からの幼なじみです」

「幼なじみか、良いね」

「はい、でも、ユキさんやアスタさんを見てると、少し羨ましいです」

「ん?どうして?」

「私、リタには言ってないけど、リタの事が、好きなんです」

「付き合わないの?」

「分からないです。この気持ちは私だけかもしれないので、それに」

「それに?」

「それに、今の関係の方が、リタも良いのかなって気がしまして」

「…リタ君、エリーナちゃんの事好きだと思うよ」

「え!?」

驚きと同時に、照れるエリーナ。

「リタが、私をですか?」

「うん、エリーナちゃんの事、凄く信頼しているし、それに、リタ君を見ていると、アスタと似たような感じがして」

「似たような感じ、ですか?」

「うん、絶対に守ってくれるような頼もしさ。そう感じるんだ。だから、応援してるよ。エリーナちゃんとリタ君の事」

「…ありがとうございます…」

まだ照れるエリーナ。

「ユキさんは、アスタさんのどんな所が好きなんですか?」

「そうだね、アスタは真っ直ぐで、ボクの全てを受け入れてくれる。それになにより、この胸の高鳴りが言ってるんだ。アスタが好き、大好きだって」

「ラブラブですね。良いと思います」

「えへへ、そうだね。アスタも、きっとそう思ってくれてる。そう感じるから」

「リタも、私の事…」

「うん、きっと思ってるよ」

「…だったら、嬉しいな」

「…じゃあ寝よっか。エリーナちゃん」

「そうですね、ではまた明日」

ユキとエリーナは、就寝した。もちろん、アスタとリタも。

そして朝が来て、その日もアスタ達は、特訓していた。そして日が経ち、レベルも順調上がっていき、アスタ達一同が、レベル九十九になった時。

「ふぅ、ここまで上げれば、大丈夫だろう」

「あとは、スラムとタイダンハーツを倒すだけ」

「じゃあギルドに行って、クエストを出しましょう」

「そうね」

レベルが九十九になったアスタ達は、ギルドに向かっていた。

「えーと」

そんな中リタは、あと何人プレイヤーが残っているのか、確認した。

「残りは、三十五人。…ここまで減るとは」

「この中から、何人が参加してくれるか、ね。リタ」

「ああ」

そう話していると、ギルドに着いた。

そしてリタは、第二十階層のボスモンスターであり、この世界のラスボスであるタイダンハーツを倒す為に、クエストを申請した。

「何人が来てくれるか」

「そうね」

参加してくれるプレイヤー達を待っていると、ある集団がリタ達の元へと来た。

「クエストを出したのは、君か?」

「ああ」

「参加しに来た、是非加えてくれ」

「ああ、もちろん」

その光景を見て、参加を決めたプレイヤー達。

「俺も、行く」

「私も」

「俺も」

「(良かった、全員ではないけど、集まってくれる人がいた)」

「やったね、リタ」

「ああ」

「行こうぜ。リーダー」

「ああ、じゃあ皆、行こう!」

「おおー!」

リタ達の方は、二十七人が集まり、タイダンハーツを倒す為、ダンジョンへと向かった。

〈その頃、スラムの方は〉

「…」

スラムは、戦わず退屈していた為、誰かがクエストを出さないかチェックしていた。

「……お」

そんな中スラムは、リタが出したクエストを確認する。

「ようやくタイダンハーツに挑むのか。という事は」

スラムは、後ろから迫ってきていた魔力の方へと向く。

「…」

「また会えたね、アスタ」

「ああ」

「前と同じく、君一人で来たか」

「タイダンハーツは、リタ達に任せてる。俺のすべき事は、スラム、お前を倒すことだ」

「ふふ、ようやくか。ようやく君と、真の戦いが味わえる。じゃあやろうか」

「ああ」

アスタとスラム、互いが剣を握り、構えた。

〈そしてリタ達の方も〉

「ここか」

第二十階層の扉の前へと来ていた。

「…」

扉を開けるリタ。そしてそのボス部屋に入っていくプレイヤー達。

「…」

「……!おいアレ!」

「…」

「アイツが、タイダンハーツか」

「…」

部屋に入ってきたプレイヤー達を確認し、起動し始めたタイダンハーツ。

「カアー!」

「!」

プレイヤー達も、各々の武器を握り、構える。

そして歩いて迫ってくる、巨大ボスモンスターであるタイダンハーツ。

そんな中リタは、皆に喝を入れる。

「よし皆、最後の戦いだ、勝とう!」

「おおー!」

喝が入り、気合いが湧いてきたプレイヤー達。今、リタ達はタイダンハーツを。アスタはスラムと、このゲームにおいての、最後の戦いが、始まる。
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