蒼き英雄(旧)

雨宮結城

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最終章 The Final

Part2

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サオリとサキが、アスタ達をソウルワールドへと呼ぼうとしていた同じ頃、アスタこと宮村雄也は、フェイ、神田京介の父親である、神田貴志と会う約束をしていた。

「…」

約束の場所へと向かう雄也。

「あ、おーい、雄也君」

雄也を見つけ、名を呼ぶ貴志。

「お待たせしました。父さん」

「…今でも、父さんと呼んでくれるのだね。雄也君」

「もちろん、貴方は、俺と京介を育ててくれた人ですから」

「…なら、私も呼び方を変えなくてはね。雄也」

「はい」

二人は、じっくりと話せる場所、喫茶店へと向かった。

そこで二人は、昔話や今の職場の話をした。

「と、今はそんな感じなんです」

「そうか、ソウルワールド、その世界の管理か」

「はい」

「…今でも、つい考えてしまう」

「…」

「京介が、雄也の隣を歩いている所を」

「父さん…」

「と、いけない。今、雄也の隣を歩いてくれているのは、結生君だったね」

「はい。結生には、ホントに感謝してもしきれないです。何せ、命の恩人ですから」

「そうだね、京介が死んでしまい、悲しんでいた君を、立ち上がらせてくれたのが、結生君だからね」

「はい」

「とっても良い子を見つけたな」

「…はい、ホントに」

「私も、京介へのお墓参りの時に、結生君が私に言葉をくれてね。お陰で私は、前を向く事ができた。ホントにあの子は、凄い子だ。でも、意外だったな」

「え?」

「いきなり雄也から会いたいと言われたから、てっきり結生君と来ると思っていたが、二人で話がしたいと言っていたからね」

「あぁ、はい」

「何か困り事か?」

「…父さん、俺と初めて会った時の事、覚えていますか?」

「あぁ、もちろん覚えてるよ。もう十六年ぐらい前かな。京介と公園に来ていた時。いきなり京介が、君を連れてきたからね」

〈今から十六年前、二〇一八年八月十五日〉

「…」

貴志がとても広い公園のベンチに座っていると、そこへ息子である京介が、一人の少年を連れてきた。

「父さん」

「ん?どうした京介。ん?その子は?」

「この子、あっちの方に一人でいたんだ」

「そうなのか、親御さんが心配するだろう、お母さんかお父さんの元へ…」

「僕、もういないんだ」

「え…」

「ママ、もう死んじゃって」

「!?」

「パパも、仕事でいなくて」

「君、名前は」

「宮村、宮村雄也」

「宮村、!?お隣さんの子じゃないか。(しかも宮村さんは、つい最近奥さんが亡くなった、旦那さんはまだいるみたいだが、子供がいたとは聞いていない。この子は、何か事情を抱えているんじゃ)」

「父さん、ゆうや君、家に呼んじゃダメ?」

「!?しかし、勝手にお隣さんの子を」

「父さん、ゆうや君とは、もう友達なの、おねがい」

「…とりあえず、宮村さんの所に行ってみるよ」

「うん、わかった」

そこで神田貴志は、宮村家を尋ねた。

「…貴方は」

「私は隣に住んでいる、神田貴志と言います。宮村さん、貴方、お子さん、いらっしゃいますよね」

「あぁ、雄也の事ですか」

「はい、今日、公園に一人で来ていました」

「そうなんですか、ご迷惑をお掛けしました」

「いえ、あの、雄也君、一人で塞ぎ込んでいました。雄也君、これからどうなさるのですか」

「あぁ、もう、私一人では育てられないので、児童養護施設に行ってもらおうかと思ってます」

「…そうですか」

「はい…」

「あの」

「はい?」

「ご提案なのですが、もしご迷惑でなければ、うちに見させて頂けないでしょうか。宮村さんのお仕事が終わるまで、うちで面倒見させて頂ければ、京介も喜ぶので」

「…では、そうしてもらえますでしょうか」

「ホントですか!」

「はい、妻を亡くし、もうダメかと思っていましたが、貴方の様な方に面倒を手伝って頂けるのは、嬉しいですし、助かります」

「…はい」

「父さん」

「!?京介、来ていたのか」

「どう、大丈夫?」

「お子さんですか?」

「はい、息子の京介です」

「そうでしたか……雄也」

「…パパ」

「雄也、今、この人と話したんだけど、パパが仕事から帰ってくるまでの間、この人の所にいてくれないか?」

「うん、友達、できた」

「そうか…では神田さん、雄也を、共にお願いします」

「はい」

そこから雄也は、主に神田家で面倒を見ることになった。そこから三年後、宮村さんは亡くなり、雄也は、完全に神田家で住まうこととなった。

そして、雄也と京介が高校生になった頃、神田貴志の妻である、神田朱里が亡くなり、二人は児童養護施設へと移った。

〈そして現在〉

「あの時は驚いたよ。京介がいきなり君を連れてきたから」

「はい、俺も覚えてます」

「でも、その時の事がどうかしたのかい?」

「…実は」

雄也は、カインとのやり取りの事を話した。

「という訳なんです」

「…君が、宮村さんの家の子ではないかもしれない?それどころか…」

「はい、俺も、考えたくはありません。でも、カインと言う男と話していると、不思議とそんな気がするんです。考えてみたら、俺、宮村家での事、ちっとも覚えていないんです。普通は、微かでも記憶があるはずなのに。なので、職場の人に、宮村家の事を調べてもらいました。すると分かったのは。宮村家では、結婚の記録は残っているが、子を産んだ記録が無かった」

「…それは、ホントなのかい」

「はい、間違いないです」

「それは、結生君には言ったのかい?」

「いえ、まだ。職場の上司と、調べてくれた人、そして父さん、貴方しか、この事は知りません。何せ、自分がこの世界の人間ではないかもしれないなんて、とても考えられる事じゃないですから」

「…でも雄也、君の事だ。悩んではいるが、結生君には、近いうちに話すつもりなんだろう?」

「…さすが父さん、お見通しですか」

「雄也、男が誰かを愛し、その人を信じると言う事は、その人を生涯守ると言う責任でもある。だから雄也、結生君の事は、決して、裏切らないようにな」

「…はい!」

貴志と雄也は、話を終え、その場を後にした。

雄也が一人帰っていると、路地裏で倒れている女性を発見した。

「!大丈夫ですか!」

「…あー、ありがとう」

「大丈夫ですか、どこか怪我は」

「あー、大丈夫、酔ってしまっていただけなので」

「…そうですか、では俺はこれで」

「待ってください」

雄也がその場を立ち去ろうとしたら、その女性に止められた。

「はい?」

「このまま、行ってしまうんですか?アスタ」

「!?」

「ふふ」

「アンタ、何者だ」

「私の名前は、スレイヤー」
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