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それぞれが考える、自分と相手の言う「まだ」
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ランが俺のウチから自宅に帰る際に別れのキスをするのは毎度の事だが、ここで今日初めて許したばかりのディープキスをされるとは思わなかった。
虚を突かれた感じになった俺は、どんな反応をするのが正解か分からなくなってしまった。
目をカッ開いているのも変ならば、目を閉じるなんて全面的に受け入れている様なポーズも何だかヤバい気しかしない。
結果、半目を開くといった妙な顔になってしまった。
「ん……」
明るい場所での深い口付けは初めてで、舌先を絡ませる様なそんな口付けを受けている俺の姿を見られている事が恥ずかし過ぎる。
だがランに、恥ずかしがる自分を見せる事が無様に思えた俺は、大人ぶった態度を見せランの口付けを黙って受け入れた。
半開きの目で。
深く交わっていた口が離れる。
熱く忙しない息遣いをするランの吐息が俺の顔に掛かった。
ランの右手の平が俺の頬に当てられ、親指が俺の目尻や頬骨を優しく撫でていく。
なんてスケベったらしい指の動きをするんだ、コイツ。
「薄く目を閉じた真弓の顔が……色っぽ過ぎて……
ずっと見ていたい、家に帰りたくない……」
「色っぽい…はぁ?」
「真弓に、もっと触れていたい…」
ランの両腕が俺の背中と腰に回され、グイッと抱き寄せられた。
ガキの頃から、じゃれ合う様に何度もしていたハグと同じ様な行為であるのに何かが全く違う。
抱き着く、くっつくと言うより、ランの腕の内側に俺の身体が囚われてしまった。
俺より細いランの腕の力強さに一瞬、狼狽えてしまう。
密着し過ぎてランを押し離す事が出来ず、ヤツの濡れたシャツの背中部分を掴んでクンと緩く引っ張った。
「ちょっ…ラン離せ……」
ランを強く突き放さなかったのは、若さゆえに激情に身を任せたランが、このままなし崩し的に事に及ぶんじゃないかとの下世話な考えが一瞬頭をよぎったが、それは俺の間違いだと気付いたからだ。
コイツはいつだって真剣で、俺の言葉を無視しない。
俺がさっき「まだ」と言ったのだから。
「ずっとこうやって真弓を感じていたい。
真弓の香りも体温も鼓動も全て…真弓の全部を俺のモノにしたい。」
俺を強く強く抱き締めたまま、ランはその先の何かを起こそうとはしなかった。
同じ男として………若ければ尚更に、自身の衝動を抑えて理性を保つのは苦しい事なのだと理解している。
分かっていても、俺はまだランの俺を思う気持ちに素直に応えてやる事が出来ない。
「……まだ無理だ」
まだ、その一線を越えた先の行為を受け入れる覚悟が無い。
「分かってる…真弓の気持ちを無視してまで、今すぐ抱くつもりは無いよ。
ただ…触れさせて。」
俺の身体を抱き締めたまま、俺の肩にランの顔が押し付けられる。
首の近くに顔を近付けたが、俺の首筋に唇で触れる事を躊躇った。
たどたどしく、それでいて必死で、ランが俺の許容する触れられる範囲を探す。
唇が触れない様にしながら鼻先で俺の首筋に軽く触れ、俺の匂いとやらをスゥと吸い込む。
互いの胸が密着して、衣服越しであるのに生々しい位に激しい俺とランの動悸を感じてしまう。
俺に触れるだけで、こんなにも激しく脈打つランの鼓動に俺への想いを疑うワケはなく。
ぶっちゃけてしまえば、俺はランが「真弓は俺をこれ位好きでいてくれてる」と思っているよりは、もっとランを好きなんだと思う。
だがアウトロー的な見た目に反して意外に杓子定規な俺は、ここで「だったらいいだろう」ってな思い切りの良さを発揮出来ない。
男同士のセックスで、しかも自分が受け入れる側だってのも躊躇する理由だが、まだ10代の少年であるランの初めての相手が俺って、どうなんだと少なからず罪悪感みたいなモンににとらわれたりしてしまう。
だからと言って、今さらランに年相応の彼女を見つけろなんて言えない、そんな事はして欲しくないってのが、ランには明かせない俺の本心だ。
どうしたもんやらと渋い顔をしている俺に気付いたランが顔を上げた。
「帰るって言ったのに、いつまでもごめんな。
真弓と離れるのが寂しくて。」
チュッと軽く唇を重ねてからランが俺から身体を離した。
靴を脱いだランが玄関から家の中にあがる。
寝室に向かいウチに来た時の制服をカバンに入れて肩に担いだ。
「濡れた服、着替えていかねーの。
置いていけば洗濯しとくぞ。」
ランは困った様に笑いながら首を横に振った。
「また雨が降るかも知れないし遅くなったから、このまま走って帰る。」
玄関に降りたランが濡れた靴を履く。
ほどけかけた靴ひもを結んでから顔を上げたランが、俺を見上げてニコリと微笑んだ。
「真弓、また明日。」
「おう、また明日な……気をつけて帰れよ。」
ランの笑顔がチクと胸に刺さった。
頭の中でランに悪いなと思う俺と、「だからってな!仕方ねーだろ!」と切れ気味に自分に言い訳をする俺がせめぎ合う。
ランはカラカラと引き戸を開けて、俺のウチから出て行った。
俺は玄関に突っ立ったままで、ランが出ていったガラス戸をずっと見ていた。
「ひどい奴だよな、俺は……。」
実の所、中学卒業の際にキスを許した事がゴールだと勘違いしていた部分も無くはない。
だがそこは、ただの区切りだ。
ランにとっては、そこからが本当の恋人として俺と付き合う事が出来るスタートラインだと思ったのだろう。
それに気付くのに時間が掛かった俺は、恋人スタートに出遅れて、今だにあたふたと醜態を晒している様な状態だ。
「そういやぁ俺…アイツにマトモに好きって言った事もネェかも…。」
好きだって言葉自体はアイツが小さな頃から何度も言った。
だがそこに、アイツが俺に言う「好き」と同じ意味合いの好きは言った事が無いかも知れない。
なので当然、愛してるなんて言った事は無い。
今さら改めて言うのも恥ずいって思いもある。
だが……「言わなくても分かってるだろ」は、逃げだよな……。
「まだ…か。
こんな事をするのは、まだ早いの「まだ」じゃねぇんだよな。
俺の覚悟が「まだ」出来てねぇ。」
俺は玄関に座って大きな溜め息をついた。
ランに触れられ熱を持っていた身体がいきなり冷えてしまい、濡れた革ジャンが重く冷たい。
「俺ももう…好きな筈なんだけどな。」
俺はまだアイツに本音を晒すのに、理性と呼ぶブレーキを踏まずにはいられない。
自分の方が大人だとか、親子程の歳の差だとか、男だからとか……
そんなしがらみを捨ててしまえる程、激しく溺れてしまえればいいのに。
「まだ…だ。
まだ真弓は俺を男だと、恋人にしても良い相手だと認めてくれていない…。」
真弓の家を出た走は濡れた姿のまま、自宅への帰路を小走りで駆けて行く。
初めて深い口付けを出来た喜びより、自分と真弓の熱量の差を改めて突き付けられた気がして胸が痛い。
走は水溜まりに足を入れた事も気付かずに、高く跳ね返った泥水が衣服を汚すのも構わずに走り続け、10分足らずで自宅に着いた。
「ただいま。」
「えっ?おかえり?
帰って来ちゃったの?」
走が玄関のドアを開けるなり、たまたま玄関付近に居た母親と顔を合わせ、語尾上がりの「おかえり」を言われた。
「帰って来ちゃったのってナニ。」
「どうせ神鷹さんとこ行ってたんでしょ。
大雨になったから、そのまま泊まらせて貰えばって思って走にメッセージ送ったんだけど。」
走はズボンのヒップポケットから携帯を取り出して画面を確認した。
母親からのメッセージが未読状態で入っている。
「気付かなかったァ…。」
「まぁ、いきなり泊めてはあんまりかしら。」
「その手があったか。惜しい事をした…。」
ボソッと呟き、思い切り項垂れる。
「中学生までは、よく泊まらせて貰っていたのに。
最近は神鷹さんチに泊まらないのね。
急に遠慮するようになって。大人ぶってんの?」
走の母親は無邪気に、それでいて核心を突く様な質問を投げ掛ける。
「遠慮してるとか大人ぶってるワケじゃないけど。
まぁ…高校入ってからバタバタしてて何となく…
……シャワー入って飯食う。」
着替えを取りに自室に向かい階段を上る。
扉を開き部屋の中に入るなり、思わず本音を口にした。
「真弓の寝姿を真横で見て、理性を保てるかが心配なんだよな…。」
虚を突かれた感じになった俺は、どんな反応をするのが正解か分からなくなってしまった。
目をカッ開いているのも変ならば、目を閉じるなんて全面的に受け入れている様なポーズも何だかヤバい気しかしない。
結果、半目を開くといった妙な顔になってしまった。
「ん……」
明るい場所での深い口付けは初めてで、舌先を絡ませる様なそんな口付けを受けている俺の姿を見られている事が恥ずかし過ぎる。
だがランに、恥ずかしがる自分を見せる事が無様に思えた俺は、大人ぶった態度を見せランの口付けを黙って受け入れた。
半開きの目で。
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ランの右手の平が俺の頬に当てられ、親指が俺の目尻や頬骨を優しく撫でていく。
なんてスケベったらしい指の動きをするんだ、コイツ。
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「真弓に、もっと触れていたい…」
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抱き着く、くっつくと言うより、ランの腕の内側に俺の身体が囚われてしまった。
俺より細いランの腕の力強さに一瞬、狼狽えてしまう。
密着し過ぎてランを押し離す事が出来ず、ヤツの濡れたシャツの背中部分を掴んでクンと緩く引っ張った。
「ちょっ…ラン離せ……」
ランを強く突き放さなかったのは、若さゆえに激情に身を任せたランが、このままなし崩し的に事に及ぶんじゃないかとの下世話な考えが一瞬頭をよぎったが、それは俺の間違いだと気付いたからだ。
コイツはいつだって真剣で、俺の言葉を無視しない。
俺がさっき「まだ」と言ったのだから。
「ずっとこうやって真弓を感じていたい。
真弓の香りも体温も鼓動も全て…真弓の全部を俺のモノにしたい。」
俺を強く強く抱き締めたまま、ランはその先の何かを起こそうとはしなかった。
同じ男として………若ければ尚更に、自身の衝動を抑えて理性を保つのは苦しい事なのだと理解している。
分かっていても、俺はまだランの俺を思う気持ちに素直に応えてやる事が出来ない。
「……まだ無理だ」
まだ、その一線を越えた先の行為を受け入れる覚悟が無い。
「分かってる…真弓の気持ちを無視してまで、今すぐ抱くつもりは無いよ。
ただ…触れさせて。」
俺の身体を抱き締めたまま、俺の肩にランの顔が押し付けられる。
首の近くに顔を近付けたが、俺の首筋に唇で触れる事を躊躇った。
たどたどしく、それでいて必死で、ランが俺の許容する触れられる範囲を探す。
唇が触れない様にしながら鼻先で俺の首筋に軽く触れ、俺の匂いとやらをスゥと吸い込む。
互いの胸が密着して、衣服越しであるのに生々しい位に激しい俺とランの動悸を感じてしまう。
俺に触れるだけで、こんなにも激しく脈打つランの鼓動に俺への想いを疑うワケはなく。
ぶっちゃけてしまえば、俺はランが「真弓は俺をこれ位好きでいてくれてる」と思っているよりは、もっとランを好きなんだと思う。
だがアウトロー的な見た目に反して意外に杓子定規な俺は、ここで「だったらいいだろう」ってな思い切りの良さを発揮出来ない。
男同士のセックスで、しかも自分が受け入れる側だってのも躊躇する理由だが、まだ10代の少年であるランの初めての相手が俺って、どうなんだと少なからず罪悪感みたいなモンににとらわれたりしてしまう。
だからと言って、今さらランに年相応の彼女を見つけろなんて言えない、そんな事はして欲しくないってのが、ランには明かせない俺の本心だ。
どうしたもんやらと渋い顔をしている俺に気付いたランが顔を上げた。
「帰るって言ったのに、いつまでもごめんな。
真弓と離れるのが寂しくて。」
チュッと軽く唇を重ねてからランが俺から身体を離した。
靴を脱いだランが玄関から家の中にあがる。
寝室に向かいウチに来た時の制服をカバンに入れて肩に担いだ。
「濡れた服、着替えていかねーの。
置いていけば洗濯しとくぞ。」
ランは困った様に笑いながら首を横に振った。
「また雨が降るかも知れないし遅くなったから、このまま走って帰る。」
玄関に降りたランが濡れた靴を履く。
ほどけかけた靴ひもを結んでから顔を上げたランが、俺を見上げてニコリと微笑んだ。
「真弓、また明日。」
「おう、また明日な……気をつけて帰れよ。」
ランの笑顔がチクと胸に刺さった。
頭の中でランに悪いなと思う俺と、「だからってな!仕方ねーだろ!」と切れ気味に自分に言い訳をする俺がせめぎ合う。
ランはカラカラと引き戸を開けて、俺のウチから出て行った。
俺は玄関に突っ立ったままで、ランが出ていったガラス戸をずっと見ていた。
「ひどい奴だよな、俺は……。」
実の所、中学卒業の際にキスを許した事がゴールだと勘違いしていた部分も無くはない。
だがそこは、ただの区切りだ。
ランにとっては、そこからが本当の恋人として俺と付き合う事が出来るスタートラインだと思ったのだろう。
それに気付くのに時間が掛かった俺は、恋人スタートに出遅れて、今だにあたふたと醜態を晒している様な状態だ。
「そういやぁ俺…アイツにマトモに好きって言った事もネェかも…。」
好きだって言葉自体はアイツが小さな頃から何度も言った。
だがそこに、アイツが俺に言う「好き」と同じ意味合いの好きは言った事が無いかも知れない。
なので当然、愛してるなんて言った事は無い。
今さら改めて言うのも恥ずいって思いもある。
だが……「言わなくても分かってるだろ」は、逃げだよな……。
「まだ…か。
こんな事をするのは、まだ早いの「まだ」じゃねぇんだよな。
俺の覚悟が「まだ」出来てねぇ。」
俺は玄関に座って大きな溜め息をついた。
ランに触れられ熱を持っていた身体がいきなり冷えてしまい、濡れた革ジャンが重く冷たい。
「俺ももう…好きな筈なんだけどな。」
俺はまだアイツに本音を晒すのに、理性と呼ぶブレーキを踏まずにはいられない。
自分の方が大人だとか、親子程の歳の差だとか、男だからとか……
そんなしがらみを捨ててしまえる程、激しく溺れてしまえればいいのに。
「まだ…だ。
まだ真弓は俺を男だと、恋人にしても良い相手だと認めてくれていない…。」
真弓の家を出た走は濡れた姿のまま、自宅への帰路を小走りで駆けて行く。
初めて深い口付けを出来た喜びより、自分と真弓の熱量の差を改めて突き付けられた気がして胸が痛い。
走は水溜まりに足を入れた事も気付かずに、高く跳ね返った泥水が衣服を汚すのも構わずに走り続け、10分足らずで自宅に着いた。
「ただいま。」
「えっ?おかえり?
帰って来ちゃったの?」
走が玄関のドアを開けるなり、たまたま玄関付近に居た母親と顔を合わせ、語尾上がりの「おかえり」を言われた。
「帰って来ちゃったのってナニ。」
「どうせ神鷹さんとこ行ってたんでしょ。
大雨になったから、そのまま泊まらせて貰えばって思って走にメッセージ送ったんだけど。」
走はズボンのヒップポケットから携帯を取り出して画面を確認した。
母親からのメッセージが未読状態で入っている。
「気付かなかったァ…。」
「まぁ、いきなり泊めてはあんまりかしら。」
「その手があったか。惜しい事をした…。」
ボソッと呟き、思い切り項垂れる。
「中学生までは、よく泊まらせて貰っていたのに。
最近は神鷹さんチに泊まらないのね。
急に遠慮するようになって。大人ぶってんの?」
走の母親は無邪気に、それでいて核心を突く様な質問を投げ掛ける。
「遠慮してるとか大人ぶってるワケじゃないけど。
まぁ…高校入ってからバタバタしてて何となく…
……シャワー入って飯食う。」
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