孤高の女王の国と狂戦士。そして傍若無人の若き王。

DAKUNちょめ

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デルフィナもオブザイアも愛したい。

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アンドリューは一人で城の中を歩き回っていた。


 公務中だと思っていた妻の女王が見当たらず、同じく妻にしようかと目論んでいる狂戦士のオブザイアの姿も見えない。


この城に連れて来られたばかりの頃には全く興味が無かった、アンドリューの妻であり、この「彼の国」の女王であるデルフィナ…。


 世間では、美しく冷酷な孤高の女王と謳われているが、実際にはうぶで、少女のように可愛らしい。

夫のアンドリューしか知らない彼女の本来の姿である。


そして、アンドリューはあんなにも避けていた、その妻を…


今は欲しくて欲しくて堪らなくなっていた。

   

「よく、考えたら…この城に連れて来られてから2年程…?
禁欲生活してるよな…。」



自分が治めていた国に居た時は、毎晩違う女を抱いていた。


いや、アンドリュー的に言うならば、抱いてはいない。

    
ヤっていた。

    
顔も名前も覚えていない女を、とりあえずベッドに居るのだからヤる。


 だが今、長く禁欲生活が続いていたからと言って、どんな女でもいいからヤりたい訳ではない。



 デルフィナ、オブザイア、この二人を抱きたい!!

 俺の本気で!絶対的な自信をもって満足させたい!

 アンドリューは強く、そう思っている。



自分はオブザイア殿の妻だと言っていたが最近、考えが変わった。


デルフィナの大伯母、義父上ダイオスの伯母にあたる女性が結婚したとの報告を見た時からだ。

  

 齢65歳だという、その女性は元々がこの国の王女であり、デルフィナと同じく男の狂戦士に変化出来る者でもあるという。

義父上の言い方からして、その女性が変化する狂戦士はかなりイカツく、ゴツい男だと思われる。


 その狂戦士を妻にした男がいる。

   
どんな姿をしているのか知らないが、たかだか18歳だという小僧が出来た事を自分が出来ない訳がない。




 妻デルフィナとオブザイアを探し回って城内を歩き回っているアンドリューは、見慣れない少年が城に居るのを見付けた。



身長は170あるか、ないか位で、小柄とまでいかないが痩せ型である。

義父のダイオスも男の割には細身であるが、それ以上に儚さを感じる位に痩せている。


淡いピンク色のフワリとした髪に、新緑のような鮮やかなライトグリーンの瞳。

その手の趣味を持つ変態が好みそうな美少年が居た。



「……誰だ?お前は……どうやって、この城に?」



断崖絶壁に囲まれたこの城に来る手段は限られており、簡単に出入り出来るような城ではない。

アンドリューは、その美しい少年を警戒した。


「は、はじめまして…ぼ、僕は、僕はロータスっていいます!」


少年はペコペコと頭を下げた。

消えかけてはいるが、僅かに見え隠れする無数の傷痕と少年の態度に、アンドリューが眉をひそめた。



「……お前、元奴隷か?」



「は、はい…僕は…奴隷でした…。」



 「なぜ、奴隷がここに居る?どうやってここに…」



 「わしが連れて来たからだ!」



 アンドリューの言葉を遮って現れた白髪頭の大きな男は、ヒョイとロータスを抱き上げて自分の左肩に座らせた。

  

「お前がアンドリューだな!ダイオスから話は聞いている。
デルフィナの旦那らしいな!」



 アンドリューは呆然と白髪頭の男を見上げた。


オブザイアに微妙に似たその男は、長い白髪頭を一つに縛り、その髪は途中からは黒髪だ。


体格はオブザイアより僅かに大きく、逞しい。


何より顎髭を生やしたその男の顔には僅かにシワが刻まれているが若々しく、金色の瞳も美しい。



「ダル……何とかさん?」

     

アンドリューは名前を一部しか覚えてなかった。



「おう!ダイオスの伯母の…
いや、わしはシルヴィアンではないな。
ダルゼリアだ!よろしくな!」



 アンドリューは、ダルゼリアと肩に座らせたられたロータスを交互に何度も見た。



「………夫………と、妻……?」



 先に肩に座らせられた、小さなお人形のようなロータスを指差し、次にヒグマのようなダルゼリアを指差す。



「…はい」「…まぁな」



 二人は顔を赤くして、同時に返事をした。



 はああああ!?何でだ!?どうやってだ!?
こんなモヤシみたいな奴隷が、何で!どうやって!



アンドリューは疑問を口にする事も出来ないまま、放心状態になってしまった。



「ちょっ…!ちょっと待って頂きたい!
ダル何とかさんは狂戦士ですよね?まあ、若々しいし…逞しいし!
でも、シルヴィアンさんは言っちゃ何ですが婆さんですよね!」



 アンドリューは混乱し過ぎて、自分が何を確認したいのかも分からなくなっていた。

ただ何か、それは間違いだったと思える答えを漠然と欲している。

 

「シルヴィアンさんは、美人ですよ?」



 キョトンとした顔をするロータスを肩から下ろしたダルゼリアは少し不機嫌な顔をしたが、アンドリューの疑問と混乱の理由を何となく理解して笑う。



「お前、自分がデルフィナもオブザイアも手に入ってないから、ロータスの存在が納得いってねぇんだよな?
恋愛経験もろくに無いシワクチャのババアだから、上手い事言いくるめてモノにしたとか思ってんだろ?」



ダルゼリアはアンドリューの目の前でシルヴィアンに変化した。



「まったく、失礼な男だよ。
元々が、あの国の王だって言うから分からなくはないけどね。」



 アンドリューの前に現れたシルヴィアンは、長い白髪をハーフアップに纏め、細身ではあるが若い女性と変わらない張りのある体つきをしており、すみれ色の瞳にモノクルの似合う美しい顔をしていた。


今、二十歳のデルフィナが20歳程年をとれば、こんな感じだろうという程若々しく美しい。



「これで満足かい?坊や。
あたしとダルゼリアの夫が、このロータスだよ。」



      
アンドリューは灰になっていた。

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