【R18】熊の様な45歳の近衛隊長は、22歳の美貌の皇帝に欲しがられています。

DAKUNちょめ

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うぶな少年、キリアン10歳。

姫君を護る騎士の様に、キリアンを抱きかかえて中庭から離れたガインは、貴賓室の前まで全速力で走って来た。

体力には自信有りのガインだったが、キリアンの王族の姫君に対しての『ババァ』発言により、心臓がキュウッと縮み上がり、生きた心地がしなかった為に、余計な疲労感でぐったりしてしまった。



「ふむ…そんな慌てなくても良かっただろうに。

ババァにババァと言って、何をそんな気にする事があるの?」



ガインの腕から下りたキリアンが、あざとい仕草で不思議そうに首を傾げてガインに尋ねる。



「陛下はもう黙ってろ!そして自ら敵を作るんじゃない!!」



一緒に行動を共にした若い兵士が、キリアンとガインのやり取りを見て楽しそうにケラケラと笑っていた。



男女関係無く、特に若い男には強い恋慕の情を抱かれる事が多いキリアンは人を近づけるのを嫌い、年若い兵士を一人きりで側につけるなど珍しい。



「あ、自分食堂に行って隊長の夕飯を部屋に届けるよう伝えて来ます!

そしたら自分も宿に戻りますので!では!」



若い兵士は、ガッチャガッチャと身に着けた甲冑の擦れる音を鳴らしながら楽しそうに小走りで駆けて行った。



「……陛下が若い男を一人で側に居させるなんて、珍しいな…。」



「ん?何だ?嫉妬してくれたの?ふふっ…嬉しい…」



貴賓室前の廊下でガインの首に両腕を回し、女性がしなだれ掛かる様にキリアンがガインに身体を押し付ける。



「ち、違う!違いますが!……珍しいなと思って……だってよ、陛下…いっつも惚れられてーは不機嫌になって、一兵卒からやり直せだの、クビだのと言うじゃないか。

大変なのは、兵を預かる俺達なんだからな。」



特に新人はキリアンに対して免疫が無い為、コロッと落ちる。

キリアンの、女神の様な姿で持つ魔性の美貌の恐ろしい所は、恋に落ちるだけではなく、正常な考えさえも奪う所にある。



どこをどうしたら、そんな考えに行き着くのか分からないが、



『この女神は自分のものになってくれるかも知れない』と有り得ない希望をいだかせる、お花畑思考にさせてしまうのだ。



そのキリアンの呪縛を逃れるとは…侮れない。

自我を抑制する様な何か特殊な訓練でも受けていたりするのではないだろうか……



「ああ…私もあんな青年は初めてだ……。

実はな…あの青年……生粋の女好きなんだ。」



「…………は?………はあ。…いや、まぁ…。」



ガインは心にある、お前はそんな女好きでさえ『男でもいい!抱きたい!』と思わせて虜にする毒花だろうが。との思いを込め、キリアンを見る。

そんな考えを汲み取ってか、キリアンがフッと笑った。



「甘いぞ、ガイン。

ヤツの凄い所は、胸がデカければ顔はさほど気にはならんという所だ。

ヤツにとっては姿かたちの美醜よりも、大きな胸が大事なのだ。」



「………………そうッスか。」



あまりに常識外れな人心魅了マシーンのキリアンを見てきたせいで、正常な判断が麻痺していたのは自分だったと改めて思った。



女性の大きな胸が好きな若者が居る。

よく考えるまでもなく、至って普通の事であった。







貴賓室に入ろうとしたタイミングでガインの夕食が届いたので、部屋に入りガインがベッドの近くにあるテーブルで食事を取り始めた。



キリアンは食事をしているガインを微笑みながら見詰め、食事が終わったガインの手を掴むと、パンの香りの残るガインの指先をパクリと口に含む。



「ふあ!?」



思わず上がる、ガインの間の抜けた声がキリアンには堪らない。

ゴツゴツと節くれ立つガインの指を一本ずつ順に口に含み、指の股を舌先でクチクチと舐めてから、股から爪にかけ指の側面をヌルゥっと舐め上げる。



「……ッきっ!キリアン!!」


「ナァに?指を舐められただけで感じちゃった?」



金糸の髪の向こうで紺碧の目を細めて、濡れた舌先を尖らせたキリアンが微笑む。



「ち、違うわ!!いきなり、何すんだってなぁ!!ンンッ!!」



キリアンに右手を掴まれたまま、ガインがビクッと肩をすくめてしまう。



「いくら擽ったがりだからと言って…

指を舐めただけで、そんな真っ赤な顔に潤んだ目で見詰められたら、そりゃ勘違いだってするだろ?

誘惑されてるんじゃないかって。」



キリアンはガインの手を解放せず、上に向かせた手の平に唇を当て吸い付き、チュッチュッと唇を小指球まで移動させる。



「し、してない!誘惑なんか…ック!」



キリアンは捕らえたガインの手首にカリッと歯を立てて甘噛みした。



「食べちゃいたい……ガイン、可愛い……。」



ゾクゾクっとガインの足の爪先から腰回りにまで痺れが走る。

数時間前に行った行為を身体が記憶しており、身体の中枢からそこに再び辿り着きたいと手を延ばそうとする感覚がある。

だが、ガイン自身がそれに怯えた。



「す、すまないが…今日はもう、無理だ…。悪いが…。」



「ガイン…謝らなくていいんだよ?俺だって愛する人に、そんな無理をさせたりしたくないから。」



キリアンは甘噛みした手首を掴み、不安そうな顔をするガインをベッドに導く様に連れて来た。



「添い寝はしても良いでしょう?

師匠と剣の修業をしていた頃は、よく一緒に寝ていたのだし。」



連れて来たガインをボフッとベッドに押し倒し、重ねた枕に背を預けさせたガインの大きな胸板にキリアンがぐりぐりと頬を押し付ける。



「そんな事言ってまた……いきなり……」



不安がるガインの顔を見上げ、キリアンがクスリと微笑んだ。



「そんなに不安そうな顔をしなくても今夜はこのまま寝るよ。

ガインも寝ていいよ。何もしないって約束する。

ああ……でもガインの方から俺を欲しいと思ったら……俺の指を噛んでね。」



キリアンはガインの目の前に、女性の様にキメの細かな白く細い━━

それでも節があり長い指を持つ男らしい手の平を出した。



「………ふぅッ………噛まねぇよ。

明日1日滞在したら明後日は出発だろ?

今夜はこのままゆっくり寝かせて貰う。」



胸の上に顔を置いたキリアンの頭をぽんぽんと軽く叩いて撫で、ガインは目を閉じた。



数分後にはキリアンの頭に手を乗せたままでイビキ混じりの寝息が聞こえて来た。



「……もう寝た?師匠は、いつも寝るの早かったもんな……

兵士は寝れる時に少しでも寝て体力を温存しなきゃとか何とか言ってたし。」



ガインの胸に顔を寄せて香りを吸い込む。

親よりも慣れ親しんだ香りに、癒やされて心が落ち着く。



幼い頃からガインを師に剣を学び始めたキリアンは、皇帝の父親よりもガインと居る事が多かった。

それはキリアンが意図的にそうしていたのではあるが……



城でも剣を学び、城から離れた田舎にあるガインの邸で強化合宿を希望したり、実践と称して田舎の野山に入ってキャンプをしたり。

その際、小さなテントに大きな体躯のガインが寝ればキリアンの寝る場所が無く、キリアンはガインの腹に乗る様にして眠りについていた。





「そう言えば……俺が初めてガインに童貞を捧げた時も、こうやって身を寄せて寝ていた時だったな。」





7歳のキリアンは自身の希望と父親であるグレアム皇帝の勧めもあり、すぐにガインに弟子入りした。


8歳になる頃にはキリアンはガインと剣の打ち合いを出来るまでの腕となっていたが、同じ年頃の息子らに剣を学ばせている貴族達から、ガインのそれは、剣の稽古の域を越え過ぎていると強い指摘があった。



儚い少女の様に白く小さなキリアンが、大きな熊の様な体躯のガインに剣を打ち込まれる姿は、残酷にも見えたかも知れない。

だが、キリアンの腕のみを見ていたガインには、その意見が理解出来なかった。



「は?優しくしてやれ?なんで?」



自身をよく識るキリアン自身は、それらの意見を理解した上で『五月蝿い、邪魔すんな』と思っていた。



まわりの声を煩わしく思った二人は、ガインの時間がある時には城の外で修業をする様になった。



キリアンの父親のグレアム皇帝も、キリアンが強くなるならとガインの仕事を他の兵士に割り振り、剣の師としての時間を優先してくれた。





キリアンが10歳になった頃、キリアンとガインは2日馬車を走らせ、城から一番近い森に来ていた。



警護の兵士二人を森の入り口の馬車に待機させ、ガインとキリアンはキャンプ用の荷物を持って、森の奥に進む。

滞在は2泊の予定。

足場が悪い上に遮蔽物が多く視界の悪い森の中での実践訓練だと草木の生い茂る中を進む。



「………木が高く、深い森……こんな所初めて来ました。」



上を見上げれば高い木々の檻があり、空が遥か遠い。

光の射し込みも弱く薄暗い。

初めて見る森は異世界の様で、今まで見てきた世界とは別の場所に置き去りにされた様な不思議な感覚だった。



「キリアンは城や街から離れた事無かったからな。」



孤立した小さな世界に、師匠と二人きりで取り残された不安……

不安?…不安……かな?

この胸の辺りがざわつくのは。



小川の近くの、少し開けた場所を見付けたガインは、キリアンの前で鼻歌を歌いながら小さなテントを組み立てていく。

中でガインが座れば頭が突き抜ける程に屋根は低く、奥行きだけが2メートル程ある。

寝る際に雨風しのげれば良いだろ程度のモノだ。



「師匠、師匠がこのテントの中に寝たら僕の寝る場所が無いんですが。」


「俺の上に乗っかって寝りゃいーだろうが。」



━━乗る!?師匠の上に!?━━



可愛こぶって酒の席のガインの膝に乗るのを断って約2年、ガインを師匠と慕い弟子として側に居るために、ガインとベッタリと身体を密着させる機会は無くなっていた。

汗をかいて共に風呂に入るとか、同じ場所で並んで休憩して寝るなど、一緒に行動する機会は多く、そこに不満はなかったが……。



「僕が師匠の上に乗ったら、師匠眠れなくなりません?

僕だって動くし…それに重いし…。」



「はぁ?そんなチマい成りして重いわけネェだろうが。

それに俺は、一度寝たら殺気を飛ばされたりせん限りは簡単には起きん。気にすんな。」



ドヤ!とガインに自慢げに語られたキリアンは、先ほどの感情をもう一度思い出す。



今、この場所には二人きり……狭い世界には僕と師匠の二人だけ…

そんな世界で師匠と密着?



何だこれ、パラダイスか!?
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