【R18】熊の様な45歳の近衛隊長は、22歳の美貌の皇帝に欲しがられています。

DAKUNちょめ

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妄想が思いの外、自分の上をイッていた件。

男やもめのガインが身内の不幸により、いきなり少女の父親となってしまった。



ガインの親友でもあるグレアム皇帝は育児経験など無いガインと、両親を亡くしたばかりの憐れな少女の為を慮って母親になれる女性を紹介しようとしたのかも知れない。

キリアンもそれが父親の善意だと理解しているがゆえに自身の我儘で止める事が出来ない。





━━だったら私が止めるわ!

こんな面白い物語の題材を、失恋で終わらせてなるものですか!

見た目おっそろしいオジサンだけど、あの美少年が抱きたいと言う位なんだから、私に暴力をふるう様なヒトではないと思うし━━





ミーシャはビクビクしながらも、ガインの養女になってから初めての我儘を言った。

ガインの結婚に私は反対ですと。





「そうか!そうか、ミーシャ!分かったぞ!

やっと、俺に自分の望む事を言ってくれたな…良かった!」





ミーシャが養女になってから、一切自分の意見を言わない彼女をガインは心配していた。

両親を亡くした事、親戚とはいえいきなり見知らぬ大男が父となって見知らぬ土地で暮らす事となった事。

幼い少女の心を閉ざす程、精神的な負担を多く負わせたのではと。



「ミーシャの心を聞かせてくれて、ありがとうな。」



安堵と、少女相手に話すという慣れない行為のせいか、はにかんだ様に微笑む野獣のような男は、見た目に反して心根の優しい男だった。



━━…なんだこれ。ギャップすご。

はにかむ笑顔が何だか可愛いんだけど。本人自覚無し?

見た目の印象が濃ゆくて分かりにくいけど、これは確かに受ける側かもね!!━━



「はい、お義父様!」



ミーシャもとびきりの笑顔をガインに見せた。



この日からガインは、実は大人の様に達観した物の見方をする、幼さを隠れみのにした二人に、知らず識らず翻弄されていく事となった。


「キリアンもミーシャも、無邪気な子どもってのは可愛いもんだな」


と、幼い子ども二人に陰で可愛いと思われているオッサンは思っていたのだ。







ガインが再び城にミーシャを連れて来た日、前回同様にミーシャの相手を任されたキリアンは、ミーシャに中庭の案内をしていた。

ミーシャは途中で足を止め、人が近くに居ないのを見計らってキリアンの背後から声を掛けた。



「キリアン皇太子殿下、義父の縁談は無くなりました。

私、貴方の応援をする事にしましたの。」



「……え?……もしかして……ガインが父上からの見合いの話を、父娘二人で過ごしたいからと断ったのは、君が原因?」



ミーシャはコクリと頷いて、少し下がった眼鏡をクイと上げた。



「私、ダンスも刺繍も令嬢同士のおしゃべりも苦手でして。

貴族の令嬢が、と思われるかも知れませんが実は私、物書きになりたいのです。」



「……自身の感情を表に出さず抑え、慎ましやかな淑女であるべき貴族の令嬢が、自身の考えや胸の内を表現するのは余り良くは思われないよね……それは君の秘密?」



「はい。殿下の胸の内を聞かせて貰ったのだから、私も私の本心を伝えておこうと思いました。

私自身はこの通り…ボーッとしていてあまり感情が動かない人間なのです。

だからこそなのでしょうか、私の頭に描かれる人々は感情豊かで、激しく怒り、喜び、泣いて、笑う。

私は彼らを妄想の中で動かすのが好きなのです。

…先日、殿下が見せてくれたお姿は、私が初めて見た、生身の人間の激しい感情だったのです。

その気持ちを……失恋なんかで失くして欲しくなかった。

続きを知りたい、見たいと…見せて欲しいと思いました。」



「ミーシャ嬢………いや、ミーちゃん……」



━━ミーちゃん?━━


「僕の事は、今はお兄ちゃんと呼んで…。

そのうち、僕がミーちゃんの義理の父になる予定だけど…。」



━━お兄ちゃん……いや、それより殿下が義理の父??━━



「僕は絶対にガインを妻にする!

だから君はいつか、僕の義娘になる!」



━━ちょ……殿下の本心、想像以上にヤバかった。

私の妄想のキャラクターより現実離れした考えを持ってらっしゃるんだけど……でも……━━



「分かったわ、キリお兄ちゃん!パパを絶対にモノにしてね!」



━━何か、コレ、止めたら駄目な気がするし、面白そう!━━









「あれから十年……やっとキリお兄ちゃんの恋が実ったのよね。」



ガインはミーシャに何も気付かれてないと思っているが、ミーシャにはキリアンとガインの関係は勿論どんな行為をしたかもが、だだ漏れである。



キリアンとしては、のろけ話を聞かせられるのがミーシャしか居ないため、ペンとメモを用意したミーシャに、ガインとの幸せな時間を事細かに説明をしたくて仕方がない。

話さずにはいられない。





「ああ……でも、考えたら私、十年前から今と似たような話を聞いていたわね。」



━━そう、あれは二人きりの時は互いをキリお兄ちゃん、ミーちゃんと呼ぶ仲になって間も無い頃……

お城の中庭、噴水を背に二人で座って話していた時だったわね━━



「そう言えば…キリお兄ちゃん、初めて会った日にパパを抱きたいって言ったじゃない?

キリお兄ちゃんは大人になってもパパほど大きくならないだろうから何か、あんなに大きなパパをキリお兄ちゃんが抱くって大変そう。

現実的に考えたらさ、想像しにくいよね。」



「え、もう妄想の中で何回も抱いてるから多分、大丈夫。」



「………妄想?

キリお兄ちゃんも私と同じで、頭の中で色々考えるんだ…?」



「うん。めちゃくちゃ考える。全部エロいけど。」



「エロ………」





━━そう…この時の私は、頭に妄想の世界を描くのが好きなんて恥ずかしくて人には言えないと思っていた。

でも、上には上が居る事を知ったのだわ。━━





「そう……昨夜のガインは、剣の稽古の後に白いテーブルの上に紅茶と菓子を用意してくれて………『今日もよく頑張りましたね、キリアン皇太子殿下』と僕の頭を撫でてくれて…」



「おおぉ…聞かせてくれるんだ?

…それにしても…パパらしくない口調ね……テーブルにティータイムの用意までするとか…何だか執事みたいな…。」



「うん、昨夜のガインはまさに執事みたいな感じだった。

あんなガインも悪くない……

そのガインがさー…テーブルの上に手をついてトラウザーズを膝まで下げて

『さぁ、殿下…お茶の用意が整いました。心ゆくまでお召し上がり下さい』って。」



「パパにナニ言わせてんの!?てゆーか、させてんの!?」



「クッキーを互いに両端からくわえて食べながらチューして、後ろからバチュンバチュンとガインも美味しくいただいた。」



「そんな妄想してんの!?いつも!?」



「白いテーブルの上の、浅黒いガインの大きな身体が…僕が突く度にクンクンと動いてさぁ…テーブルの上にガインの汗がポタポタ落ちて…それが絶頂迎えるあたりには涙と唾液もテーブルの上の汗に混じって……グチャグチャの顔で喘ぐガインって……

たまんないんだよね。」



━━見たことないし、想像もつかんし、知らんがな!━━







「まだ12歳でそんなんだったもんね。キリお兄ちゃんは。」



ミーシャは十年も前の過去を思い出し、キリアンと自分の会話の内容が、今も昔もさほど変わらないな…と考えた。



ただ、今聞くのはキリアンの妄想ではなく、現実での行為の話。



「キリお兄ちゃん、妄想では手加減無しでガンガン状態だったけど…現実では少し、控え目にしてあげた方がいいんじゃないかしらね。

……でもまぁ、パパは大変かもだけど、キリお兄ちゃんの悲しむ姿を見なくなっただけで私は嬉しいけどね。

……早く帰って来ないかな。二人の顔が見たくなっちゃった。」



ミーシャは、既にガインの部屋では無くなった、以前ガインの私室だった空き室の前の廊下をほうきで軽く掃き、汗の流れていない額を拭って一仕事終えた感を出しながら呟いた。













隣国を出発し、皇帝陛下と共に帰国するのは隣国に赴いた人数のおよそ半数。

残りの半数は文官が多く、隣国に置いたまま納品の段取りや目録の確認、記帳など様々な仕事を任せて来た。

彼らが帰国する際の馬車の護衛兵士も残して行く。



人数が半数になり、皇帝陛下の護衛も少なくなった状態。

ガインを含めて同行の兵士達は、互いにより一層の警戒を促す。



「随分と物々しい雰囲気だけれど。みんなピリピリしているし。」



白馬に跨ったキリアンが、並走する黒馬に跨ったガインに訊ねて首を傾げた。



「そりゃ隣国に置いて来た分、帰りは警護の兵士も減りましたからね。

陛下は我がベルゼルト国にて命を狙われたんですよ。

お忘れですか?」



「ああ…そう言えば…風呂場で襲われたっけ。」



忘れていたなぁと緊張感も無く軽く呟いたキリアンは、考えるように自身の唇に「ふむ」と右手の指先を当てた。



「…………陛下、指の第一関節辺り、細い糸でも巻いてます?紫っポイ筋が。」



「…………コレ?ガインが私を、自分のモノだと印を付ける為に噛んだ痕だよ?」



キリアンが、きゅるんと潤んだ目で恥じらう乙女の表情を見せると、側で並走していた兵士がブッと思わず噴き出した。



「ッッんなっ!!なっ…!お、俺がかっかっかっ噛んだ!?」



ガインはガインで顔を真っ青にして慌て始め、馬上でアタフタと何かを取り繕おうとしている。



「へっ陛下の御身に噛み付いて傷を付けてしまうなど!!か、か、かくなる上は、我が首を陛下に差し出し!つ、償う事を!」



キリアンはスッとガインに馬を寄せ、他の者が聞こえない位置で囁いた。



「上の口でも、下の口でも、噛み付かれるのは大歓迎。

それに、首を差し出すって言ったけど…もう既にガインの全てが俺のモノだよ?

俺のモノを俺に差し出すの?」



口角を上げニッと笑んだキリアンはガインから馬を離し、再びポッと乙女のように頬を赤らめた。

そんな芝居をした。



━━わ、わざとらしい!!━━


「陛下!隊長!左前方、武装した者がおよそ20人以上!

攻撃の意思あり!敵です!」



最前列の兵士の声が飛び緊張が走る。

馬上の兵士達が皆、剣を抜き臨戦態勢をとった。



「だ、そうだ。師匠、久しぶりに共に暴れましょう。」



キリアンも白銀の剣を抜き、ガインに向け美しい笑顔を見せる。

ガインはハァーっと溜め息をつきながら自身も剣を抜いた。



「陛下は我々に守られてて下さいよ。

…ま、俺の弟子をしていた奴に剣を振らず大人しくしてろなんて無理な話だな!」

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