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昨夜、厚い壁の向こうでは。
翌朝━━
兵士達の訓練場に現れたガインは、多少の疲労感こそ見て取れるものの、すこぶる機嫌が良かった。
疲れただの、無理させやがってだの、ブツブツ聞こえよがしに文句を垂れながらも口角は上がり、目尻が下がっている。
要はニヤついている。
昨日までの不機嫌さを一切感じさせない態度の変わりぶりに、昨日の今日で一体何があったのか……。
周りはなにも分からない。
そもそもが、昨日のガインがなぜあんなに不機嫌だったのか、その原因も分からない。
ノーザン以外は。
「隊長、ご機嫌ですね!
何か良い事でもございました?」
何も知らない兵士の一人が何気なく訊ねてみれば、あからさまな程に顔を真っ赤にして激しく首を横に振るガイン隊長。
「なっ…!なにもない!特にナニも!ナニも無いぞ!」
━━隊長……下手くそ過ぎです!!━━
何か良い事があったのは一目瞭然。
だが、何があったのかは誰も分からない。
ノーザン以外は。
━━昨夜
ノーザンは、ミーシャの部屋で寝衣姿のミーシャの隣に並んで座り時折手を触れさせて貰いながら、ガルバンゾー先生の原稿を拝見させて貰っていた。
ミーシャが触れるノーザンの肌は手の甲のみ。
少しばかりの物足りなさを感じはするものの、自らミーシャの手を握るなどの行動を起こす事は出来ず、欲張ってはいけないと自制し、それはそれで耐え忍びながらも満たされた時間を過ごした。
と、思う事にしていた。
━━恋愛に対して臆病だった自分が、ここまで誰かを想い、その人に触れたいと思ったのだ。
私の頑なな心をここまで柔和なものとした…
ミーシャ嬢はすごい。━━
ノーザンは、時間の経過と共に自分がミーシャに惹かれていくのが解った。
日付けが変わった頃に、ミーシャの隣室であるガインの私室から物音がした。
ミーシャとノーザンが同時に隣室との壁の方に目を向ける。
「隊長が部屋にお戻りになられたようですね………
へ、へ、へ、陛下もご一緒…………」
「何処かで愉しんでたのでしょうけど、その続きを始めましたわね。
………まぁ、パパの身体を労るつもりが精神的に追い込むとは私も思わなかったし。
今回は、結果オーライって事にしときましょうか。」
━━結果オーライって、何が!?何の!?━━
隣室から聞こえる艶を帯びたガインの声を聞いている事に罪悪感を覚えてしまう。
これを、知らないフリをしてなければいけないとは……
ノーザンは両手で顔を覆って、魂を吐き出すような深い溜め息を吐いた。
「隊長は……ミーシャ嬢が隣にいらっしゃるのを知ってらっしゃいますよね……。
こんな…その……艶のある声を……ミーシャ嬢に聞かれているとか……。し、知ってらっ…しゃる?」
「ノーザン様。
私はですね、部屋ではとても静かに過ごしてますの。
物音を立てたり声をあげたりしませんので、私の部屋から父の部屋に物音が届く事はほぼ有りません。
なので父は、私と父の部屋を隔てた壁はそれなりに防音性が高いと思っているようですわ。」
━━それで、待った無し遠慮無しのコレですか?
て、言うか陛下は知ってらっしゃいますよね?
意外と壁が薄い事も、ミーシャ嬢がまだ起きてらっしゃる事も、私が此処に居る事も!!
その上で、何も知らない隊長にそこまで声を出させちゃいます!?
て言うかですよ!?
あの人間要塞みたいな隊長を相手に、どんな攻め方してるんですか!━━
顔を押さえて深い溜め息をついたノーザンに、ミーシャが口に手を当て不安げな表情を見せた。
「ノーザン様。
戦地では武神や軍神とまで言われた父のこのような一面を知り、やはり父を軽蔑なさいますか?
引いちゃいます?」
「いえ!まさか!隊長を軽蔑する理由がありませんし、呆れたりもしません!
引くのかと尋ねられたら隊長にではなく、陛下に対してですかね……。
愛しさゆえかも知れませんが、容赦ないなぁと…。」
ミーシャにとって都合の良い男であるという立ち位置を守りたいノーザンは、ミーシャが自分を見限るのではないかと焦った。
だが、ノーザンの言葉は偽りなく本心である。
「そうなのですね。良かったですわ。
ノーザン様が、お顔を隠して溜め息をついてらしたので……
嫌悪感ゆえの行動かと。」
「嫌悪感なんて、有りませんよ。
ただ……その……私には刺激が強すぎて……。」
顔を隠していないと、ミーシャの前で変な表情が出てしまいそうだった。
どんな顔をしてしまうのか、自分でも想像がつかない。
照れた様に赤い顔をしてしまうのか、下世話な想像をして鼻の下がみっともなく伸びてしまうのか……
ミーシャ嬢をそういう対象として、無意識にギラついた目で見てしまうかも知れない。
それこそ、自分の方がミーシャに嫌悪感を持たれてしまうかも………
「ノーザン様が何をお考えか分かります……
そんな心配をなさらなくても……。」
ミーシャが顔を押さえるノーザンの両手を包む様に握り、そっと顔から離した。
何の迷いも躊躇も無くジッとノーザンの顔を真っ直ぐに覗き込んで来るミーシャに、ノーザンがたじろぐ。
「み、ミーシャ嬢……あまり、顔を近付けては……
私とて男ですし…その…自制にも限界があったり…
隣の様子から連想して、そのような想像も…しなくはないと申しますか…。」
「ええ。想像も妄想もどうぞ存分に。
どちらにせよ、結婚した後は私達もあんな感じになる予定ですので。」
ブフォッ!!
思わず噴き出したノーザンの口が、ミーシャの手で塞がれた。
ミーシャが人差し指を立て、静かにと促す。
そう、隣の部屋には激しく「あんな感じ」のお二方がいる。
壁が薄いのを隊長に悟られるのはマズイ。
ノーザンは声のトーンを落とした。
「あんな感じって……アレ……ですよ?」
自分が思う、夫婦の夜の営みからは逸脱している気がしなくもない。
いや、そんな営みも無くはないかも知れないが…結婚もしてない我々には、そこは遠い頂きに到達してから更に先の話のような……
「ヤるからには妥協は致しません。夫婦だからこそ遠慮はしませんわ。
来たるその日には、全力でぶつかりますわよ。」
ミーシャ嬢は……アレを勝負か何かだと思っているのではないだろうか……。
「与え合うのも奪い合うのも全力ですわよね……ふふっ。」
ミーシャはノーザンに聞こえない様にボソッと呟いた。
「キリアン!さ、さっき風呂場で…した!したぞ!」
「うん。一回は終わらせたね。
ガインのオンナのコの孔の中もお湯で綺麗に洗ったし。」
「だ、だったら、今夜はもう終わりだろう!
互いに身体を湯で流して後始末を終え、綺麗にしたばっかりなんだぞ!」
「そう、それ!
俺はソレが気に食わないんだよね。
ガインの中に俺を残せないのが。」
浴場から湯上がりの皇帝陛下を警護し、部屋に送り届けた筈の近衛隊長ガインだったが。
自室に入った瞬間に背後から忍び寄る影にいきなりベッドに押し倒された。
そこには賊なんかよりよほど強く、よほど恐ろしい皇帝陛下がおり、ガインを組み敷いていた。
その皇帝がワケの分からない事をのたまっている。
「……………は?お前、ナニ言ってんの?」
「とにかく、ベチャベチャして気持ち悪いだろ?
早く脱いでしまった方がいいよ。
濡れた服なんかさ。」
あくまで皇帝陛下の警護を目的として浴場に居たガインは着替えなど持ってはおらず、濡れた服をそのまま身に着けて城に戻って来た。
その服が今、キリアンの手によってブドウの皮の様にチュルンと剥かれていく。
「おまーっ!!濡れた服を脱いだからって、そ、それがヤる理由にはならんだろうが!!」
「だから言ってるじゃないか。
ガインの中に俺が1滴も残ってないのが不満だと。
それがガインを抱く理由。」
濡れた衣服がベチャッと床に投げ捨てられる。
確かに濡れた衣服は肌に張り付き気持ち悪かった。
だから脱がされた事による、ストレスから解放されたスッキリ感はある。
たが、それとこれとは………
「ぬぁっ!あっ!あぐっ…!!ちょ、おまっ!!
お前っ!!や、やめろ!」
キリアンは立てた中指をガインの後孔に挿し、クッチュクッチュと出し入れを始めた。
「さっきまで、あんなに大きな口を開けていたのに。
もう、こんなにキツキツになっちゃって。
こんな細い指一本なのに、キュウキュウに狭くて暴れにくい。
それに、中を洗ったからこう…ヌルヌル感が減ってさぁ。」
「あっ…!あっ!う、動かすなっ!あっ!あっ!やっ!ああっ!」
キリアンの中指の抽挿に合わせるように、仰向けでベッドに倒されたガインの腰が上下に動く。
「なぁに、こんな細い指一本でも、そんな声出しちゃうの?感じやすいよね。ガインは。
ホントにエロい身体をしているよ。
俺の后は最高だ。」
「や、やめろ!隣の部屋ではミーシャが眠ってんだぞ!
いくら壁が厚くとも…!」
キリアンはニィッと笑みつつも、ガインの制止は聞かずに、クチィクチィと中指を左右に上下にと動かして口を拡げていく。
「そう。心配しなくても壁が厚いから、どんなにガインが気持ちイイ声を出してもミーシャを起こす事は無いと思うよ。」
ガインの不安を拭い安心させる為に、キリアンが保証と言う名の嘘をつく。
ガインには何の躊躇いもなく全てを解放し全身全霊で感じて欲しい。
少なくとも今は。
「んあっ…!だ、だけどな…!あっ…あぅっン…!」
「ほら、柔らかく解れてきた。
やっぱりさぁ…ここに俺の名残りを置いて置きたいんだよね…。」
中を突く指を2本に増やし、内側で開き壁を搔いて天井を叩く。
コリコリと前立腺を控え目に刺激しながら、内側から与えられた刺激により外側で勃つ性器にキリアンが目を細めた。
「いつまでも遊んでるんじゃねぇよ!
今、何時だと思ってやがるんだ!
明日の朝、起きれんくなるだろうが!!
……………ほら、早く済ませろ………。」
冷静な態度を装いながら大きく股を開いてキリアンを迎え入れる準備を整えたガインの顔は赤く、大人ぶった余裕の態度を見せるのとは裏腹に、妙な緊張感を漂わせている。
「クスクス……いいの?じゃあ、有り難く戴くよ?」
子どもが強がって大人ぶるような幼さを見せるガインが堪らなく愛おしいキリアンは、口元の笑みを隠せなかった。
「ガイン、後悔しないでね?」
ガウンを脱いだキリアンが、既に大きく反り返った雄根をガインの後孔に宛てがい、ズブズブと蜜壷に埋め込んだ。
「んくっ……!ふ…ふぁ!あぁッ!」
「まだ挿れただけだよ?
もう、そんな声を出しちゃうの。感度良過ぎない?
そう言えば、孔に湯を注いでる時もヤラシイ声出してたよね。」
「余計な事は言わなくていい!くっ……あぐぁ!
あっ…腹ん中にキリアンのが……」
「うん、俺のがガインのやらしい孔の中をいっぱいにしちゃってる。
あんなにキツキツだったのに、もう柔らかくなったね。さぁ動くよ。」
キリアンはガインの内側を満たした状態で、ガインの上に身体を乗せた。
シーツの海原に浮く大きな身体に身を重ね、ググッと最奥を突いて良い場所に狙いを定めたキリアンは、連打するように腰を強く素早く打ち付けた。
「ッッ!!いきなりっ!!奥ぅっ!あっ!つよっ…!
一回止め…止めろ!そんな激しいのっ!!や…!やめ…!んあぁ!」
キリアンは、ふと考える。
ミーシャに聞かれてないと思い込んで、快楽に溺れるがままに素で感じて声をあげる淫靡なガインもいいが……
「声を聞かれたくないと恥じらって堪らえる貞淑な妻のガインを責めるのも悪くないなぁ……
いつか、ソレもしよう。」
「んああッ!いっ…!奥がっ…腹の底がアガるぅ!
キリアン!キリアンが…!好きだ…!もっと…!
俺の身体も心もキリアンで満たして…!」
細かな会話までは聞こえないが……
何しろガインの声は元から大きい。
そんなガインが遠慮無しにあげる喘ぎ声は、壁が多少厚くても聞こえてしまうのではないかと思えるほどだ。
ノーザンはどんな態度でそれを聞いていて良いのか分からない。
ミーシャはメモを取りながらも、何かに納得した様子を見せる。
「とりあえずノーザン様は、パパが、キリお兄ちゃんとふけっている内にお戻りになった方がよろしいですわね。」
「ふけって……確かにそうですね…。兵舎に帰ります。
私も隊長に、今日この場に居た事を知られたくはありませんし。」
この後にノーザンとガインが部屋の前で、はち合わせなんて事になってしまったら大ごとだ。
ノーザンは静かに静かにミーシャの部屋を出ると、騒々しい程に絶え間無く声が漏れるガインの部屋の前を息を止めて無心となり早足で通り、皇帝陛下の私室のある一画から離れた。
兵舎にある自室に戻ったノーザンだが、悶々とし過ぎて中々寝付けずに朝を迎えてしまった。
寝不足なまま向かった翌朝の訓練場。
そこには、ご機嫌さんな隊長が居た。
━━人間要塞みたいな隊長をあそこまで責め立てられる陛下も化け物かと思うが……
あんな激しい夜を過ごした翌朝に、その余裕っぷり。
さすがに隊長も化け物並みですね━━
兵士達の訓練場に現れたガインは、多少の疲労感こそ見て取れるものの、すこぶる機嫌が良かった。
疲れただの、無理させやがってだの、ブツブツ聞こえよがしに文句を垂れながらも口角は上がり、目尻が下がっている。
要はニヤついている。
昨日までの不機嫌さを一切感じさせない態度の変わりぶりに、昨日の今日で一体何があったのか……。
周りはなにも分からない。
そもそもが、昨日のガインがなぜあんなに不機嫌だったのか、その原因も分からない。
ノーザン以外は。
「隊長、ご機嫌ですね!
何か良い事でもございました?」
何も知らない兵士の一人が何気なく訊ねてみれば、あからさまな程に顔を真っ赤にして激しく首を横に振るガイン隊長。
「なっ…!なにもない!特にナニも!ナニも無いぞ!」
━━隊長……下手くそ過ぎです!!━━
何か良い事があったのは一目瞭然。
だが、何があったのかは誰も分からない。
ノーザン以外は。
━━昨夜
ノーザンは、ミーシャの部屋で寝衣姿のミーシャの隣に並んで座り時折手を触れさせて貰いながら、ガルバンゾー先生の原稿を拝見させて貰っていた。
ミーシャが触れるノーザンの肌は手の甲のみ。
少しばかりの物足りなさを感じはするものの、自らミーシャの手を握るなどの行動を起こす事は出来ず、欲張ってはいけないと自制し、それはそれで耐え忍びながらも満たされた時間を過ごした。
と、思う事にしていた。
━━恋愛に対して臆病だった自分が、ここまで誰かを想い、その人に触れたいと思ったのだ。
私の頑なな心をここまで柔和なものとした…
ミーシャ嬢はすごい。━━
ノーザンは、時間の経過と共に自分がミーシャに惹かれていくのが解った。
日付けが変わった頃に、ミーシャの隣室であるガインの私室から物音がした。
ミーシャとノーザンが同時に隣室との壁の方に目を向ける。
「隊長が部屋にお戻りになられたようですね………
へ、へ、へ、陛下もご一緒…………」
「何処かで愉しんでたのでしょうけど、その続きを始めましたわね。
………まぁ、パパの身体を労るつもりが精神的に追い込むとは私も思わなかったし。
今回は、結果オーライって事にしときましょうか。」
━━結果オーライって、何が!?何の!?━━
隣室から聞こえる艶を帯びたガインの声を聞いている事に罪悪感を覚えてしまう。
これを、知らないフリをしてなければいけないとは……
ノーザンは両手で顔を覆って、魂を吐き出すような深い溜め息を吐いた。
「隊長は……ミーシャ嬢が隣にいらっしゃるのを知ってらっしゃいますよね……。
こんな…その……艶のある声を……ミーシャ嬢に聞かれているとか……。し、知ってらっ…しゃる?」
「ノーザン様。
私はですね、部屋ではとても静かに過ごしてますの。
物音を立てたり声をあげたりしませんので、私の部屋から父の部屋に物音が届く事はほぼ有りません。
なので父は、私と父の部屋を隔てた壁はそれなりに防音性が高いと思っているようですわ。」
━━それで、待った無し遠慮無しのコレですか?
て、言うか陛下は知ってらっしゃいますよね?
意外と壁が薄い事も、ミーシャ嬢がまだ起きてらっしゃる事も、私が此処に居る事も!!
その上で、何も知らない隊長にそこまで声を出させちゃいます!?
て言うかですよ!?
あの人間要塞みたいな隊長を相手に、どんな攻め方してるんですか!━━
顔を押さえて深い溜め息をついたノーザンに、ミーシャが口に手を当て不安げな表情を見せた。
「ノーザン様。
戦地では武神や軍神とまで言われた父のこのような一面を知り、やはり父を軽蔑なさいますか?
引いちゃいます?」
「いえ!まさか!隊長を軽蔑する理由がありませんし、呆れたりもしません!
引くのかと尋ねられたら隊長にではなく、陛下に対してですかね……。
愛しさゆえかも知れませんが、容赦ないなぁと…。」
ミーシャにとって都合の良い男であるという立ち位置を守りたいノーザンは、ミーシャが自分を見限るのではないかと焦った。
だが、ノーザンの言葉は偽りなく本心である。
「そうなのですね。良かったですわ。
ノーザン様が、お顔を隠して溜め息をついてらしたので……
嫌悪感ゆえの行動かと。」
「嫌悪感なんて、有りませんよ。
ただ……その……私には刺激が強すぎて……。」
顔を隠していないと、ミーシャの前で変な表情が出てしまいそうだった。
どんな顔をしてしまうのか、自分でも想像がつかない。
照れた様に赤い顔をしてしまうのか、下世話な想像をして鼻の下がみっともなく伸びてしまうのか……
ミーシャ嬢をそういう対象として、無意識にギラついた目で見てしまうかも知れない。
それこそ、自分の方がミーシャに嫌悪感を持たれてしまうかも………
「ノーザン様が何をお考えか分かります……
そんな心配をなさらなくても……。」
ミーシャが顔を押さえるノーザンの両手を包む様に握り、そっと顔から離した。
何の迷いも躊躇も無くジッとノーザンの顔を真っ直ぐに覗き込んで来るミーシャに、ノーザンがたじろぐ。
「み、ミーシャ嬢……あまり、顔を近付けては……
私とて男ですし…その…自制にも限界があったり…
隣の様子から連想して、そのような想像も…しなくはないと申しますか…。」
「ええ。想像も妄想もどうぞ存分に。
どちらにせよ、結婚した後は私達もあんな感じになる予定ですので。」
ブフォッ!!
思わず噴き出したノーザンの口が、ミーシャの手で塞がれた。
ミーシャが人差し指を立て、静かにと促す。
そう、隣の部屋には激しく「あんな感じ」のお二方がいる。
壁が薄いのを隊長に悟られるのはマズイ。
ノーザンは声のトーンを落とした。
「あんな感じって……アレ……ですよ?」
自分が思う、夫婦の夜の営みからは逸脱している気がしなくもない。
いや、そんな営みも無くはないかも知れないが…結婚もしてない我々には、そこは遠い頂きに到達してから更に先の話のような……
「ヤるからには妥協は致しません。夫婦だからこそ遠慮はしませんわ。
来たるその日には、全力でぶつかりますわよ。」
ミーシャ嬢は……アレを勝負か何かだと思っているのではないだろうか……。
「与え合うのも奪い合うのも全力ですわよね……ふふっ。」
ミーシャはノーザンに聞こえない様にボソッと呟いた。
「キリアン!さ、さっき風呂場で…した!したぞ!」
「うん。一回は終わらせたね。
ガインのオンナのコの孔の中もお湯で綺麗に洗ったし。」
「だ、だったら、今夜はもう終わりだろう!
互いに身体を湯で流して後始末を終え、綺麗にしたばっかりなんだぞ!」
「そう、それ!
俺はソレが気に食わないんだよね。
ガインの中に俺を残せないのが。」
浴場から湯上がりの皇帝陛下を警護し、部屋に送り届けた筈の近衛隊長ガインだったが。
自室に入った瞬間に背後から忍び寄る影にいきなりベッドに押し倒された。
そこには賊なんかよりよほど強く、よほど恐ろしい皇帝陛下がおり、ガインを組み敷いていた。
その皇帝がワケの分からない事をのたまっている。
「……………は?お前、ナニ言ってんの?」
「とにかく、ベチャベチャして気持ち悪いだろ?
早く脱いでしまった方がいいよ。
濡れた服なんかさ。」
あくまで皇帝陛下の警護を目的として浴場に居たガインは着替えなど持ってはおらず、濡れた服をそのまま身に着けて城に戻って来た。
その服が今、キリアンの手によってブドウの皮の様にチュルンと剥かれていく。
「おまーっ!!濡れた服を脱いだからって、そ、それがヤる理由にはならんだろうが!!」
「だから言ってるじゃないか。
ガインの中に俺が1滴も残ってないのが不満だと。
それがガインを抱く理由。」
濡れた衣服がベチャッと床に投げ捨てられる。
確かに濡れた衣服は肌に張り付き気持ち悪かった。
だから脱がされた事による、ストレスから解放されたスッキリ感はある。
たが、それとこれとは………
「ぬぁっ!あっ!あぐっ…!!ちょ、おまっ!!
お前っ!!や、やめろ!」
キリアンは立てた中指をガインの後孔に挿し、クッチュクッチュと出し入れを始めた。
「さっきまで、あんなに大きな口を開けていたのに。
もう、こんなにキツキツになっちゃって。
こんな細い指一本なのに、キュウキュウに狭くて暴れにくい。
それに、中を洗ったからこう…ヌルヌル感が減ってさぁ。」
「あっ…!あっ!う、動かすなっ!あっ!あっ!やっ!ああっ!」
キリアンの中指の抽挿に合わせるように、仰向けでベッドに倒されたガインの腰が上下に動く。
「なぁに、こんな細い指一本でも、そんな声出しちゃうの?感じやすいよね。ガインは。
ホントにエロい身体をしているよ。
俺の后は最高だ。」
「や、やめろ!隣の部屋ではミーシャが眠ってんだぞ!
いくら壁が厚くとも…!」
キリアンはニィッと笑みつつも、ガインの制止は聞かずに、クチィクチィと中指を左右に上下にと動かして口を拡げていく。
「そう。心配しなくても壁が厚いから、どんなにガインが気持ちイイ声を出してもミーシャを起こす事は無いと思うよ。」
ガインの不安を拭い安心させる為に、キリアンが保証と言う名の嘘をつく。
ガインには何の躊躇いもなく全てを解放し全身全霊で感じて欲しい。
少なくとも今は。
「んあっ…!だ、だけどな…!あっ…あぅっン…!」
「ほら、柔らかく解れてきた。
やっぱりさぁ…ここに俺の名残りを置いて置きたいんだよね…。」
中を突く指を2本に増やし、内側で開き壁を搔いて天井を叩く。
コリコリと前立腺を控え目に刺激しながら、内側から与えられた刺激により外側で勃つ性器にキリアンが目を細めた。
「いつまでも遊んでるんじゃねぇよ!
今、何時だと思ってやがるんだ!
明日の朝、起きれんくなるだろうが!!
……………ほら、早く済ませろ………。」
冷静な態度を装いながら大きく股を開いてキリアンを迎え入れる準備を整えたガインの顔は赤く、大人ぶった余裕の態度を見せるのとは裏腹に、妙な緊張感を漂わせている。
「クスクス……いいの?じゃあ、有り難く戴くよ?」
子どもが強がって大人ぶるような幼さを見せるガインが堪らなく愛おしいキリアンは、口元の笑みを隠せなかった。
「ガイン、後悔しないでね?」
ガウンを脱いだキリアンが、既に大きく反り返った雄根をガインの後孔に宛てがい、ズブズブと蜜壷に埋め込んだ。
「んくっ……!ふ…ふぁ!あぁッ!」
「まだ挿れただけだよ?
もう、そんな声を出しちゃうの。感度良過ぎない?
そう言えば、孔に湯を注いでる時もヤラシイ声出してたよね。」
「余計な事は言わなくていい!くっ……あぐぁ!
あっ…腹ん中にキリアンのが……」
「うん、俺のがガインのやらしい孔の中をいっぱいにしちゃってる。
あんなにキツキツだったのに、もう柔らかくなったね。さぁ動くよ。」
キリアンはガインの内側を満たした状態で、ガインの上に身体を乗せた。
シーツの海原に浮く大きな身体に身を重ね、ググッと最奥を突いて良い場所に狙いを定めたキリアンは、連打するように腰を強く素早く打ち付けた。
「ッッ!!いきなりっ!!奥ぅっ!あっ!つよっ…!
一回止め…止めろ!そんな激しいのっ!!や…!やめ…!んあぁ!」
キリアンは、ふと考える。
ミーシャに聞かれてないと思い込んで、快楽に溺れるがままに素で感じて声をあげる淫靡なガインもいいが……
「声を聞かれたくないと恥じらって堪らえる貞淑な妻のガインを責めるのも悪くないなぁ……
いつか、ソレもしよう。」
「んああッ!いっ…!奥がっ…腹の底がアガるぅ!
キリアン!キリアンが…!好きだ…!もっと…!
俺の身体も心もキリアンで満たして…!」
細かな会話までは聞こえないが……
何しろガインの声は元から大きい。
そんなガインが遠慮無しにあげる喘ぎ声は、壁が多少厚くても聞こえてしまうのではないかと思えるほどだ。
ノーザンはどんな態度でそれを聞いていて良いのか分からない。
ミーシャはメモを取りながらも、何かに納得した様子を見せる。
「とりあえずノーザン様は、パパが、キリお兄ちゃんとふけっている内にお戻りになった方がよろしいですわね。」
「ふけって……確かにそうですね…。兵舎に帰ります。
私も隊長に、今日この場に居た事を知られたくはありませんし。」
この後にノーザンとガインが部屋の前で、はち合わせなんて事になってしまったら大ごとだ。
ノーザンは静かに静かにミーシャの部屋を出ると、騒々しい程に絶え間無く声が漏れるガインの部屋の前を息を止めて無心となり早足で通り、皇帝陛下の私室のある一画から離れた。
兵舎にある自室に戻ったノーザンだが、悶々とし過ぎて中々寝付けずに朝を迎えてしまった。
寝不足なまま向かった翌朝の訓練場。
そこには、ご機嫌さんな隊長が居た。
━━人間要塞みたいな隊長をあそこまで責め立てられる陛下も化け物かと思うが……
あんな激しい夜を過ごした翌朝に、その余裕っぷり。
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処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる
猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。
しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。
当然そんな未来は回避したい。
原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。
さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……?
平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。
ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。