【R18】熊の様な45歳の近衛隊長は、22歳の美貌の皇帝に欲しがられています。

DAKUNちょめ

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皇帝キリアンの前で、その名はタブー。

蜘蛛の子を散らすようと言うよりは、波に漂うクラゲの様にユラユラ揺れながら存在を掻き消すように姿を消した令嬢たち。

ミーシャは木の根元に座ったまま、突然現れて令嬢達を追っ祓った熊の様に大柄な父親のガインをぬぼーんと見上げた。



「お義父様、訓練は終わりましたの?
ノーザン様はこちらには来られないのですか?」


「あぁ、訓練ならついさっき終わった。
ノーザンなら先に訓練場を離れたが…会わなかったのか?」


「はい。まだお会いしておりません。
お義父様は、なぜここに?」



「ノーザンと共に広場の木の下にと陛下に呼ばれたんだが…
ノーザンも陛下も居らず、不思議に思いながら木に近付いたらミーシャが居たんだ。

ガルバンゾーが好きだからって文句を言われているとは思わなかったが。

貴族だから高級料理を好きじゃなきゃならんなんて無いからな!気にすんなよ!」



ミーシャはぬぼーんとした表情のまま、口元だけニヤリと笑ってしまった。

このド天然な中年の熊男は、何と日々美味しそうに熟成…進化を遂げていくのだろうと。

麗しき美貌を持つ変態、そのたった一人の食指を激しく動かす為だけに。



「くふっ!ブッ!!」




感極まって噴き出した様に漏らされた声が頭上から降ってきた為に、ミーシャが反射的に上を見た。

木の葉の影になっているが、建物の二階の窓が開いており、人影が見える。

顔は見えなくとも、口を押さえてプルプルしている人物が誰かはすぐ分かった。


ミーシャは木の根元から立ち上がり、生い茂る葉の影から出た。



「キリアン皇帝陛下、ノーザン様、ご機嫌うるわしゅうございます。」



ミーシャが建物の二階に向け、片手に昼食の包みを持ったままでカーテシーをした。

ミーシャの様子を見てガインも葉の影から出て二階を見る。



「やぁ、ガイン、ミーシャ。」



二階から片手で口元を押さえてヒラヒラと手を振るキリアンの後ろに、ノーザンの姿も見える。

ガインは二階を見上げながら、ブスッした表情をした。




「陛下!広場の木の下に集まろうと言ってませんでしたか!?
そこは、談話室ではないですか!
場所が違うでしょう!」



二階のキリアンに向けて不満をぶつけるガインを見下ろしたキリアンとノーザンが言いあぐねて苦笑する中、ガインの隣に立つミーシャがボソッと呟いた。



「お義父様…陛下は大事な話があって、お義父様とノーザン様を談話室にお呼びしたのだと思います。

その際いくつかある談話室の中から、広場の木の近くの、と場所を特定なさったのではありませんか?」



「……は?そうなのか?」



ガイン隊長あるあるはミーシャも把握している。
重要な部分をはしょって記憶してなかったり聞いてなかったり。
ミーシャは無言で頷いてからガインから顔を背けてニヤッと笑い、ぼそっと聞こえない様に呟いた。



「そりゃそうでしょうよ。
木の下に集合だなんて、ピクニックじゃあるまいし。」









「大事なお話があるのでしたら私は失礼致します。
こちらをノーザン様に。」



そう言われてミーシャから昼食の包みを受け取り、兵舎の談話室に一人で来たガインは、ノーザンに包みを渡して談話室の長椅子にドスッと腰を下ろした。

ミーシャからの昼食の包みを受け取ったノーザンは、頬を淡く染めて嬉しそうに包みを抱きしめている。



「おいノーザン。
それ、サンドイッチらしいから潰れるぞ。」



そう言いつつ、ノーザンが愛娘のミーシャに向ける愛情たっぷりの態度に大変ご満悦なガインは、終始ニタニタした笑いが止まらない。



「はいはい、むすめ婿と舅の馴れ合いはいいから。
話始めるよ。

俺を暗殺しようとしたリスクィートに潜入した者からの連絡があった。」



「リスクィートに潜入した者から?
随分と早くありませんか?馬を走らせても行って帰っての往復で二ヶ月以上は掛かるかと…。」



椅子に座り、昼食の包みをテーブルに置いたノーザンが驚いた様に顔を上げた。

ノーザンはリスクィートまでの地理を把握しており、即座に移動に費やす時間を計算した。

国に潜入し、何らかの情報を得るなら更に時間を費やすはず。それが僅か二ヶ月足らずで…。



「方法は分からないが情報だけを送るのならば、そんなに時間は掛からないそうだ。」



多くは語らずに事実だけを述べたキリアンに、ノーザンが感心したような表情を見せた。

さすがは陛下、何と優秀な者を配下にしておられるのかと。

どのような者なのか気にはなるが、素性を隠し諜報活動をする者が誰なのかを特定するなど、そんな無粋な真似はしない方が良い……



「はぁーん、セディ達ってすげぇんだな。」



この場に居るのがキリアンと、腹心の部下でもあり娘婿となるノーザンだけだからと気を許してしまったガインが、口を滑らせ思った事をそのまま声に出してしまった。



……………………え?



互いの顔を見合わせた状態で、三人三様の脳内での「え?」



最初に我に返り、焦った様に声を出したのはノーザン。



「せ、セディって、新兵訓練に来ていた彼ですか!?
いや、その前に!諜報活動をする者たちが誰かなんて、私の前で口にしたら駄目でしょう!?普通は!」


自身の地位も立場もよく分かっているノーザンは、自分はこの様な国の機密に関わる情報を知る身分ではないのにと焦る。


━━陛下と隊長の本当の関係だとか、なぜこの国の偉い人は、しがない平民出の兵士の自分に何でもかんでも重要な秘密を暴露してしまうんだろう。

秘密を知られたからには処刑とか地方に左遷とか言われたりしないだろうな…━━





「そっ、そうだ、言ったらいけないヤツだ、これ!
セディとも約束したのに国の大事に関わる事を…!
秘密を守れず、すまなかったキリアン!」



ノーザンの焦りが伝染したのか、ノーザンの指摘に焦ったガインが慌てた様にキリアンに向け頭を下げた。



「謝るのそこ?ガイン。
何で自然にセディ呼びしてんの。
もう、その名前を口にしないでって俺、言ったよね。
俺を怒らせたいの?嫉妬させたいの?
嫉妬させて激しく嬲られたいの?」



「し、嫉妬!?嬲る!?おっお前!
何も知らないノーザンの前で何て事を言いやがる!」



━━いやもう何も知らなかったとしても、隊長の皇帝陛下に対する態度とその言葉だけでお二方の関係モロバレしますよって!━━


…と思った所で口に出せないノーザンが、椅子に座ったまま俯き加減に何も聞かなかったフリをして、いたたまれなくなって口をつぐんでしまった。


談話室内は一時混沌とした場となり、場がおかしな空気になった。







少し間を置き、とりあえずは落ち着きを取り戻した三人が再び話を始めたのは一時間後だった。


「リスクィートに潜入している者……が義母上のカリーナ王女に接触した所、諜報活動と警護の依頼をされたらしい。
その真意はまだ分からないが、俺を暗殺しようとしたのは義母上ではないかも知れないとの事だ。」



「それは……カリーナ皇妃様のご意思とは関係なく、リスクィート国が陛下のお生命を狙ったという事ですか…?」




腑に落ちない顔をしたノーザンがキリアンに質問をする。
隣で話を聞いていたガインは、顎に指先を当て少し考える仕草をして口を開いた。



「有り得るだろう。あの国は元々血縁を撒いて、相手の国を搾取しようとする、そんな思惑の見える国だった。

カリーナ皇妃様は、そんな自分の生国を嫌い、疎んでらした。

……なのに、第二皇子のケンヴィー殿下を残してお帰りになったのだな……。」




「…カリーナ皇妃様からすれば、キリアン皇帝陛下は先の戦にて愛息子を打ち負かした相手ですよ?
ケンヴィー殿下の消息も不明なまま…
いえ、もうお亡くなりだと言われてらっしゃる。

陛下を恨んでいないとは言えないかと。」



まだ全てが憶測に過ぎず、カリーナの真意も分からない。

今一番警戒すべきはリスクィート国の動きではあるが、他の周辺諸国の動きにも目を光らせなければならない。

まだまだ、新皇帝キリアンの治めるベルゼルト皇国は盤石な地位にあるとは言い難い。



「この国を、父上が治めていた時よりも強固で、揺るぎ無い大国に仕上げる。
それが俺と、この城で私を支える者たちの急務である。
……ノーザン、マンダンを泳がせて他にも仲間が居ないか探れ。」



「宰相補佐のマンダン様ですか!?
あの方が……?」



キリアンは腕と脚を組んで黙ったまま頷いた。
キリアンとノーザンのやり取りを聞きながら、ガインが頬を掻く。


キリアンが皇帝になった日の翌朝、ガインがキリアンに手を出してしまったのではないかと自責の念にかられていた時に、城の廊下でマンダンに会った。

元々が好ましい人物ではなかった上に、あの時は気が動転していて頭が働かなかったが………



「皇帝になったばかりの陛下の様子を探りに来ていたのか……」







談話室で三人で二時間ほどを過ごし、その場で解散となった。

ノーザンはミーシャからの昼食の包みを大事そうに抱えて午後の訓練の為に訓練場に向かった。



「さて、俺も午後の指導に」とノーザンに続き、ガインも談話室を出ようとしたが、ドアノブに手を掛けようとした際に背後からキリアンに腕を掴まれた。



「セドリック叔父上の名前、出さないでって約束したの忘れてた?それも略称で。
なに、そんなに気にいってるの?
セディの事。」



扉を前にしたガインは、後ろを振り向く事が出来ない。

背後から纏わり付く様に流れ出くる怖気が余りにも強く………
コワイ。オソロシイ。



「そっ…そうじゃなくてだな…セドリック公爵閣下とは…
こ、こうなんつーか呼びにくいんで…つい楽な方を…。」



「ガインが叔父上の名前を出す必要ある?
無いよね。
それって、頭の中に叔父上の顔を描いたって事だろ」




━━確かに頭にセディの顔がパッと浮かんだ。

だが、嫌いな人物であっても頭に顔を一瞬浮かべるなんて仕方ないだろうが!

それすら嫉妬の対象になるってナニ!

さっきだってマンダンの話題の時には奴のハゲツラが頭に何度も浮かんだわ!━━



と言ってやりたいのだが、背後から伸びたキリアンの手がガインの顎を掴み、口内に指先を潜り込ませて言葉を奪う。



「ンぐ…き、キリ…ちょ…ま、ンプ…!」



「この愛らしい口から叔父上の名前を出した。
自然に略称で。いや…愛称?

我が妻の口から私以外の男の名前が出るのを許せる程、私は心が広くはない。」




━━だよな!!
こと、俺に関してだけは滅茶苦茶、心が狭いわ!!
キリアンが嫉妬深いのは充分分かっていたが…
以前より、ヒドくなってね!?━━



ガインの腔内に潜り込んだキリアンの指先は、ガインが何かを話そうとする都度立ち上がる舌先を叩き、ガインの唾液を指先に絡ませながら歯列や唇をなぞる。

反論の余地を与えられずに、ジワジワと腔内を嬲られていくガインは、小刻みに膝が震え出して真っ直ぐ立っておられずに眼前のドアに両手の平をついた。



「……ッックぅ!!」



ドアに両手の平をついたガインがビクウッと身体を大きく身震いさせた。



「口を嬲られただけで、こんな風になるのか。
両手を前について、ねだる様に尻を突き出して。
俺だけじゃ満足出来ないなんて言わないよな?師匠。」



トラウザーズの中に入ったキリアンの手がガインの臀部の谷間を開き、後孔を直に指先で撫でた。



「ふぁ!き、キリッ……!ちがっ…!」



ガインは口にキリアンの指を咥えさせられたまま、ゆるゆると左右に首を振る。
キリアン以外に自身を捧げる相手など、この世にはいない。

ガインは、以前浴場でセディの名前をポロッと口にしてキリアンを激しく嫉妬させた時に、もうセディの名前は口に出すまいと自身に強く言い聞かせた筈だった。



日が経ったからとは言え、自身で決めた事を反故にしてポロリをしてしまった自分が情けなくなる。



「それとも、俺に嬲られたかった?
ガインって、苛められるのも好きだもんね。」



ガインのトラウザーズの中に潜り込んだキリアンの手の指先が、クチッとガインの後孔を浅く突いた。



「まっ!待ってく……!!ムグ!」



「しーっ。ここは兵舎の中だよ?
ほとんどの者が午後の鍛錬に出ているとは言え、誰がまだ残っているか分からない…。
誰かが談話室の前を通るかも知れない。」



ガインの口腔を犯していたキリアンの手がガインの口を覆って声を塞ぐ。
その状態で、キリアンはガインのトラウザーズを膝までずり下げた。



「!!!!!んなっ!?」



「声を聞かれたく無かったら、そのポロポロとセディの名を出しちゃう口をきゅっと結んで頑張って耐えなよ。

ねぇ、ガイン。」




ガインの口を覆っていた手をどかしたキリアンは、ガインの唾液を纏う指先をヘビのように舌先を出してチロチロと舐め、ドアに両手をついてナマ尻を突き出した状態のガインにニイッと笑みを向ける。

まるで蛇に睨まれた蛙のようにいすくんだガインは、この先にある━━この場で激しくヤられてしまう━━確定した未来から逃れられ無い事に気付き、ヒクッと口の端を引き攣らせた。




━━もう、絶対にキリアンの前でセディの名は口にしねぇ!!━━



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