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30・見知らぬ人との相合い傘。
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この日、真弓の方から土曜日のデートの約束をもらった俺は、かなり浮かれていた。
夕方からの少林寺拳法の教室でもテンション上がりまくりで浮かれポンチ状態だったと思う。
さすがに土曜日までこの頭の中がお花畑みたいな状態が続くとは思ってはいなかったけど……
良い事の次には、気分が悪くなる事があるってホントなんだなと
次の日の朝に登校した俺は思った。
教室の扉を開いた瞬間、既に登校していたクラスメートの視線が俺に集中した。
いつもはザワザワと騒がしい教室内がシーンと静まり返る。
その理由は黒板を見てすぐ分かった。
黒板に大きく書かれた
みつるぎらんと日向さんて人との相合い傘。
ハートはピンクのチョークで塗られていた。
俺の名前……全部ひらがなじゃん。ダッサ。
つーかダレだよ日向さんて。
俺を模したのか変な人型イラストの吹き出しに
『日向さんとチューしたい』って言葉が入っている。
チューって言葉を見た俺は、昨日の図工の時間に中学生とキスをしていたと噂になっていた6年生の女子の名前が日向である事を思い出した。
数人の男子が机の上に座ってニヤニヤと俺を見ている。
その中には昨日、一緒に下校した拳も居た。
アイツ……下校時に俺がキスの話題なんか出したもんだから、俺の好きな人を日向さんだと勝手に思い込んだ上に、それをペラペラと喋ったのか。
最悪じゃん。
意外だったのが、いつも率先して俺を攻撃してくる金森がそこに入ってない。
金森は後ろの方にある自分の席に座って、ブスッと不機嫌そうな顔をしている。
「………はぁー…だる。」
俺は自分の机にランドセルを下ろして席に着いた。
ランドセルの中から教科書を出して机の中にしまっていく。
俺の様子をニヤニヤしながら見ていた男子達が少しうろたえ出した。
俺が躍起になって黒板を消したがるとでも思ったのだろうか。
そんなテンパった俺を見たかったのか、ご丁寧に黒板消しはどこかに隠されていた。
「おい御剣、アレ消さなくていーのか。」
金森が俺の前の澤田さんの席に来て椅子に座り、黒板を顎で指し示して面白くもなさげに俺に訊ねて来た。
「書いたの俺じゃないし。
アレを書いたヤツが先生に叱られるだけだろ。
それにアレ、俺の事じゃねーしな。
俺、日向さんの顔すら知らないし好きなワケがねー。」
俺と金森の会話を聞いていたニヤニヤしていた男子達がざわつき出した。
慌てふためく俺を見てからかうつもりだったのだろうけど、俺が完全にスルーしたので逆に焦った様だ。
「御剣は、あんな風におちょくられたみたいな事を書かれて腹立ってないのかよ。」
「めちゃくちゃ腹立ってるよ。
俺がからかわれた事よりも、俺の相手に全く関係ない人の名前が書かれた事に腹が立つ。
俺の好きな人に対してすげー失礼だ。
まるで俺が浮気したみたいじゃん。」
俺の前の金森も、俺をからかおうとしていた奴らも、そして拳も、あからさまに驚いたような顔をした。
「御剣は、日向さんじゃなく別に好きな人が居るんだ?
で……その人には……えーと……。」
聞きたい事があるのに、どう聞いて良いか分からない様子の金森が、俺の前でゴニョゴニョと口ごもった。
教室に居て俺達の様子を遠巻きに見ている他の奴らも、俺の方を見ていないフリをしながら聞き耳を立てている。
「居る。俺はその人に、ちゃんと俺の気持ちを伝えてある。
本気で好きだって。
だから俺がその人以外の誰かを好きだとか、何も知らないで勝手に言われんのスゲぇ腹が立つ。」
そうだよ。
こんな有り得ない噂話でも、万が一、いや億が一でも真弓の耳に入ったら、どうしてくれるんだ。
真弓が「浮気したな!」なんて嫉妬して怒ってくれるなら逆に嬉しい位で。
それよりも真弓に「彼女が出来たのか、それは良かったな」なんて言われて、俺と離れる理由にされたら溜まったもんじゃない。
「ら、走!あのな、絶対に内緒にするから教えてくれって言われてさ……つい……。」
拳が、おずおずと俺の席に近付いて来た。
拳に言いたい事はたくさんあるが、あり過ぎて何から言っていいのか分からない。
腹立たしいのは確かだが、元々がどこかいい加減なヤツだし…
実際、俺だってコイツを信用しているワケじゃないから秘密なんて話したりしない。
コイツが勝手に思い込んで勝手にみんなに嘘を教えただけだ。
で、面白半分に一緒になって俺をからかおうとしたと。
アホか。
「テメェ、ふざけんなよ!
嘘ばっかり、ペラペラ何でも喋りやがって!」
「な、なんで金森が怒るんだよぉ!!」
拳に対して呆れ過ぎたと言うか諦めていると言うか。
無表情で無視をしている俺に代わって拳の胸ぐらを掴んだのは金森だった。
もしかして……金森も拳の被害に遭った事があるのか?
金森が澤田さんを好きだって、コイツ言ってたもんな。
金森は怒らせたら手を出そうとするから、おっかなくて表立ってからかうなんて出来なかったんだろうけど、拳の口の軽さを見ていたら…。
金森が澤田さんを好きだって事をコソコソと周りに言いふらしていても不思議じゃない。
「金森、もーいーじゃん。
離してやれよ。
先生来る前に、黒板消さなきゃならないだろうし。」
黒板をあのまま放置して先生に叱られるのは拳たちだ。
金森が拳の胸ぐらを掴みながら、一緒にからかおうとした男子達を睨み付ける。
このクラスで金森に強く意見出来る男子は俺しかいない。
金森に睨まれた男子達が、スイッと目を逸していった。
「御剣!お前なんで、そんな平然としていられるんだよ!
腹立つって言ったじゃねーか!!
勝手に好きなヤツいるとか言われて、からかわれて!」
「確かに違う人を好きって言われた事には腹は立つんだけど。
何だかバカバカしくて。
だって俺に好きな人が居るのは本当だし。
好きな人が居る事をからかうとかさー。ガキっぽくない?」
教室内がシンと静まり返った。
俺の意見が少数派だってのは良く分かる。
俺くらいの年齢だとさ……
好きな人が居る事自体が恥ずかしかったりするし……誰かを好きって気持ちは知られたくなかったりするよね。
でも、そんな悠長な事を言ってらんない相手を俺は好きになった。
早く気持ちを伝えて、繋ぎ止めなきゃいけなかった。
だから、みんなより数歩は大人ぶった恋愛論を持っている。
多分。
「………お前、恥ずかしくないの?
好きな人が居るってバレて、からかわれんの。」
「恥ずかしいワケないじゃん。
俺、その人の事をめちゃくちゃ好きだし隠す理由が無いよ。
俺は今、その人にもっと自分を好きになって貰えるよう必死だ。」
「へぇー、お前にそこまで言わせる人って誰?」
金森の自然な問いかけに対して、サラッとまー…と声が口から出そうになり、慌てて唇をグムっと噛んだ。
真弓の名前を出せるワケがない。
「好きな人の事を隠す理由が無いんだろ?
誰?俺の知ってる人?」
金森が拳を解放し、今度は俺の机に両手を置いて覗き込むように顔を近付けて来た。めっちゃ顔近っ
そういや拳が言ってたな。
金森は澤田さんが好きで、澤田さんは俺を好きだって。
まさか金森……俺の好きな人が澤田さんじゃないかと疑ってんのか?
「こ、この学校に居る人じゃない…。」
「お前、違う学区の奴らと一緒に少林寺習ってるって言ってたな。そこの人?」
「それも違う。みんなが知らない人だ。」
「じゃあいいじゃん!誰が好きか言ってしまえよ。」
金森は俺の口から澤田さん以外の名前を聞いて安心したいらしい。
知らない人だって言ってるのに、追及が止まらない。
「………言えない。
俺がその人と付き合ってる事が周りにバレたら、その人に迷惑がかかるから。」
「つ、付き合ってんの!?」
金森の声に重なって、バサバサっと派手に何かが落ちる音がした。
音の方に、クラスのみんなの視線が集まる。
登校して来たばかりの澤田さんが手にした荷物を全て床に落とし、大きなショックを受けた表情をして俺と金森が向かい合う机の横に立っていた。
夕方からの少林寺拳法の教室でもテンション上がりまくりで浮かれポンチ状態だったと思う。
さすがに土曜日までこの頭の中がお花畑みたいな状態が続くとは思ってはいなかったけど……
良い事の次には、気分が悪くなる事があるってホントなんだなと
次の日の朝に登校した俺は思った。
教室の扉を開いた瞬間、既に登校していたクラスメートの視線が俺に集中した。
いつもはザワザワと騒がしい教室内がシーンと静まり返る。
その理由は黒板を見てすぐ分かった。
黒板に大きく書かれた
みつるぎらんと日向さんて人との相合い傘。
ハートはピンクのチョークで塗られていた。
俺の名前……全部ひらがなじゃん。ダッサ。
つーかダレだよ日向さんて。
俺を模したのか変な人型イラストの吹き出しに
『日向さんとチューしたい』って言葉が入っている。
チューって言葉を見た俺は、昨日の図工の時間に中学生とキスをしていたと噂になっていた6年生の女子の名前が日向である事を思い出した。
数人の男子が机の上に座ってニヤニヤと俺を見ている。
その中には昨日、一緒に下校した拳も居た。
アイツ……下校時に俺がキスの話題なんか出したもんだから、俺の好きな人を日向さんだと勝手に思い込んだ上に、それをペラペラと喋ったのか。
最悪じゃん。
意外だったのが、いつも率先して俺を攻撃してくる金森がそこに入ってない。
金森は後ろの方にある自分の席に座って、ブスッと不機嫌そうな顔をしている。
「………はぁー…だる。」
俺は自分の机にランドセルを下ろして席に着いた。
ランドセルの中から教科書を出して机の中にしまっていく。
俺の様子をニヤニヤしながら見ていた男子達が少しうろたえ出した。
俺が躍起になって黒板を消したがるとでも思ったのだろうか。
そんなテンパった俺を見たかったのか、ご丁寧に黒板消しはどこかに隠されていた。
「おい御剣、アレ消さなくていーのか。」
金森が俺の前の澤田さんの席に来て椅子に座り、黒板を顎で指し示して面白くもなさげに俺に訊ねて来た。
「書いたの俺じゃないし。
アレを書いたヤツが先生に叱られるだけだろ。
それにアレ、俺の事じゃねーしな。
俺、日向さんの顔すら知らないし好きなワケがねー。」
俺と金森の会話を聞いていたニヤニヤしていた男子達がざわつき出した。
慌てふためく俺を見てからかうつもりだったのだろうけど、俺が完全にスルーしたので逆に焦った様だ。
「御剣は、あんな風におちょくられたみたいな事を書かれて腹立ってないのかよ。」
「めちゃくちゃ腹立ってるよ。
俺がからかわれた事よりも、俺の相手に全く関係ない人の名前が書かれた事に腹が立つ。
俺の好きな人に対してすげー失礼だ。
まるで俺が浮気したみたいじゃん。」
俺の前の金森も、俺をからかおうとしていた奴らも、そして拳も、あからさまに驚いたような顔をした。
「御剣は、日向さんじゃなく別に好きな人が居るんだ?
で……その人には……えーと……。」
聞きたい事があるのに、どう聞いて良いか分からない様子の金森が、俺の前でゴニョゴニョと口ごもった。
教室に居て俺達の様子を遠巻きに見ている他の奴らも、俺の方を見ていないフリをしながら聞き耳を立てている。
「居る。俺はその人に、ちゃんと俺の気持ちを伝えてある。
本気で好きだって。
だから俺がその人以外の誰かを好きだとか、何も知らないで勝手に言われんのスゲぇ腹が立つ。」
そうだよ。
こんな有り得ない噂話でも、万が一、いや億が一でも真弓の耳に入ったら、どうしてくれるんだ。
真弓が「浮気したな!」なんて嫉妬して怒ってくれるなら逆に嬉しい位で。
それよりも真弓に「彼女が出来たのか、それは良かったな」なんて言われて、俺と離れる理由にされたら溜まったもんじゃない。
「ら、走!あのな、絶対に内緒にするから教えてくれって言われてさ……つい……。」
拳が、おずおずと俺の席に近付いて来た。
拳に言いたい事はたくさんあるが、あり過ぎて何から言っていいのか分からない。
腹立たしいのは確かだが、元々がどこかいい加減なヤツだし…
実際、俺だってコイツを信用しているワケじゃないから秘密なんて話したりしない。
コイツが勝手に思い込んで勝手にみんなに嘘を教えただけだ。
で、面白半分に一緒になって俺をからかおうとしたと。
アホか。
「テメェ、ふざけんなよ!
嘘ばっかり、ペラペラ何でも喋りやがって!」
「な、なんで金森が怒るんだよぉ!!」
拳に対して呆れ過ぎたと言うか諦めていると言うか。
無表情で無視をしている俺に代わって拳の胸ぐらを掴んだのは金森だった。
もしかして……金森も拳の被害に遭った事があるのか?
金森が澤田さんを好きだって、コイツ言ってたもんな。
金森は怒らせたら手を出そうとするから、おっかなくて表立ってからかうなんて出来なかったんだろうけど、拳の口の軽さを見ていたら…。
金森が澤田さんを好きだって事をコソコソと周りに言いふらしていても不思議じゃない。
「金森、もーいーじゃん。
離してやれよ。
先生来る前に、黒板消さなきゃならないだろうし。」
黒板をあのまま放置して先生に叱られるのは拳たちだ。
金森が拳の胸ぐらを掴みながら、一緒にからかおうとした男子達を睨み付ける。
このクラスで金森に強く意見出来る男子は俺しかいない。
金森に睨まれた男子達が、スイッと目を逸していった。
「御剣!お前なんで、そんな平然としていられるんだよ!
腹立つって言ったじゃねーか!!
勝手に好きなヤツいるとか言われて、からかわれて!」
「確かに違う人を好きって言われた事には腹は立つんだけど。
何だかバカバカしくて。
だって俺に好きな人が居るのは本当だし。
好きな人が居る事をからかうとかさー。ガキっぽくない?」
教室内がシンと静まり返った。
俺の意見が少数派だってのは良く分かる。
俺くらいの年齢だとさ……
好きな人が居る事自体が恥ずかしかったりするし……誰かを好きって気持ちは知られたくなかったりするよね。
でも、そんな悠長な事を言ってらんない相手を俺は好きになった。
早く気持ちを伝えて、繋ぎ止めなきゃいけなかった。
だから、みんなより数歩は大人ぶった恋愛論を持っている。
多分。
「………お前、恥ずかしくないの?
好きな人が居るってバレて、からかわれんの。」
「恥ずかしいワケないじゃん。
俺、その人の事をめちゃくちゃ好きだし隠す理由が無いよ。
俺は今、その人にもっと自分を好きになって貰えるよう必死だ。」
「へぇー、お前にそこまで言わせる人って誰?」
金森の自然な問いかけに対して、サラッとまー…と声が口から出そうになり、慌てて唇をグムっと噛んだ。
真弓の名前を出せるワケがない。
「好きな人の事を隠す理由が無いんだろ?
誰?俺の知ってる人?」
金森が拳を解放し、今度は俺の机に両手を置いて覗き込むように顔を近付けて来た。めっちゃ顔近っ
そういや拳が言ってたな。
金森は澤田さんが好きで、澤田さんは俺を好きだって。
まさか金森……俺の好きな人が澤田さんじゃないかと疑ってんのか?
「こ、この学校に居る人じゃない…。」
「お前、違う学区の奴らと一緒に少林寺習ってるって言ってたな。そこの人?」
「それも違う。みんなが知らない人だ。」
「じゃあいいじゃん!誰が好きか言ってしまえよ。」
金森は俺の口から澤田さん以外の名前を聞いて安心したいらしい。
知らない人だって言ってるのに、追及が止まらない。
「………言えない。
俺がその人と付き合ってる事が周りにバレたら、その人に迷惑がかかるから。」
「つ、付き合ってんの!?」
金森の声に重なって、バサバサっと派手に何かが落ちる音がした。
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~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
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