完璧城主の哀悼記もしくは天然転生少女の奮闘記

翡翠

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白露宮と穀雨宮

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 通されたのは、いかにも女の子!な部屋だった。ベットはフリフリの天蓋つき。薄いピンク色が目に眩しい。さあて。
 まずは…おふろ!ホルマリンかもしれない液体につかってたんだから当然だ。お風呂場も、もちろん大浴場なみ。サイコーすぎる!ぱさっと動きにくい衣装を脱ぎ捨てる。白い肌があらわに…

「ぎゃああああっー!」




 ん…

「お目覚めですか。では服を着てください。」

春林さん…?私…そうだ。

「あの!」

「傷、拝見致しました。」

やっぱり?あのとき、私の(藍玉さんの?)身体には、生々しい切り傷が残っていた。赤黒くて、まるで何かが口を開けているみたいな…ぞくっと背筋が冷たくなる。

「藍玉さまはもうお亡くなりになっていると考えてよいでしょう。おそらく、何者かに殺されたのでしょうね。」

 そう言いながら、春林さんには「何者か」の心当たりがあるようだった。

「蒼玉さまにはお話にならないように。幽玄さまには私からお話しておきます。」

それはもちろん。自殺しそうな予感がするし。

「では、いい加減服をきてください。」

はい…傷に触れないように、細心の注意、と。触っても痛くないのがまたコワイ。
 
 いつのまにか外は薄暗くなっていた。キズを庇うようにしてベットに横になる。もう一回お風呂に入る勇気はないし。
 何時間たったんだろ。寝られない…私、これからどうするんだろう…自分じゃないカラダ。知らないひとたち。転生します、なんて簡単に言わなきゃよかった…これから、どうしたらいい?命を狙われてるかもしれない藍玉さんの身代わりとか、ヤなんですけど…そんなことをもやもや考えながら、私は眠っていった。

  ーーーーーーーーーーー朝ーーーーーーーーーーーーー

ガタンッ!

 は?続いてガチャっとドアノブが回される音。薄闇にエメラルドグリーンが揺れた。

「ヘンタイ!」

 定番ながら、枕を放り投げて叫ぶ。お年頃のレディの部屋にノックなしで入ってくるたぁ、何事よ!
 予想通り蒼玉がドアのそばに佇んでいた。出て行くそぶりを見せようともしない。なんなのこの人!次は目覚まし時計でも投げようかと思った時、異変に気づいた。蒼玉の顔色は真っ白で、目も焦点があってない。なにこれ…どうしたっていうの。

「らんぎょく…ごめん。守れなくて、ごめ…」

 ぞくっ…私がよもぎだって、理解してないの?でも昨日は…

「蒼玉…さま。大丈夫ですか。私は藍玉さまでは…」

 違うな。こうじゃない。こうなった人は、脆い。

「お、お兄ちゃ…じゃない、お兄さま。わたし…藍玉は大丈夫ですよ。で、ですから、お休みになってくださいな。」

 もっと藍玉さんについて知っておくんだった!ドタンバの策だけど、思ったより反応あり。目を見開いた彼は、次の瞬間崩れ落ちた。

「え、蒼玉さま⁉︎ちょ、春林さぁん!」
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