完璧城主の哀悼記もしくは天然転生少女の奮闘記

翡翠

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芽生える気持ち

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 蒼玉が話し終えたとき、もう外は真っ暗だった。ずいぶんと長い時間気絶してたんだなぁ、と、どーでもいいことを考える。
 蒼玉が弱って見えたのは、幽玄さんの魔法の効果で、私を通して白露宮を探っているはずの穀雨宮を油断させるため。 
 今日のパレードに私たちが出ることは、前々から予定されていたことで、ここで穀雨宮を殲滅する予定だったこと。
 今日、私が倒れたときに、穀雨宮の仕業だと思った白露宮の控え軍隊が動き、蒼玉がその指揮をしたことで、もう全部バレてしまったこと。
 そこまでしなくてもいいのに、と思うのは、たぶん私が甘いんだよね。蒼玉が弱っていてもいなくても、穀雨宮は仕掛けてきそうなものなのに。蒼玉も昨日、そろそろ一週間だから向こうも動く…的なこと言ってたのに。それもデタラメ?
 そういうと、蒼玉はふっと微笑んだ。

「国は、君主が全てだ。おれが弱っているとあれば、軍はうまく機能しないだろう。判断は全て、おれがするからな。」

 つまり、私を送り込んで、白露宮は万全の体制ってわかれば、穀雨宮は何にもしてこなかったかもしれないってことか。
 ん?じゃあ、その場合私はどうなるんだろう。用無しになったってことだよね?さすがにずっと置いておくのはリスク大きいだろうし。考え込む私に、蒼玉がおずおずと声をかけた。

「…怒らないのか?ずっと、騙していたのに。」

「だって仕方ないですもん。そりゃちょっとはイラッとしますけど。」

 そんなこと気にしてたんだ?言わないけど、なんだかかわいい。

「でも、蒼玉さまは平気ですか?無理やり魔法で、気持ちかき混ぜられて、苦しくないですか?」

 蒼玉の目が、ひとまわりくらい大きくなった。私、変なこと言ったっけ…?

「え…?そ、蒼玉、さま?」

 次の瞬間、私は抱きしめられていた。痛いほどに、強い。どうしたの…?

「ありがとう。よもぎ。」

 蒼玉の長いまつ毛が、澄んだ瞳が近すぎる。待って、まってまって…なに、なにこの状況…たぶんこの上なくマヌケな顔でもがく私に、蒼玉は雪が溶けるように微笑んでみせた。
 表現おかしいかもしれないけど、花が咲くような~みたいな、当たり前の表現じゃしっくりこない。それくらい、トクベツで…美しかった。ドクドク言う心臓を抑えて、私はちらりと思ってしまう。この笑顔も、たぶん、藍玉さん専用だったんだろうな、って。なんだろ、この気持ち…
 怖かったことも、驚いたことも忘れて、私は蒼玉を抱きしめ返した。
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