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久々

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「峯!迎えにきたよ~」
裕二の呼びかける声で目を覚ました。
パジャマ姿だわ顔は酷い有様だわ、頭はガンガンするだわでとても裕二に会えるような状況じゃない。
「裕二くん!今日はごめんなさいねぇ、峯の体調が悪いみたいだから病院に連れていくことにするの」
「そんなに悪いんですか?」
まずい、このままでは母が裕二に病気のことを喋ってしまう。
起き上がろうとしても体が重くて起き上がれない。
終わった、詰んだって言うのか?
諦めるとしよう。
「念の為よ、念の為。大きな病気にかかってたら大変でしょう?」
え?
まさか・・・な。まさか母さんが知ってるわけないよな・・・?
「そうなんですね・・・峯にお大事にって伝えてください」
「ええ、もちろん。いってらっしゃい」
「ありがとうございます」
まさか、母さんは知ってたのか・・・?
トントンと2階に上がってくる足音がする。
「峯!起きた?病院行くわよ」
母の慣れた運転で見慣れた病院へと到着した。
若葉病院、医療器具はもちろん最新、小学校が併設されて病気の子供でも通えるという素晴らしさだ。
俺は小学校はここの併設の小学校だった。
中学校は地元で周りは知らない人だらけ、そんな馴染めないような状況で話しかけてきたのが裕二だった。
今は・・・どうなんだろう。
思いっきり裕二のことを避けてるよな・・・
狭いグラウンドを進むと少し汚れた入口があった。
「峯くん、久しぶりだね」
そう言って笑うと目尻にシワがギュっとよる。
「湯島先生?」
「覚えていてくれたとは光栄、光栄」
俺が小学生の時に20代くらいだからもう30代くらいか。
「発作かい?」
「え・・・なんでわかったんですか?」
「何年君を診てきたと思うんだい?それくらいのことお見通しさ」
詳しい検査が始まった。
正直言って痛い、苦しい。
高校生にもなって情けないとは思うけど仕方ない・・・
「峯くんお疲れ様」
診察室に戻ると笑顔で先生は迎えた。
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