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日常篇
夜のデート
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「ごめんね、また僕に合わせてもらっちゃって...」
「私がデートしたかっただけだから」
結局あのあともなかなか動くことができず、七海にお世話になりっぱなしだった。
「今日はどこのお店に行こうか」
「そうだな...あ、あそこに雑貨屋さんとレストランが併設されてる施設ができたんだって」
「それじゃあ、そこに行ってみよう!」
あの夜助けられてからというもの、週に1回以上会っている。
七海は知らないだろうけど、独りで過ごす時間を『寂しい』と思ってしまう。
...今までどうやって過ごしていたんだったか。
「木葉...?もしかして、嫌だった?」
「ううん、ちょっと考え事をしてただけ!
それと、こうして一緒にいられて楽しいなって思ったんだ」
「それならいいけど...」
彼女には心配性なところがある。
少し体調が悪いとずっと側についていてくれるし、怪我をするとものすごい勢いで包帯をぐるぐる巻きにされたこともあった。
「七海、通り過ぎてるよ」
「え、ここなのかな?普通の家みたいに見えるけど...」
ふたりで入ってみると、そこには色とりどりの物がずらりと並べられている。
まるで宝石のように輝いていて、手にとるのが憚られるほどのものだった。
「綺麗...」
「そうだね」
七海が選んだのは、海のような色を放つストラップだった。
「それちょっと貸して?」
「駄目だよ、ちゃんと自分で払うから...!」
「君がそのつもりなら...」
店内であることも全く気にせず、おもいっきり恋人の体を抱きしめる。
「え、ちょっと、木葉...!」
「すみません、お会計をお願いします」
店長さんらしき人は仲がいいのね、なんて話して笑ってくれた。
レストランに移動して席に着くと、七海は真っ赤な顔で僕の方に視線を向ける。
「あ、あんな方法でお金を払うのは禁止。
恥ずかしいから...」
「ああでもしないと自分で払うつもりだったでしょ?
今夜の思い出になるといいなって思ったんだ」
「そういう言い方をするのは、狡い」
しばらく話していると頼んだものが運ばれてくる。
ひとくち、またひとくちと食べていると、七海にあるものを渡された。
「...これ、さっきのお店で買ったんだ」
「え、いつの間に?」
「木葉がわくわくして別のコーナーを見ているとき、プレゼントにって思って...開けてみて」
言われたとおり箱の蓋を持ちあげると、中からは先程七海に買ったストラップの色違いのものが出てきた。
それは透きとおった緑で、綺麗という言葉では表しきれないほど美しい。
「木葉の瞳の色に似てるなって思ったんだけど、気にいらなかった?」
「すごくいい色だね!ありがとう、大事にする」
手の中で揺れるストラップを気にしつつ、目の前の笑顔に見惚れる。
──七海が1番綺麗だよって、伝えられればよかったのに。
「私がデートしたかっただけだから」
結局あのあともなかなか動くことができず、七海にお世話になりっぱなしだった。
「今日はどこのお店に行こうか」
「そうだな...あ、あそこに雑貨屋さんとレストランが併設されてる施設ができたんだって」
「それじゃあ、そこに行ってみよう!」
あの夜助けられてからというもの、週に1回以上会っている。
七海は知らないだろうけど、独りで過ごす時間を『寂しい』と思ってしまう。
...今までどうやって過ごしていたんだったか。
「木葉...?もしかして、嫌だった?」
「ううん、ちょっと考え事をしてただけ!
それと、こうして一緒にいられて楽しいなって思ったんだ」
「それならいいけど...」
彼女には心配性なところがある。
少し体調が悪いとずっと側についていてくれるし、怪我をするとものすごい勢いで包帯をぐるぐる巻きにされたこともあった。
「七海、通り過ぎてるよ」
「え、ここなのかな?普通の家みたいに見えるけど...」
ふたりで入ってみると、そこには色とりどりの物がずらりと並べられている。
まるで宝石のように輝いていて、手にとるのが憚られるほどのものだった。
「綺麗...」
「そうだね」
七海が選んだのは、海のような色を放つストラップだった。
「それちょっと貸して?」
「駄目だよ、ちゃんと自分で払うから...!」
「君がそのつもりなら...」
店内であることも全く気にせず、おもいっきり恋人の体を抱きしめる。
「え、ちょっと、木葉...!」
「すみません、お会計をお願いします」
店長さんらしき人は仲がいいのね、なんて話して笑ってくれた。
レストランに移動して席に着くと、七海は真っ赤な顔で僕の方に視線を向ける。
「あ、あんな方法でお金を払うのは禁止。
恥ずかしいから...」
「ああでもしないと自分で払うつもりだったでしょ?
今夜の思い出になるといいなって思ったんだ」
「そういう言い方をするのは、狡い」
しばらく話していると頼んだものが運ばれてくる。
ひとくち、またひとくちと食べていると、七海にあるものを渡された。
「...これ、さっきのお店で買ったんだ」
「え、いつの間に?」
「木葉がわくわくして別のコーナーを見ているとき、プレゼントにって思って...開けてみて」
言われたとおり箱の蓋を持ちあげると、中からは先程七海に買ったストラップの色違いのものが出てきた。
それは透きとおった緑で、綺麗という言葉では表しきれないほど美しい。
「木葉の瞳の色に似てるなって思ったんだけど、気にいらなかった?」
「すごくいい色だね!ありがとう、大事にする」
手の中で揺れるストラップを気にしつつ、目の前の笑顔に見惚れる。
──七海が1番綺麗だよって、伝えられればよかったのに。
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