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日常篇
素直な気持ち
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あの日から数日がたち、紅葉も染まりはじめている。
「こんばんは」
「木葉、いらっしゃい」
夜、いつもの時間に彼はやって来た。
数日会ってないだけなのに、もう随分顔を見ていなかったような気がする。
「...ねえ。抱きしめてもいい?」
「うん、どうぞ」
両手を広げていると、木葉が思いきり飛びこんでくる。
彼も同じように、寂しいと思っていてくれたのだろうか。
「ごめん。最近何かとついてなくて...」
「そうなの?」
「会いに行こうとしたらラッシュさんにからかわれるし、朝起きられなくて夜も出掛ける用事が入ったり。
あと、バイト終わりに箱が崩れてきて、じゃんけんで残る人を決めることになって...負けて片づけをやらないといけなくなったりもしたよ」
来られなかった可愛らしい理由に、私は思わず笑ってしまった。
「そんなに笑わなくてもいいのに...」
「木葉が可愛かったから、つい。それに、やっぱり優しいんだなって思った。
放って帰ることもできたのに、木葉はそうしなかった。そういうところ、好きだなって...」
そこまで言ったところで、背中に回された腕の力が強くなるのを感じる。
顔をせいいっぱい上げてみると、耳まで真っ赤にした木葉が私を見下ろしていた。
「いきなり好きとか、ストレートな言葉を使うのは狡い...。
ただでさえ抑えてるのに、歯止めが利かなくなりそうだよ」
しまった、と思ったときには遅かった。
ソファーにもつれこむように押し倒され、唇にぬくもりが触れる。
「木葉...?」
数日会っていなかったということは、それだけ欲求を抑えこんでいたということだ。
それなら、こんなふうに限界がきてもおかしくない。
ちゃんと考えるべきだった。
だって、今の木葉は...泣いているから。
「七海...ごめっ、もう...」
「いいよ。私は大丈夫だから...噛んで」
首筋に、いつもより早く牙が食いこんでいくのを感じる。
そして、また体温が上がっていく。
(何も考えられなくなりそう)
首筋から唇が離れた後、木葉はまた申し訳なさそうな表情で私を見つめる。
「七海、ごめん」
「赦さない」
「...!」
真っ青になっている彼を目にして、すぐに言葉を付け足した。
「こんなになるまで1人で無茶をして、赦せない。ただ、お願いを聞いてくれたら許します」
「何をすればいいの?」
「...今夜は側にいて」
「え?」
そんなことでいいのか、と言いたげな様子の木葉を体を起こして抱きしめる。
「ずっと会えなくて、すごく寂しかった」
「七海...」
「だから、今日は帰らないでほしいな」
木葉を1人にしたくないし、私も独りでは寂しさに押し潰されてしまいそうだから。
そんな身勝手な理由で引き留めたけれど、彼はただ黙って抱きしめてくれた。
「こんばんは」
「木葉、いらっしゃい」
夜、いつもの時間に彼はやって来た。
数日会ってないだけなのに、もう随分顔を見ていなかったような気がする。
「...ねえ。抱きしめてもいい?」
「うん、どうぞ」
両手を広げていると、木葉が思いきり飛びこんでくる。
彼も同じように、寂しいと思っていてくれたのだろうか。
「ごめん。最近何かとついてなくて...」
「そうなの?」
「会いに行こうとしたらラッシュさんにからかわれるし、朝起きられなくて夜も出掛ける用事が入ったり。
あと、バイト終わりに箱が崩れてきて、じゃんけんで残る人を決めることになって...負けて片づけをやらないといけなくなったりもしたよ」
来られなかった可愛らしい理由に、私は思わず笑ってしまった。
「そんなに笑わなくてもいいのに...」
「木葉が可愛かったから、つい。それに、やっぱり優しいんだなって思った。
放って帰ることもできたのに、木葉はそうしなかった。そういうところ、好きだなって...」
そこまで言ったところで、背中に回された腕の力が強くなるのを感じる。
顔をせいいっぱい上げてみると、耳まで真っ赤にした木葉が私を見下ろしていた。
「いきなり好きとか、ストレートな言葉を使うのは狡い...。
ただでさえ抑えてるのに、歯止めが利かなくなりそうだよ」
しまった、と思ったときには遅かった。
ソファーにもつれこむように押し倒され、唇にぬくもりが触れる。
「木葉...?」
数日会っていなかったということは、それだけ欲求を抑えこんでいたということだ。
それなら、こんなふうに限界がきてもおかしくない。
ちゃんと考えるべきだった。
だって、今の木葉は...泣いているから。
「七海...ごめっ、もう...」
「いいよ。私は大丈夫だから...噛んで」
首筋に、いつもより早く牙が食いこんでいくのを感じる。
そして、また体温が上がっていく。
(何も考えられなくなりそう)
首筋から唇が離れた後、木葉はまた申し訳なさそうな表情で私を見つめる。
「七海、ごめん」
「赦さない」
「...!」
真っ青になっている彼を目にして、すぐに言葉を付け足した。
「こんなになるまで1人で無茶をして、赦せない。ただ、お願いを聞いてくれたら許します」
「何をすればいいの?」
「...今夜は側にいて」
「え?」
そんなことでいいのか、と言いたげな様子の木葉を体を起こして抱きしめる。
「ずっと会えなくて、すごく寂しかった」
「七海...」
「だから、今日は帰らないでほしいな」
木葉を1人にしたくないし、私も独りでは寂しさに押し潰されてしまいそうだから。
そんな身勝手な理由で引き留めたけれど、彼はただ黙って抱きしめてくれた。
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