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日常篇
突然
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「木葉」
いつもどおり夜の仕事をしていると、後ろから柊に声をかけられる。
「どうしたの?」
「その、また相談したいんだけど...」
「僕でよければいつでも乗るよ。それで、今回も何か渡すもので悩んでるの?」
「...そうなんだ」
「それなら、今回は僕の恋人にも手伝ってもらおうか」
正直、僕も女の子のものに詳しいわけではない。
お店に行けば、きっと似たり寄ったりの物を選んでしまうだろう。
柊はいつもより必死な様子だ。
僕には死神の事情は分からない。
ただ、大切な女の子について周りで何か起ころうとしているのかもしれない...その事だけは予想できた。
「柊、僕に他にもできることがあるなら、」
「充分だよ」
今までなら仏頂面で言っていたのに、柊は少しだけ寂しそうに笑った。
これだけの変化をもたらした女性とは、一体どんな人なんだろう。
「...七海に連絡しておかないと」
「もう少し待ってほしい。流石に今夜突然というのはマナー違反だ。
...それに、きっとあの子が寂しがる」
「それなら早く帰った方がいいね。仕事、もうすぐ全部終わるし...」
柊の瞳には闇がほとんど漂わなくなった。
以前ほど死の気配もしなくなり、本当にただの人間のようだ。
僕はその変化が嬉しかった。
友人が重い荷物をおろせたならそれでいい。
「こんばんは」
「木葉...ご飯食べる?」
「わあ、ありがとう!すごく美味しそうだね」
柊とわかれていつもどおりの時間に七海の家へ向かうと、なんだか深く考えこんでいる様子だった。
「私もほうじ茶でも飲もうかな」
「ごめんね、いつも用意してもらって」
「好きでやってることだから」
七海はついでにと冷蔵庫から取り出した抹茶ケーキを食べながら、優しい言葉をかけてくれる。
だが、やはり様子がおかしい。
しばらくじっと見つめていると、彼女は少し話しづらそうにしながら訊いてきた。
「...ねえ、木葉」
「どうしたの?」
「ケイティリンさんっていう知り合いの人っている?」
「ケイティリン...?」
それは一体誰だろう。
七海の様子からして、冗談で言っている訳ではないことはすぐ理解した。
「僕が知らない血縁者とかなのかな...。実は自分の家族のことをあんまり知らないんだ」
「...木葉と瓜ふたつだった」
僕の父親はもういない。
母親が別の人と結婚したことなんて...そこまで思考を巡らせ、ある結論に至った。
「その人、ケイトって呼ぶように言わなかった?」
「...言ってた。すごく笑顔が優しくて、だけど雰囲気が普通の人じゃなくて...とにかく木葉に似てた」
その正体なんて、思い当たるのは1人しかいない。
「これから僕が言うことには、冗談なんて混ざってない。...あり得ないって思うかもしれないけど、信じてくれる?」
「うん。木葉を信じる」
その言葉に僕の心は動かされた。
「その人は──僕の母親だよ」
いつもどおり夜の仕事をしていると、後ろから柊に声をかけられる。
「どうしたの?」
「その、また相談したいんだけど...」
「僕でよければいつでも乗るよ。それで、今回も何か渡すもので悩んでるの?」
「...そうなんだ」
「それなら、今回は僕の恋人にも手伝ってもらおうか」
正直、僕も女の子のものに詳しいわけではない。
お店に行けば、きっと似たり寄ったりの物を選んでしまうだろう。
柊はいつもより必死な様子だ。
僕には死神の事情は分からない。
ただ、大切な女の子について周りで何か起ころうとしているのかもしれない...その事だけは予想できた。
「柊、僕に他にもできることがあるなら、」
「充分だよ」
今までなら仏頂面で言っていたのに、柊は少しだけ寂しそうに笑った。
これだけの変化をもたらした女性とは、一体どんな人なんだろう。
「...七海に連絡しておかないと」
「もう少し待ってほしい。流石に今夜突然というのはマナー違反だ。
...それに、きっとあの子が寂しがる」
「それなら早く帰った方がいいね。仕事、もうすぐ全部終わるし...」
柊の瞳には闇がほとんど漂わなくなった。
以前ほど死の気配もしなくなり、本当にただの人間のようだ。
僕はその変化が嬉しかった。
友人が重い荷物をおろせたならそれでいい。
「こんばんは」
「木葉...ご飯食べる?」
「わあ、ありがとう!すごく美味しそうだね」
柊とわかれていつもどおりの時間に七海の家へ向かうと、なんだか深く考えこんでいる様子だった。
「私もほうじ茶でも飲もうかな」
「ごめんね、いつも用意してもらって」
「好きでやってることだから」
七海はついでにと冷蔵庫から取り出した抹茶ケーキを食べながら、優しい言葉をかけてくれる。
だが、やはり様子がおかしい。
しばらくじっと見つめていると、彼女は少し話しづらそうにしながら訊いてきた。
「...ねえ、木葉」
「どうしたの?」
「ケイティリンさんっていう知り合いの人っている?」
「ケイティリン...?」
それは一体誰だろう。
七海の様子からして、冗談で言っている訳ではないことはすぐ理解した。
「僕が知らない血縁者とかなのかな...。実は自分の家族のことをあんまり知らないんだ」
「...木葉と瓜ふたつだった」
僕の父親はもういない。
母親が別の人と結婚したことなんて...そこまで思考を巡らせ、ある結論に至った。
「その人、ケイトって呼ぶように言わなかった?」
「...言ってた。すごく笑顔が優しくて、だけど雰囲気が普通の人じゃなくて...とにかく木葉に似てた」
その正体なんて、思い当たるのは1人しかいない。
「これから僕が言うことには、冗談なんて混ざってない。...あり得ないって思うかもしれないけど、信じてくれる?」
「うん。木葉を信じる」
その言葉に僕の心は動かされた。
「その人は──僕の母親だよ」
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